ビジョンレポートとは何か?書く時のポイントや注意点、例文を解説


ビジョンレポートとは何か?書く時のポイントや注意点、例文を解説

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

従業員が自身の将来の展望や未来像を書いたレポートをビジョンレポートといいます。ビジョンレポートを正社員登用試験や昇進試験に取り入れている企業は、珍しくありません。「自社にビジョンレポートを導入しよう」と考えている人事担当者の方もいるでしょう。

本記事では、ビジョンレポートを書く時のポイントや注意点、例文について解説します。

ビジョンレポートとは何か



正社員登用試験や昇進試験の時に、ビジョンレポートの提出を求める企業は少なくありません。ビジョンレポートを何に用いているのか、気になる人もいるでしょう。ここでは、ビジョンレポートの概要や求められている背景について解説します。

展望を書いたレポートである

ビジョンレポートとは、従業員自身が今後の展望や未来像を書いたレポートです。正社員登用試験や昇進試験などの際に、提出を求められることがあります。ビジョンという言葉には視覚、空想、幻視など様々な意味がありますが、ビジネスの場では将来像・理想像という意味でよく使われます。

会社に対するビジョンレポートには、自分がこれまで培ってきた経験をもとに、今後会社でどのような仕事をしていきたいのか、具体的に記載することが求められます。「一生懸命取り組みます」「日々精進してまいります」などの曖昧な表現だけでは、自身の展望を伝えることはできません。何を課題として捉え、どのように取り組んでいくのか、具体的に書く必要があります。

判断材料になる

日頃の業務実績や仕事ぶりだけでは、従業員の意思や想い、考え方などを見極めることはできません。ビジョンレポートは、従業員の適正や正社員登用、昇進などを見極める判断材料になります。

仕事をしながら資格を取得しても、会社に報告しないこともあるでしょう。ビジョンレポートでは「〇〇の力をつけるために××の資格を取得した。それによって目標を達成できた」など、自分が仕事に対してどのような工夫や努力をしているか、アピールできます。

求められる背景

終身雇用制度が崩壊し、従業員が1つの会社で働き続けることは当たり前とはいえなくなりました。それに伴い、従業員が抱く将来像も多様化しています。企業側と従業員側の考えが、一致するとは限りません。上司が普段の仕事ぶりから、部下の将来のビジョンを正確に把握することは困難です。

例えば、上司が「よく働くから昇進を推薦しよう」と部下に対して考えているケースを考えてみましょう。その部下は「ここで仕事の実績を積んで起業したい」と考えているかもしれません。この場合は、その従業員に対して長く自社で働くことを前提に重要なポストを与えることは、企業にとって得策とはいえません。

また、普段の仕事ぶりだけでは従業員の目標や新たに身に付けたスキルなどをすべて把握することは困難でしょう。従業員が「本当は今とは違う分野で働きたい」と考えており、自主的に新たなスキルや資格を身に付けているケースもあります。例えば、住宅会社に就職して経理担当者として働いているが、営業担当者の仕事ぶりを見ているうちに宅建の資格を取りたくなって取得した、という人もいるでしょう。

従業員が希望する部署が社内にある場合、そこへの異動を検討したほうが、従業員のモチベーションやスキルが向上しやすいため、生産性の向上につながります。ビジョンレポートの提出は、情報不足によって生じる離職者の低減も期待できるのです。

ビジョンレポートを書く時のポイントと注意点

従業員に突然ビジョンレポートの提出を求めても、どのように書けばよいかわからないかもしれません。事前に「ビジョンレポートとは何か」「どういう内容を求めているか」を従業員に伝えておくことで、読みやすくわかりやすいビジョンレポートになることが期待できます。ここでは、ビジョンレポートを書く際のポイントと注意点について見ていきましょう。

企業が従業員に求めているニーズを把握する

ビジョンレポートを書くために、従業員は企業が求めているニーズを把握しなければなりません。今の会社で働き続けることを希望する場合は、自分のキャリアプランを明確にした上で企業のニーズに沿った部分を切り出し、ニーズに応えられる人材であることをアピールしましょう。会社のニーズに対して、自分はどう貢献できるのかアピールすることが大切です。

例えば、「自分の営業成績を上げると同時に会社の業績も上げたい」「自分の持つ〇〇というスキルを活かし、新商品の開発に関わりたい」「新たなビジネスプランをこの会社で実施したい」など、自分の将来像と会社のニーズを両方見据えた上で展望を語ることを意識しましょう。

目標、課題、改善方法を明確に伝える

多くの企業は、自立して行動できる人材を求めています。従業員は会社のニーズはもちろんのこと、自分自身の人物像も正確に把握していなければなりません。そのためには、まず自己分析と企業分析が必要です。その上で、自分自身の目標や業務上の課題、課題の解決方法などを具体的にわかりやすく伝えましょう。例えば、「課題改善のために資格を取得する」「特定のスキルを身に付ける」などが考えられます。

将来の展望に対し必要なものを書く

ビジョンレポートには、自身の将来の展望を具体的に書くことが大切です。自分だけでなく、企業も何らかの課題を抱えているはずです。「売上低下」「マネージャーの不足」「新規事業の停滞」など、さまざまな課題が考えられます。普段から企業の課題だと感じている事柄を取り上げ、それに対して「自分のスキルと経験でこのようなことができる」というように、具体的な改善方法を記載しましょう。

