ワールドカフェとは?開催の目的や効果、押さえるべきポイントを解説


ワールドカフェとは?開催の目的や効果、押さえるべきポイントを解説

ワールドカフェとは、カフェのような空間で自由に意見を交換できる場です。会議と比べてリラックスした雰囲気で発言できるため、新たな視点や気づき、おもしろい発想などが生まれやすくなります。本記事では、ワールドカフェの意味や目的、開催するにあたってのポイントについて解説します。自社に新しい考え方を取り入れたいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。


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ワールドカフェとは?

ワールドカフェとはどのような意味の用語なのでしょうか。まずは、ワールドカフェの概要について解説します。


ワールドカフェの意味

ワールドカフェとは、カフェのようにリラックスした空間で対話を行う、会議の手法の1つです。4~5人程度の少人数でテーブルを囲んで自由に意見を交わし、一定時間ごとにメンバーを入れ替えます。少人数で意見交換を行うことで、年齢や地位にとらわれることなく、誰もが自由に発言できる活発な交流の促進が可能です。


ワールドカフェの由来

ワールドカフェは、1995年にアメリカで開発・提唱されました。カフェのように対話を行うことで多くのアイデアや洞察が生まれたことから、ワールドカフェと呼ばれています。議論や日常会話とは異なり、互いの価値観を伝え合う自然な対話を生み出せるワールドカフェは、主体性や創造性を高める効果も期待できるでしょう。


ワールドカフェの目的

ワールドカフェを行う目的は、会議のように結論を出すことではありません。参加者が自由な意見を言い合うことで、互いの考え方への理解を深めたり、知識を深めたりすることが目的です。また、ワールドカフェでは、これまで想像もしなかった気づきを得ることもできます。途中でメンバー交換をする形式を取れば、より多くの考え方に触れられるでしょう。


ワークショップとの違い

ワールドカフェでは、「対話のみを行う」という点においてワークショップとは異なります。ワークショップは、司会・進行役が与えたテーマについて、話し合いや共同作業が行われるものです。一方、ワールドカフェには司会役は存在せず、何かを作り上げる作業もありません。


ワールドカフェの効果

ワールドカフェにはさまざまな効果があります。以下で主な4つの効果を解説します。


自由な意見を引き出せる

ワールドカフェは、リラックスした雰囲気であることから、参加者の率直な意見を引き出しやすくなります。一般的な会議は張り詰めた空気感で行われるため、緊張して発言しにくいこともあるでしょう。ワールドカフェは、少人数で対話を行うため参加者が緊張しづらく、活発に発言できることもメリットです。


相互理解を深められる

ワールドカフェは、参加者同士で理解を深め合える効果もあります。ワールドカフェにおける対話は、勝ち負けや結論を導き出すものではなく、互いの考えや価値観を話し合うものです。参加者同士で共通点や共感できる点が見つかれば、信頼の構築にもつながるでしょう。社内でワールドカフェを行う場合、部署間の交流の場としても効果を発揮します。


新たなつながりが生まれる

ワールドカフェは、心理的な距離が近くなりやすいのもメリットの1つです。議論とは異なり、発言した内容に対して反論や批判をされることがないことから、親近感がわきやすい環境といえるでしょう。また、率直な意見を言い合うことで、共感しあえる仲間が増え、新たなつながりも形成されやすくなります。


開催準備の負担が少ない

ワールドカフェでは、事前に詳細なテーマを決めたり、資料を用意したりする必要がありません。会議やプレゼンのように、開催準備に手間や時間をかけなくて済むこともメリットといえるでしょう。ワールドカフェは、事前のアナウンスと参加者の積極的な発言さえあれば成り立ちます。


ワールドカフェの課題

ワールドカフェの課題についても知っておきましょう。ワールドカフェを開催する際の参考にしてください。


結論につながらない

ワールドカフェは自由な意見を交換することが目的であるため、結論を導き出したり、課題を解決したりしたい場合には向いていません。具体的な課題やテーマについて結論を導き出したい場合は、ワールドカフェでなく一般的な会議の方が適切です。ワールドカフェは、あくまで意見やアイデアを出し合う場として活用しましょう。


