こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
「研修計画を立てるポイントを知りたい」「計画を立てるプロセスを知りたい」「研修計画書には何を書けばいい?」と悩む方は多いのではないでしょうか。自社で活躍する人材を育成するには、自社の課題を明確にし、目的に沿った研修計画を立てる必要があります。
そこで本記事では、研修計画の立て方や計画書の基本構成、参考例をお伝えします。自社の課題解決のために必要な研修がわかり、組織力向上や、売上アップにつながりますので、ぜひ最後までお読みください。
研修計画には大きく分けて3つのタイプがある
研修計画とは、企業や組織で働く人材を育成するための手順です。実施する目的や内容によって、研修計画は大きく分けて次の3つがあります。
- 組織全体で取り組む研修計画
- 階層別の研修計画
- テーマ別の研修計画
ひとつずつ解説します。
研修について詳しく知りたい方は、別記事「研修」もあわせてご確認ください。
組織全体で取り組む研修計画
組織全体で取り組む研修計画は、企業における課題解決や事業発展が目的です。企業を取り巻く環境は日々変化しているため、時代の流れに取り残されないためには、組織全体で学ぶことが重要です。そのため、全社員が同じ研修を受講します。
例えば、以下のようなものが挙げられます。
- 多様な雇用形態の部下を持つ管理職向け研修
- ダイバーシティ推進に向けた研修
- 働き方の多様化に向けた研修 など
階層別の研修計画
階層別の研修計画は、新入社員や中途採用者など、特定の対象者向けの研修です。若手の新人社員から経営者層まで、役割・役職に応じた能力開発のために研修を受講します。
階層別研修の例として、以下のようなものが挙げられます。
- 新入社員研修
- 中途社員研修
- 若手・中堅研修
- 次世代経営者研修
- 経営者・役員研修
- シニア研修
- スキル研修
- リーダー研修 など
テーマ別の研修計画
テーマ別の研修計画は、コミュニケーション力向上やハラスメント防止など、特定のテーマへの理解を深め、実践に活かすための研修です。
テーマ別の研修の例として、以下のようなものが挙げられます。
- コミュニケーション研修
- ハラスメント防止研修
- 女性部下を持つ管理職研修
- 業務改善研修
- 人事・労務研修 など
研修計画を立てる前に押さえておきたい5つのポイント
働き方の多様化やオンラインの普及などにより、研修形態は多様化しています。社員や組織全体に対し、効果的な研修計画を立てるには、以下の5つのポイントが重要です。
- 課題を明確にする
- 研修対象の区分けをする
- コンピテンシーモデルを設計する
- 研修目的を明確にする
- 研修後の目標を設定する
課題を明確にする
研修は、企業の課題解決のために行われます。まずは、自社の経営状況や組織全体の実態を把握し、課題を明確にする必要があります。
例えば、テレワークを導入したばかりの企業であれば「仕事に集中しているのか把握できない」「部下とのコミュニケーションが取りにくい」などの課題が見つかるかもしれません。
この場合、働き方の多様化とテレワークに関する研修や、上司向けのテレワーク対応研修などを計画に取り入れると良いでしょう。課題を明確にすることで、必要とする研修テーマが見出しやすくなります。
研修テーマについて詳しく知りたい方は、別記事「研修テーマ」をあわせてご確認ください。
研修対象の区分けをする
計画を立てる前に、研修対象者を階層・レベル別に区分けしておきましょう。同時に、研修は受講者のレベルに合わせることが大切です。
階層別の区分け例は、以下のようなものが挙げられます。
- 新入社員
- 若年層社員(入社5年目くらい)
- 中堅社員(入社10年目くらい)
- 新任管理者(課長レベル)
- 中堅管理者(課長・部長レベル)
- 上級管理者(統括部長・本部長レベル)
- 取締役・経営陣など
階層・レベル別の区分けは企業規模によって異なるため、自社の状況に合わせて行いましょう。
コンピテンシーモデルを設計する
研修を受ける対象者にとって必要な、コンピテンシーモデルを明確にします。コンピテンシーとは、高い業績を上げている人(ハイパフォーマー)の行動特性で、できる社員の行動ノウハウを役割や仕事内容によって組み合わせたものをコンピテンシーモデルといいます。
コンピテンシーモデルを設計するためには、時間と労力を必要としますが、業績向上につながる行動を明確化できるため、社員に必要な研修計画を立てやすくなるでしょう。ハイパフォーマーのように成果を出せる社員が増えれば、組織全体のパフォーマンスが向上し、社員の満足度や生産性の向上が期待できます。
ハイパフォーマーについて詳しく知りたい方は、別記事「ハイパフォーマー」をあわせてご確認ください。
研修目的を明確にする
研修計画を立てるときには、何のために研修を行うのか、目的を明確にしておくことが大切です。目的が定まっていなければ、ただ研修を実施しているだけで、根本的な課題解決につながりません。
研修の目的は、事業の維持発展につながるものや、日常業務に必要な知識・スキルの習得につながるものに分けられます。自社が抱える課題に合わせ、研修を行う目的を明確にしましょう。
研修目的について詳しく知りたい方は、別記事「研修目的」をあわせてご確認ください。
研修後の目標を設定する
研修計画を立てるときには、受講後の目標を設定するのを忘れてはなりません。研修を受ける対象者の課題を考えれば、到達目標が見出しやすくなります。
