仕事をするうえで、モチベーションを維持することは大切です。しかし、モチベーションを維持しつづけるのは難しいでしょう。この記事では、仕事に必要なモチベーションの意味や種類を解説し、仕事に対するモチベーションが下がる理由やモチベーションを上げる方法を紹介します。仕事に対して意欲がわかない方や社員のモチベーションを上げたいという方は参考にしてください。
仕事のモチベーションとは?
そもそも、仕事のモチベーションとはどのような意味や定義を持つのか、詳しく解説していきます。
モチベーションの意味とは?
モチベーションには「動機付け」という意味があります。動機とは、行動を起こす「原因」「きっかけ」「目的」です。動機が強いほど行動も強くなる傾向があります。
仕事におけるモチベーション
仕事におけるモチベーションとは、仕事に対する意欲ややる気を指します。仕事をする意味を持つこともモチベーションの1つです。さらに、モチベーションには2つの種類があります。それぞれの違いも解説します。
外発的動機付け
外発的動機付けとは、報酬や懲罰など外部から強制的にもたらされるモチベーションです。報酬・評価・評判・社会的認知・ステータスを目標とした動機付けや欲をはじめ、罰に対する刺激などを目的に行動を起こします。慣れや耐性が付いてしまうため、モチベーションの持続期間が短いことが特徴です。
内発的動機付け
内発的動機付けとは、人の内面から生まれるモチベーションです。仕事への興味・探求心・関心をきっかけに、やりがいや達成感を持って行動を起こします。高い集中力を発揮し、思いが強いほど目標に向けて行動を起こすので、モチベーションの持続期間が長いことが特徴です。
仕事にモチベーションが必要な理由
仕事には、なぜモチベーションが必要なのかと思う人も多いでしょう。ここでは、仕事にモチベーションが必要な4つの理由を解説します。
効率的な業務
モチベーションが高い人はやる気や意欲が高く、仕事に対する集中力も高い人が多いことが特徴です。仕事にかけるエネルギーが増えるため、効率的に業務が進みます。モチベーションが高い人が増えれば、組織全体の効率も上がるでしょう。
生産性の向上
モチベーションが高い人は主体性を持って積極的に仕事に取り組むため、目的や目標に応じて成果を生み出しやすくなることが特徴です。個々の生産性が向上すれば、組織全体の生産性の向上も期待できます。
チームワークの向上
モチベーションが高い人は仕事を成功に導くため、周りの人とも協力的に仕事が進められます。個々が協力し合い、チームワークが向上すれば、プロジェクトも成功しやすいでしょう。職場全体の雰囲気も良くなり、さらに円滑に業務が進められるようになります。
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ストレスの軽減
モチベーションが高い人は、仕事に対する達成感や充実感があるため、やりがいや楽しさを感じられます。仕事に対して意欲がない、やりがいが感じられない、充実感を得られないという人よりも、ストレスを感じることなく仕事に向えるでしょう。
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仕事へのモチベーション低下が企業にもたらす影響
社員が仕事に対してモチベーションを保てなくなると、企業に大きな影響をもたらします。仕事へのモチベーション低下が企業に与える3つの影響をチェックしてみましょう。
パフォーマンスの低下
個々のモチベーションが低い場合は、仕事に対する意欲が湧かず、小さなミスを見逃しやすくなったり確認不足になったりすることもあるでしょう。品質低下による顧客満足度や業績悪化などにも大きな影響を及ぼします。
離職希望者の増加
社内でモチベーションを保てなくなると、興味・関心を外に求めようとします。モチベーションの低下は離職につながる原因にもなるため、注意が必要です。本来は能力がある社員でも、力を発揮できないことに悩んでしまい、モチベーションが保てなくなるケースもあります。
社員のモチベーションが低下することは、優秀な人材が埋もれたり流出したりすることにつながるため、企業力の低下を招く原因になりかねません。
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職場の雰囲気の変化
