グループ36社のシナジーを生み出す、
攻めのタレントマネジメントの実現へ
課題:経営の意思決定への活用、人材の見える化、人材データ分析
課題:経営の意思決定への活用、人材の見える化、人材データ分析
業種製造
社員数約15,000名(2023年3月時点)
加藤様:ニチレイグループは、我々が所属するニチレイ、加工食品事業のニチレイフーズ、水産畜産事業のニチレイフレッシュ、低温物流事業のニチレイロジグループ、バイオサイエンス事業のニチレイバイオサイエンスの5つから構成されています。
弊社では元々、タレントパレットではない他社のタレントマネジメントシステムを導入していました。しかし、同一のシステムでグループ全体のデータ統合が難しく、会社全体の可視化ができていませんでした。
また、経営層が経営判断のために人事データを必要とした際に、人事部がシステムからデータ出力をし、さらにデータを加工・出力したものを共有し、イメージと異なっていたら再度作成するという非常に工数がかかってしまう業務が発生しており、結果として人事部門だけが使う人事のためだけのツールになってしまっていることが大きな課題となっていました。
そのような中で、グループ全体の理念で「人を大事にする」ことを掲げているにもかかわらず、単なる人事管理にとどまっていてよいのか?と見直す機会があり、グループを横断して人(社員)を理解したうえで経営の意思決定ができ、さらなるグループシナジーを生み出せる新たなタレントマネジメントが必要だと考え、それを実現できるシステムの検討を始めました。
加藤様:弊社全体、36グループ全社で導入するとなると、対象社員数は少なくとも9,000名に上ります。そのため一番重要視していたのが、社員数の規模が大きくてもシステムの動作が遅くならないことでした。
また、データを管理だけにとどめずに分析・活用まで行いたいという目標があったので、システム内で人材データをどこまで分析できるかもポイントの1つでしたね。その2つを重要ポイントとして絞り込んだ4〜5社の中から、必須ポイントだけでなく「現在搭載されているタレントマネジメント機能が十分にあり、今後もさらに拡張していきそうだ」と感じたタレントパレットに決めました。
加藤様:タレントパレットの導入自体は経営判断としてトップのコメントをもらっていたのでスムーズに進みました。また、それとは別に導入のメリットを丁寧に説明することで、各グループ会社にも受け入れてもらえました。現状の運用をどのように便利にできるか、今後どのような活用が期待できるのか、などを会社ごとにわかりやすく説明したイメージです。
例えばニチレイフーズなら「工場のオートメーション化やそれによって人手不足問題を解消できる」バイオサイエンスなら「どのように人材を確保することで採用コストを抑えることができる、それによって研究費の確保に繋げるかを可視化できる」など、それぞれのメリットを丁寧に説明。各事業を人事面で支える、そのための導入なのだと理解してもらうことができました。
齋藤様:タレントパレットの環境構築コンサルティングも実施してもらい、コンサルタントに伴走してもらいながら自社に合った環境を組み立てました。最終的には「グループ戦略ポータル環境」という全社横断で見ることができるタレントパレットのポータル環境をトップに置き、5つの事業グループを傘下に、さらにその下に各社を配属するという構造にしています。
また、グループ全体で実施する施策もあれば会社ごとに実施したい施策もあるため、各社環境に持たせるデータ項目や活用に関しては大きな縛りは設けないようにしています。
例えばキャリア申告は全社がタレントパレットで運用していますが、全社的に収集しておきたい保有資格や研修履歴などの項目は統一しつつ、個社ごとの施策のために必要に応じて独自の設問を設けています。
これにより、全体で共通の情報を持たせつつ、各社の経営施策や人事施策に乗っ取った独自性のある運用ができています。
とはいえ状況や目的、活用などは共有する必要があるので、事業会社ごとにタレントパレットの担当者を置いて月に1回ペースで定例会を開催して意見交換を行っています。
他の会社の活用方法を聞いて自社でもやってみるなど、勉強会のようになっているので同じ会社内でも刺激になります。
