無断欠勤による解雇は慎重な判断が必要!正当性を確保するための5つのポイントを解説


無断欠勤による解雇は慎重な判断が必要!正当性を確保するための5つのポイントを解説

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。「無断欠勤が続く社員の解雇を検討している」「解雇をする際の注意点が知りたい」と、お悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。


無断欠勤が続くと自社の業務に影響を及ぼすため、解雇を検討する場合もあるでしょう。しかし、解雇は簡単に行えるものではありません。対応を間違えると、自社が不利益を被る可能性があります。

そこで本記事では、無断欠勤で解雇をする手順や注意点を解説します。無断欠勤で解雇する前に取るべき対応や、適切な対処法が分かる内容になっているので、ぜひ最後までお読みください。

無断欠勤とは「会社に連絡をせず休むこと」

無断欠勤とは、会社が求める手続きや報告をせずに社員が勝手に休むことを指します。法律上の定義や規定はありませんが、就業規則として欠勤する場合の申請方法が定められている場合が多いです。そのため欠勤の理由が正当なものではない場合も、無断欠勤として扱われる場合があります。


無断欠勤は業務の遅延やほかの社員への負担増加など、企業全体に悪影響を与える要素となります。正当な理由のない無断欠勤が継続して行われている場合は、原因を正確に把握して適切な対応が必要です。


無断欠勤が原因の懲戒解雇と普通解雇の違い

無断欠勤により解雇する場合は「懲戒解雇」もしくは「普通解雇」を適用することが多いです。ただし、どちらを適用する場合でも正当な理由があることが前提となります。この章では「懲戒解雇」と「普通解雇」の違いを解説するので、適切な対処と認められる条件を理解しておきましょう。


懲戒解雇

繰り返し行われる無断欠勤は、業務やほかの社員に大きな影響を与えるため懲戒処分の対象となり得ます。しかし懲戒解雇は非常に厳しい処分であるため、適用には慎重な判断が必要です。そのため懲戒解雇を適用する場合は、厳格な手続きと合理的な理由に基づいて行わなければなりません。懲戒処分が認められるポイントは、以下のとおりです。


  • 就業規則に基づく規定があること
  • 違反行為の重大性
  • 事前の警告や指導
  • 処分の適切性
  • 合理的な理由と手続き


懲戒解雇を適用するためには、該当する事由を就業規則に定めておく必要があります。たとえば「14日以上無断欠勤をすると、懲戒解雇できる」と定めていれば、該当する社員に対して懲戒解雇を適用できます。


ただし、無断欠勤だけでは不当解雇となるリスクがあるため注意が必要です。「違反行為が業務に大きな影響を与えている」「警告や指導を行った後の処分であること」など、合理的な理由に基づいた適正な手続きであると証明できるかがポイントとなります。


普通解雇

普通解雇は、従業員が業務を適切に遂行できない場合に行われる解雇です。一般的に労働者が「職務を果たさない」「業務に支障をきたす」など、職務遂行能力がないと判断された場合に適用できます。労働提供の義務が果たされない場合に適用できるので、無断欠勤は普通解雇の対象となり得ます


普通解雇は民法627条に基づく適用となるため、就業規則に規定がなくても行えますが、解雇予告や通知が30日未満の場合は解雇予告手当が必要です。また、懲戒解雇は14日以上の無断欠勤で認められる場合が多いですが、普通解雇は日数が不足していても認められる可能性があります。ただし、社員に改善の機会を与えた上で実施しなければなりません。解雇の理由が合理的かつ適正な手続きが踏まれている場合に限り、法的に認められる解雇となります。


無断欠勤による解雇の正当性を担保するために満たすべき条件

無断欠勤を理由に解雇を行う際は、慎重な判断と適切な手続きを踏んでいることが重要です。無断欠勤による解雇の正当性を証明するためには、以下の条件を満たす必要があります。


  • 14日以上無断欠勤している
  • 無断欠勤を証明できる物的証拠がある
  • 就業規則や労働契約書に解雇事由として定めている


解雇の正当性を主張できなければ、不当解雇として企業側が訴えられる可能性が高まります。無断欠勤による解雇を実施する際は、ポイントを押さえて慎重に進めましょう。


14日以上無断欠勤している

無断欠勤が14日以上続くと、企業が解雇を検討する根拠として有力になることが多いです。労働基準法では解雇を行う際に「相当な理由」が必要とされており、無断欠勤が14日以上であれば企業にとって「業務に支障をきたしている」と判断される可能性が高くなります。

