変化が激しい時代、
データを活用し「人」にフォーカスした経営で他大学との差別化を図る

課題:エンゲージメント向上、人材データ分析、人事評価の効率化

学校法人阪南大学

学校法人阪南大学
法人部企画課 課長補佐 谷垣 大輔 様

  • 学校法人阪南大学

  • 学校法人阪南大学

    業種学校法人職員数約60名

DX化が進み、働き方が多様になっているいま、学校法人でも人事部門の担う役割は大きく変容しています。大阪府の私立阪南大学ではその変化に対し、タレントマネジメントシステムを導入することで、課題解決に向けて動き出しています。遷り変わる社会で目指すべき人事、タレントマネジメントの活用方法についてお話しいただきました。

目次:

※インタビュー動画は音声が再生されます。


人事情報をDX化することで、他大学との差別化を図る

― タレントマネジメントシステムの導入を検討した背景を教えていただけますか。

本学ではもともと、各セクションの人事情報を人事部門で収集していました。管理にはExcelを使用していたので集計に時間がかかっており、情報量もほとんどとれていないことが課題としてあったのです。DX化によってこの課題を解消し、収集する内容・量を劇的に変えたい。情報量が増えることで、その情報をもとに人事に関する判断ができるようにしたいと思ったのが、導入を決めた理由です。

また、学校法人の特徴として一般企業と大きく異なる点は、業界内の順位変動が起こりにくく珍しい業界です。また、1年間の売り上げが4月1日の入学式で決まってしまうという経営的な特徴も学校法人ならでは。そのような中で他大学と差別化したいというのも、DX化に踏み切った理由の1つです。

― なるほど。その中において、「人・モノ・金」のなかで「人」にフォーカスしたのはなぜだったのでしょうか。

本学は学生が5000人規模の大学で、規模的には小規模から中規模にあたります。何万人も在籍している大学と比較すると、生徒数が違うので得られる学費の額も違います。人・モノ・金という経営資源の部分で戦っていくためには、人が生み出していく知恵や学生自身に対してどれだけ寄り添っていけるのかのサービスの部分を強化してゆくべきだと思ったのです。

タレントパレットの活用方法

― 導入後、どのようにタレントパレットをご活用されていますか?

大きく分けて、サーベイや目標管理、適性検査、組織診断、1on1などの機能を使用しております。

資料画像;

今回は特に良く効果を感じられた「Pulseサーベイ」「ESサーベイ」「MBO」「リーダーシップ分析(PM理論)」について、活用方法をご紹介します。

Pulseサーベイ

まずPulseサーベイは、職員のモチベーションの把握、異変の察知を目的に実施しています。モチベーションの低下者に対しては、1on1を実施しています。タレントパレット上で「定期アンケート」の設定をすると自動で毎月繰り返し展開されるのも助かっています。

資料画像①

Pulseサーベイの項目に対して、グラフを押すと回答者の一覧が出てくる「ドリルダウン機能」というものがあるのですが、こちらの機能を使うことで、その回答者のこれまでのコンディションを深堀りしていくことができるようになりました。この機能は他のタレントマネジメントシステムにはなかったので、導入の決め手の一つにもなりました。

資料画像②

これはPulseサーベイをクロス分析したものです。横軸を「楽しさ」、縦軸を「やりがい」とし、右下の「楽しさとやりがいが低い」にあてはまる職員に1on1を実施しています。

資料画像③

現在の業務に対する認識も自由記述で取得しています。取得した情報は、「テキストマイニング」による言語分析で、どんな内容の発言が多いかもチェックしています。この他に、セクションごとのコンディションも時系列で把握するようにしています。

ESサーベイ

ESサーベイは、eNPS℠(従業員エンゲージメント)を可視化して、組織の課題を発掘するために行っています。専任事務職員と常勤嘱託職員を対象に、例えば「就職活動をしている人に対して入社を勧めたいと思うかどうか」という設問に対して0から10の11段階評価でアンケートを行うなどして、エンゲージメントを可視化します。職員の労働環境、評価制度に関する質問はタレントパレットに初期から搭載されているので、そちらを活用しています。
※eNPS℠はベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの役務商標です。

