職場環境とは?職場環境を取り巻く要素やよくある課題、改善方法などを徹底解説


職場環境とは?職場環境を取り巻く要素やよくある課題、改善方法などを徹底解説

社員が能力を発揮してのびのび働くためには、良好な職場環境が必要となります。職場環境とは、社内設備、人間関係、業務内容など、社員を取り巻くさまざまな要素のことです。この記事では、職場環境が重要視される理由とともに、職場環境を改善するメリットやチェックポイントなどについて解説します。ぜひ参考にしてください。


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職場環境に含まれる要素

職場環境とは、職場を構成しているさまざまな環境のことです。たとえば、空調、照明、社内設備などの物理的な環境が職場環境に該当します。また、労働条件、仕事量、人間関係などの要素も職場環境です。


社員は多くの時間を社内で過ごすため、社内環境からさまざまな影響を受けます。社内環境に問題があれば心身にも悪影響が生じ、作業効率や品質などの低下を招く可能性が高くなるでしょう。企業の利益の向上のためだけでなく、社員を守るためにも適切な職場環境の維持が求められます。


職場環境が重要視される理由とは

なぜ職場環境は重要視されているのでしょうか。ここでは、その理由について解説します。


安全配慮義務という責務がある

職場環境が重要な理由の1つとして、労働契約法の安全配慮義務があります。労働契約法では事業主の安全配慮義務について定めており、社員が健康で安全に働けるように企業は配慮しなければなりません。そのための対策として、職場環境の整備や改善が必要です。


さらに、労働安全衛生法では、企業は快適な職場環境形成に配慮すべきとされています。作業内容、環境、心身のケア、施設・設備の充実などについて方針が示されており、企業として対応が必要です。


働きやすい職場づくりに欠かせない

社員が働きやすい状況を整えるためにも、職場環境の整備が重要です。職場環境が悪化して働きにくい職場になれば、社員の安全の確保にも支障が出る可能性があります。また、社員の仕事に対するモチベーションや作業効率が下がる恐れもあるでしょう。


たとえば、空調のトラブルにより作業に集中できない環境や、人間関係の問題により連携しにくい状況であれば、社員が本来の能力を発揮できません。職場環境が悪化すると、社員のワークライフバランスも適切に保てなくなるリスクがあるでしょう。その結果、離職率が上がりやすくなります。


ストレスチェックが義務化された

2015年に行われた労働安全衛生法の改正により、常時50人以上の社員を有する企業に対して、ストレスチェックが義務付けられました。ストレスチェックにより問題が発覚したら、それぞれの社員にとって必要な措置を講じなければなりません。


社員が抱えている問題の原因が職場環境にあるケースも多く、改善が必要です。社員が心身にストレスを感じないようにするための配慮が求められます。


助成金の対象となるケースがある

職場環境の改善に取り組むと、助成金の対象になる可能性があります。国が働き方改革を推進しており、よりよい働き方を実現するための支援が強化されている状況です。働き方を改善するには各企業の職場環境を整える必要があるため、企業に対する助成金も充実しつつあります。


たとえば「働き方改革推進支援助成金」では、労働時間の短縮や休暇の取得を促進する企業を対象に、複数のコースが用意されました。


職場環境の改善によって期待できるメリットとは

職場環境を改善すると、どのようなメリットを期待できるのでしょうか。以下で詳しく解説します。


エンゲージメント向上による離職率の低下

職場環境の改善は、結果として離職率の低下につながります。職場環境の改善に成功すれば、社員エンゲージメントも向上する可能性があるからです。社員エンゲージメントとは、企業に対する愛着や信頼を表しています。仕事に対するモチベーションや、自社への帰属意識を高めるための重要な指標です。


社員エンゲージメントを高めるには、社員にとって働きやすい環境を整えたうえで、企業と社員の関係を良好な状態で維持する必要があります。社員エンゲージメントの向上は離職率の低下につながるため、採用や教育のコストも削減可能です。また、採用市場における評価も高まります。


