こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
「なぜなぜ分析」の実践では、テンプレートの活用が便利です。課題に即したテンプレートを利用すれば、課題の洗い出しから改善策の導出、フィードバックまでを効率化できます。分析の効率化によって業績アップも可能です。人事・労務担当者向けになぜなぜ分析をより効果的に実践するためのポイントを解説します。
なぜなぜ分析とは?
「なぜなぜ分析」とは、すでに発生しているネガティブな事象を解決課題として設定し、問題の根本原因を特定するためのフレームワークです。なぜなぜ分析では事象の発生原因に焦点を当て、さらにその原因がなぜ生じたのかを追及することで本質的な原因を抽出し、問題解決に向けた具体的な対策を導き出します。また、低コストで実施できる点もメリットです。
なぜなぜ分析は汎用性の高い問題解決のフレームワークとして製造業だけでなく、航空業界や接客業、医療分野など幅広い業種で導入が進められています。
トヨタ自動車が発祥の分析方法
なぜなぜ分析はトヨタ自動車が初めて本格的に体系化したフレームワークです。トヨタ生産方式では業務で発生するトラブルの原因を徹底的に追及し、改善策を合わせて検討することで品質向上を図ります。
また、トヨタ自動車はなぜなぜ分析を応用してカイゼンと呼ばれるオリジナルのフレームワークを開発し、生産部門の課題改善に取り組みました。
なぜなぜ分析とカイゼンはともに汎用性の高いフレームワークとして広く知られており、医療や航空、接客業など幅広い業界で導入されています。
なぜなぜ分析の目的
なぜなぜ分析の目的は課題の真因特定と早期解決です。トラブルの表面的な原因のみにアプローチしても分析の精度が上がらず、本質的な改善策にたどり着きません。具体的な課題を設定し、原因のさらに原因を徹底して掘り下げることで効果的な対策を導き出せます。また、なぜなぜ分析を部署全体で実施することで従業員に当事者意識が生まれ、解決課題と対策を共有できるでしょう。
なぜなぜ分析を効果的に行えば新たな問題が発生する前に原因を特定し、対策を立案できます。分析を繰り返せば将来的なリスクを取り除き、組織の持続的な改善の風土が定着するでしょう。
なぜなぜ分析を社内レベルで習慣化すれば課題の発見から解決までをひとつのプロセスとして定式化でき、長期的なスパンでの業務効率化が可能です。
なぜなぜ分析の大まかな流れ
なぜなぜ分析は課題の設定から始まります。次は原因の特定です。設定した課題に対し、想定される原因を提示します。さらに、導き出された原因に対してWhyの問いかけを繰り返すことで本質的な原因を割り出し、具体的な解決策が共有できたら分析は終了です。
原因を洗い出す段階ではデータや情報の収集、関係者へのインタビューなどが行われ、客観的な事実の特定が重視されます。原因が複数検討される場合はそのひとつひとつに対して分岐をつくり、さらなる根本原因を掘り下げましょう。
改善と効果の測定はワンセットです。立案した改善策を実行に移し、その効果を客観的に評価し望ましい成果が得られなければ原因特定のフェーズに戻り、改善策立案から評価までを繰り返します。
なぜなぜ分析は継続的なプロセスであり、得られた結果やフィードバックをもとにした定期的な改善が重要です。改善策の評価の際は、従業員の遅刻を20%減らすなど、あらかじめ具体的な数字としてゴールを設定しておくと課題の共有につながります。
なぜなぜ分析を活用するためのポイント
なぜなぜ分析の導入後はポイントをおさえた運用が重要です。本項目では、なぜなぜ分析をより効果的に実践するためにおさえておくべきポイントを見ていきましょう。
1.課題と目的をはっきりさせておく
なぜなぜ分析を行う際は解決課題だけでなく、分析の目的を含めて明確化し従業員同士で共有するプロセスが必要です。数ある分析手法の中でなぜなぜ分析を採用する理由・必然性をすべての従業員が理解することで課題解決へのモチベーションが高まり、分析をスピーディに行えます。
改善策の評価基準を明確にするうえでも、課題・目的の共有が重要です。
2.分析する問題の経緯と背景を把握する
なぜなぜ分析を行う際には、全体像の把握および共有が欠かせません。問題が顕在化している背景を吟味せず、目先の事象のみに焦点をあてて分析をしても表面的な改善策しか導き出せないでしょう。
全体像の把握には「出来事流れ図」の作成が有効です。解決課題が顕在化した背景・経緯、結果をシンプルに図式化することで第三者にとっても全体像が把握しやすくなります。
