必要なスキルを明確にし、計画的に後継者育成をする

課題:人事評価の効率化、後継者育成、経営のエビデンス

綾羽株式会社
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    業種製造業、ホームセンター事業など社員数2,300名 (2022年7月時点)

1946年、絹人絹織物生産を主業務として設立、その後11のグループ法人を設立し、エンジニアリング事業、不動産事業、ホテル事業など多岐にわたる事業を展開している綾羽株式会社。

同社では、多岐・他拠点にまたがる人材に対する人事業務効率化、見える化のためにタレントパレットを導入いただいています。導入に至った背景や当時抱えていた課題、導入後の活用方法とそれによる変化について伺いました。

目次:

「科学的根拠」のない人事異動からの脱却

― タレントマネジメントシステム導入のきっかけについて教えてください。

西村様:実は10年前から「タレントマネジメントシステムを導入したい」という話はありました。当時の弊社の正社員は500〜600人ほど。そのため中途半端に顔が見えてしまい、「あの人いいよね」という属人的な価値観や科学的根拠のない人事異動が行われていたのです。しかし、その時はちょうど給与システムの導入タイミングで、検討の結果そちらを優先することに。タレントマネジメントシステムの導入には至りませんでした。

その数年後、各事業所の経営者が相次いで定年を迎え、人事異動を要する時期に「後継者がいない、少ない」という状況になりました。「後継者に必要なスキル・能力・経験を明確にし、計画的に育てていかないといけない」という課題が浮き彫りになり、目に見える形で現状が示せるタレントマネジメントシステムを導入しようという結論に至ったのです。

西村佳央 様

― 数あるサービスからタレントパレットを選んだ決め手は何だったのでしょうか。

西村様:機能が圧倒的に多かったからです。導入の段階ではまだ具体的な活用まではイメージできておらず、「後継者を育成をするために便利なツールを導入したい」というざっくりした希望しかなかったのですが、話を聞くうちに「将来的にこんなこともできるんじゃないか」と想像から「せっかくタレントマネジメントシステムを導入するのだったら、長く使えるものを導入したい」と思い、タレントパレットに決めました。

データをタレントパレットに集約することで各所の課題が解決

― タレントパレットの活用方法について教えてください。

西村様:まずは、評価運用。紙ベースで行っていた評価をタレントパレットに移行しました。もともとは拠点ごとに評価を紙の評価シートに記入し、郵送で提出してもらっていたのですが、「面談をしてシートに記入して提出」というところまで非常にタイトなスケジュールでした。タレントパレットに移行したことでスケジュールに余裕を持たせることができ、郵送費も削減できました。

評価の点数についても、かつてはExcelを元にデータを手作業で作成しており、変数や計算が違うなど細かな問題が発生していました。間違いを見つけて修正する、その工数を省けたのは大きなメリットだと感じています。

山本様:他には、アンケート機能。弊社には社員が抱えている不安を公私問わず記載する「自己申告書」というものがあります。例えば育児や介護のこと、心身の不調など、上司や職場に知っておいてほしいようなことを申告する制度があり、もともとは別のシステムで行っていました。

タレントパレットに置き換えたことで、全体の傾向を経営層や経営幹部に共有しやすくなりました。また、申告の中で出てくる頻出ワードをテキストマイニング機能を用いて確認することで、次のアクションも取りやすくなってきました。

導入前は「人事に相談したいか」というチェックボックスを設けて、チェックがついている重要なものについては人事が内容を確認していたのですが、そうでないものについては見落としてしまっていることもありました。タレントパレットに移行したことによって、見落としがなくなり、「最近どう?」という声かけなどタイムリーなアクションに繋げられるようになっています。

自己申告書

採用についても、今までは選考の終盤まで進んだ学生のぶんだけ履歴書から最低限の情報をExcelに手打ちで記録していました。今は採用サイトのデータをタレントパレットに連携することで簡単に集約できています。

他にも、今までの採用選考では一枚の面談シートを使い回していました。そのため、別の人が評価を記入した面談シートに自分も記載し、それを次の面接担当者に渡すというフローで、書き込み量は多く、足りない場合は面談シートを追加し、選考が終わる頃には書類だらけで管理が煩雑になっていました。
今ではタレントパレット上で応募書類などデータのアップロード、選考スケジュールの調整、面接結果を複数名で共有ができるので、非常に助かっています。応募書類や面接の記録などは個人情報の問題もあるので、必要なぶんだけデータで保持して適時破棄できるのも便利に感じています。

データ管理と面談シート

― 当初の目的だった「リーダー候補の育成に向けた施策」についてはいかがですか?