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社内の人間関係が円滑化

職場環境を改善できると、社内コミュニケーションの活性化も期待できます。その結果、人間関係がスムーズになる可能性が高いです。良好な職場環境では心身のストレスも少なくなるため、社内の風通しがよくなります。その結果、人間関係におけるトラブルも減らせるでしょう。また、気軽な相談や提案がしやすくなり、新しいアイデアも生まれやすくなります。


パフォーマンス・生産性の向上

良好な職場環境を実現できるとそれぞれの社員のパフォーマンスが高まり、生産性の向上も期待できます。たとえば、空調を整備して快適に作業できる環境が整ったり、最新設備の導入により作業効率化を図ったりすることで、業務の生産性が向上するでしょう。


社員にとってストレスが少ない職場環境を目指せば、業務に集中しやすくなります。その結果、企業の利益も高まる可能性が高いです。


企業価値の創造

職場環境の改善によって社員のモチベーションが上がれば、サービスや商品の品質向上も期待できます。それにより、顧客からの評価も高くなるでしょう。また、職場環境が良好な企業は、採用市場においても評価される場合が少なくありません。職場環境を整備すると、このように企業価値の創造につながる可能性があります。


良い職場環境の特徴とは

良好な職場環境は、社員にとって多くのメリットが生まれます。ここでは、良好な職場環境の特徴を解説します。


スムーズにコミュニケーションがとれている

良好な職場環境では、社員同士のコミュニケーションもとりやすい傾向があります。円滑な人間関係を維持している職場は、意見交換や気軽な相談などがしやすいでしょう。また、部署内だけでなく、異なる部署同志の交流も盛んな場合が多く見られます。自社の職場環境について判断するうえでは、スムーズなコミュニケーションを実現できているかどうかが重要です。


オフィス環境が整っている

職場環境が評価されている企業では、業務に必要な機材が充実しています。また、社員にとって働きやすいオフィス環境が整っている場合が少なくありません。たとえば、働くスペースを自分で決められるフリーアドレス制や、サテライトオフィスなどを取り入れている企業が目立ちます。


作業の効率を高めるために、ペーパーレス化や脱ハンコなどを積極的に実施している企業も多くなりました。さらに、定期的な機材のメンテナンスや、最新機能へのアップデートも欠かせません。空調や騒音対策なども、社員が業務に集中できる環境を整えるために重要な要素です。


福利厚生や評価制度が整っている

社員にとって魅力的な福利厚生や的確な評価制度なども、良好な職場環境に欠かせない要素です。福利厚生や評価制度などは、社員の仕事に対するモチベーションを左右します。モチベーションは業務効率や生産性にも影響を与えるため重要です。


ただし、福利厚生や評価制度が設けられていても、内容が社員にとって不適切であったり、実際に活用できていなかったりすれば意味がありません。適切な内容に調整し、積極的に運用する必要があります。


教育制度が整っている

良好な職場環境においては、社員に対する教育制度が充実している場合が多くあります。働きながら成長できる仕組みになっていれば、社員の仕事に対するやりがいやモチベーションも高められます。


なお、日常の業務に支障が出ないよう、教育制度に工夫を取り入れている企業も多い傾向です。比較的参加しやすいオンラインセミナーをはじめとし、各社員の生活やニーズに合わせて学習できるよう配慮しています。


ワークライフバランスが充実している

良好な職場環境では、ワークライフバランスも充実させられます。作業効率が高いと時間外労働を減らせるため、プライベートを大切にしやすいためです。また、年次有給休暇や特別休暇を取得しやすい環境なら、ワークライフバランスをより適切に保てます。そのような職場の社員エンゲージメントは全体的に高めです。


