やる気がない社員がいると周囲の社員にも悪影響を及ぼす恐れがあるため、対応策が必要です。この記事では、やる気がない社員に対処したいと考えている企業に向けて、やる気がない社員の特徴、問題を放置するリスク、対応策などを解説します。やる気がない社員の発生を防ぐ取り組みについても解説するため、ぜひ参考にしてください。
「やる気がない社員」とは
「やる気」とは、本人が積極的に行動しようとする気持ちです。つまり「やる気がない社員」とは、仕事のために必要な行動に対する意欲がない社員をさしています。やる気がない社員は、企業が求めている成果も生み出せません。また、周りの社員にも悪影響が及ぶ可能性があります。
「やる気がない社員」の3つの特徴
やる気がない社員には、どのような特徴があるのでしょうか。ここでは、主な特徴について解説します。
言動が否定的・消極的である
やる気がない社員は、マイナスな言動が目立ちます。常にネガティブ思考で物事を捉えており、不満を言う機会が多いです。ただし、自ら改善するための行動は起こしません。また、ミスをした際も言い訳ばかりします。取り組む前からできない理由を探し、新しい業務をなかなか引き受けない場合が多いです。やる気がない社員の否定的・消極的な言動を解消するためには、根本的な原因を明らかにする必要があります。
他責思考が強い
他責思考とは、何でも他人に責任があると考えることです。万が一失敗した場合、原因が自分ではなく環境や周囲にあると考え、責任を転嫁しようとします。失敗の理由を正しく認識しようとせず、改善に対する意欲も見受けられません。業務に対して無責任であり、失敗に対して言い訳をします。
最小限の仕事しかしようとしない
やる気がない社員には積極性がなく、最小限の仕事だけをしようとします。基本的に受け身であり、与えられた仕事以外はしようとしません。当初想定していない仕事を任せようとすると、自分の仕事ではないと主張します。業務に対して時間を多くかけるものの、対応は雑な場合が多いです。やる気がない社員は最小限の仕事しかしないため、チームや組織に貢献する意欲もありません。
「やる気がない社員」がいるリスク
やる気がない社員の存在は自社にとってリスクです。具体的なリスクについて詳しく解説します。
周囲の社員に悪影響を及ぼす可能性がある
やる気がない社員は、周囲の社員にも悪影響をもたらします。やる気のない社員の存在は、積極的に仕事に取り組んで成果を出している社員が不満を感じる原因になるからです。やる気のない社員が近くにいると、仕事に対するモチベーションが低下しやすくなります。その結果、やる気のない社員が増える可能性が高いです。また、やる気がない社員が増えるほど、組織全体の生産性が著しく低下する恐れもあります。
定着率が低下する可能性がある
すでに述べたとおり、やる気がない社員がいると、周囲の社員のやる気も失われる可能性があります。社員の仕事に対するモチベーションが下がれば、離職の原因にもなるでしょう。
また、社員が仕事に一生懸命取り組み続けているとしても、やる気がない社員をフォローする負担が増えれば離職のきっかけになります。結果として優秀な人材が流出する恐れがあるため、注意が必要です。
社員のやる気を失くす5つの要因
社員のやる気はさまざまな要因により失われる可能性があるため、注意が必要です。具体的にどのような要因があるか解説します。
待遇に問題がある
社員がやる気を失くす理由の1つとして、待遇の問題が挙げられます。たとえば、仕事量が多いにもかかわらず、報酬が低い場合です。また、最低限の福利厚生しかなく、社員が不満を感じているケースもあります。報酬や福利厚生は、社員が自社で働く動機づけとして重要です。
社員が待遇に満足できていないと、仕事に対するモチベーションも大きく低下します。その結果、やる気がない社員が増える恐れがあるため、適切な待遇を実現することが大切です。
社員教育の環境が整っていない
十分な社員教育を受けられる環境が整っていない場合も、社員がやる気を失くす恐れがあります。こまめな指導、評価、適切なサポートを受けられない状況では、社員が企業から放置されていると感じる可能性が高いです。仕事に対して虚しさを感じ、やる気も喪失します。また、社員が成長に対して意欲をもっていても、スキルアップを支援する仕組みがないとやる気は低下するでしょう。
人間関係に問題を抱えている
仕事の人間関係も、社員のやる気に大きな影響を与えます。上司、部下、同僚などとの関係に悩みを抱える人は少なくありません。人間関係の問題は大きなストレスになりやすく、仕事に対するモチベーションを著しく低下させる恐れがあります。
