ゆとり世代とは?特徴や面接・育成のポイント、さとり世代との違いを解説


ゆとり世代とは?特徴や面接・育成のポイント、さとり世代との違いを解説

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

人事の現場において、「ゆとり世代」という言葉を聞いたことがある担当者の方は多いのではないでしょうか。ゆとり世代とは、従来の暗記を中心とした詰め込み型の教育に代わって導入された「ゆとり教育」を受けた世代のことです。「競争心が低い」「メンタルが繊細」など、ネガティブな面に注目されるケースもあります。しかし、実際には特徴をうまく捉えることができれば、ゆとり世代の人材の人材の能力をこれまで以上に発揮させることもできるでしょう。

この記事では、ゆとり世代への特徴や面接・育成のポイントを解説します。「さとり世代」との違いもふれていくため、知識として覚えておきましょう。

ゆとり世代とは

ここでは、ゆとり世代の年齢や育った時代背景、ゆとり世代と呼ばれる理由となった「ゆとり教育」について解説します。

年齢と時代背景

ゆとり世代は、国が2002〜2010年度まで実施したゆとり教育を受けた世代のことです。1987年4月2日〜2004年4月1日生まれの人がゆとり世代に該当します。ゆとり教育へシフトした理由は次のような流れです。

1.ゆとり教育以前における日本の教育の主流は、暗記中心の詰め込み学習だった

2.そして、受験に成功し、より高いランクの大学に入ることが目的となり、競争が激化した

3.知識を詰め込むだけの学習では覚えたことを活かす応用力を養うことが難しく、行政への批判が高まった

方針転換が求められる中で、生徒たちに「ゆとり」を持たせ、多様な価値観や考え方を尊重する教育として、ゆとり教育が生まれたといえます。

「ゆとり教育」とは

詰め込み学習のデメリットは、時間と心の余裕が失われ考える力が弱まり、社会性や自立心の低くなってしまう点です。その対策としてゆとり教育が進められました。

具体的には、週5日制を前提に2002〜2010年度にかけて実施された学習指導要領を基に、週2単位の授業時間が削減され、年間にすると70単位時間の削減が実施されています。

また、学校ごとに工夫した特色ある教育活動を展開する「総合的な学習の時間」の創設や道徳教育の拡充も進められました。ボランティア体験や自然体験などの体験活動が充実した点はメリットといえるでしょう。

一方で、授業時間の短縮によって、学力の低下が問題となり、ゆとり教育は批判を受けます。そのため、2011年度からの学習指導要領では、学習内容が増え、「脱ゆとり」への転換が図られることになりました。

さとり世代との違いは

ゆとり世代と似た言葉に「さとり世代」がありますが、意味は全くことなります。さとり世代とは、高い目標を掲げることがなく、現実的で欲もなく、まるで「悟っている」かのような考え方をする世代を指す言葉です。2013年の流行語大賞にノミネートされ、時代の特徴を表す世代として認識されました。

さとり世代の場合は、年代を示す明確な定義はありませんが、おおむね1996〜2005年ごろに生まれた世代を指すと想定されます。ゆとり世代後期と重なる年代です。

さとり世代は子ども時代に、リーマンショック(2008年)や東日本大震災と福島第1原発事故(2011年)といった個人の力ではどうすることもできない社会を揺るがす事態に遭遇しています。

経済の不安定さや自然災害の恐ろしさを示す出来事は、成長期の心に深く刻まれ、、保守的な考え方やモノより心の豊かさを重視する価値観が定着したと考えられているのです。

ゆとり世代の特徴と傾向



ここでは、ゆとり世代の特徴と傾向をみていきましょう。例を挙げると、真面目で素直に指示を聞き、高いITリテラシーを持つ人材が多いといえます。企業としてもそういった特徴をふまえて人材育成を行っていく必要があるといえるでしょう。

ゆとり世代の良い面

まずは、ゆとり世代の良い面を見ていきましょう。管理者や人事担当者として、人材育成を行なう場合は特徴を把握しつつ、接していくことが大切です。

真面目で素直

ゆとり世代は、真面目で素直な面があります。詰め込み教育の影響を受けた世代と異なり、伸び伸びできる環境の下、心に余裕がある中で教育を受けられました。このため、指示やアドバイスに対して過度に反発することなく、素直に受け入れる姿勢が身についたと考えられます。

経験が浅い人材に対しては、素直さに合わせてわかりやすい指示を行ない、真面目に業務をこなすことで成長の加速が期待できるでしょう。

合理的に考えられる

合理的な思考もゆとり世代の特徴です。自ら学び、考える能力や生きる力を養う教育が重視された結果、慣例や文化に縛られずに合理的な視点で物事を捉え、判断する能力が育まれました。