社員それぞれのモチベーションが低下すると職場全体の士気が下がり、活気を失います。ちょっとしたことでも意見がぶつかるなど、チームや組織の雰囲気も悪くなるでしょう。質問しづらい、話しかけづらいなどの雰囲気が生まれるとコミュニケーションが取りづらくなり、仕事にも大きな影響を与えます。
仕事へのモチベーションが下がる理由
社員が仕事に対するモチベーションを保てなくなる原因には、以下のようにいくつかの理由があります。
仕事のやりがいや魅力
仕事のやりがいを感じられない魅力を見いだせないなど、仕事を楽しめない状況が続くと仕事へのモチベーションが低下する傾向があります。たとえば、単純作業の繰り返し、業務内容のマンネリ化、仕事内容に意義を感じないなどは原因になりやすいので注意が必要です。仕事にやりがいや魅力がなければ納得できないことが増えるため、やる気や意欲も上がりません。
収入面
仕事にやりがいがある場合や魅力を実感できていたとしても、社員が収入面で納得していないとモチベーションを維持できません。成果を上げても昇給しない、サービス残業が多い、労働時間が長いなどがモチベーション低下の原因になりやすく、なぜ収入が少ないのに続けるのかという疑問が生まれやすくなります。
目標設定
目標を持つことは重要な外発的動機付けです。ただし、高すぎる目標設定は「仕事ができない」「力不足だ」などのネガティブな感情を引き出しやすくなります。目標設定を行う際は、達成しやすい目標を立てるところから始めましょう。成功体験を積み重ねると達成感を味わうことができ、モチベーションも上がりやすくなります。
評価基準
評価・評判・地位・報酬などを得ることも重要な外発的動機付けです。仕事の頑張りや成果が評価され、正当な報酬を得るとモチベーションが上がります。反対に仕事への頑張りや成果が評価されない場合は、成果を出しても意味がないと感じてしまうこともあるでしょう。
明確な評価基準があり、正しく評価されると社員が意欲的に仕事にも取り組めるようになり、モチベーションもアップします。
身体的問題
やる気や目標があっても、ケガをしていたり体調が悪かったりする身体の問題がある場合は、モチベーションを保つことが難しくなります。健康面が不十分だと、仕事でモチベーションを持つという上層の欲求にまで考えが及びません。健康な身体があってこそ、モチベーションの維持や向上につながります。
人間関係
外発的動機付けが満たされていたりやりがいを感じていたりしても、人間関係が悪いと誰しも仕事が嫌になります。特にプロジェクト単位の仕事には、チームワークが欠かせません。反対に職場の人間関係がよければ、多少忙しくてもきつくても、仲間とともに頑張ろうと思える人は多いでしょう。人間関係を良好に保つことも仕事場におけるモチベーションを大きく左右します。
仕事のモチベーションが上がる年齢別の要因
モチベーションが上がる要因は、年代によって異なる傾向があります。それぞれの特徴を知り、年齢に見合ったアプローチをすることで、社員のモチベーションの維持やマネジメントがしやすくなるでしょう。
20代の仕事におけるモチベーション
20代の社員は、仕事を通じて評価されることで意欲を持てるようになります。例えば、未経験の仕事にチャレンジさせてもらう、行った業務に対して好評価をもらうなどはモチベーションアップに有効です。企業側は、若手社員が失敗を恐れずに挑戦できるような環境を構築することも必要になります。
30代の仕事におけるモチベーション
30代の社員は、責任ある仕事を任せられることで、自分の存在価値を見出す傾向があります。昇格・報酬などの外発的動機付けを与えると、よりモチベーションアップにつながるでしょう。
40代の仕事におけるモチベーション
40代の社員は、個人の評価だけではなく、チームの成長や評価に対するモチベーションが高まるようになります。チームの目標達成や部下の成長などの内発的動機付けが強くなるので、チームで活躍できる機会を与えるとモチベーションアップにつながるでしょう。
50代の仕事におけるモチベーション
50代の社員は、定年に向けて「何かをやり遂げたい」という願望が強くなる傾向があります。「やりきった」と感じられるような達成感を味わえる目標を持たせることが有効です。