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職場環境のチェックポイントとは

職場環境を判断するためには、何を確認すればよいのでしょうか。ここでは、職場環境のチェックポイントを解説します。


作業しやすい環境かどうか

社員に職場環境が快適だと思ってもらうには、作業しやすい環境が重要です。作業しやすい環境かどうか判断するには、動線の効率、空調設備の動作状況、明るさ、騒音の有無などをチェックする必要があります。パソコンを使用する場合、業務に対応できる適切なスペックのパソコンを提供できているかも重要です。また、通信速度が問題ないインターネット環境が整っていることも確認しましょう。


なお、リモートワークを導入しているなら、社員によって作業する環境はさまざまです。担当業務によっても必要な環境は異なります。それぞれに適した環境を実現できているか個別の確認も必要です。


良好な人間関係が築けているかどうか

職場で良好な人間関係が構築されているかについても確認しましょう。人間関係の問題の有無をチェックし、社員の孤立や社員同士のトラブルが発生していないか、把握する必要があります。人間関係の問題は表面化しにくい場合もあるため、さまざまな角度から慎重に調査すべきです。


仕事量は適切かどうか

それぞれの社員の経験やスキルによって、適切な仕事量には違いがあります。経験やスキルに対して仕事量が多く、負担がかかっている社員が発生していないかチェックしましょう。仕事量のバランスに問題があるなら、社員の適性を把握したうえで、最適配置や振り分けの見直しなどを検討する必要があります。


社員の自主性があるかどうか

社員の業務に対する自主性は、仕事に対するやりがいの指標になります。社員本人のモチベーションや作業環境だけでなく、各社員における裁量権の範囲も改めて確認すべきです。社員の自主性が低く、指示に従って作業している状況では、良好な職場環境を実現できません。社員の自主性が低い場合は、作業環境や裁量権などの改善が必要です。


労働条件や福利厚生は十分かどうか

労働条件や福利厚生に社員が満足しているかどうかも確認が必要です。企業が適切だと考えていても、実際に働く社員は不満をもっている可能性もあります。たとえば、人材不足により長時間労働が常態化していたり、福利厚生の対象が一部の社員のみであったりすると、不満が生じやすいでしょう。


職場環境でよくある課題とは

職場環境に課題を抱えている企業は少なくありません。具体的にどのような課題があるのか解説します。


落ち着いて作業・休憩ができない

職場環境の課題としては、作業に集中できない場合や、ゆっくり休憩できない場合などがあげられます。たとえば、空調があまり効かず、夏は暑く冬は寒い状況です。また、人の出入りが多くて気が散ったり、オフィスや休憩室が不衛生だったりする職場もあります。


休憩に関しては、休憩室が狭いケースや、そもそも休憩室が設けられていないケースもあるでしょう。作業効率を高めるには、このような課題の改善が必要です。


コミュニケーションがうまくいかない

職場環境については、コミュニケーションや人間関係の課題もあります。たとえば、上司の指示が行き届いていなかったり、ハラスメントやいじめが横行していたりするパターンもあります。情報共有に漏れがある場合や、リモートワークで直接話す機会が少ない場合も珍しくありません。社員同士が抱える問題を放置するとトラブルに発展するリスクがあるため、早めの対策が必要です。


社内ルールが浸透していない

自由な働き方を導入しているものの、社内ルールが浸透していないことで活用が進まないケースもあります。社内ルールが分からず作業しづらくなったり、社員が窮屈に感じたりする場合もあるようです。


たとえば、リモートワークが認められている場所の条件や、Wi-Fi利用のルールを社員が正しく理解できていないパターンがあります。社内システムへのアクセス方法が周知されていない場合や、社内外の連絡方法が統一されていない場合もあるでしょう。さらに、フリーアドレス制を導入したものの、いつも同じメンバーで固まって作業してしまうケースもあります。


業務の割り振りが適切でない

企業によっては、業務の割り振りに課題がある場合もあります。たとえば、簡単な業務のみを任されて時間を持て余している社員がいる反面、業務の負担が大きく時間外労働が増加している社員がいるケースです。


上司の独断で業務を追加されたり、本人が希望する業務以外を割り振られていたりするパターンもあるでしょう。このような状況では、社員の業務に対する意欲が低下する恐れがあります。


