人事が経営のビジネスパートナーとなるべく
タレントマネジメントシステムを活用推進

課題:人材の見える化、経営意思決定のエビデンス、ヘルスケア

千寿製薬株式会社

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管理本部 人財企画グループ グループマネジャー 木股 靖明 様

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    業種製薬社員数1,000名

日本初のコンタクトレンズ用目薬「マイティアCL」でおなじみの製薬メーカー、千寿製薬株式会社。医療用医薬品、一般用医薬品、動物用医薬品を展開しており、「Good Company」という経営理念のもと、売上を伸ばすことだけでなく、社会から信頼され、必要とされる価値ある企業として、千寿製薬に関わる全ての人々の「しあわせ」を追求しています。

今回は、同社にて管理本部人財企画グループでマネジャーを務める、木股靖明様にお話をうかがいます。木股様は要員計画、採用、人材育成、キャリアアップ支援、異動配属、評価制度など人事制度にまつわる全ての領域を管轄。さらに組織として共有すべき価値観である「SENJU SENSE」を制定されるなど、まさに同社人事領域におけるキーパーソンでもあります。

目次:

意思決定のプラットフォームを求め、タレントマネジメントシステムを導入

― まずは、タレントマネジメントシステム導入の背景を教えてください。

千寿製薬にはさまざまな職種があり、それぞれ年齢構成もバラバラです。今までは各本部のトップが中心となって、その部門の世代交代や業務連携、採用、異動までを見ていました。しかし2016~2020年の中期経営計画のタイミングで、「人事は経営にとってのビジネスパートナーとして動くべきだ」という話が出ました。人事=単なる相談窓口ではなく、たとえば本部を超えるような異動やレイヤーが変わるような昇級・降級は、人事でしっかりと把握しながら、一人ひとりの成長を考えていこうとなったのです。

ただ、そうするには大きな課題がありました。というのも、社員一人ひとりの情報は極めて簡略的なものしか取れておらず、どの程度の能力があるか、どんな実績を積んできたか、どんな評価・成績を上げてきたかといった情報が一元管理されていなかったのです。そのため社員の情報を把握するのに非常に時間がかかってしまう状態でした。

そこで、まずはそうした必要情報を一元化して可視化し、組織としての基礎をつくらなければならないと考えました。その時に、タレントマネジメントシステムという、いわばプラットフォームがあればその上でダイナミックなデータ活用や、社員側・部門側のニーズや意見を踏まえた意思決定ができるのではないかと考えたのです。

これまで使用してきた基幹システムで基本情報の管理はできていたものの活用するには使い勝手が悪く、結局Excelと併用での運用になってしまい悪循環が生まれていました。中期方針・戦略計画の次世代人材の排出を達成するためにも経験と勘ではなく、客観性のあるデータを活用していきたいと考えてタレントパレットを採用しました。

社員一人ひとりの最新情報をしっかり把握しながら、人事判断の大きな武器に

― タレントマネジメントシステムの中でも、タレントパレットに決めた具体的な決め手は何だったのでしょうか?

1つ目は、データ活用のしやすさです。基本情報に加えて、我々が必要な情報をタイムリーに加えていくことができます。また、情報をグラフ化したり、テキストマイニング分析したりするなど、アウトプットを変えながら様々な指標として可視化することに長けたシステムだと感じます。こうした特長が、我々の目指す多角的な人事施策に活用できそうだと感じました。

2つ目の理由は、サポート体制と顧客の声をくみ取ってくれる仕組みです。人事システムには自社の運用や制度に合わせるのが難しく断念せざるを得ないものも多いと思うのですが、タレントパレットは企業の運用・制度の機能要望に対して、その場のイエスノーで終わらせず、どのようにすれば実現できるのか糸口をきちんと探ってくださる。そうした社内の体制が整っていることも、利用する側としては安心感につながります。あとはFAQやラウンジという相談会によって、「ここに困っています」という声をすくい上げてくれることも魅力です。

サポート体制

3つ目は、画面デザインです。サービス名に「パレット」とある通りカラフルなカラーリングをされていて、とても見やすいですよね。我々のSENJUのロゴや「SENJU SENSE」の冊子のカラーリングともマッチしていて、弊社の社員が親しみやすい色彩だと感じました。それにカラフルなデザインだと、目に入ったときに気分も上向きますしね。

― 導入してみての率直な感想をお聞かせください。

様々な人事情報をタレントパレットに連携しました。異動や配属、採用における判断、また一人ひとりの情報を参照するときなど、タレントパレットで個別情報を見て、瞬時にその方の最新情報に基づいて話ができるという点では、大きな武器を得られたと感じています。

メンバー実感モニタリング

社員名簿から戦略的な要員計画まで目的に合わせたシステム活用

― どのようなシーンでタレントパレットを活用いただいているのでしょうか。

そうですね、弊社では大きく4つあります。
まず1つ目は、社員名簿です。社員の顔写真と基本情報がすべてタレントパレットに入っていまして、いつでもすぐ参照できる状況になっています。社員は限られた情報のみ閲覧できるようになっていて、我々人事はより詳細な情報が見られる形です。当然、組織ごとに誰が属しているのかといった情報も確認できます。

2つ目は人事評価です。もともとは他社サービスで運用していましたが、今はタレントパレットのミッション機能ですべて運用・管理しています。すべての社員と契約社員に半期または通期で目標設定をしてもらい、それに対する評価・成績を出すという取り組みをしていて、弊社にとってなくてはならないものになっています。こちらはタレントパレットに切り替えたことで、「組織ごとに人を見られるようになった」「何がどこにあるかがすぐにわかるようになってストレスが減った」という声をもらっています。
運用においても、基本的に提出が遅れることはほぼありません。これは操作性の良さが大きいようで、以前のシステムでは人事へ操作方法に関する問い合わせがありましたが、タレントパレットになってからはほとんどなくなりました。