個人で仕事のモチベーションを上げる方法
周りの人はやる気にあふれ、楽しそうに仕事をしているのに自分はできないと感じる人は多いでしょう。ここでは、個人で実践できる仕事のモチベーションアップの方法を解説します。
目標を設定する
目標を持ち達成感を味わうことで、モチベーションの維持や向上につながります。しかし、高すぎる目標は達成できないことで逆効果になってしまうこともあるので注意しましょう。小さな目標から始め、細かく目標を設定するとゴールが近くなり、意欲的に取り組めます。
成功体験が積み重なれば、モチベーションも高まっていくでしょう。目標を達成する癖がつくと、長期的・難易度的にもモチベーションを持ちながら取り組めるようになります。
自分のやりたいこと・できることを伝える
自分のやりたいことやできることが分からない場合は自信が持てません。まずは、自分の強みやできることを書き出してみましょう。可視化されることで、自分に自信が持てるようになります。
自分のやりたいことやできることが分かれば、チャレンジしたい仕事が見えるようになり、新たな目標を持って意欲的に仕事に取り組めるようになるでしょう。やりたいことやできることを上司や会社にアピールすることで、自分の力にマッチした仕事を任せてもらえるようになります。
スケジュールを見直す
時間に余裕がない人は、精神的にも肉体的にも疲労が溜まりやすく余裕が持てなくなります。忙しいと感じたときや心に余裕がないと感じたときは、スケジュールを見直すことも重要です。身体を休めたり、趣味の時間をつくったりしてリフレッシュを意識してみましょう。オンとオフの切り替えが上手になると、長期間モチベーションを維持しやすくなります。
体調を整える
体調が悪い場合は、仕事のモチベーションを維持したり向上したりする余裕が持てなくなります。質の高い睡眠や健康的な食事、適度な運動を心がけましょう。仕事の後にゆっくり身体を休ませられる環境づくりも大切です。リラックスできるような環境を整えて、心身ともにゆっくりすることを意識してみましょう。
考え方を変えてみる
仕事の悩みに対する解決策やヒントが得られる行動を取ってみることもおすすめです。自分の悩みに合わせた自己啓発本を読む、ビジネス書で知識を補充する、目標とする人や尊敬する人を見習って行動してみるなどもよいでしょう。普段と違う考えに触れることで、新たな価値観や考え方を得るきっかけにもなります。
仕事のモチベーションが上がるきっかけとして、次のような名言があるので参考にしてください。
仕事のモチベーションが上がる名言
何かを成し遂げた著名人の言葉は、モチベーションを上げるきっかけになることもあります。
・日本ビクター株式会社元副社長「高野鎮雄」氏:「迷いはやる気の証拠」
・元男子プロテニス選手「松岡修造」氏:「真剣だからこそ、ぶつかる壁がある」
・米IT大手CEO「マーク・ザッカーバーグ」氏:「偉大な成功は、失敗する自由から生まれる」
・マイクロソフト創業者「ビル・ゲイツ」氏:「自分のことを、この世の誰とも比べてはいけない。それは自分自身を侮辱する行為だ」
企業が社員の仕事に対するモチベーションを上げる方法
企業が社員の仕事に対するモチベーションを上げる方法として、以下のような施策が効果的です。
人事評価制度の整備
人事評価制度の整備や改善は、外発的動機付けを満たすことにもつながるため、モチベーションの向上に欠かせません。適切かつ公正な評価をもとに社員の承認欲求を満たすことができれば、モチベーションアップにつながる可能性があります。社員の努力や成果が適切に評価される人事評価制度を整備することが大切です。
人材配置
社員が自分の力を十分に発揮できるような人材配置は、モチベーションアップに有効です。社員は能力を発揮できることで高評価につながるため、業務の充実感や達成感が得やすくなるでしょう。社員は希望のキャリアを築くために、主体的に仕事に取り組めるようになります。適切な人材配置は、内発的動機付け・外発的動機付けのどちらにも有効です。
目標設定
社員が適切に目標設定できているかどうかを見極めることも重要です。社員の能力を踏まえ、適切な目標を設定する手助けをし、進捗を確認しましょう。社員が目標設定に悩んでいる場合は、上司やチームで協力して目標設定の手伝いをすることもおすすめです。現状を把握したり今後の目標を聞いたりするために、定期的に面談することもよいでしょう。
