理想のワークライフバランスの取り組みとは 成功10例を紹介


理想のワークライフバランスの取り組みとは 成功10例を紹介

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

ワークライフバランスとは、仕事と生活の調和を図る取り組みのことです。多くの企業がワークライフバランスに取り組もうとしています。

しかし、「具体的にどのような形で取り組んでいけばよいか、よくわからない」という方もいるでしょう。ここでは、ワークライフバランスの取り組み例を10個紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

ワークライフバランスの意味



生活するためには、働いてお金を稼がなければなりません。仕事をするとやりがいや充実感を得ることができますが、家族と過ごす時間や趣味を楽しむ時間といったプライベートの時間も人生には欠かせません。

ワークライフバランスとは、仕事と生活のバランスを取り、どちらも充実している状態を指します。

ワークライフバランスが注目されるのは、従業員だけでなく、企業側にもメリットがあるからです。しかし、単に残業禁止などの施策を打つだけではワークライフバランスを実現できず、経営陣や従業員の意識改革を行う必要があります。

「ワークライフバランス」については、こちらの記事をご確認ください。

ワークライフバランスが注目される理由

日本で、ワークライフバランスが注目されている理由は以下の3つです。

1つ目は、少子高齢化による労働人口不足です。フルタイムでしか働けない環境では、育児や介護をやりながら仕事をすることができません。今後もできるだけ多くの人に働き続けてもらうためには、ワークライフバランスが欠かせないのです。

2つ目は、女性の社会進出が進んだことです。特に共働き家庭においては、子育てや介護などと仕事の両立を図らなければ、生活が立ち行かなくなるケースが多いでしょう。従業員が家庭と仕事のどちらかを選ばなくても済むよう、企業としては多様な選択肢を準備しなければなりません。

3つ目は、新型コロナウイルスの感染拡大によってリモートワークの導入が進んだことです。リモートワークによって、多くの従業員は通勤時間がなくなり、その時間をプライベートに充てることができるようになりました。プライベートが充実すると、仕事に対するモチベーションが上がり、その相乗効果を実感した人も多いでしょう。多くの人が、仕事とプライベートのどちらも充実させることの重要性を認識するようになりました。

生産性の向上やイメージ向上もできる

企業がワークライフバランスに取り組むと、従業員はプライベートが充実し、気持ちにゆとりが生まれます。また、生活の中で新しい経験をすることも可能になるでしょう。

プライベートが充実すると仕事のモチベーションアップにつながるため、生産性の向上が期待できます。新しい経験は、従業員の創造力向上につながります。

ワークライフバランスに取り組んでいる企業で働く人は、出産や育児・介護などの理由で辞める必要がありません。企業にとっても新たな人材確保の必要がなくなるため、採用活動費や人材教育費の削減につながるでしょう。

求職者は、ワークライフバランスを取り入れている企業に「働きやすい」「従業員のことを考えている」といった良いイメージを抱くため企業のイメージアップにつながり、それが採用活動において有利に働くでしょう。

目標設定は明確に

ワークライフバランスの導入には、従業員の意識改革が欠かせません。そのため目標を明確に設定し、全従業員に理解してもらう必要があります。

ワークライフバランスに取り組む際は、プライベートの時間を確保させるために「有給休暇取得率アップ」や「残業時間の削減」などから着手するケースもあるでしょう。

職場内の雰囲気が「休むことが後ろめたい」「残業せずに帰ると周りの空気が冷たくなる」といった場合は、ワークライフバランスの浸透が難しくなります。

単に「有給休暇取得率」や「残業時間」といった目標数値を決めるだけでなく、従業員の意識が変わるような目標を設定し、浸透させる必要があります。

労務管理だけで終わらない、あらゆる人事データを統合して分析

時代は人材情報「管理」から人材情報「活用」へ!
タレントマネジメントシステム『タレントパレット』を活用すれば、さまざまな労務課題と向き合えます。

・ペーパーレス化で労務管理、手続きを効率化
・入社手続きや身上届などスマートフォンでも申請可能
・自動チェックで入力漏れ確認も不要
・データをタレントマネジメントに活用

タレントパレットの資料を見てみたい

関連記事:ワークライフバランスの概要から考え方、現状、ポイントを解説 関連記事:労務管理の重要性とは?就業規則・労働時間などを管理して業務改善を目指そう

ワークライフバランスに該当する取り組み



中には、「具体的にどのように取り組めばよいかわからない」という方もいるでしょう。そこで、ワークライフバランスに取り組む際に導入すべき具体的な制度や仕組みについて解説します。