シンプルに書く

ビジョンレポートを読む人は、人事担当者・上司・管理職の人・役員・社長などが想定されます。自分の部署内でのみ通じる言葉は上司には通じますが、人事部や役員には通じません。そのため、読み手のことを考え、どうしたら伝わるか考えることも大切です。難しい言葉や専門用語は多用せず、誰が読んでもわかりやすい言葉やシンプルな表現を心がけましょう。

積極的な姿勢で書く

ビジョンレポートでは、仕事に対する積極的な姿勢をアピールしましょう。他力本願にならないように意識してください。

ビジョンレポートには、今後の決意表明も含まれます。その中で、企業の課題解決に触れることもあるでしょう。例えば「〇〇に課題があるため、〇〇部署の人は積極的に解決に努めるべきだ」と、自分が所属していない部署のことだけ書いても、自分の仕事に対する熱意は伝わりません。自分が関われる範囲の課題に触れることを意識してください。

どうしても他部署の問題に触れたい場合は「〇〇に課題があるため、〇〇部署と連携して、〇〇といった方法で課題解決に向けて協力していきたい」など、自分が積極的に関わる方法で解決案を提示します。

育成管理だけで終わらない、あらゆる人事データを統合して分析

時代は人材情報「管理」から人材情報「活用」へ!
タレントマネジメントシステム『タレントパレット』で、様々な教育課題と向き合えます。

・チェックシートへの回答だけで簡単に従業員のスキルを一括管理
・成長変化とスキルから従業員のポテンシャルを発見
・受講管理とアンケート収集で効果を測定し成長を支援
・評価やスキルと昇進タイミングを基に育成計画を設計

タレントパレットの資料を見てみたい

ビジョンレポートの例文



具体的にどのようなビジョンレポートを書けばよいのか、頭を悩ませている人もいるでしょう。

「現在・過去・未来」の3要素に触れると、必要な要素を漏れなく伝えられます。ここでは、例文として正社員登用と昇進試験のビジョンレポートを見ていきましょう。

現在、過去、未来の3つの要素を書く

ビジョンレポートには現在、過去、未来の3つの要素をわかりやすく記載することをおすすめします。ただ「未来の展望」だけを書いても、説得力に欠けます。これまでに取り組んできたことを踏まえて未来像を描くと、信ぴょう性の高いレポートになります。

正社員登用向け

正社員登用時のビジョンレポートでは、実務経験とこれまでの仕事の成果に触れた後、今後企業にどのように貢献できるかを書きましょう。

現在、過去、未来では、以下のことを意識します。

  • 現在:現状について触れる
  • 過去:これまでの仕事で取り組んできたことや成果について語る
  • 未来:この企業で正社員として取り組みたいことを述べる


例文は以下のとおりです。

私はこの2年間、契約社員として営業業務に従事してきました。特に〇〇の販売促進に力を入れ、〇〇などの工夫をしながら日々業務に励み、無事目標を達成しております。

営業の際はパワーポイントを使用することが多いため、よりプレゼン力を向上させるために「MOSパワーポイント」資格を取得しました。上司に相談した上で、資格を活かして資料を作成したところ、お客様からは「話がわかりやすい」「理解が深まった」などと高評価をいただいております。その効果は営業成績にも表れており、昨年〇円、今年〇円と、〇%アップしました。

正社員となることで、これまで私が個人で培ってきた知識やノウハウをチーム全体で共有することができます。契約社員では携わることができなかった〇〇業務にも取り組み、成果を上げて会社の発展に貢献していく所存です。

昇進試験向け

昇進試験時のビジョンレポートでは、業務量の増加や部下に対する責任に対し、どのように対応するのかを中心に書きましょう。

現在、過去、未来では、以下のことを意識します。

  • 現在:現状に触れる
  • 過去:これまでの仕事で取り組んできたことや成果について語る
  • 未来:昇進して取り組みたいことを述べる


例文は以下のとおりです。

私は、所属する〇〇部署で〇〇というプロジェクトを担当しており、日々精進しております。チームリーダーという立場でプロジェクトに携わり、各従業員の個性や目標を把握した上で、一人ひとりに合った業務や目標を割り振ることが大切だと痛感しました。幸い目標は達成しましたが、もっと個人に寄り添うことが必要だったのではないかと感じております。

この件について上司に相談したところ、チームメンバーのことを把握し、各自に合った進捗管理を行うには昇進して管理職になる必要があるとの結論に至り、この度、昇進試験を受けることにしました。

昇進したら、部下と定期的に1on1ミーティングを実施し、それぞれの目標や悩みなどを把握し、業務に対するモチベーションが向上するよう努めたいと考えています。部署の一人ひとりのモチベーションを上げることで、業務効率や業務成績の向上につなげていく所存です。

まとめ

ビジョンレポートは、従業員が自身の将来の展望や未来像を書いたレポートです。正社員登用時や昇進試験で提出が求められることがあります。レポートを読むのは上司だけでなく、人事部や役員、社長など様々な人が想定されます。そのため、誰が読んでも理解できるよう、わかりやすい文章で書くことを意識しましょう。

自分の将来像だけでなく、企業に対してどのような貢献が可能なのかに触れることが求められます。ビジョンレポートを書く際には自己分析だけでなく、企業の人材ニーズを把握しておくことが大切です。

タレントパレットは、膨大な人材データを一元管理できるシステムです。採用管理・労務管理だけでなく、人材データ分析・人事評価・人材育成・健康管理・研修管理など、幅広く活用できます。正社員登用時や昇進試験時に、人事として知りたい社員の成長モニタリングを一目で把握することも可能です。人事管理にお悩みでしたら、ぜひタレントパレットの利用を検討してみましょう。

タレントパレットのHPはこちら