組織人事コンサルタントが実践する
戦略人事を実現するために必要なタレントマネジメントとは
課題:人材育成、人材情報分析
課題:人材育成、人材情報分析
業種コンサルティング社員数1,010名
田中様:私が所属していた部署では、コンサルティング未経験者の早期立ち上げが課題となっていました。その理由として、近年、コンサルティング業界全体では経験者人材の採用競争が激化していることが挙げられます。
人材を確保するためには、その分野では長けた経験を持っているが、コンサルティングは未経験という方を積極的に受け入れる必要があり、結果として人材育成コストが増加しました。これを受け、その方々を効率的に早期戦力化していくための方法を考えていました。
田中様:これらの課題を解決するため、3つの取り組みを行いました。
まず1つ目は、計画的な人材育成です。メンバーの育成状況を把握して、組織としての方向性と、本人が望むキャリアの方向性を踏まえた育成に取り組むことにしました。
次に社員情報の共有です。弊社の場合、プロジェクト単位で働くため、例えば5つのプロジェクトに参加していると、最大で5人の上司がいる状況になります。その結果、A上司とB上司が指導した内容が重複することや食い違ってしまうことが起きていました。そのため、上司間で指導情報を共有できる仕組みを検討しました。
3つ目が、これら2つを実現するためのプラットフォームの導入です。弊社の場合、「情報を共有した上で計画的に人材育成をしていきたい」という軸があり、いくつかのシステムを比較した上で、タレントパレットを導入しました。
田中様:取り組みたい施策がピープルマネジメントだったため、個人単位で情報を可視化することができるシステムとしてタレントパレットを選択しました。また、タレントパレットは、ヒューマンリソースマネジメント、パフォーマンスマネジメント、ピープルマネジメントの全ての領域に活用できるため、将来的な活用も踏まえて判断しました。
田中様:まず1つ目のヒューマンリソースマネジメントは人的資源管理と言われ、「今後こういう組織体制にしていきたい」「こういう人材をもっと増やしたい」というビジョンに向けて、施策を打ち、あるべき人材ポートフォリオを量と質の両面から実現する仕組みです。
次に挙げたパフォーマンスマネジメント、評価管理は、OKRのように会社の業績目標や取り組みに社員を方向付ける仕組みです。
そして、ピープルマネジメントは職場管理のことで、1on1の導入や、社員ごとの特性を踏まえたコミュニケーション手法の導入など職場の活性化、コミュニケーションの円滑化を図るものになります。
田中様:タレントパレットの導入自体は現場主体で進めました。導入を振り返ってみて重要だと感じるのは、RFPを作っておくということです。RFPを作る過程で必要な画面などを事前に検討していたため、導入後の設計がスムーズでした。また、現在、他部署への導入拡大の検討を進めていますが、全社施策として取り組んでいくためには、経営層などのマネジメントニーズと現場ニーズの両方を把握することが欠かせません。双方のニーズを満たす方法を具体化することで承認をスムーズに得ることができるようになったと実感しています。
田中様:弊社では指導内容の登録による成長促進、社員情報の把握、自己理解と他者理解の促進、仕事状況の即時把握による業務調整への活用に使用しています。
まず指導内容の登録による成長促進では、上司から受けた指導内容を部下自身が登録するようにしています。ここで重要なのは、上司ではなく部下自身が登録するという点です。本人にアウトプットしてもらうことで、上司はその理解度を把握し、理解度に応じたアプローチができます。
また、登録内容を評価項目と紐づけることで、登録内容を評価項目ごとの評価事実として蓄積することができました。加えて、登録内容を部の全員が見られるようにしたことで、コンサルティング未経験で入ってきた人が、これまでに先輩が受けてきた指摘など、成長に関する記録を閲覧でき、最初から何が必要なのかを理解できるようになりました。これにより、指導履歴を組織資産化することができました。
次に、社員情報の把握、人物特性の把握による自己理解、他者理解の促進を行いました。タレントパレットには、「TPI」(Talent Performance Indicator)と「エゴグラム」というアセスメントが搭載されております。これらのアセスメントを受けることで、部下や上司のタイプをつかむことができます。相手のタイプが理解できるため、ストレスコーピングなどにも役立っています。
そして3つ目として、仕事状況の即時把握による業務調整に活用しています。これは、リモートワークになったことでより重要な役割を担っています。例えば、予定上作業時間が30時間となっている部下の業務に対して、実際、その作業にどのくらい時間がかかったかを可視化することができます。それにより、早めに打ち手を講じられるようになりました。
ポイントは、情報を集めて可視化するだけでなく、その情報を具体的なアクションにつなげることです。そのため、データが正しく登録されていることが欠かせません。また、データ登録のハードルを下げるためにも、システム連携に取り組んでいます。
田中様:そうですね。点から入れるというよりも、ダッシュボードから発想するという感覚に近いかもしれません。こういう情報がダッシュボードにまとまっていれば、こういうアクションが取れる、こういう意思決定ができると考えるようになりました。
田中様:大きくは稼働情報です。どの仕事がどれだけ忙しいかが可視化できるようになりました。他にはアセスメントや、その業務ごとの組み合わせの情報です。例えば、A業務は誰と誰と誰がやっているか、というのを把握するのにも活用しています。個人レベルの情報さえ入っていれば、予定工数と実績工数を社員全体で見ることができるのもありがたいですね。
田中様:今まで点で行っていたマネジメントが、線でのマネジメントに繋がったのは、よかったと思っています。例えば、今後この仕事にアサインしようと思っているAさんが、すでに業務を多数抱えていて、今年度中はどこにも隙間がないことが事前にわかったとします。でも、今後のキャリアを考えた上では、既存の業務を減らして、新しい業務を増やした方がいいのでは、といったことを早い段階で検討しやすくなりました。
田中様:導入してから2年。これまでは、足もとの早期戦力化に注力してきました。プロジェクトがあったときに、その業務内の指導に注力して、その中でのPDCAをいかに回していくかがテーマだったわけです。
しかし、そればかりをしていると視野が狭くなることも事実です。そこで、業務内での指導を超えた育成……つまり、中長期的なキャリアの方向性を踏まえた人材育成にシフトしていかなければなりません。これが、今向き合っている新しい課題です。
現在、弊社ではタレントパレット上に情報を集約し、それを踏まえた業務分担やアサインができるように取り組んでいる所です。また、すでに導入している部署では、中長期的なキャリアの方向性を見据えた取り組みに着手するところです。また、導入部署の拡大に伴い、ナレッジマネジメントにも活用していきたいと考えています。
田中様:弊社もそうでしたが、RFPを作って、何のためにシステムを導入するのかを明確にすることが大切です。タレントパレットには多くの機能が備わっており、HRMからPpMまで様々な取り組み活用できます。だからこそ、いきなりすべてを使わなければと思うのではなく、自社の課題ややるべき取り組みを明確にし、そのために必要な機能を整理することで効果的に活用することができると思います。
田中様:はい。さらには、段階的に導入することも大切だと考えています。弊社の場合はピープルマネジメントから始め、徐々にパフォーマンスマネジメント、ヒューマンリソースマネジメントに活用しようとしています。もし、みなさんが複数領域の機能を使っていく想定がある場合は、導入前にある程度マイルストーンを引いておくと検討しやすくなると思います。
人事の「今」と経営の「未来」を変える、
タレントマネジメントシステムです。