なぜなぜ分析の初期段階では必ず出来事流れ図をつくり、全体像を共有したうえで要素の細分化を進めましょう。
3.「なぜ」は論理的な内容で進める
なぜなぜ分析では主観的な意見や仮説にとらわれず、客観的なデータや事実に基づいて分析を進めることが重要です。「Aさんが担当だといつもミスが多くなる」のように、個人の思い込みや偏見に基づいた分析がひとつでも入ってしまうと全体の方向性がずれ、論理の流れがつながりません。
経理のミスが多い→手入力の項目が多すぎる→古い経理システムを使いつづけている→効率的な新しい経理システムを導入しよう、のように、客観的な事実のみをつなぐことで論理的な分析が可能です。
4.原因の根本に対して対策を立てる
なぜなぜ分析の目的は根本原因の解決です。しかし、解決課題が複雑だと分析が長くなり、表面的な事象を重要な原因として取り上げてしまうパターンが増えてしまいます。
たとえば、新モデルのスマホの初月販売実績が目標より20%下回った場合、パステルカラーが流行しているからとつなげてしまうと論理性が不足しているため、根本原因が特定できません。
スマホの例ではリリース前のPRが足りないからが表面的な要因として考えられ、さらに広報コストが不充分だったからが根本原因として挙げられます。個々の分析プロセスで因果関係をチェックし、論理的つながりを確かめるプロセスが重要です。
5.対策結果を評価する
対策を実施した後は、その結果を評価する必要があります。対策が適切に機能しているかどうかを確認し、目標達成に向けた進捗をモニタリングします。必要に応じて修正や追加の対策を行い、継続的な改善を図ることが重要です。
6.テンプレートを利用する
なぜなぜ分析の実践ではテンプレートを積極的に活用しましょう。テンプレートには一般的ななぜなぜ分析の手順や質問がまとめられており、最小限の準備で複雑な分析を進められます。
業務効率化や接客トラブル、コミュニケーションの不具合など、解決課題の種類ごとに最適化されたテンプレートが数多く用意されているため、用途に応じた利用が可能です。
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なぜなぜ分析でよくある失敗
典型的な失敗のパターンと対処法をあらかじめ把握することで、なぜなぜ分析の精度を向上させ、生産性および業務効率の向上が可能です。なぜなぜ分析でよくある失敗例として、以下のケースが挙げられます。
1. 分析対象の問題がぼんやりしている
なぜなぜ分析を行う際には、明確な問題定義が重要です。スタートラインとなる課題が曖昧な場合、分析の焦点が定まらず、正確な原因特定や改善策の導出が困難になる傾向があります。徹底したリサーチによって具体的な課題設定を行い、客観的に原因を特定することがポイントです。
2. 原因と結果がつながっていない
原因と結果の関連性が不明確であったり、誤った因果関係に基づいた分析を繰り返したりすると分析の精度が低下し、本質的な改善策を導き出せません。
たとえば、会議のレジュメが毎回すべての従業員に共有されていないという課題に対して、資料をぎりぎりまで作成していないからという原因を結びつけてしまうと個人単位での問題になり、因果関係がねじれてしまいます。
資料の共有システムが整っていないという本質的な原因に焦点をあてることで新規の共有ツール導入が改善策として導き出され、課題解決が可能です。
3. 個人的なミスに回帰する
なぜなぜ分析では、客観的な視点での原因特定が求められます。分析者自身の主観や個人的な意見に偏ってしまうと組織やシステムの問題点を見落としてしまう可能性があります。つねに論理的なつながりを保ちながら分析を行い、組織全体の視点の共有が重要です。
4. 現場の状況を把握できていない
分析プロセスやゴールとなる改善策がどんなに正確であっても、現場とかけ離れていては実現可能性が著しく低下します。
課題が発生した経緯やその場の状況、その後の流れを含め分析担当者に細かく共有することで現場とのずれをなくし、実効性のある改善策の導出が可能です。
まとめ
なぜなぜ分析は、問題解決や改善策の立案において重要な手法です。ひとつの課題に対してWhyの問いかけを繰り返すことで本質的な原因を割り出し、効果的な改善策をみいだせます。正確な分析を行うためには課題の明確化や論理的な分析の展開、根本原因への着目などが必要です。なぜなぜ分析を適切に活用することで部門を超えた課題解決や効果的な組織改善に応用できるでしょう。
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