スキルマップを構築し、
社員を見える化・分析することで戦略的な人材育成を推進
課題:人材育成/スキルの可視化/人材の見える化
課題:人材育成/スキルの可視化/人材の見える化
業種IT・システム社員数2,330名
そもそも人材育成施策のきっかけには、外部課題と内部課題の2種類があると考えており、まず外部課題としては、昨今の社会情勢の傾向でもありますが、社会全体のIT人材の不足や、世の中の事業成長に伴って商材や技術の多様化および案件が複雑化していることがあります。
それに対して内部課題は、社内に全く異なる事業スタイルがある状況で全社共通のスキル体系や評価制度を作ることに限界があったことや、マネージャーの役割がサイロ化していったことによって、会社全体での目線を失っていき、育成にも弊害が生まれていたことがあげられます。
これを受けて、「社員一人ひとりがモチベーション高くしっかりと自己成長を遂げながら、それが会社全体の事業成長に繋がる構造」をしっかりと継続し、さらに強化するための人材育成施策をしたいと考え、スタートしました。
そこから5年が経ち、システム刷新のタイミングでタレントパレットを導入しました。
システム刷新の理由は2つあります。
1つは、各メンバーのスキルの可視化や育成施策のベースにしていた、スキルマップや体系自体が古くなってきたこと。もう1つは、スキルマップから育成施策への連携が弱かったことです。そこで、施策にちゃんと繋げるという観点を持ちつつ、スキルマップ自体をリニューアルしていくことになりました。
さらに、マネージャー・各メンバーの育成活動や自己研鑽活動を促す取り組みの部分も旧システムでは複雑で活用しづらかったという側面もあります。
これらを理由に、マネジメント強化施策を再設計すること、スキルマップをリニューアルすること、機能が充実したクラウドサービスを活用すること、この3つの方針を採ることになりました。
※検討当時(2020年6月)の比較
その中でタレントパレットを選んだ理由は、きちんと分析機能が備わっていることをベースに、クラウドでありながらも他システムとデータ連携ができること、新機能が順次リリースされているという点です。便利な新機能が追加されていき、段階的に活用シーンを拡げていこうと考えました。
続いて実際の導入についてですが、まず人事システムや勤怠などとのサービス連携をしています。また適性検査のデータや、各メンバーの技術テストの結果データをタレントパレット上に取り込んで見える化し、データを見ながら人事育成施策を打てるような状態をつくっています。
具体的な流れとしては、メンバーは我々が作ったスキルマップに応じたアセスメント、もしくは外部の知識テストを受講します。この内容をデータとして取り込み、メンバー・マネージャーが分析。なおマネージャーはメンバー各個人のデータだけでなく、組織全体やユニット全体の傾向も見られるようにしています。
また、スキルマップの定義内容自体をタレントパレットに全て反映しています。たとえばメンバーがアセスメントを受講することで、「人に教えるぐらいのレベルで仕事ができるか」「もしくは全くできないか」など4~5段階の評価が下されるようになっています。さらに今年の課題を本人と上司がそれぞれ設定し、アセスメントとして集約する仕組みにしました。
アセスメントを受けた後で、各メンバーが「自分自身は会社全体の中で見たらどうか」もしくは「自分自身の評価に対して上司の評価はどうなのか」など各領域でのレベルをレーダーチャートで見られるようにしています。
合わせて、上司は自部門のメンバーがスキルと年齢、スキルと人事グレードの分布図においてどこに位置しているか、会社全体と比較するとどうかを見ることも可能です。
今後の展開としては分析や可視化を目的にするのではなく、きちんと施策につなげることをより強化していきたいと思っています。
言い換えると、課題を見える化した上で目標設定スキームを年間サイクルでしっかり回すことですね。明確になった課題に応じてメンバーと上司が目標設定を立て、半期ごとにメンバーのスキルが上がっているかをチェックします。上司は適切な機会をアサインできているかを振り返りつつサイクルを回していくことが大切かなと思います。