ただし、法律上の明確な基準として「14日以上」と定められているわけではないので、無断欠勤が14日以上続いていても直ちに解雇できるとは限りません。該当社員への出社命令や解雇予告または解雇予告手当の支払いなど、必要な手続きを行ったうえで慎重に進める必要があります。

無断欠勤を証明できる物的証拠がある

無断欠勤を理由に解雇を行う際、物的証拠は正当性を確保するための重要な要素となります。証拠不十分だと、社員に訴えられた際に不利になる可能性が高いからです。無断欠勤の事実を証明する物的証拠には、以下のようなものがあります。

  • タイムカード
  • 勤怠システムの記録
  • 出勤簿


物的証拠があれば企業は無断欠勤の事実に基づいた判断であることを証明でき、解雇は合理的であると説明する際に役立ちます。物的証拠をもとに無断欠勤が繰り返されている事実を具体的に示し、懲戒処分や解雇の手続きを行うことで企業が社員に対して公平かつ透明な対応をしていると主張できます。

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就業規則や労働契約書に解雇事由として定めている

無断欠勤を理由に解雇を行う際に正当性を担保するためには、就業規則や労働契約書に解雇事由として「無断欠勤」を明確に定めていることが重要です。無断欠勤が解雇事由として含まれている場合、企業規則に従って適切に対応していると主張できます。また労働契約書に解雇事由を明記することで、無断欠勤を繰り返した場合に解雇される可能性があることを、社員が認識していると判断される可能性が高いです。


無断欠勤を解雇事由として明確に定めておくことで、解雇の正当性が強化されます。就業規則や労働契約書に記載された内容に基づいて解雇を行うことで、不当解雇を防ぐとともに法的なトラブルを避けられます。


無断欠勤を続ける社員に対応する際の基本の5ステップ

無断欠勤が発生してから解雇に至るまでには、以下の5つの手順を踏む必要があります。


  • 社員の安否を確認する
  • 欠勤理由を確認して指導・教育する
  • 欠勤理由や状況に応じた処分を行う
  • 無断欠勤を繰り返す場合は休職や退職について話し合う
  • 解雇を検討する


無断欠勤が頻発しているからという理由で、いきなり解雇はできません。適切な手順を踏んでいなければ、社員から「不当解雇」であると訴えられる可能性があります。無断欠勤が続いている場合は、ここで紹介する手順で対応しましょう。


社員の安否を確認する

無断欠勤が発生した際は直ちに本人に電話やメールで連絡を入れ、安否確認を行いましょう。事故や急病などにより無断欠勤した場合、社員が連絡できる状態でない可能性があります。寝坊や出勤日を勘違いしていたなどが理由であれば、すぐに連絡がつく可能性が高いです。

また本人ではなく、家族や親せきなどの事情により欠勤している場合も考えられます。本人は無事でもパニックに陥っていたり、対応に追われたりしていて連絡が取れない可能性があります。すぐ連絡がつかない場合は、時間を置いて再度連絡してみましょう。

欠勤理由を確認して指導・教育する

本人の無事が確認できたら、無断欠勤の理由を尋ねます。本来、無断欠勤は重大な契約違反です。無断欠勤が業務に影響を与える可能性がある旨を伝え、厳重に注意する必要があります。とくに寝坊や出勤日の勘違いなど自己管理不足の場合は、本人の意識を変えてもらうなど再発防止に努めましょう。また無断欠勤を何度も繰り返す場合は、その都度指導・教育を行います。指導・教育を怠ると無断欠勤を容認していると認識されるため、毅然とした態度で対処することが大切です。

一方で、無断欠勤の理由がハラスメントや精神疾患などが理由の場合は適切なケア・フォローが必要です。ハラスメントや精神疾患は職場環境が原因のケースがあり、厳しい注意は企業への不信感につながる可能性があります。

基本的に無断欠勤は注意すべき事案ですが、事情にあわせた適切な対応が必要です。ハラスメントや精神疾患が理由の場合は、人事労務担当者が指導を行った方が良いケースがあります。被害者だけでなく加害者にも話を聞いた上で、適切なケア・フォローを行いましょう。

