タレントパレットで実現する、
グループ横断での人材可視化と人材公募等による最適配置
課題:最適配置、エンゲージメント向上、人材育成
課題:最適配置、エンゲージメント向上、人材育成
業種 製造
従業員数77,697名(2024年3月31日時点)
三菱重工グループは、祖業の船舶から各種プラント、航空宇宙まで、社会インフラを支えるソリューションをグローバルに展開しています。同社は人事基幹システムの切り替えと併せてタレントマネジメントシステムを導入。並行してHR部門を組織改編し、新たなHR戦略を立案しました。HR部門はグループ内の人材最適配置や社員エンゲージメント向上、ダイバーシティ対応などにより事業に貢献できるビジネスパートナーを目指し、DXを推進しています。タレントパレットの活用が業務高度化にどのように貢献し、今後どう活用しようとしているのか、お話を伺いました。
三菱重工グループはものづくりとエンジニアリングのグローバルリーダーとして、民間航空、輸送、発電所、ガスタービン、機械、インフラから、防衛・宇宙システムにいたるまで、陸・海・空、そして宇宙という幅広いフィールドをステージに活躍する企業です。事業規模としては、火力発電プラント等を擁するエナジーが一番大きく、約500の製品群があります。
売上は約4兆6000億円で、グローバルの売上が50%を超え、グローバル従業員は7万7000人。世界中に事業会社や営業拠点、管理会社があり、国内の支店とグループ会社を含めると250以上の拠点があります。
私達はHRマネジメント部に所属しております。HRマネジメント部は、事業部門のビジネスパートナーとして、事業に即したHR戦略の立案・実行をサポートするとともに、三菱重工グループの制度や施策を現場に浸透させる役割を担っています。また、タレントパレットのプロダクトを含むHRシステムも所掌しており、グループ全体のHRDXを推進しています。
タレントパレットの導入は既存の人事基幹システムの移行がきっかけでした。移行に伴い単にシステムのリニューアルを行うのではなく、事業部門のパートナーとしての機能を強化するため、人事データの可視化や分析を通じた、科学的人事を進めることで、事業貢献につなげたいと考えました。
導入を決定した基幹システムにもタレントマネジメントの機能はあったのですが、操作には一定の知識が必要で、広く社員に使ってもらうのは難しいと感じました。そのため、基幹システムと連携が可能で、ユーザーインターフェースに優れたSaaSのタレントマネジメントシステムの検討を始めました。
先ほどお話しした経緯で導入検討を開始しましたので、ユーザーインターフェースは特に重要視し、加えて、グループ会社を含めて横断的に人材情報の可視化が実現可能なことが必要要件でした。その他、製造業における導入実績や機能拡張性も考慮し、タレントパレットを導入することに決定しました。
当時の社内では、クラウドのシステム導入に対して後ろ向きな意見もありましたが、DXの推進には必須だと考え、導入に踏み切りました 。
導入に当たって、まずは三菱重工本体のHR部門から利用を開始し、24年1月からはグループ会社やHR部門以外のラインマネージャーへも拡大し、現在では約7000人がタレントパレット上で人材情報を確認できます。
活用が進んでいる領域は大きく分けて2つありますが、まずは人材公募での利用です。当社では、2019年から社員一人ひとりが自分自身のキャリアを考え、挑戦と成長を続けていくことを支援するため、社員自身が成長の場を主体的に選択できる人材公募制度の運用を開始しました。実際にマッチングして異動する方の規模も、開始初年度は19人でしたが、2023年度は495人と数十倍の規模に達しています。
オペレーションとしても、運用開始当時はExcelに応募のための情報を記入しメールで送る方法で、募集側も応募側も非常に工数がかかっていました。そこで、タレントパレットを使った仕組みに切り替えて三菱重工グループの約3万人の社員が利用できるプラットフォームとなりました。
私(山本様)も人材公募を利用してHR部門に異動しており、以前は事業会社で設計部門に所属していました。当時の人材公募はタレントパレットでの運用が開始される前で、ポータルサイトから職務要件が書かれたExcelを探すところから始まり、どのファイルが最新なのか、どのような職務があるのか一覧で見ることも難しく課題があったと思います。
今では、タレントパレットを利用して、どのような職務があるのか一覧で把握できるようになり、募集から応募まで1つのプラットフォームで完結できるようになりました。募集案件や応募者も年々増えてきており、タレントパレットがなければ運用は難しいと思います。