働き方に合わせた勤務形態の採用

これまで、多くの会社では終業・始業時間を固定した固定時間制のみを採用していたのではないでしょうか。勤務体系には、それ以外にもさまざまなものがあります。

  • フレックスタイム制:始業・終業時間を従業員が自ら決める
  • 変形労働時間:労働時間を月単位や年単位で調整する
  • みなし労働時間制:実際の労働時間にかかわらず、事前に決めた時間分働いたとみなす


例えば、酒類の製造・販売を行うアサヒビール株式会社はフレックスタイム制を導入しています。一般的にフレックスタイム制では全員が必ず会社に出勤する時間である「コアタイム」が設けられますが、アサヒビールはコアタイムを含めない「スーパーフレックス制」も併せて導入しているのが特徴です。

そのため、育児や介護などをしなければならない従業員でも、時間に縛られずに働くことができます。

多様的な働き方を推進できる管理体制を実現

ワークライフバランスの取り組みとして短時間勤務やテレワークなどを実施する場合は、管理体制を整えなければなりません。

短時間勤務やテレワークを選択した従業員が、他の従業員に比べて不利になるような管理体制では、せっかくの制度を活かすことができません。

それぞれの働き方に合った評価方法や業務内容、申請方法、申請マニュアル、必要なルールなどを決めて、従業員に周知しましょう。

例えば、自動車の製造・販売を行うトヨタ自動車では、子どもが小学4年生になるまでの間、1日当たり4・6・7時間の中から所定労働時間を1ヵ月単位で選択できる制度を導入しています。

この制度により、「子どもの長期休暇の間だけ、いつもよりも短い時間働く」といったことも可能になっています。

全社リモートワーク体制へ

業務内容によって、リモートワークが可能な企業とそうでない企業があります。可能であれば、全社をリモートワーク体制にするとワークライフバランスの促進につながるでしょう。

ビジネス用のチャットツールを提供しているChatwork社では、原則的に全従業員がリモートワーク体制へ移行しました。

リモートワークにすると通勤時間がなくなるため、プライベートの時間をより多く確保することができます。

直接顔を合わせなくなるため、コミュニケーションの場を意識して設け、従業員の不安を解消しているそうです。全社でリモートワークを導入すると、仕事の効率が落ちないかどうか不安になる方もいるでしょう。Chatwork社では、目標数値を定めることで効率が落ちないよう管理しています。

「リモートワーク」については、こちらの記事をご確認ください。

従業員の声を聞く

休暇制度や時短制度を充実させても、現場の従業員が休みづらい・帰りづらいと感じているとワークライフバランスは実現しません。

ワークライフバランスを会社に浸透させるためには、従業員の意識改革も欠かせません。アンケートなどで従業員の声を聞くと、問題点が浮き彫りになります。また、現場から新たなアイデアが出てくることもあるでしょう。

保険代理店の株式会社ライフィでは社内に意見箱を設置し、従業員の労働環境や仕事に対する声を募りました。従業員に意見を聞くと、彼らが本当に希望する制度を導入できますし、意識改革にもつながります。

残業削減の推進

残業削減も、ワークライフバランスを目指す企業が抱える問題の一つです。

「人手が少ない」「効率的に仕事を行えていない」といった理由だけでなく「職場が定時で帰りづらい雰囲気」「上司が働いているのに先に帰ることができない」など、気持ちの問題が入り込むことも少なくありません。

残業時間を減らすと、従業員は「時間内に仕事を終わらせなければ」という意識が生まれます。これが業務効率化につながるため、企業にもメリットがあります。

加えて、過重労働は従業員に多大なストレスを与えることがあります。それが離職率の向上につながることもあるでしょう。

株式会社大和証券グループ本社では「19時前退社」を励行しています。実行にあたってガイドラインを策定しており、支店長以下が19時以降の残業を希望する場合は上司に申請しなければなりません。

このように、残業しづらい雰囲気や制度を作ることも残業削減促進につながります。

男性も含めた育児休暇を実現

「育児休暇は女性のための制度」と考えている人は多いでしょう。

しかし、2022年10月に「産後パパ育児休業」制度が開始されました。これは、子どもが生まれた後8週間以内に4週間まで、2回に分けて育児休業を取得できる制度です。これを機に、男性も含めて育児休暇への意識が高まることが期待されています。

住宅メーカーの積水ハウスは「特別育児休業制度」を設けています。これは、子どもが3歳になるまでに1ヵ月以上の育児休業取得を推奨する制度です。男性対象者の育児休業取得率100%を達成しました。