福利厚生が活用されていない

福利厚生を用意しているものの、社員にあまり利用されないケースもあります。たとえば、そもそも福利厚生があると知らない社員が多いと、利用率はなかなか上がりません。社員が福利厚生を積極的に利用しなければ、無駄なコストが発生するだけになります。福利厚生の活用を促すには、社員のニーズの把握や制度の周知といった対策が必要です。


職場環境の改善に役立つ方法とは

職場環境を改善するには、どうすればよいのでしょうか。具体的な方法について解説します。


社内アンケートや面談による現状把握

職場環境を改善するには、自社が具体的にどのような課題を抱えているか把握しなければなりません。社内アンケートや面談により現状を把握しましょう。匿名で意見を集めるべき内容については、アンケートの方法を工夫すべきです。社員が満足している点と不満に感じている点を可視化し、改善すべき部分を洗い出してください。


業務プロセスの可視化・適正配置

職場環境の改善においては、社員の業務の負担軽減も重要です。そのためには、業務効率化を図る必要があります。業務プロセスを把握し、無駄な作業が発生していないかチェックしましょう。また、業務の進捗を確認して割り振りを見直すことも大切です。


各社員の適性に合った配置を実現できているかについても確認してください。社員の能力を最大限発揮できる配置にすると、業務効率化につながります。各社員のスキルを把握する方法としては、マネジメントツールの活用もおすすめです。


教育・評価制度の見直し

働きながら成長できる環境の整備も、職場環境の改善につながります。教育制度の充実や評価制度の適正化を図りましょう。社員のスキル、部署、段階に応じて適切な教育をするには、スキルマップの作成や研修内容の充実なども必要です。また、単に教育に取り組むだけでなく、成果が出た際の評価も大切にしましょう。教育や評価においても、マネジメントツールが役立ちます。


メンタルヘルス管理の徹底

良好な職場環境を構築するうえでは、社員のストレスの軽減にも取り組む必要があります。ストレスチェックを実施し、各社員の心身の状態を把握しましょう。


普段からセルフケアできるようにするには、社内での取り組みを積極的に周知すべきです。また、ケアの必要性が生じた際に適切に対応できるよう、社内外の専門家との連携も強化しましょう。社員が休職する可能性も考慮し、復帰支援についても検討が求められます。


社内設備やオフィス環境の整備

業務そのものに必要な最低限の設備を導入するだけでなく、社員の過ごしやすさを高めるための環境作りにも取り組みましょう。たとえば、作業スペースの拡大、レイアウト変更、休憩スペースの確保、ウォーターサーバーやコーヒーメーカーの設置などが挙げられます。また、整理整頓や清掃を徹底したり、観葉植物を置いて社内の雰囲気を明るくしたりする工夫も効果的です。


多様な働き方・休暇制度の導入

社員が自由に働き方を選択できるよう、リモートワーク、ハイブリッドワーク、フレックスタイム制などの導入も検討しましょう。ワークライフバランスが保ちやすい環境を整え、プライベートの充実や家事育児との両立などに配慮することも大切です。


また、職場環境の改善においては、社員の個別の事情に対する理解を深め、産休・育休・介護などの特別休暇、有給休暇、長期休暇を取得しやすくする必要があります。


まとめ

職場環境には、職場のさまざまな要素が含まれています。職場環境は社員の仕事ぶりや成果に大きな影響を与えるため、適切な状態に整えることが大切です。今回解説したポイントを意識し、職場環境の改善を目指しましょう。


タレントパレットは、それぞれの社員に関する情報をまとめて管理し、活用するためのシステムです。アンケートの機能があるため、現状把握や課題発見にも役立てられます。また、ストレスチェック、人材育成、スキルチェックなどにも効率的に対応可能です。導入実績が豊富であり、コンサルティングの知見もあるため、職場環境の改善についてぜひご相談ください。


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