主力事業の転換期に人財ポートフォリオでスキルを可視化し
経営を支援していく
課題:人材データ分析、人材育成、経営の意思決定
課題:人材データ分析、人材育成、経営の意思決定
業種製造
社員数16,247名(2023年3月時点)
河尻様:背景には事業ポートフォリオの転換があります。
弊社の現在の売り上げは、ガソリン自動車に使われるような内燃機関事業が80%を占めています。
しかし今後時代が変わっていく中で電気自動車が増えていくと現在売り上げの主力になっているプラグやセンサーは不要になってしまうことにかなり危機感を持っており、メディカルなど新たな事業を立ち上げて伸ばしていくことが急務になってきました。
つまり事業ポートフォリオの転換が必要だということで、2030年には非内燃機関事業の売り上げを全体の40%、2040年には60%に高めることを目指しています。
ビジネスの内訳が変わるのに伴い、必要になってくる人財、スキルも変わってくるので人財 ポートフォリオも変換しなければなりません。
今の時点で社員にスキルを確認すると、やはりいまの主力であるガソリン自動車に紐づくものがほとんどです。そこを事業転換に伴って変えていくために、人財に 関する理想を掲げ、現状と比較しギャップを埋めていく必要がありました。
そのためには社員を的確かつ高い精度で見える化することが非常に重要だと考え、これまでのExcelやPDFでの保管ではなく、ワンプラットフォームでデータを蓄積し、可視化したり掛け合わせて分析して活用したりできるようなタレントマネジメントシステムの導入を検討しました。
山口様:人事の業務には「戦略的」な内容と「管理的」な内容がありますが、これまで弊社の人事部では給与計算や書類手続きなどの管理的な業務が中心でしたが、これからの人事では企業成長に向けて経営戦略と連動し、会社の中期経営計画を達成するためにはどういう人財が必要か?どのようなスキルを伸ばしていくべきか?など戦略的に動いていく必要があると考え、数年前に戦略人事部を立ち上げました。
しかし、これまで管理の仕事ばかりやっていた人事が突然発想を切り替えるのはなかなか難しく、そのような中で人事が戦略に対して考える場を設けようと「戦略人事キャンプ」というものを実施したこともあります。
キャンプでは「自分たちがどうして人事をやっているのか」「どのような人事を目指している、求められているのだろうか」など考える人が変わらないと出てくるアウトプットも変わらないため、今後のアウトプットを高めていくためにみんなで議論しました。
また、人事にもともといた人財を育てるという面と、別の部署や事業部から新たに異動してきてもらう、という面があり、実は私は人事に来る前は経営企画部にいました。
添田様:海外向けのパッケージや国内向けのパッケージ、タレントマネジメントに特化したシステム、人事全般の業務が入ったシステムなど、10種類以上を比較しました。
給与計算向けの人事労務に使うシステムは別のものを使っていたので、タレントマネジメントシステムに特化したものを探しました。
その中でも今回の一番の目的である事業ポートフォリオにむけて、社員のスキルやWILL(なりたい姿)を可視化・活用するための機能 や、それを人事だけでなく現場の社員も触ることができる操作性の良さも外せない要素でした。
そのような面からシステムを検討していく中でタレントパレットを選定しました。
田崎様:事業ポートフォリオの転換に対しスキルの可視化は非常に重要な要素になっているのですが、現場と経営層ではデータを活用する際に見える化したいと考えているスキルの粒度が異なるのでタレントパレットではその粒度を揃えられる点もよかったですね。
例えば現場ではどの機械を使えるのか・知識があるのか、など実作業に向けてのスキルを確認したいが、経営側であれば、経営戦略の中で意思決定をするうえで必要な情報を確認するために活用するため、もう少し抽象度の高いスキルを可視化したかったりします。
またタレントマネジメントシステムを活用=事業ポートフォリオ転換をしていくにあたり、人事が活用しておわりではなく事業側の現場の人々にも自分事として思いをもって活用してもらえるかが重要だと考えています。
やはりできることが多い分機能もあるので覚えることは多少あるのですが、「人事だけでなく現場でも活用してほしい」という思いがあったので、タレントパレットの権限移譲を設定できる点もいいなと思いました。