欠勤理由や状況に応じた処分を行う

無断欠勤を繰り返すという理由だけでは、解雇は難しいのが現状です。とくにハラスメント・精神疾患などは企業に原因がある可能性があるため、慎重な対応が求められます。ただし、明らかに社員に非がある場合は適切な処分を行うべきです。処分の種類には、以下のようなものがあるます。

  • 顛末(てんまつ)書
  • 出勤停止
  • 減給


顛末(てんまつ)書とは、仕事上のミスやトラブルを社内に報告する文書です。無断欠勤が発生した経緯や、対応などを記入させましょう。顛末(てんまつ)書は、企業側が指導・教育を行った証拠になるため、一定期間保管しておきましょう。

出勤停止の場合は、期間中の給与を支給する必要はありません。また、法律で期間が定められていないため、企業側が設定できます。何度注意しても改善されない場合は、減給も可能です。ただし、減給は就業規則に記載がないと執行できません。

また、減給できる金額は法律で定められています。具体的には、月給に対して10分の1以下あるいは平均賃金1日分の半額以下までです。いずれの処分も就業規則に従う必要があるため、内容を確認して適切な判断を下しましょう。

無断欠勤の理由は社員それぞれ異なるので、原因を正しく把握して状況に応じた対応を取ることが大切です。理由や状況に応じて柔軟かつ適切に対応することで、無断欠勤に対する処分が公正で妥当なものとなり、従業員との信頼関係も維持できるでしょう。

無断欠勤を繰り返す場合は休職や退職について話し合う

無断欠勤が続く場合、ただ解雇を検討するのではなく、社員が欠勤の理由や状況にどのように対応するかを一緒に考えることが大切です。社員の健康や職場でのストレスなどが原因となっている場合もあるため、企業側として理解を示す姿勢が求められます。

休職制度がある場合は利用を促し、時間をとって社員の回復や問題解決に向けてサポートしていくことも検討しましょう。復職が難しい状況である場合は、本人の意思を確認しながら退職を勧めます。退職について話し合う際は条件や手続きを明確にし、社員が納得できるよう配慮することが重要です。一方的に退職を強制するような言動は、ハラスメントと判断される可能性があるため注意しましょう。

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解雇を検討する

「退職勧奨に応じない」「連絡が取れない」など話し合いでの解決が難しい場合は、解雇を検討します。解雇は原則執行日の30日前までに該当社員に予告を行い、通知書を作成します。解雇予告は口頭ではなく、書面で告知しましょう。口頭では告知した証拠が残らないため、不当解雇を訴えられた際に企業側が不利になる可能性があります。また、解雇通知書はコピーまたはデータ保管しておきましょう。

無断欠勤による解雇の正当性を確保するための5つのポイント

解雇が不当とならないためには、適切な手続きと合理的な理由が必要です。とくに無断欠勤に基づく解雇は正当性が争われる可能性が高いため、慎重な対応が求められます。解雇の正当性を確保するためのポイントを理解し、社員との信頼関係維持と企業の法的リスクを最小限に抑えた対応を行いましょう。

法的手続きを遵守する

無断欠勤を理由に解雇を行う際には、法的手続きを遵守することが大切です。適切な法的手続きを踏まなければ、不当解雇と見なされるリスクが高まります。労働基準法では、解雇する際には少なくとも30日前に解雇予告を行わなければならないとしています。労働者に改善する期間を設け、解雇理由について通知することが重要です。

事前に警告を行う

無断欠勤を繰り返す社員に警告を行い、自分の行動に問題があることを認識してもらう必要があります。まずは、社員自身に改善の必要があることを理解してもらわなければなりません。警告は口頭または書面で行い、無断欠勤が業務に与える影響や改善を求める意図を明確に伝えましょう

警告後は一定の期間を設け、改善の兆しが見られない場合に解雇を検討することが推奨されます。警告を行わずに即解雇を決定すると、不当解雇と見なされるリスクが高くなるため危険です。事前の警告を通じて解雇が最終手段であることを示し、法的にも公平な手続きであることを当該社員に理解してもらうことが重要です。

改善・弁明の機会を提供する

無断欠勤を繰り返す社員を解雇する際、根拠が合理的で公平であることを証明する必要があります。労働契約法では、労働者の権利を不当に侵害しないために解雇に関する規定を設けています。正当な理由がないと判断されれば、不当解雇とみなされる可能性が高いため注意が必要です。