職場の前例や古い考えに縛られず、自分の思考や判断に基づいて物事を進める傾向があります。矛盾を感じる事柄に対して違和感を抱きやすい面があることから、企画や新しい視点、商品づくりなどアイデアを生み出す上で有益な個性となるでしょう。

ITリテラシーが高い

ゆとり世代の場合、既にPCとインターネットが普及していたことから、ITリテラシーが高い点も傾向の一つといえます。携帯やスマホも子どもの頃から存在していた世代であるため、オンラインでの情報収集や交流に対する抵抗感はほとんどありません。

デジタル端末や専用ソフトなどを使った事務処理能力に長け、職場での新しいIT技術やツールの導入にも柔軟に対応できるでしょう。

ゆとり世代のネガティブな面

ここでは、ゆとり世代のネガティブな面についてふれていきましょう。とくに、メンタルで消極的な面が見られた場合は、1対1のコミュニケーションを多くするなどのサポートも大切です。

競争心が小さく消極的

ゆとり世代は、競争心が小さく、消極的な傾向の人材が多いといえます。ゆとり教育は、子ども同士を競わせるよりも、個性を伸ばすことが重視されたため、消極的な傾向が見られるようになったと考えられます。

一方で、社会人になった場合には、会社の利益を追求する必要に迫られることが一般的です。より利益をもたらした人材が評価される競争を前提とした環境に遭遇し、とまどうケースも多い点は知っておきましょう。

繊細なメンタル

ゆとり世代の特徴として、メンタルが繊細で、強い言葉や叱責への耐性が低いことも挙げられます。ゆとり教育は、自ら学び、考える力を養うことを目的としたため、強制されたり叱られたりする場面が少なかったためです。

また、社会人の立場からすれば、上司や同僚などから苦言や批判的な指摘を受けた場合、自分自身に対する否定と受け止め、気持ちが落ちやすい傾向があります。教育やマネジメントを行なう側として、特徴を理解した上でコミュニケーションを図る必要があるでしょう。

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ゆとり世代が求める働き方

ここでは、ゆとり世代が求める働き方を解説します。若手として職場を支えるゆとり世代に力を発揮してもらうために、その考え方を理解して働く環境を整えることが重要です。

ワークライフバランスを保てる

ゆとり世代は、競争心が低く合理的な考え方を持っています。仕事だけに多くの時間を使う傾向はなく、仕事とプライベートのバランスを図るワークライフバランスを重視するといえるでしょう。

ユーキャンが2021年に10~50代の591名に行った「(世代別)働き方と学び方に関する意識調査」では、「仕事をしていく上で大切な価値観」について、ゆとり世代の35.6%が「プライベートを大切にできること」を選びました。1970〜1980年代半ばに生まれた氷河期世代の29.6%と比較すると、ゆとり世代の方がプライベートを重視する意識が高いことがわかります。

関心のある仕事ができる

自分が関心のある仕事ができるかどうかもゆとり世代が求める働き方の一つです。個性を重視し、自らの考えを尊重する環境で育ったゆとり世代は、会社の将来性より、自らの能力や個性を活かせる職場や楽しみを見いだせる仕事を優先する傾向があります。

日本生産性本部の「平成31年度 新入社員『働くことの意識』調査結果」によれば、会社を選ぶ際に重視する点のトップは「能力・個性が生かせる」で29.6%でした。次いで「仕事が面白いから」という回答が18.4%となっています。

一方で「会社の将来性」は10%に満たない結果でした。「会社の将来性」は平成初期まで20%前後で推移し、「能力・個性が生かせる」に次ぎ2番目だったことを考えると、ゆとり世代は、会社そのものより自分の関心で仕事を選ぶ傾向が強まっていると想定されます。

時間や場所を選ばない

ゆとり世代は、ITリテラシーが高く、合理的な考え方も持っています。そのため、従来の働き方に縛られず、時間や場所に制約されない柔軟な働き方を好む傾向があるといえるでしょう。

総務省の「令和3年版情報通信白書」によると、テレワークの実施を求める割合は、20代で48%、30代で55%と非常に高い結果でした。いずれも30%台だった40代、50代、60代と比較すると違いが明らかといえます。

ゆとり世代と面接する際のポイント



ゆとり世代と面接する場合は、相手が話しやすく、素を引き出せるような雰囲気作りが特に重要です。では、そのポイントをもう少し詳しくみていきましょう。

リラックスできる雰囲気をつくる

ゆとり世代は、ほかの世代からネガティブな面を指摘されることが多く、面接時に自分の良さを発揮できない可能性があります。会社として、リラックスできる雰囲気を作り、安心して自分を表現できる環境を整えることが重要です。