山本様:2018年度から「次世代のリーダー候補者をしっかりと育成していこう」と、3年間の教育プログラムを立ち上げました。これまでは適性検査や能力検査の数値データ、さまざまなスキルのアセスメントの結果が点在していたのですが、タレントパレットで対象者のアカウントの中に情報を取り込んでいくことで、その人のタイプや得意不得意、経験を一括で見ることができるようになりました。そこから、今後どのような経験をしてもらったらいいのか、何を教育していかなければならないのかということが見やすくなりました。

― 2018年から4年間取り組んできた時点での手応えはいかがですか。

山本様:まだ十分ではないですが、ダッシュボードを使いながら経営層に必要な情報をしっかりと見てもらえるようになりました。次のステップは「何の能力があったらより活躍できる人材になれるか」の分析だと思っているので、今後タレントパレットを活用しながらより効果的な育成につなげていきたいですね。

山本直樹 様

多拠点にまたがる事業や社員の「今とこれから」をタイムリーに共有できる

― グループ会社でタレントパレットをどのように活用されているのでしょうか。

山本様:これまでは他拠点とは基本的にメールや郵送でやりとりしていたので、報告された結果の理由まではあまり見えていなかったんです。例えば評価について、結果は報告されるのですが、その背景にある課題や立てられた目標を、タイムリーに人事や関係者が確認することはあまりできていませんでした。

タレントパレットでデータを登録することによって、「この事業所のこの社員は、今回こんな課題目標に取り組むんだな」とか、「こんな研修を受けたくて、こんなことを考えているんだな」といったことを、事業の垣根を超えてタイムリーに把握ができるようになったのは、大きなメリットになっています。

グループ人事

藤井様:グループ全体として、データの一元化はできたので、まさにこれから活用を進めていこうとしている段階です。
たとえば、弊社のグループ企業のアヤハエンジニアリングでは「力量評価表」というものがあり、それをタレントパレットのスキル機能で運用していこうとしています。従来はExcelで運用していたのですが、1人あたり1シート、または部署ごとに1シートという形で、Excelのページが複数枚存在し、管理が煩雑になってしまっていたので、タレントパレットのスキル機能を用いることで、プルダウン形式での目標評価項目の入力など、一つの画面で完結できるように進めています。

これによって叶うのは「時系列で見ること」。個人がどれだけの力量をもっているのか、ここ1〜 2年でどれだけ成長したのかが一目でわかるので、経営層が指導しやすい仕組みづくりが期待できます。

また、これまでは次世代のリーダー候補に過去の経験を棚卸ししてもらい、未経験の業務に挑戦してもらう取り組みをExcelで管理していたのですが、それをスキルシートに置き換えることで、変化をしっかり掴めるようになったと感じています。
今までは昇格や試験のタイミングで「点」で能力を見ていたのですが、スキルシートを活用することで特定の期間での成長の度合いや、速度などもわかるようになりました。

スキル表

西村様:こうしたデータ整備が進んだことで、半年に一度、各事業所の代表と人事が「今後進めていく事業」について会議を行う際に「各ポジションにどの社員をあてていくのか」を、タレントパレット上で社員データを見ながら話せています。
年齢で区切ったり、顔写真を見たりしながら検討できるので、適任の社員を見つけやすくなり、いない場合は中途採用を進める判断も取りやすくなりました。タレントパレットを用いることで今までできなかったことができるようになり、経営戦略にも活かせるようになっています。

科学的根拠にもとづいた人事戦略で、新しいものを生み出したい

― 導入サポート体制については、いかがでしょうか。

藤井様:サポートの種類が色々ありますが、普段は「ラウンジ」という予約せずに参加ができるWeb相談会に週1回、多いときだと2〜3回活用しています。1回あたり15分で気楽に参加して解決することができるので、疑問に思うことがあったら都度参加しています。

個別相談会には月に1回ぐらい参加をしていて、1回あたり1時間とラウンジ以上の時間を確保してくださるので、しっかりと要望を相談できるようになっています。ラウンジは操作方法などでわからない部分をスポットで解決するもの、個別相談会はもう少し深く相談したいものという形で使い分けているので、どちらも引き続き活用していきたいです。

藤井勇希 様

― 今後人材活用や人事戦略において、今後はどのようなことをしていきたいですか。

西村様:設立75年の会社ですが、将来に向けて新しいものを生み出すような、0から1を生み出せる人材を育てていきたいです。多種多様な人材が活躍できる組織にしていきたいと考えています。

人事についても、先入観を排除するために、可視化して、科学的根拠にもとづいて判断できるよう、タレントパレットをうまく活用できたらいいなと思っています。