ウェルビーイングを指標で確認するには?複数の指標を紹介・比較


ウェルビーイングを指標で確認するには?複数の指標を紹介・比較

ワークライフバランスが重要視されるようになったことで、ウェルビーイングという考え方にも注目が集まっています。

企業にとってウェルビーイングが有益だと把握していても、ウェルビーイングを測る指標について理解していない場合も多いでしょう。ウェルビーイングを測る指標は大きく分けて4つあります。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

ワークライフバランスが重要視されるようになったことで、ウェルビーイングという考え方にも注目が集まっています。

企業にとってウェルビーイングが有益だと把握していても、ウェルビーイングを測る指標について理解していない場合も多いでしょう。ウェルビーイングを測る指標は大きく分けて4つあります。

この記事では、ウェルビーイングの概要やウェルビーイングの指標について解説します。自社に合った指標を導入する際の参考にしてください。

ウェルビーイングのおさらい

ウェルビーイングとは、幸福や健康などの意味がある単語で、社会的な幸福を測る指標として注目されています。個人の生活や幸せだけでなく、ウェルビーイングの実現を目指す企業や教育現場も増えています。


ウェルビーイングは、世界保健機関憲章により1946年に提唱されました。「健康とは病気ではないとか弱っていないということではなく肉体的にも精神的にもそして社会的にもすべてが 満たされた状態(Well-being)にあること」と定義されています。ウェルビーイングがどの程度達成されているかを測定するには、指標が必要不可欠です。


参照:世界保健機関(WHO)憲章とは | 公益社団法人 日本WHO協会


【指標1】5つの構成要素

主観指標とは、人間の行動や意識、感情などといった形のないものについて客観的な数値で表す手段です。明瞭な数値や形がないものを数値として示す場合には、アンケートなどを利用するケースが一般的でしょう。


ウェルビーイングを測る指標の1つである、ギャラップ社の「5つの構成要素」もアンケート項目を採用することで、指標として活用可能です。ここでは、5つの構成要素について簡単に解説します。


Career well-being(キャリア ウェルビーイング)

キャリアウェルビーイングとは、仕事のキャリアだけでなく私生活で継続していることすべてを含めた、総合的なキャリアの幸福度のことです。キャリアというと、仕事の経歴や役職などを思い浮かべる人も多いでしょう。仕事面のキャリアはもちろんのこと、家事や育児、趣味やボランティアなど個人的に継続していることも要素として含まれます。


Social well-being(ソーシャル ウェルビーイング)

ソーシャルウェルビーイングとは、人間関係の幸福度のことです。たとえば、家族や友人、仕事で関わる同僚や上司、取引先など日々の生活で関わる人たちと良好な人間関係を構築できているか、広い交友関係を築けているかなどが要素となります。


Financial well-being(フィナンシャル ウェルビーイング)

フィナンシャルウェルビーイングとは、経済的な幸福度のことです。安心・満足できる生活ができているか、安定した収入を得られているか、資産をしっかりと確保できているかなど、経済的な満足感や安心感などが要素となります。


Physical well-being(フィジカル ウェルビーイング)

フィジカルウェルビーイングとは、心身の幸福度のことです。仕事にやりがいを持てているかどうか、前向きな気持ちで過ごせているかどうかなどが要素として含まれます。やりたいことを不自由なく行える健康状態が望ましいとされています。


Community well-being(コミュニティ ウェルビーイング)

コミュニティウェルビーイングとは、地域社会での幸福度を表すものです。たとえば、家族や職場、学校、友人関係など自分が属しているコミュニティ内でつながりが持てているかが要素として含まれます。充実度が高いことが望ましいとされています。


【指標2】国際連合による「世界幸福度ランキング」

国連による「世界幸福度ランキング」もウェルビーイングを測る指標の1つとして知られています。


国民1人当たりのGDP

GDPとは国内総生産のことで、経済的な豊かさを表す指標として考えられています。幸福に関連する国民の富裕度について測るもので、国民1人当たりのGDPが高ければ高いほど豊かということになります。


社会的サポートの享受

社会的サポートの享受とは、困ったときに頼れる場所があるかどうかを表すものです。たとえば、家族や友人など助けてくれる人がいるかどうかなどです。また、社会に取り残される人がいないかなども幸福度を測る指標となります。


健康寿命の長さ

健康寿命とは、健康上の理由で日常生活が制限されることなく過ごせる期間のことです。必要な医療が必要な人に提供されているかどうか、国民が健康的な生活を送っているかが幸福度に大きく影響します。平均寿命ではなく、健康寿命が指標となっている点がポイントです。


自由な選択肢があるか

選択肢の自由度も幸福度に大きな関わりがあります。思想的・宗教的・社会的要素について自由に選択できるかどうかは、人生の豊かさや幸せにおいて重要だとされており、幸福度においても重要な指標の1つです。