加えて検討中の施策が2点あります。
1つ目は評価補正情報の展開。これは年に1回、等級を決める最終評価の際、上司目線の評価だけでなくグレードや他メンバーと比較した場合の活躍度をもとに「本当にその評価でよいのか?」と考えてもらう段階を設けるというものです。
2つ目はマネージャー育成計画です。これは定義モデルやスキルモデルで可視化されたデータを踏まえての、施策アクションを行おうと設計している段階です。
検討中の内容もお話ししましたが、導入した施策によって各社員がキャリアの方向性や選択肢を明確にできるような効果があったと考えています。また、マネージャー側に対しては、課題意識の醸成やつくり上げたデータをもとに適正な評価をする会社視点が養われてきたように思います。
会社組織としては、事業計画に紐づいて「何年後にどういったレベルの人材がどれぐらい必要か」を組み込んだ人材育成・採用ができるようになりました。今後はタレントパレットの中に育成シートのようなものを実装し、そのフィードバックを蓄積していこうと思っています。
さらに、こうした動きを全社展開していくこと、個々人に対して学びの機会をレコメンドしていくこと、会社の戦略に合わせた新たなスキルセットや職種などを、順次拡充していきたいですね。
タレントマネジメントシステムの導入を検討している企業へのアドバイスや、スキルマップの作成に関するTIPSについて伺いました。
弊社では、IPAのiコンピテンシーディクショナリをベースにつくらせていただきました。そもそも外部の知見を採用するかどうかは悩んだ点でもあったのですが、今後長期的に使っていくとの観点からベースになるものは外部の定義モデルを使い、そこに自社の事業特徴を反映してつくっていきたいと思ったんです。
外部の知見も借りながら、技術職と営業職に向けたタスクモデルを作成しました。現時点ではまだまだ充分なレベルに達していませんが、まずはベースが出来上がったので今後もこれを最適化し続けていくつもりです。
ITのスキル診断をするテスト、適性検査のデータ、性格診断などを全部取り込んで一元管理でき、さらにそれらをクロスで見られるようになったことですかね。まだ試行錯誤しているところではありますが、全てのデータをまとめ、それでいてチャートを表現していけそうなのでそこはすごく高価値かなと思います。分析結果のチャートのバリエーションが多いのは助かりますね。
今、弊社以外に2~3社のグループ会社がタレントパレットを導入しています。
ある程度内部共通化して運用できるようにと内部体制を整理しています。実際の取り組みは今後になりますが、一つベースができたので話を進めやすくなったのではないでしょうか。EXCELで同じことをやろうとすると、そのEXCELを管理している人しかメンテナンスできなくなってしまうことがありますよね。
業績÷時間=生産性という観点で見るのも1つの方法ではあります。ただ、業績はある程度部署によって決まってしまうのも事実です。そのため業績に依存する方法だけではあまり正しくないかなとも思っています。
では何で見るかというと、人事制度上で評価された結果の等級と、実際の労働時間を割り算してどれだけの時間帯でどういったパフォーマンスを出しているかを見ていくアクションをとっています。
それ以外には、新卒の各年次が今どれぐらいのポジションにいるかをピラミッドで見たり、新卒・中途は関係なしに年齢で切ってピラミッドを見たりする中で、いわゆる一番人が多いライン、もしくはIIJの社内として望ましいラインよりも上にいるかどうか。そういう見せ方をすることで、優秀層を見やすくするといったことにも取り組んでいます。
今回ご紹介させていただいたようなスキルマップの可視化や人材アセスメントの精度向上といった内容を実装したいのであれば、タレントパレットなら幅広く対応できるという手応えを感じています。また、機能の豊富さや分析の深さを重視するならおすすめですね。
人事の「今」と経営の「未来」を変える、
タレントマネジメントシステムです。