研修期間中の解雇は可能?条件から不当解雇を避ける方法まで解説


研修期間中の解雇は可能?条件から不当解雇を避ける方法まで解説

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

研修期間中に従業員を解雇することができるかどうか、頭を悩ませる人事担当者の方もいるでしょう。結論からいえば、研修期間中の従業員を解雇することは可能です。

しかし、一定の条件を満たしていない場合、不当解雇の指摘を受けトラブルに発展することもあります。

本記事では、研修期間中に解雇する場合の注意点や条件について見ていきましょう。

研修期間の意味



研修期間とは、入社した従業員に対し業務を遂行するために必要な技術や知識を習得させるための期間です。採用した従業員に対する育成期間といえます。

ここでは、似たような言葉である試用期間との違いや研修期間中に解雇が可能かどうかについて見ていきましょう。

試用期間との意味の違い

研修期間は本採用が決まった後、業務を行うための準備として必要な期間です。対して試用期間とは、企業が従業員の適性や能力などを見極めて、本採用をするかどうか判断するための期間を指します。

試用期間中に企業が「この人は自社にふさわしくない」と判断した場合、本採用には至りません。また、正当な理由なしに解雇することはできないため注意が必要です。なお、解雇する場合は、労働基準法に準じなければなりません。

研修期間でも解雇は可能

研修期間は既に本採用が決まっている期間です。なお、一定の条件を満たした場合は、解雇に至るケースも珍しいことではないといえます。

ただし、試用期間や研修期間中に解雇する場合であっても、労働基準法に準じる必要があり、即日解雇はできません。30日前の解雇予告、または30日分に相当する賃金の支払いが必要になります。

研修期間で解雇に至る場合、さまざまな理由があるでしょう。仮に、企業の体制に問題がある場合には改善しなければなりません。研修期間に何をやるべきなのか、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

「研修期間」については、こちらの記事をご確認ください。

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研修期間中の解雇要件



研修期間中であっても、正当な理由がなければ従業員の解雇はできません。具体的にはどこに注目すればよいか迷うこともあるでしょう。ここでは、研修期間中の解雇要件について詳しく解説します。

勤務態度

体調不良や交通機関の遅延などの理由もなく、遅刻や無断欠席などを繰り返しており、勤務態度に著しく問題がある場合は、研修期間中でも解雇を言い渡すことが可能です。ただし、即時解雇を行うと不当解雇と見なされることがあるので注意しましょう。

勤務態度について本人に注意指導を行い、それでも改善がない場合は解雇に踏み切ることが可能です。

採用時に提出した書類に嘘や虚偽記載があった

採用時に本人が提出した履歴書や職務経歴書などの内容に重大な経歴詐称があった場合、懲戒解雇の対象となることがあります。軽微な虚偽では懲戒解雇の対象とはならないこともある点を把握しておきましょう。具体的には、学歴・職歴・資格・犯罪歴などが該当します。

どの程度が「重大な経歴詐称」か判断に迷った場合は、事前にその経歴詐称が発覚していたら「採用に至ることはなかった」と判断できれば、解雇要件と判断することができます。

業績不振による解雇や逮捕による解雇

研修期間中であっても、会社の業績不振や人員整理による解雇は可能です。ただし、人員削減の必要性などに正当な理由がなければなりません。

また、本人が逮捕されたり、極めて悪質な倫理違反などを行ったりした場合は、懲戒解雇が可能です。就業規則に明記している懲戒解雇の要件に照らし合わせた上で、適正な手続きで解雇しましょう。

研修期間中に解雇する際の注意点

研修期間中の従業員を安易に解雇すると、トラブルに発展する場合があります。通常の解雇と同様、後で不当解雇と指摘されることのないように注意しなければなりません。ここでは解雇する際に注意するべき3つの点について解説します。

指導や注意の記録を残しておく

無断欠勤や遅刻、早退など、勤務態度などに問題があった場合は、記録を残しておくことが大切です。いつどのような注意や指導を行ったのか、指導や注意後も改善が見られなかった旨なども併せて記載しておきましょう。後で不当解雇として訴えられた場合にも証拠として活用できます。

結果だけでなくプロセスも見る

研修を行っても思ったような結果が出せない従業員もいるでしょう。例えば、営業担当の経験者を中途採用したのに、成績が芳しくなかった場合などが該当します。

また、プロセスを確認せず、結果だけで解雇に至ると不当解雇と見なされることがあるため、注意が必要です。

解雇と判断する前には、「従業員に対する指導は適切だったか」「結果だけでなくプロセスも確認した上で問題が生じているといえるのか」といった点を確認しておきましょう。

期間設定が適切かどうかを確認しておく

研修期間の平均的な長さは、1~3カ月程度です。不当に長い場合も従業員が訴訟を起こす可能性があるため注意が必要です。

解雇要件ではないものの、会社にとって不利益となるケースがあるため、研修期間の設定が適切かどうかについて併せて確認しておきましょう。

不当解雇とならないためのポイント

従業員を不当解雇した場合は訴訟を起こされるリスクが生じます。ここでは、不当解雇とならないために気をつけるべきポイントについて見ていきましょう。

解雇の条件に該当した上で猶予期間を設ける

不当解雇とならないためには、解雇の条件に該当しており、正当な理由があることを確認しておかなければなりません。

注意点の1つとして、従業員を解雇する場合、原則として解雇日の30日前までに解雇予告が必要です。解雇予告を行わずに解雇すると、労働基準法違反となり、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。

なお、解雇予告手当として30日分の賃金を支払った上で解雇する場合は、解雇予告の必要はありません。

解雇手続きを省略しない

解雇予告の手続きに関する定めは、特にないといえます。しかし、口頭で解雇予告を行った場合、手元に記録や証拠が残らないため注意が必要です。解雇予告を行った日、解雇日、解雇理由などの記録を残すために、解雇予告は書面で行うようにしましょう。

解雇には適用除外期間あり

労働基準法で、解雇の適用除外期間が定められています。

  • 業務上のけがや病気の療養で休業する期間とその後30日間
  • 産前産後休暇期間とその後30日間


この期間に該当する場合は、解雇することができません。ただし、業務上のけがや病気で休業している従業員で、治療開始から3年経過しても治療が完治しない場合は、平均賃金の1,200日分の打切補償を支払うと解雇が可能です。

まとめ

研修期間中の解雇は、簡単に行うことはできません。しかし「勤務態度に問題がある」「入社書類に重要な虚偽がある」など大きな問題がある場合は、解雇の対象とすることが可能です。

解雇する場合は、原則として30日前までに解雇予告する必要があります。不当解雇のトラブルにならないよう、解雇に関する記録は書面で残しておきましょう。

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