3つ目はアンケート及びサーベイ調査です。直接人事部門に伝えていただきたい情報のなかで、特に異動希望やスキル、あとは上長になかなか伝えられないことなどの内容を、アンケート機能を使って収集しています。

4つめは要員計画・採用です。どの職種ユニットにどれだけの人数を増やしたほうがいいのか、あるいは減らしたほうがいいのか、といった人員計画を考えるときに、必要な情報を出力したりダッシュボードを使ったりして提案しています。各本部から人員要望をもらって、その要望と、我々の考える数・人材要件を合わせて、要員計画を詰めていく際にタレントパレットを使うことが多いですね。

また社内で特に活躍している社員の適性検査の結果を見て、どういった数値傾向があるのか実際に分析し、それを見た上でどのような人材が必要か職種ごとに設定しています。面接担当者とも共有して、1つの判断軸として選考を進めています。

ワンプラットフォームだからストレスチェックも準備不要で人事も社員も手間いらず

― 御社はストレスチェック機能も活用いただいていますがこちらの反応はいかがですか?

以前のシステムでは、一人ひとりに初期登録してもらったり、定期的な情報の入れ替えが発生したりしていました。一方タレントパレットはいつでも最新の情報が入っています。しかも全社員のアカウントが入っているので、初期登録や情報の入れ替えが不要です。これまでは人事としては調査準備も大変だったのですが、このような細々とした業務がなくなりました。
また回答者視点では、システムにあまり詳しくない方でも簡単に操作できているようです。管理側で設定すればユーザーは自動ログインできますし、チェックボックスから選ぶだけの設問も用意されているなど、社員側の工数をかなり減らせているのではないかと感じています。

従来のシステム利用時は、9割の回答率を得るのに回答期限を延長しなければなりませんでしたが、タレントパレット導入以降は1週間で9割ぐらいの回答が終わります。期限の延長もなく、かなり早いタイミングで全社から回答を集められていて助かっています。

ストレスチェック

― 他にもタレントパレットが役立っているシーンはありますか?

私たちがタレントパレットを最もよく使うのは配属や異動の判断のときなのですが、今までであれば人づてに評価を聞いたり、時間をかけて情報の在処を探したりする必要がありました。今は関連情報や適性検査の結果などすべてタレントパレットにまとめてあるので、それらを参照しながら検討していく業務は効率化されましたね。
社員名簿の部分でお話した通り社員の顔と名前が一覧でぱっと見られるようになっているので、視覚的にもわかりやすい。タレントパレットを見ながら、「このグループは補強した方がいいね」「これは外から人を採用しないといけないね」という会話が交わされるようになりました。

また、研修やキャリアセミナーを受けたときの情報や振り返りの内容を後で上長が確認したり、面談に活用したりしています。ある本部では、一般職社員を対象に「10年後にありたい姿」を聞くキャリアデザインシートを年に1度回収しています。それをスキルアップや、人事異動の情報に役立てています。

製薬業界ならではのものとして資格の管理ですね。異動や昇格検討などの際に必要になる場合があるため、タレントパレットで人材を抽出できるようにしています。

千寿製薬が目指す企業としての在り方と人事の役割

― 最後に、人材活用の観点から、これから御社が企業として実現したい姿について教えていただけますでしょうか。

1つ目は、「従来業務の徹底効率化」。この効率化は、対「人」の部分です。
無駄をなくしながら必要な所に必要な人材を配置するという取り組みによって、単純に社員を増やすのではなく、一人ひとりの業務の質を高めていくことを目指しています。

2つ目は、「幸せな人生の道しるべとなること」。世の中的に個人の価値観の尊重が進み、どんどん社員と会社の立場が対等になっていくなかで、会社は社員の働きやすさ・働きがいをそれぞれ高めていかなければなりません。人事制度や働き方改革を通して、一人ひとりと会社組織が高め合う文化を醸成していきたいと考えています。

3つ目が、「自立的に成長・活躍する人財を蓄積すること」。中期経営目標にもありましたが、次世代人材の輩出は、引き続き重要な目標だと思っています。そして、会社の将来をけん引できる可能性を秘めた人材を、計画的かつ継続的に確保・育成していかなければならない。そのためには、人材に応じて育成方法を変え、人材獲得力を強化していきたいと思っており、そういった場面でもタレントマネジメントシステムを活用していくべきだと思っています。

千寿製薬株式会社

― 目指していく組織になるために、人事としてできることは何だと思いますか?

人財企画グループとしては、奉仕の精神を持って現場の困りごとや要望を把握して、通常のレギュレーションだけではない先回りの対応をしていきたいと思っています。千寿製薬全体で変えていくのか、あるいは組織・ユニット単位で変えるのか、都度適切な方法を考え、両面から支援していきたいですね。

今後はタレントパレットの人材要件機能を使って、複数条件に合致する人材を特定のメンバーから抽出することや、条件にどれぐらい一致しているのかを一覧で参照する、といったことも行えるようにして、人材要件がタレントパレットだけで完結できるのが理想です。

加えて、個々の社員に対して、スキルアップ・キャリアアップの面でしっかりとサポートしていくこと。すでに情報の蓄積はしているものの、1on1機能やスキル機能、動画機能も活用して、異なる機能軸でも情報を記録していく必要があると考えてますし、より活性化するように推進していきたいです。