MBO

本学ではドラッガーが開発したMBO目標管理制度を行なっています。これにより、組織全体の目標を部門の目標に落とし込むこと、部門の目標を個人の目標に落とし込むことが可能になっています。

資料画像④

タレントパレットでは上司からの評価をこのようなマトリックスで見ていくことができるので、評価結果の全体を確認するのに活用しています。評価ランキングも簡単に出すことができます。

リーダーシップ分析(PM理論)

リーダーシップは「P機能(Performance function:目標達成機能)」と「M機能(Maintenance function:集団維持機能)」で構成されるというPM理論。この理論では、リーダーシップはトレーニングによって身に着けることができると言われています。本学でもこれを人材分析に取り入れています。

PM理論では部下から評価を受けるほうが正しい数値が出るという結果が出ているので、360度評価を実施し、部下からの評価を反映しています。

資料画像⑤

このグラフから、例えば営業部隊である入試広報課にはパフォーマンス能力が高い方をアサインするという判断をすることができます。

収集した情報を、今後は人材採用と連携し活用していきたいと思っています。既存の職員の特性を理解し、ハイパフォーマーの人材が持つ共通要素と類似する要素を持つ人材を積極的に採用するなど、多方面に活用していきたいですね。

動画とサポートを活用し、たった3日でスムーズにデータ初期構築が完了

― 導入自体はスムーズに行えましたか?

サポートデスクで公開されている初期構築の操作動画を参考に行ったところ、すべての人事情報を私一人でタレントパレットに入れることができました。かかった日数は3日程度で、思っていたより簡単に人事データを入れられました。

また、他にもチャットサポートを活用しました。例えば「MBOの目標を入力する欄をもう少し大きくしたいです」とチャットで相談すると、すぐにご返信していただけましたね。TPラウンジなども利用し、Zoomで画面共有しながら教えていただいたこともありました。

サポート体制

― 導入後、社内でどのように展開していくかに迷われる企業も多いようですが、浸透させる上で配慮されたことはありましたか。

まずマネージャー層に対し、「部下のマネジメントがどれだけ大切か」という内容の研修を実施し、意識を上げた後にタレントパレットの導入をアナウンスしました。従来のExcelのほうが使い慣れている人は多いので、タレントマネジメントシステムの必要性を訴求するためにも、部下のマネジメントの大切さについてまずは認識してもらう、知見を高めてもらうところからスタートしました。

― 「適性検査の回答率が低い」ということに悩まれている企業も少なくありませんが、回答率を上げるために取り組まれていることはありますか。

タレントパレット内でTPI適性検査を受けると、自分の性格と似ている方を画面で見ることができるようにしています。また、自分の適性検査の結果画面をシェアできる設定にしており、それが面白いようで進んで回答してくれています。

マインド

選定ポイントはシステムの拡張性と柔軟性 適切なマネジメントで企業成長に貢献する

― タレントマネジメントシステム検討中の方に向けて、改めて選定のポイントをお伺いできますか。

システムの拡張性と柔軟性です。外部環境が大きく変わると、経営戦略も変わります。 経営戦略が変わると、職員から収集する情報も評価システムも配置システムも変えなければいけない。 そこが連動していないと、会社自体の持っている経営資源をフル活用できないと思うんです。もともと決まったフレームワークの中に情報を入れる形のシステムを選定すると、外部環境によって内部環境を変えていくのが難しいと感じます。

タレントパレットなら、データを入れる際に自分たちで自由に項目を作成することができます。そのように柔軟なシステムを選んでおかないと、導入後使い勝手が悪いと感じてしまうかもしれません。

評価シート

― ありがとうございます。今谷垣様は組織行動学を勉強されているとのことですが、今後どのように活かしていかれるのですか。

タレントパレットを活用して人事データを職員と共有していくことで、「適切なマネジメントをしてくれている」と職員の納得感を増幅させ、社員エンゲージメントの向上、さらには企業の成長にも貢献していけたらと思っています。
そのためにも人事領域や組織マネジメントの知見を高めていきたいので、まずは自分から取り組んでいきたいと思っています。