テーマから脱線しやすい

ワールドカフェはくつろぎながら意見を交わす場であることから、テーマとは関係のない雑談に移行しやすい側面があります。また、テーマが曖昧になってしまい、途中から何を話せばよいか困ってしまうこともあるでしょう。脱線を防ぐためには、グループ内でホストを決め、さりげなく対話が脱線しないよう誘導することも必要です。


ワールドカフェの流れ

実際にワールドカフェを導入する場合、どのように進めるとよいのでしょうか。ワールドカフェを開催する際の流れを解説します。


開催準備をしておく

まずは、ワールドカフェを開催する具体的な目的や、参加者が話しやすいテーマについて検討しましょう。テーマが決定したら、ワールドカフェを開催する場所としてふさわしい、リラックスできる会場を手配します。


会場を選ぶ際は、会場の規模と参加者の人数を考慮しながら選ぶことが大切です。会場セッティングでは、1つのテーブルにつき4~5人となるよう、椅子を配置します。飲み物や軽食などを用意しておくと、よりカフェのような雰囲気を演出できるでしょう。


目的・ルールを共有する

次に、開催の目的とルールを参加者に共有します。目的の一例としては、互いの理解を深めることや、チームの信頼関係を築くことなどが挙げられるでしょう。また、自由に意見交換ができる場であることや、結論を出さずに対話を楽しむという趣旨であることを、参加者に周知しておくことも大切です。


参加者が自由に発言するためには、事前に以下のようなルールも設定しておきましょう。


・参加者同士で対話を楽しむこと

・他人の意見を否定しないこと

・テーマを意識した発言をすること


テーマについて話し合う

ワールドカフェ当日は、まずテーブルごとにテーマについて話し合います。参加者同士が初対面の場合は、緊張をほぐすため、対話の前にアイスブレイクを取り入れるとよいでしょう。自己紹介や参加者全員でできるゲームなどを行うことで、和やかな空気作りに役立ちます。自己紹介では、プライベートな内容を含めるとより打ち解けやすくなるでしょう。


テーブルを移動する

一定の時間が経過したら、各テーブルに1人ずつホスト役を残し、その他のメンバーは全員席替えをします。ワールドカフェでは、少人数で話しやすい環境を作りつつ、テーブルを移動することで、より多くのアイデアや意見を共有することが可能です。移動したメンバーは、前のテーブルで出たアイデアを次のテーブルで紹介し、新たに話し合いを進めていきましょう。


初めのグループに戻り情報を共有する

席替えによる対話が終わったら、初めのグループに戻り、新たに持ち帰った意見をもとにさらに話し合いを深めていきます。他のテーブルで出た意見をそれぞれの参加者が参考にし、再度意見交換をすることで、より思考が深まった状態で対話を行えるでしょう。他のテーブルで出た意見を否定したり、評価したりすることは避けてください。


全体で意見を共有する

対話が終わったら、テーブルごとに出たアイデアや意見を発表し、全体に共有します。単に意見を共有するだけでなく、気づいたことや、他のメンバーに伝えたいことも踏まえて発表することがポイントです。結論を出そうとしたり、考え方に優劣をつけたりするのではなく、あくまで自由に話し合う、という前提を大事にしながらまとめていきましょう。


ワールドカフェのテーマの決め方

ワールドカフェにおけるテーマを決める際に重要なポイントを3つ解説します。


オープンな問いである

オープンな問いとは、イエスかノーで答えられない問いです。たとえば、「自社の福利厚生は充実しているか」ではなく、「自社の福利厚生を充実させるためにはどうしたらよいか」などが、挙げられます。


また、「なぜ」から始まる問いにすることも、さまざまな意見を引き出すためのポイントです。二者択一なテーマでは、答えが出た時点で対話が終了しやすいため、オープンな問いを設定することを心がけましょう。


ポジティブな問いである

ワールドカフェでは、未来のためになるポジティブな問いを設定します。テーマがネガティブであると、マイナスな感情や批判など、過去のことに目が向きやすくなるからです。


ポジティブな問いにするためには、「福利厚生の問題点は何か」よりも、「福利厚生を改善するためには何が必要か」といった問いにしましょう。ポイントは、未来をよくするための対話となるようイメージすることです。