そのため欠勤の理由や改善策について社員自ら説明する機会を与え、欠勤の理由や背景を理解することが大切です。改善の機会の提供と具体的な改善期限を設定したうえで、その後の行動に基づいて判断します。

社員に対して十分な改善・弁明の機会を提供したにも関わらず、改善の意向を示さなかった場合は解雇が適切であると認められる可能性が高くなります。適切な手順を踏み、解雇が正当な処分であることを証明することが重要です。

正式な解雇通知を発行する

解雇通知は、解雇の決定を正式に社員に伝えるための文書です。解雇が適法であることを証明するために、不可欠な手続きです。通知は書面で行い、以下のような内容を明記します。

  • 解雇の理由
  • 解雇の効力が発生する日付
  • 解雇に至るまでの経緯や警告


正式な解雇通知を発行することで、社員に対して解雇が一方的な措置ではなく、会社の規定や法律に則った手続きを経て行われたことを示せます。解雇通知を発行する際は「直接手渡し」もしくは、社員が受け取ったことを証明できる「内容証明郵便」で送付すると良いでしょう。正式な解雇通知を発行することで、企業側は適切な手続きを行ったことを立証できます。

解雇後のフォローと適切な支援を行う

解雇が決定された後、社員は心情的な不安や混乱が生じることがあるでしょう。解雇後のサポートを適切に行い、企業としての責任を全うすることが大切です。解雇された社員は、今後の生活やキャリアに対する不安を感じます。解雇の理由を丁寧に伝えたのち、再就職支援や相談窓口の案内を行うなど十分な支援を提供します。

また、退職手当の支払いや社会保険の処理など、必要な行政手続きは速やかに行いましょう。社員に対して企業の配慮を示し、今後の労働紛争や訴訟を避けるためにも有効です。適切なフォローを行うことで解雇が一方的な措置ではなく、企業が公正に対応していることを示せます。解雇後もサポートを行う姿勢を見せ、社員との信頼関係を守りましょう。

無断欠勤が解雇理由として認められないケース

無断欠勤が理由で解雇ができない事例は、以下の3つです。


  • 事故・急病
  • 精神疾患
  • 職場でのハラスメント・いじめ


解雇を行った場合、不当な処分として該当社員から訴えられる可能性があります。企業が不利にならないように、適切な対処法を押さえておきましょう。


事故・急病

事故や急病が理由の場合は、本人が連絡できなかった可能性があります。社員から連絡または報告があった際は、事情や状況を確認して体調を気遣いましょう。長期入院や治療が必要な場合は、休職手続きなども必要です。また通勤中の事故や急病は、労災に当たる可能性があります。経緯を確認し、労災に該当する場合は手続きなどを行う必要があります。

精神疾患

企業は精神疾患を患っている社員を確認次第、速やかに病院受診を促して診断書を提出してもらいましょう。診断の結果、休職が必要と判断された場合は直ちに手続きを進める必要があります。

精神疾患の原因は、長時間労働や休日出勤など職場環境であるケースも多いです。適切な対応を取らずに解雇した場合、不当として訴えられるリスクが高くなります。精神疾患の場合は、社員のメンタル回復を最優先に考えた対応が必要です。

職場でのハラスメント・いじめ

ハラスメントやいじめなどは、企業側に原因があると考えられるため解雇はできません。十分な調査をしないまま解雇して裁判所に訴えられた場合、不当と判断されて多額の賠償金を支払う可能性があります。ハラスメントやいじめが無断欠勤の理由である場合は、社員のメンタルケアが最優先です。


ただし、社内の人間関係トラブルは中立な立場で対応する必要があります。被害者だけでなく加害者にも話を聞き、事実に基づいた処分を行うことが大切です。また社員とのコミュニケーションを通して、ストレスや悩みごとを抱えていないかを日頃からチェックしておくと良いでしょう。メンタルヘルスの重要性と管理方法を知りたい方は、以下の関連記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。


関連記事:メンタルヘルスとは?原因や対策とあわせてかかりやすい精神疾患を解説

無断欠勤を理由とした解雇の裁判事例2選

無断欠勤による解雇の裁判事例を、有効・無効の2種類に分けて紹介します。できれば裁判は避けたいと考えている企業も多いでしょう。しかし社員に訴えられた場合は、対応しなくてはなりません。どのようなケースで解雇が有効あるいは無効になるのか、確認しておきましょう