ただし、相手を過度に緊張させるような質問や相手を試すような姿勢は、圧迫面接と受け取られかねません。適切な対応をできなくしてしまった場合は、本来の能力を見抜く機会を失うリスクもあります。

価値観を尊重する

価値観を尊重することも、ゆとり世代と面接する際に重要です。ゆとり世代は、多様な価値観や独自の考えを持つ一方で、繊細なメンタルを持つ傾向の人材が多いといえます。面接の場で自分の考えや意見を強く否定されると、委縮してしまうこともあるでしょう。

本来の力を十分に発揮できず、優秀な人材を見逃してしまう可能性もあります。そのため、採用担当者は、相手の意見や考えを尊重する姿勢を持つ・事前にゆとり世代の傾向について学んでおくことが重要です。価値観を尊重できる企業として、採用の過程でに好印象を残すことも可能でしょう。

世代で一括りにしない

「ゆとり世代だからきっとこうに違いない」など、世代で一括りにするような考えは改めましょう。面接の場においても、そういった趣旨の発言は控えることを推奨します。採用担当として、様々な価値観を受け止める・しっかりと見極めるといった意識が大切です。

ゆとり教育自体は国の教育方針として、子どもたちの考える力や生きる力を伸ばそうと導入されたものです。そのため、一括りにして単純なレッテルや先入観で会話に持ち出すことは、会社側の理解の浅さを露呈する結果となる可能性もあります。候補者の入社に対する意欲が低下する要因にもなるでしょう。

ゆとり世代の育成方法

ここでは、ゆとり世代の効果的な育成方法を解説します。真面目かつ合理的で、高いITスキルを持つ人材が多いことから、成長すれば大きな戦力になるでしょう。

褒めて伸ばす

ゆとり世代の育成方法でポイントとなるのは、褒めて伸ばすことです。ゆとり世代は、繊細な面が強く、強い言葉に対してマイナスの影響を受けやすいといえます。厳しい指導を受けるとストレスになり、意欲を失うことにもなりかねないため、前向きな姿勢から評価しましょう。

成果に至るまでのプロセスを適切に評価し、良い結果は称賛することが大切です。そのうえで、前向きなフィードバックを行なうことにより自信が芽生え、ポジティブに仕事に取り組んでくれるでしょう。

指示は明確に

指示を明確かつ具体的に出す点もゆとり世代を育成するポイントです。ゆとり世代には、物事を合理的に考える思考が根付いています。ぼんやりとした内容の指示では、理解してもらえない可能性があると意識しましょう。

たとえば、次のような伝え方ができれば特に問題はありません。

・何を、いつまでに、どのような手法や手順で達成するか
・業務の背後にある狙いや意義はどのようなものか
・どのような結果を期待しているか
指示を論理的に伝えることで真面目で素直な傾向がある世代の良い点を活かすことが可能となります。

コミュニケーションをしっかりとる

ゆとり世代は、消極的な面が指摘されるケースもあります。自信が持てず、自分が行っている仕事の進め方が適切なのかどうか、自ら判断できないことも多いでしょう。

マネジメントを行なう場合は、消極的な相手に対して、日常的にコミュニケーションをとり、指導する側の考えを伝えていくことが重要です。業務面で定期的にフィードバックを行なえば、仕事の進め方について安心感を与えることができるでしょう。

距離感を保つ

ゆとり世代を育成するうえで注意しなければならない点は距離感を保つことです。ゆとり教育を受けた世代は、ワークライフバランスを重視しています。業務外のプライベートな時間は、自己成長やリフレッシュ、家族や友人との時間を過ごすための大切なものです。

仕事上で積極的に関わることは必要であるものの、コミュニケーションを重視しすぎてプライベートにまで踏み込むのは避けましょう。

まとめ

2002年度に導入されたゆとり教育を受けてきたゆとり世代は、現在は20〜30代の社会人として活躍しています。企業の業績向上には、真面目かつ合理的で、高いITスキルを持つゆとり世代を適切に育成していく意識が欠かせません。

今後の会社を背負う主要な人材となると考えられるため、経営陣や教育担当者も考え方の特徴や傾向を正しく理解することが重要です。

また、ゆとり世代も含めて、組織内の人材育成を効率的に行なう場合、年代や能力に応じた適切な指導が必要になります。あらゆる人材データを一元化して分析できる「タレントパレット」なら、次世代人材の育成や離職防止など、効果的な人事政策が実行可能です。

年代ごとの平均的な能力状況を把握することで従業員の状況に合わせた教育計画を立案できるタレントパレットを、ぜひご検討ください。

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