力強い問いである

ワールドカフェでは、参加者全員が当事者意識を持ち、積極的に発言することが求められます。自ら考え、アイデアを出すためには、力強い問いであることも成功のもととなるでしょう。力強い問いにするためのポイントは、以下のとおりです。


・シンプルかつ明確であること

・これまでの思い込みや先入観に気づけること

・新たな発想を促すこと


ワールドカフェ開催のポイント

テーマや目的に合ったワールドカフェを開催する際に、心がけたいポイントについて詳しく解説します。


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話し合いしやすいテーブルにする

ワールドカフェでは、1つのテーブルが4~5人程度となるように参加者を配置しましょう。テーブルに季節の花やテーブルクロス、飲み物や軽食などがあると、カフェのようなリラックスした空間が作れます。その他、意見をまとめる際に使う模造紙やカラーペン、付箋などがあると便利です。


模造紙を活用する

話し合いのなかで出た意見をまとめる際は、模造紙が役立ちます。模造紙に参加者から出た意見やアイデアをメモしたり、アイデアが出るまでの過程を記録したりすることで、メンバーが入れ替わった際にも新しいメンバーに説明しやすくなるでしょう。


模造紙に記録する際は、文字だけではなく、イラストや矢印などをカラーペンで書いておくと、よりわかりやすい記録となります。きれいに整理するのではなく、あくまで自由な発想を促すためのメモとして活用しましょう。


トーキングオブジェクトを準備する

トーキングオブジェクトとは、発言者が誰であるのかが一目でわかるよう、話している人が持つアイテムのことです。小さなぬいぐるみ・ボール・石・棒など、手で持てるサイズであれば、どのようなアイテムでも問題ありません。


トーキングオブジェクトがあることで、特定の参加者が長く話すことを防いだり、話し手と聞き手がそれぞれの役割を認識できたりする効果があります。話が終わった発言者は、トーキングオブジェクトをテーブルの中央に戻し、次の発言者につなげましょう。


進行役を置かない

ワールドカフェは、原則としてテーブルに全体を仕切る進行役は設定しません。進行役が存在すると、参加者の自主的かつ自由度の高い発言が制限されてしまいやすく、ワールドカフェの目的に合わなくなってしまうからです。ワールドカフェでは、あくまで自主性を重んじる姿勢を重視しましょう。


意見を無理にまとめない

対話によって出た意見を、無理にまとめないことも重要です。ワールドカフェを開催する際は、事前に参加者に結論を出す必要がないことを周知しておきましょう。結論を出すことを目的と勘違いしてしまうと、自由なアイデアが出にくくなります。自由な対話を通して、互いの価値観を知ることが、ワールドカフェの目的です。


ワールドカフェの実践例

ワールドカフェをどのように実践しているのか知りたい人もいるでしょう。ワールドカフェの実践例を3つ紹介します。


大手電機メーカーの例

某大手電機メーカーでは、多様な特性を持つ人々に対しての「やさしさ」を作る視点を学ぶために、ワールドカフェが開催されました。内容は障害のある人、性的マイノリティの人、認知症のある人などが求める社会や、自社に期待することなどについてです。対話によって得た新たな気づきは、商品開発のアイデアや考え方につながっています。


自治体の例1

某自治体では市民ボランティアを募り、市の魅力や未来に期待することなどについて対話を行いました。500人を超える国内最大級のワールドカフェとなり、多様な世代の人が集結しています。未来の自治体像については、「緑が増えている」「食糧の自給率100%」などの意見が飛び交いました。


自治体の例2

某自治体では、400名を超える職員が集まり、将来のまちづくりについて話し合うワールドカフェが開催されました。テーマは子育て、健康・福祉、地域交流、環境・インフラ、防犯・防災など多岐にわたります。模造紙に書き込まれたアイデアは、計画策定のために活用されているそうです。


まとめ

自社に新たな発想や気づきを生むためには、活発な意見交換が可能となるワールドカフェが有効です。ワールドカフェは、会議よりも気軽に発言できる特性があるため、より多くのアイデアが出やすくなります。開催にあたっては、あくまで自由な対話を促すことが目的であることを、参加者に共有しておくことが大切です。


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