たとえば、仕事に真剣に取り組むあまり、上司が部下に高圧的な態度をとっているケースもあるため、要注意です。また、社員同士が気軽にコミュニケーションをとるための機会も積極的に設ける必要があります。
正当に評価されない
評価に問題がある場合も、社員のやる気の低下につながります。特に、社員自身が正当に評価されていないと感じやすい状況では、積極的に仕事に取り組もうという意欲は低下しがちです。
たとえば、仕事の成果と関係なく年功序列で昇進が決まったり、成果を出しても評価されなかったりする環境では、社員が不満をもつ可能性があります。正当な評価を受けられないと感じるためです。自分の能力や将来に対して不安が募り、仕事に対するやる気も失う恐れがあります。
与えられた仕事のやりがいがない
与えられた仕事に社員がやりがいを感じられないと、やる気を失くす原因になります。たとえば、社員自身の望みとは異なる仕事を割り振った場合や、同じ作業の繰り返しで達成感を得られない場合などです。社員が意欲的に仕事に取り組むには、やりがいが重要な意味をもちます。
「やる気がない社員」への対応策
やる気がない社員を放置すると周囲に悪影響を与えるリスクがあるため、対策が必要です。ここでは、具体的な対応策について解説します。
スキルを伸ばす機会を与える
社員がやる気をもって仕事に取り組めるようにするには、本人のスキルを伸ばす機会を用意しましょう。スキルを伸ばすサポートをすれば、社員が自分の能力を最大限に生かすことが可能です。そのためには、リカレント教育の推進が向いています。リカレント教育とは、生涯を通して学ぶことです。
たとえば、資格を取得するために必要な費用を企業がサポートする方法があります。資格取得という明確な目標があれば、社員自身も積極的にスキルアップに取り組める可能性が高いです。
目標を設定する
社員が積極的に業務を遂行するためには、明確な目標の設定も有効です。社員自身のキャリア設計に関わる目標を設定しましょう。行動の指針となるロールモデルを用意すれば、目標を達成するために具体的に何が必要か分かりやすくなります。また、組織全体の目標も共有し、自社の方向性に対して共感を得ることも大切です。
あえて責任のある業務を任せてみる
過小評価や裁量権のなさにより社員がやる気を失くしているなら、あえて責任のある業務を任せるという選択肢もあります。仕事に対する責任感は、やる気を生み出すために必要な要素の1つです。責任のある業務に取り組むと、社員が自分自身の存在価値を認識するきっかけになります。
ただし、業務を丸投げせず、成功のために必要なフォローにも力を入れましょう。責任のある業務を成功させたという経験をすれば、その後の業務にもやる気をもって取り組みやすくなります。
「やる気がない社員」を出さないための効果的な取り組み
やる気がない社員への対応策だけでなく、やる気がない社員を発生させないための取り組みも重要です。ここでは、効果的な方法を解説します。
コミュニケーションの活性化に取り組む
社内のコミュニケーションが円滑でない場合、やる気がない社員を発生させる原因になります。そのため、やる気がない社員を出さないためには、コミュニケーションの活性化が重要です。たとえば、1on1ミーティングを実施したり、コミュニケーションツールを導入したりし、社内の交流を促しましょう。社員同士が褒め合い、認め合う風土を醸成できると、多くの社員がやる気をもって仕事に取り組みやすくなります。
正当な評価ができるよう制度を見直す
やる気がない社員を生じさせないためには、社員を正当に評価するための制度を構築する必要があります。社員が成果を出しても正当に評価されない場合、仕事に対するやる気を失う原因になるからです。評価制度の見直しは、社員のやる気を高めるためにも重要といえます。
評価制度を見直す際は、まず評価の具体的な基準を明らかにしましょう。そのうえで、すべての社員を公平に評価できる仕組みを構築することが大切です。さらに、社員を評価した際に結果を詳しくフィードバックする体制も整える必要があります。正当な評価を実現し、それを社員自身が感じられる環境をつくりましょう。
人材育成の体制を整える
人材育成により社員のスキルを伸ばす体制を用意すると、やる気がない社員の発生を防げます。1人ひとりの能力や適性を把握したうえで、それぞれにとって最適な教育の機会を提供しましょう。自分の力や仕事ぶりがよく見られていると感じると、社員の仕事に対するモチベーションが向上しやすくなります。たとえば、社員のニーズに応じた研修やOJTなどを実施すると効果的です。
社員のやる気は「従業員エンゲージメント向上」がカギ