他者への施しを行っているか

他者への慈悲活動は、寛容さの証として考えられており、欧米では幸福度を測る指標の1つとしてメジャーです。他者に対して寛容であること、余裕があることなどが幸福度を表すと考えられています。


汚職や政治の腐敗

行政において汚職や腐敗がなく、国民に寄り添った行政であることを指します。国のトップがクリーンな政治や適切な政策を行っていることで、国民の幸福度が高くなるとされています。


世界最低の国の平均値+3年間の調査で出た各国の残余値

世界幸福度ランキングは、国の直近3年間のスコアを要素ごとに10点満点でランキング付けしています。この際、より公正にランク付けするため世界最低の国の平均値や各国の残余値なども、ランキングを構成する要素としています。


【指標3】OECDによる「より良い暮らし指標」

「OECDより良い暮らしイニシアチブ(OECD Better Life Initiative)」は2011年よりOEC(経済協力開発機構)によって開始された、ウェルビーイング分析のための研究プロジェクトです。幸福度を測る指標として一般的だったこれまでのGDP以上に、人々の暮らしや幸福度を計測し、比較することが可能な指標として知られています。


より良い暮らし指標では、暮らしの11の分野が指標として示されています。各指標は以下の通りです。


・住宅

・所得と富

・雇用と収入

・社会とのつながり

・教育と技能

・環境の質

・市民生活とガバナンス

・健康状態

・主観的幸福

・個人の安全

・仕事と生活のバランス


これらの指標について、OECD加盟国と3つの国を加えた40カ国の比較が可能となっています。


参照:人口全体のウェル・ビーイング指標|政策統括官(共生社会政策担当)内閣府


【指標4】ポジティブ心理学における5つの指標

ポジティブ心理学とは、マーティン・セリグマン教授によって提唱されたものです。人が幸せに生きることを科学的に追及する学問として提唱されたもので、ウェルビーイングを測る指標としてよく使われています。


ポジティブな感情

ポジティブな感情とは、前向きな感情のことです。具体的には、愛や喜び、楽しさ、笑い、感謝、自信といった感情が挙げられます。ポジティブな感情でネガティブな感情を打ち消すことにより、回復が早まります。


没入・没頭

何かに対して夢中になり、没入・没頭する状態のことです。物事に没頭することで集中力が高まり、仕事の効率や生産性の向上につながります。


多くのアスリートなどが集中状態に入ることを「ゾーンに入る」などと表現します。ゾーンとは、集中力が高まり、周囲の景色や音といった邪魔なものが意識外に排除されて、感覚が研ぎ澄まされている状態、1つの物事や活動に没頭できる特殊な意識状態です。ゾーン状態になることで、予想以上の結果を出すことが可能となり、精神的にも充足します。


ポジティブな人間関係

家族やパートナー、友人、仕事仲間など、他者との関係やつながりは、幸福度と大きく関係するといわれています。他者とつながり、ポジティブな人間関係を構築することで安心感が増すケースも多いようです。また、他者への貢献によって自分も幸せになれるという研究結果も出ており、良好な人間関係の構築が人生の幸福度を向上させます。


意味

意味とは、価値観や人生の目的、仕事に対する意味や意義といったことに関する要素です。自分の役割や存在、仕事に対する前向きな感情や生きがいなどを持っている人ほど、幸福度が高い傾向にあるとされています。人生において何が重要なのか、優先すべき事柄は何なのかを明確にして、その事柄に取り組むことで幸福度が向上します。


成功・達成感

物事の成功や設定した目標をクリアした際の達成感などは、ポジティブな感情を生み出す基礎となります。成功体験を多く積み重ねることで達成感を得ることは、人生を充実させて満足感を得るうえで重要な要素です。自分にとって意味のある目標や価値のある目標を設定し、追及することが幸福度を高めると考えられています。


指標を導入する際の注意点

ウェルビーイングを測るための指標は、国際連合が定めた世界規模の指標から研究分野において提唱されたもの、心理学の分野から提唱されたものまでさまざまです。そのため、自社がウェルビーイングを導入する目的を明確にし、目的に合った指標を活用することが重要です。


また、1つの指標だけでなく各指標の特徴を取り入れるなど、柔軟な対応を心がけましょう。指標を取り入れて終わりではなく、定期的に評価や進捗モニタリングを行って必要に応じて改善するなど、PDCAを回すことも大切です。


まとめ

ウェルビーイングとは、社会的な幸福を測る指標です。ウェルビーイングの達成度を測る指標は複数あるため、自社の目的に応じた指標を活用するようにしましょう。ウェルビーイングの達成には、適切な人事も欠かせません。


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