研修後の目標は大きくせず、細かく設定すると良いでしょう。達成可能な目標を設定すれば、受講者のモチベーション維持につながります。
効果的な研修計画の立て方
この章では、効果的な研修計画の立て方を解説します。
予算と場所を確保する
研修計画を立てる場合、まずは予算と場所を確保します。研修予算を確保する際、企業の事業計画もしくは前年度の研修費用などを参考にすると予算が割り当てやすくなります。補助金や助成金を受けられるケースがあるため、あらかじめリサーチしておくと良いでしょう。
研修を行う場所については、社内・社外のどちらにするかを設定します。社内の場合、あらかじめ使う場所を確保しておきます。社外の場合は、研修を受講する人数や、設備を考慮して予約しておきましょう。
研修費用について詳しく知りたい方は、別記事「研修費用」をあわせてご確認ください。
研修内容を決める
予算と場所を確保したら、どういった研修を行うか内容を決めます。組織の課題解決につながる内容か、なぜ研修が必要なのか考えることが大切です。
例えば、組織力を向上させたい場合、まずはチームの底上げを図ることが重要です。部下のパフォーマンスや問題解決能力を向上させるために、中堅社員向けのコーチング研修が必要だと見出せます。
研修の目的を踏まえ、優先順位を考慮しながら決めましょう。
教育方法を決める
研修内容が決定したら、OJTやOffーJTなど、どの教育方法が適しているか判断して決めます。主な教育方法は、以下のようなものが挙げられます。
- OJT
- OffーJT
- グループ研修
- 集合研修
- e-ラーニング
教育方法が決まったら、講師をどうするか検討する必要があります。内部の社員に講師を依頼するか、外部に依頼するか、研修内容や方法に合わせて設定しましょう。
評価方法を決める
次に、研修の目的が達成されたか確認するための評価方法を決定します。評価の時期は、研修実施から実施後とします。
研修後にアンケートやヒアリングを行えば、理解度や満足度を測定できるでしょう。また、テストを行えば、研修の理解度や到達度を測定できます。さらに、日々の業務で実践する中で、実際にアウトプットできているかどうかも評価基準となります。
研修評価について詳しく知りたい方は、別記事「研修評価」をあわせてご確認ください。
スケジュールを調整する
研修内容や方法が決まったら、講師や研修対象者の予定を確認し、スケジュールを調整しましょう。外部講師の場合は予定を調整しにくいため、なるべく講師の予定を優先し、社員のスケジュールは柔軟に調整します。
研修日程は、社内の行事や繁忙期などに重ならないよう、業務に余裕のある時期を選択するようにすると良いでしょう。
研修スケジュールについて詳しく知りたい方は、別記事「研修スケジュール」をあわせてご確認ください。
研修を実施する
具体的な内容が決まったら、対象者へ告知して実際に研修を行います。研修を行う当日の流れを細かく決めておくと、スムーズな研修につながりやすくなります。
効果測定と改善を行う
研修は実施して終わりではなく、受講者がどれだけ理解できたか、成果はあったか、効果測定が重要です。研修の効果測定が必要な理由は、次の4つです。
- 研修の改善点を見出すため
- 研修プログラムの継続を判定するため
- 課題解決につながるか判断するため
- 予算を適正化するため
研修効果測定について詳しく知りたい方は、別記事「研修効果測定」をあわせてご確認ください。
研修計画書の基本構成と参考例
研修を行う際、研修計画書を作成してまとめると漏れ防止につながります。研修計画書の様式は企業や研修期間によって異なりますが、基本的には次の項目を記載します。
- 研修名
- 研修対象者・募集人員
- 実施日時・日数・回数など
- 場所・会場
- 研修の目的・目標
- 研修の内容・方法
- 担当講師
- その他(受講者への案内など)
研修計画書は、目的や内容・日時などを中心に概要を記載しましょう。以下、研修計画書の例を参考に、自社の状況や研修内容にあわせてアレンジしてください。
【階層別の研修計画書の例】
研修名 | 初任者研修 | ||
研修対象者 | 新規採用社員 | ||
募集人員 | 新規採用社員 全員 | ||
実施日時 | ◯年◯月◯日 9:00〜15:00 | ||
実施日数 | 導入研修1日 業務研修2日 | ||
実施回数 | 社員採用の都度 | ||
場所・会場 | 研修室 | ||
研修の目的・目標 | 職務の役割や専門性への理解を深める 各部署の基礎知識・技能の習得を図る | ||
研修の内容・方法 | 各部門の事業説明 配属部署の責任者による講義・実技など | ||
担当講師 | 〇〇(部署名・役職名など) | ||
その他 | 受講者への案内(当日の注意事項など) |
研修計画のまとめ
研修は、組織全体で行うものや、階層別で取り組むものなどさまざまなものがあり、OJTやOff-JTなど、教育方法も多岐に渡ります。組織が抱える課題を解決するためには、研修を行う目的を明確にし、社員一人ひとりのスキルに合った計画を立てることが大切です。一度立てた研修計画は長く使い回さず、時代の流れに即しているか見直すことが重要だといえます。
タレントパレットは、社員一人ひとりのスキルや研修結果などをデータ化し、一元管理が可能です。時代の流れに即し、必要となるスキルを見える化できるため、パフォーマンスの向上につながります。効果的な研修計画を立て、組織の成長につなげたい方は、お気軽にお問い合わせください。