基本的には、募集部門のラインマネージャーが要件を作成しています。また、各事業部門にHRBP(ビジネスパートナー)が配属されているので、相談しながら作成するケースもあるかと思います。
他部門の募集案件も見ることができるため、他部門の要項と見比べながら作成することで、結果的にブラッシュアップされ良い求人になっています。求人内容の編集もストレスなくできることが良いところですね。
もう一つの活用方法は人材の可視化です。タレントパレットには人材情報が集約されているので、部長や課長といったラインマネージャーは、ダッシュボードで残業時間や休暇取得日数、その推移などといった社員一人ひとりの状況を見て、日々のマネジメントに活用しています。
また、どこにどういうメンバーがいるかを様々な軸で分かりやすく表現することができます。ワンクリックで個人のプロファイルにアクセスすることも出来るため、人材配置を検討する際、便利で重宝しています。基幹システムでも人材情報を見ることができますが、機能がありすぎて必要な情報へすぐにたどり着けないため、ほとんどの場合タレントパレットを使って確認しています。
私(引地様)自身、各地区に部下を持つHRマネジメント部長として、横断的に残業状況を把握して、リソースシフトの検討を行ったり、人員構成に歪みが生じていないかを確認し、配置を検討するのに活用しています。
また、HR部門としては、グループ全体の人員状況を把握するにあたって、タレントパレットを活用すると、社員の人口ピラミッド等、いろいろな軸を用いてグラフ上で簡単に表現できることがありがたいです。
当社では従来はここまでのデータ活用は求められていなかったのかもしれません。しかし、今後は組織を強化していく上で、人的資源の実態把握と分析が必要になってきます。
昨年、2024年度から2026年度にかけての中期経営計画を公表し、その中で現場のマネージャーから経営層まで、リアルタイムに人材の情報把握が必要となるようなHR戦略を策定しました。
その実行部隊となるのが、各拠点と各事業部門に配置しているHRBPのメンバーです。事業部のHR戦略を進める上で、タレントパレットを用いて実態把握と課題抽出を行い、事業成長のためには、さらに何が必要かを探索しながら人事施策を実行していくことが重要になっていきます。
我々のHR戦略の大きな柱の一つに、次世代経営人材の育成があります。次世代経営人材として選抜した対象者がどんな人材かを把握するにあたって、HRデータを用いその人をどう表現出来るかを検討しています。例えば、社員のこれまでの経歴やスキルを自動的にサマライズして資料1枚で提供できないかと考えていました。
そこで、試験的に生成AIを用いて社員の経歴データを要約させたところ、非常にうまくまとめてくれて将来的な実用の可能性を感じましたし、その後にタレントパレットに生成AIを使った自己紹介文生成の機能が搭載されたので近い考えだなと感じました。
今後は、従来のHR担当者が行っていたような定量的データによる人材の把握は生成AIを活用しつつ、事業部にはHRBPがいますので、そこで得た情報と合わせることで、より解像度の高い人材把握が可能になっていくと思います。
まだまだ検討段階ではありますが、次世代の役員や部長の候補をどう定義し、発掘し、育成するのか、データを活用した人材育成に取り組んでいきたいと思います。
HR戦略を進める上で、人材データの可視化や分析の重要性がますます高まっています。全社施策を担う本社のHR部門や、各事業部門に配置されたHRBP、事業部門のラインマネージャーなど、さまざまなメンバーが人材データを扱っています。タレントパレットを利用することで、現場は容易に人材情報にアクセスでき、目指すHR戦略の推進に役立てております。
また、タレントパレットは社会のニーズに応じて、新しい機能が追加されてきており、当社も「スキル」や「ポジション管理」といった機能の活用を検討しています。導入にあたっては、プラスアルファ・コンサルティングのサポートチームの支援も期待しております。
「2024事業計画」の実現と、さらにその先の未来をともにつくるためのHR戦略を「HR Innovation 2030」として策定しました。その中でHR部門としては、事業成果の最大化に貢献することをミッションとし、だれもがいきいきとやりがいを持って働けるよう、様々な取り組みを進めていきます。
それらの実現にむけて、タレントパレットに期待しています。例えば生成AIを使った機能で、我々がやりたいことが実現できれば、HR戦略の推進にもつながります。お互いに協力し、良い取り組みをしていきたいと思っています。
人事の「今」と経営の「未来」を変える、
タレントマネジメントシステムです。