加藤様:人事担当者の発想の転換ですね。
以前導入していたタレントマネジメントシステムが単なる人事管理システムと化していたので、「こういうことがしたいからこういうデータを集めてこよう」という発想になかなか切り替われなかったのが大変でした。
幸い、役員が人材データをどんどん活用していきたいという強い気持ちを持っていたので、経営目線で「何のためにこういうデータが欲しい」と指摘してもらったりして経営層とのリアルな対話のなかで担当者のマインドを変えていくことができました。
齋藤様:他にも様々あるのですが、主に3つのシーンで機能を活用しています。
まずは導入前後で大きく影響があった「社内公募」です。
弊社では公募制で異動希望が出せる社内公募制度を行っています。タレントパレット導入前は社内の掲示板に公募情報を掲示し、応募者はExcelなどで公募書類を送るという運用をしており、応募するのに社員側の工数をとっていました。
また、これまでは持ち株会社であるニチレイだけで実施していたのですが、導入後、横断してシステム活用できるということもあり、制度を見直してグループ横断でポジション募集・応募ができるようにしたところ、公募をかけるのも工数がかからなくなったこともあって募集の掲載数が増え、それに伴って社員からの応募も2倍以上になりました。
これにより組織活性化だけでなく、これまでとは全く違った業種や職種への異動も可能となったため、社員のキャリアプラン支援やリスキリング、離職防止にもつながっていると感じています。
続いてが「女性活躍推進と次世代人材の育成」です。
女性活躍推進と次世代人材の育成については、タレントパレットを使って過去の人材データを整理・分析できました。それにより、「これまでの対象者がどのような人材なのか」をデータに基づいて可視化ができるダッシュボードを構築することができました。
これから人的資本経営に向けて人材情報の開示なども重要になってくるので、必須項目だけでなく今回のように自社に必要な分析をいつでも見られるようにしていきたいです。
最後に「TPI適性検査」です。
タレントパレットは適性検査も全社員が無料で受検ができるので、それをきっかけに全社員に実施してもらいました。今まで採用時に適性検査を実施するケースはあったのですが、全社で統一した適性検査のデータを取れたのは初めてのことです。
収集した結果データをもとに新卒かキャリア採用か、入社何年目かなど、さまざまな区分でデータを分析することで、例えば、入社3年未満の社員の結果データはレーダーチャートの波形が結構異なっていて各人の個性がでているな、という感じだったのですが、4年以上になると波形の形が似ている、などの傾向も見えてきました。やはり組織なので企業文化が浸透しているという意味で波形が似ているところを良いと考える一方、これからの時代に向けてもっと多様性をもっていかなくてはならないという課題感も見つかったと思っています。
また、今後はこの適性検査の結果を配置にも活用していきたいと考えています。
加藤様:ニチレイグループでは長期経営目標で、2030年の姿として「経営数値目標
売上高1兆円、海外売上高比率30%増、売上高利益率8%増」を設定しています。そのためには海外人材が不足しているので施策を打って行っていきたいです。
今まで勘と経験だけで判断してしまっていたところもあるため、異動や戦略を考える際に埋もれてしまっていた人材もいたと思うので、今後はタレントパレットを駆使してデータを掛け合わせて科学的に人材を発掘していきたいと考えています。
また、いまも実施している次世代の経営層育成の観点では、より具体的にどのような人材が求められているのか整理し、マッチしている候補者をピックアップしていきたいですね。そのためにも、研修などの学習機会の提供は今後も行っていきます。
経営戦略を実現するための人事戦略で、タレントパレットはそれを補完し意思決定に結びつけるツールだと考えています。経営戦略は時代とともに変化していくものなので、それに柔軟に対応し続けてくれるシステムとして活用していきたいです。
人事の「今」と経営の「未来」を変える、
タレントマネジメントシステムです。