チャレンジしやすい環境
本人がやりたいと思う仕事や魅力を感じている仕事に対して、任せられる環境づくりをすることも大切です。特に若手社員は、未経験の仕事にチャレンジさせてもらうなど、仕事を通じて評価されることでモチベーションを持てるようになります。
社員がチャレンジしやすい環境を整えることで「やらされてる」という不満を減らすことも可能です。社内ベンチャー制度や社内コンペなど、新たなチャレンジできる環境を提供することもよいでしょう。
福利厚生の整備
福利厚生は、社員の満足感や充実感を得ることに役立ちます。定着率やエンゲージメント向上にも有効です。ただし、社員が望むような福利厚生を整えるにはコストがかかります。アンケートなどを活用して社員のニーズを把握し、社員の希望にマッチした福利厚生を提供することがおすすめです。
ワークライフバランスの整備
仕事と生活の調和を意味する「ワークライフバランス」を整備すると、仕事のオン・オフの切り替えがうまくできるようになります。有給の取得推進、在宅勤務、時短勤務、フレックス制度なども有効です。多様な働き方は、メンタルのコントロールに効果が期待でき、モチベーションを維持しながら仕事に取り組めるようになります。
仕事のモチベーションが全くない社員の対処法
社員のなかには、仕事のモチベーションが全くない人もいるでしょう。モチベーションがない社員に対する対処法を解説します。
目標の設定を見直す
目標のマンネリ化や目標の未達成が続くことでモチベーションを持てないケースがあります。モチベーションを持てるように新鮮な気持ちで新しい目標を設定することもおすすめです。目標を設定する際は、達成しやすい小さな目標から始めて、成功体験を積めるようにしましょう。個人の目標のみならず、チームやグループの目標も浸透させるとモチベーションを持ちやすくなります。
知識やスキルの習得
業務がマンネリ化していたり、成長を実感できていなかったりするとモチベーションを維持できません。社員の適性やキャリア志向に合わせたプランを提供することも大切です。自分の能力が磨かれる、希望のキャリアが見えてくるなどをきっかけに、主体的かつ意欲的に取り組めるようにもなります。さらに、社員が習得した知識やスキルを生かせる環境を提供することも大切です。
コミュニケーションの強化
人間関係が良好であることは、モチベーションの維持・向上につながります。よい人間関係を保つためにも、定期的に話す機会を設けてコミュニケーションを強化する環境を目指しましょう。社員自身に悩みがあるときやキャリアに行き詰まりを感じている場合は相談しやすくなります。
どうしても仕事のモチベーションが上がらないときの対処法
どのような方法を試しても仕事のモチベーションが上がらないというケースもあります。悩み過ぎると、さらにモチベーションを下げてしまうことにもなるので、以下のような考え方をすることもよいでしょう。
無理に上げなくても大丈夫だと割り切る
1年中高いモチベーションを持ち続けることは誰にとっても難しいでしょう。仕事にモチベーションが持てないとしても、自分のやるべき仕事をこなしていれば、気にしすぎる必要はありません。家族との時間や趣味など、本当にやりたいことに目を向けてみることもおすすめです。
思い切って仕事を休む
どうしてもモチベーションが上がらない場合は、いったん仕事から離れてみるのもよいでしょう。許されるタイミングで上司に許可を取り、仕事を休んでみると考え方や物事の捉え方に変化が起きることもあります。
転職を考える
考え方を変えてみたり仕事を休んだりしてみてもモチベーションが全く上がらない場合は、転職することも1つの手です。工夫してもモチベーションが上がらない原因は、職場環境が合っていないケースもあります。モチベーションを上げることに手間や時間をかけるよりも、自分に適した環境を探したほうが効率的です。
まとめ
仕事のモチベーションを維持・向上することは、効率的に仕事を行ったりストレスの負担を軽減したりするために有効です。社員がモチベーションを持って仕事に取り組むと企業の生産性向上にもつながります。
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