従業員の配偶者の専業主婦率が高いこともあり、制度を実行するにあたっては管理職の意識改革が一番難しかったそうです。また、育児休業を取得した男性従業員がただ家でゴロゴロすることがないように、事前に家族で家事育児の分担を話し合うためのツールも作成しています。現状を細かく書き出し、実際にどのように分担するのか事前に決めておくことで、いざ休みが始まった時に「何をしたらよいかわからない」といった状況を避けられます。

何のための休暇か、どう使わせれば有効になるのか。ただ休ませるだけでなく、家族のことまで考えて実施することが大切です。

急な休みに対応できる環境を整備

有給休暇などは事前申請ができますが、子育て中や介護中は家族の病気など突発的に休まなければならないこともあります。

独身の人であっても、朝起きたら急に体調が悪くなり、仕事にいけないということもあるでしょう。そのたびに現場に負担がかかると、現場の従業員は疲弊してしまいます。

訪問看護ステーションを運営する株式会社アオアクアでは、電子カルテの採用などによって業務効率化を図り、チーム制によって急な休みに対応できる環境を整えています。

事前に対応を整備しておけば、誰かが休むたびに現場が困るという事態を避けられます。

さまざまな事情がある人を採用するためには、事前準備が大切です。

勤務エリア限定制度の導入

いつ転勤があるかわからない会社に勤めていると、転勤のたびに家族が振り回されるでしょう。例えば、夫の転勤のために妻が会社を辞める、子どもが転校を余儀なくされる、といったケースです。

働き方の多様化に対応し、家族全員のワークライフバランスに配慮する制度に「勤務エリア限定制度の導入」があります。

高速道路の新設や改築、維持修繕などを行うNEXCO中日本では、子どもの養育時や親の介護時などに指定要件に該当した場合、一定期間転居を伴う異動を行わないという制度を導入しています。

急な転勤による転居がないため、従業員だけでなくその家族も仕事に振り回されず、自分の生活を安心して送ることができます。

長期間の介護休暇実現

介護休暇は法律で定められた権利です。家族に要介護者が1人いる場合、年5日まで休暇を取得できます。

電気通信機器・電気機器メーカーのSHARP株式会社では、常時介護を必要とする家族がいる場合、1人につき通算2年の介護休暇を取得できる制度を導入しています。介護事由が消滅するまで短時間勤務制度やフレックスタイム制を利用することもできるため、これらを組み合わせて使うことで家族の介護をしながら働き続けることができます。

人事評価制度の改善

ワークライフバランスに取り組むと、これまでの人事評価制度の改善が必要になることがあります。

長時間勤務の人と比べて短時間勤務の人が無条件で人事評価が低くなるようでは、ワークライフバランスの浸透は望めません。

労働時間だけでなく、業務の質や業務内容による人事評価制度の導入を検討しましょう。

化粧品やヘアケア用品などの製造・販売を行っている花王株式会社では、人事評価に「OKR(目標と成果指標)」を取り入れました。これは従業員から目標を引き出し、どの程度達成できたかを評価の基準とするものです。

目標はなるべく大きなものに設定し、全従業員と共有します。多くの人と目標を共有し、それに向かって進んでいくことで、仕事に対するモチベーションアップや自己成長につながるという仕組みです。

ワークライフバランスに合わせた人事評価制度を検討している企業は、従業員のモチベーションアップにもつながるOKRの導入を検討してもよいでしょう。

関連記事:企業におけるワークライフバランスの取り組みのポイントを解説

まとめ

企業としてワークライフバランスに取り組む際は、休暇や残業時間短縮などの制度を導入すると同時に、従業員の意識改革も行わなければなりません。

早く帰りやすい環境や休暇を取りやすい環境を整えなければ、ワークライフバランスを浸透させることは難しいでしょう。

ワークライフバランスに取り組む際は、人事評価制度の見直しも欠かせません。必要に応じて人事評価制度を改善し、多様な働き方を受け入れる態勢を整えましょう。

タレントパレット」を導入すると、OKRを始めとした人事評価制度を簡単に導入できます。労務管理や採用管理だけでなく、従業員のキャリア分析や労務負荷分析もでき、人事データを幅広く活用できるシステムです。ワークライフバランスへの取り組みを検討している方は、お気軽にお問い合わせください。

タレントパレットのHPはこちら


社員データを集約・見える化
人事管理システムならタレントパレット