解雇が有効と判断された事例

裁判の結果、解雇は有効と認められた事例です。原告側(社員)が業務指示の拒否や会議の欠席などの勤務態度不良により、以下の処分を行いました。


  • 譴責(けん責)
  • 減給
  • 出勤停止


その後、該当社員は無許可で三度早退し、約50日間連続で無断欠勤をしたため、企業は懲戒解雇しました。


本件は、企業側が解雇の前に「譴責」や「減給」などの処分を行っていた点がポイントです。企業は段階的に適切な処分をしていたのにも関わらず、社員は職務怠慢と無断欠勤を繰り返していました。そのため、解雇が認められたと考えられます。

解雇が無効と判断された事例

企業側は45日間の出張命令を原告(社員)に出したが、正当な理由なく無断欠勤をした事例です。後日提出された欠勤届の内容も不十分で、社員の無断欠勤の期間が約3ヵ月以上になったため懲戒解雇としました。


本事例では「不当解雇」の判決が出ています。判決のポイントとなったのは、社員から提出された内容不十分な欠勤届です。提出された内容について、企業が異議を唱えなかったことが挙げられます。そのため、企業の出した出張命令は撤回されたものと判断されています。結果として、社員の欠勤は一部のみに留まると判断されました。


さらに社員が行った労働局への斡旋申立や労働組合との交渉などに、企業が応じなかったことも不当解雇の判断材料になりました。たとえ長期にわたって無断欠勤したとしても、企業側の対応に問題がある場合は、懲戒解雇にならないことがわかります

無断欠勤による解雇が無効となった場合のリスク

無断欠勤を理由に解雇を行った場合、解雇が無効とされるリスクを十分に理解しておくことが重要です。解雇が無効となった場合、法的な責任や社内外の信頼関係に深刻な影響を与える場合があります。この章では、無断欠勤による解雇が無効となった場合に生じる具体的なリスクを解説します。

賠償金や再雇用を命じられる可能性がある

無断欠勤が解雇理由として正当と認められるためには、企業が解雇に至るまで適切な手続きを踏んでいることを前提としています。社員に「解雇は過剰な対応である」と主張された際、必要な手続きを行っていなければ「不当解雇」と認定されるリスクがあります。


解雇が不当解雇とされると企業は法的な責任を負い、社員に対して賠償金や再雇用を命じられることがあるため注意が必要です。解雇理由が曖昧な場合や無断欠勤の状況が軽微なときは、不当解雇として判断されるリスクがあります。解雇を行う際は法的なリスクを避けるために、慎重な判断と適正な手続きが重要です。

社内の信頼関係に深刻な影響を与える場合がある

解雇処分は、残された社員に対して大きな影響を与える場合があります。無断欠勤による解雇が突然行われた場合、ほかの社員が「自分も同じ目に遭うのではないか」と不安を感じてしまいます。


解雇の決定が不当だと感じられる場合、社内全体に不満が広がり、企業に対する信頼感を損なう恐れがあるため十分な配慮が必要です。解雇処分を決定する際は社内の雰囲気や社員のモチベーションにも配慮し、適切な説明やサポートを行うことが重要です。

社会的評価の低下を招く恐れがある

解雇は企業にとって重大な決定であり、結果が社会的な評価に影響を与える可能性があります。社員が解雇を不当だと感じて訴訟を起こして公になった場合「企業の対応が厳しすぎる」または「不公正だ」といった批判を受ける可能性が高いです。


社外からの批判は、企業の社会的信頼性やブランドイメージに大きなダメージを与えます。社員からの不信感に加え、消費者や取引先からの信頼を失いかねません。現代ではSNSやインターネットを通じて情報が瞬時に広がるため、解雇に関するネガティブな話題が瞬く間に拡散します。


企業が「人権に配慮しない企業」として批判され、採用活動や社員の士気にも悪影響を及ぼす恐れがあります。不当解雇と認定されないように法的な手続きを遵守し、公正な対応を行うことが企業の社会的評価を守るために欠かせません。


まとめ

無断欠勤による解雇を行う際は法的手続き遵守し、適切な対応が求められます。当該社員が訴訟を起こし「不当解雇」と裁判所が認めた場合、賠償金や再雇用を命じられる可能性があるため慎重な判断が必要です。解雇理由の正当性を確保するためには、無断欠勤を立証する物的証拠や就業規則への明記が必要です。


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