従業員エンゲージメントとは、自社に貢献したいと考える自発的な意欲のことです。従業員エンゲージメントが向上すると、社員のやる気も高まります。上記で解説した、コミュニケーションの活性化、正当な評価制度、人材育成などは、従業員エンゲージメントを向上させるうえでも有効な施策です。
従業員エンゲージメントが向上すれば、自社の役に立ちたいと考える社員も増加します。やる気をもって仕事に取り組む社員が多くなり、企業として高い成果を出せる可能性が高いです。
「従業員エンゲージメント向上」について詳しい資料を以下で紹介しているため、あわせて参考にしてください。
タレントパレットの導入事例
タレントパレットは、幅広いタレントマネジメント機能を搭載しているツールです。これまでの導入事例のうち、やる気がない社員の対応策として効果を発揮した事例を紹介します。
青山商事株式会社の導入事例
青山商事株式会社は、人材の採用、育成、配置、定着、活躍をワンストップで管理するため、タレントパレットを導入しました。その結果、社員1人ひとりのキャリアやスキルの可視化に成功し、社員自身の意識も向上しています。社員が自分の成長について客観的に確認でき、自信につながったためです。
また、面談の履歴をシステムに記録し、後から確認できるようにしています。これにより、評価のミスマッチも解消されました。加えて、社員の情報を互いにチェックできるため、社内のコミュニケーションもスムーズになっています。
※参考:青山商事株式会社 | タレントマネジメントシステムならタレントパレット
株式会社ニチレイの導入事例
株式会社ニチレイでは、タレントパレットの導入によりグループ横断の社内公募がしやすくなりました。その結果、社員からの応募数がそれまでの2倍以上になっています。
さらに、社員のキャリアプラン支援、リスキリング、離職防止などの取り組みもスムーズに展開できるようになりました。また、すべての社員が無料でTPI適性検査を受けられ、その結果を配置にも生かしています。適材適所の人材配置が可能になり、社員の仕事に対するやる気も高められました。
※参考:株式会社ニチレイ | タレントマネジメントシステムならタレントパレット
西部ガスホールディングス株式会社の導入事例
西部ガスホールディングス株式会社は、2021年にホールディングス化した企業です。グループにはさまざまな業界・業種の企業が含まれており、それぞれの社員の資格やスキルなどをグループ横断で可視化する必要がありました。タレントパレットの導入により、グループ戦略ポータル機能を活用してグループ全体の社員の状況を把握できるようになっています。
社員のモチベーションの維持も課題となっており、研修管理やeラーニングの機能なども活用しているところです。入社3年目までの若手社員を対象にパルスサーベイを実施し、モチベーションに問題がないかチェックしています。また、システム上でキャリアデザインシートを使用し、社員のキャリア形成も支援し始めました。TPI 適性検査も行い、フィードバックやキャリア面談に生かしています。
※参考:西部ガスホールディングス株式会社 | タレントマネジメントシステムならタレントパレット
株式会社プレナスの導入事例
株式会社プレナスは社員の評価と報酬の関係が明確ではなく、社員のモチベーションを保ちにくいという課題がありました。そこで2023年3月に評価制度を刷新し、評価を報酬に直接反映する仕組みを導入しています。評価に対する社員の納得感を重視した評価制度に生まれ変わりました。
評価制度の刷新に合わせてタレントパレットも導入したところ、より柔軟な評価制度の構築につながっています。たとえば、アンケート機能を活用してパルスサーベイを実施し、社員のコンディションをこまめにチェックできるようになりました。社員の実際の状況を把握しやすくなり、離職の防止にも役立っています。
※参考:株式会社プレナス | タレントマネジメントシステムならタレントパレット
まとめ
やる気がない社員がいると、周囲の社員もやる気を削がれる可能性があります。社員のやる気を引き出すには、目標を設定したりスキルアップの機会を設けたりすると効果的です。また、やる気がない社員を発生させないためには、コミュニケーションの活性化や正当な評価制度の構築にも取り組む必要があります。
タレントパレットは社員に関する情報を管理し、有効活用するためのツールです。単に社員のスキルや能力を把握するだけでなく、仕事に対するやる気もチェックできます。最適配置、人事評価、離職防止などにも利用可能です。大手企業をはじめとし、多くの企業に導入されてきた実績があります。コンサルティングの知見もあるため、ぜひ導入を検討してください。