髙原様:先日国内グループを対象に、全社共通のスキルと、各業務を遂行するために必要となる専門的スキルを定義したうえで、タレントパレットで展開し、社員にスキルレベルの入力を依頼したところです。
もともと現場でスキルセットのようなものは定義していましたが、さきほど申し上げた通り現場のスキルは「この装置を使うことができる」「この工程のこの作業をすることができる」など粒度が細かくなりすぎていたので、各部門の企画部門長に協力してもらい再定義していきました。
再定義の際、主体は人事戦略室ではなく各部門で実施してもらい、その分野のスペシャリストの方に推進してもらいました。最終的には各部門で活用してもらうため、人事戦略室が一方的につくるのではなく、各部門で主導してもらいました。
田崎様:全社共通のスキルは、全社員が目指すべき姿として掲げている「自律創造人財」から紐解いたコンピテンシーとして、「やり遂げる力」や「巻き込む力」などを13個定義しました。こちらも人事だけで作成してしまうと自分事になりにくいので、現場にとって他人事にならないように、現場と一緒にどのように定義していくかを数ヶ月かけて話し合いました。
添田様:まだスキルの入力を始めたばかりですが、今後は社員のスキルレベルに合わせて「この研修を受けたほうがいいよ」といったような個々に合わせた提案もしていきたいと思っています。社員自身への影響としても、自分のスキルが見えるようになったことで、どのスキルをもっと伸ばしていこう、意外とこのスキルがあるから部署異動も検討してみようかな、などキャリア自律につながることを期待しています。
また、少し始めている部分もあるのですが、スキルなどを活用して各社や各事業所でどのような人財が活躍できるのかを分析したうえで必要な人財要件を定義し、配置や育成、採用に活用していきたいです。
現状も、募集したいポジションが発生した際には、すぐに採用をかけるわけではなく社内に必要な条件にマッチしている人がいるか探したり、異動希望と求人がマッチしている社員がいないか見ていたりします。
スキルはタレントパレットに入れて終わりではなく、入れたデータを人事だけではなく現場も含めてどのように使っていくのかをしっかり考えていかなければならないと思っています。いまは0から1を作りあげた状態なので、ツールをツールで終わらせずに思いを乗せて使っていきたいです。
添田様:グループ全体で導入したので、誰に見せる・見せないなどの権限設定が各社で異なったため設定の仕方を工夫しました。
ここはプラスアルファ・コンサルティングのコンサルタントに入ってもらい、提案してもらった権限モデルを参考にしながら共通化できるところと分けて設定すべき箇所を切り分けたことで、今は問題なく設定し、運用ができています。経験のあるコンサルタントの方についてもらったことで安心して進めることができました。
また、コンサルティングが終わった後も、日頃の活用で困りごとがあったときにサポート体制のひとつであるオンラインで直接相談ができるラウンジ制度も使っていて、疑問がある際にサポートデスクの方と一緒に画面を見ながらお話ししながら解決できているのでありがたいですし、ほとんど毎日開催しているので参加しやすく、権限設定をしていた時期は毎日のように参加していましたね。
山口様:中期経営計画の人事戦略に絡んでくるのですが、まずは、やはりいま一番の課題である事業ポートフォリオの転換に伴った人財のポートフォリオ転換を推進していきたいです。
そのためにも、社員が今どんなスキルを持っているかを引き続き可視化し、必要なスキルを明らかにして今後社員に学んでいってもらうために、タレントパレットを活用していきたいですし、期待している部分です。
もう一つは「自律創造人財」を育んでいきたいです。これまでは自動車メーカーから必要とされる部品を生産する受動的なビジネスでしたが、これからは自発的に新しいことをやっていかなければならない。会社が変わるためには人も考え方も変わっていかなければならないと考えています。
これまでは上司が社員に対して、何をすべきかを提示していたのですが、今後は社員一人ひとりのキャリアについても、それぞれが自発的に考えられるように成長していってほしいです。
弊社は管理職に対して役割等級制度を取り入れており、社員にも公開しているのですが、ゆくゆくはそれもタレントパレットに統合し、目指すべきポジションに対してのスキルギャップをわかりやすく可視化できるようにしていきたいですね。
人事の「今」と経営の「未来」を変える、
タレントマネジメントシステムです。