こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
「研修を評価する方法が知りたい」「何を基準に研修を評価すれば良いのかわからない」という方は多いのではないでしょうか。
研修の目的や内容によって、効果が現れる時期が異なります。効果を数値で明確に把握できないこともあるため、適切に研修を評価できているかわからないという方もいるでしょう。そこで本記事では、研修の評価方法について解説します。研修を評価する目的や手段がわかる内容になっているので、ぜひ最後までお読みください。
研修評価は目的達成度の把握に必須
研修の評価は、目的が達成されたか確認するために重要です。社員が新たに身につけた知識や技能を把握するためにも、適切に評価する必要があります。評価をする際は、研修によって目的が異なることに留意しましょう。研修の目的が違えば、評価方法も異なります。目的に合った評価を実施し、研修の継続を判断したり、改善点を洗い出したりしてみてください。
研修の成果が見られるまでの期間も異なるため、評価の時期も大切です。また、研修が業務の向上にどの程度貢献しているのか証明するのが難しいという課題もあります。ただし研修の評価は、社員の知識や技能の定着率を確認する機会です。研修に対する理解度や満足度だけでなく、社員のモチベーションの変化なども評価し、事業目標の達成につながる施策を検討しましょう。
研修の4段階評価法
研修の評価方法として、カークパトリックモデルを用いるのがおすすめです。1954年、ドナルド・パトリックによって構想され、企業における教育設計のためのフレームワークとして知られています。研修の評価にも利用可能です。カークパトリックモデルは、以下の4段階に分類して評価するのが特徴です。
- レベル1:反応
- レベル2:学習
- レベル3:行動
- レベル4:結果
レベルが高いほど、より高度な評価・測定方法になります。レベルごとの評価方法も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
レベル1:反応
レベル1は、研修受講者の反応を評価する段階です。受講者の理解度や満足度を測定するために、研修終了直後にアンケートやヒアリングを行うのが望ましいです。受講者のアンケート結果やコメントなどにより、研修の良し悪しを把握できます。研修を改善するために、アンケートやヒアリングを行うときは、社員に率直な意見を書いたり言ったりするよう促しましょう。
レベル2:学習
レベル2は、受講者が研修の内容をどの程度理解し、知識として身についているのかを測定する段階です。研修の内容が社員に定着していれば、レベル2に到達していると言えます。定着度を確認するために、研修後に筆記テストやロールプレイングなどを実施しましょう。
効果測定は、研修当日から数日以内に行うのが望ましいです。テストやロールプレイングの結果を確認すれば改善点が明確になり、研修の内容を見直せます。
レベル3:行動
レベル3は、受講者が研修で学習した内容を日々の業務で実践できているかを評価する段階です。日々の業務で実践できているか把握するために、定期的に受講者を観察したり面談を実施したりします。研修で学んだことを無意識に行動にできるようになっている状態が理想です。行動を定着させるには、社員へのリマインドが欠かせません。
研修直後ではなく、数ヶ月後〜3年後などある程度の期間を空けてから、社員を観察したり面談を設けたりしましょう。面談を行うときは、研修で学んだことを復習できるような内容にすることが大切です。
レベル4:結果
レベル4は、受講者が研修で学習した内容を実践し、企業実績にどんな影響を与えたのかを測定する段階です。売上アップやサービス向上など、研修の目的によって評価基準が異なります。研修前後の変化を評価するのが望ましいです。
数字で確認できる目標だと、変化を把握しやすいでしょう。例えば、営業成績アップが研修の目的であれば、テレアポや新規開拓の件数などが評価項目になります。
研修を評価する4つの方法
研修の評価方法として、以下の4つが挙げられます。
- アンケート
- 理解度テスト
- 行動観察
- ROI分析
社員の理解度や行動変容など、評価の対象によって方法が異なるので、それぞれ確認しましょう。
アンケート
研修の効果測定で、よく行われるのがアンケートです。研修直後にアンケートを実施し、受講者からのコメントをもとに評価するのが一般的です。
研修後のアンケートでは、以下のような項目が適切であったかを社員に評価してもらいます。
- 講師
- 研修方法
- 難易度
- スケジュール
- 設備
- 題材
そのほか、研修の目標達成度や受講者の満足度の把握に必要な質問があれば、適宜追加しましょう。アンケート項目は、研修の目的によって変更する必要があります。またアンケートを行う際は、管理ツールを導入するのがおすすめです。
弊社が提供している「タレントパレット」なら、社員向けアンケートを簡単に作成できます。自由に質問を設定できるだけでなく、アンケート結果から社員満足度やエンゲージメントを測定可能です。研修の評価を可視化したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
理解度テスト
理解度テストは、研修の理解度や習得度を測定するために欠かせません。受講者が研修で学んだ内容を、自身の知識として定着しているか確認できる評価方法です。テスト結果は、研修の評価に直結します。
筆記だけでなく、実技やロールプレイなども行うのがおすすめです。社員がスケジュール調整しやすいように、テストの実施時期は事前に決めておきましょう。知識やスキルの定着度を測定するなら、研修3ヶ月後程度がおすすめです。また、語学やパソコンなど研修内容によっては、検定試験の受講を勧めるのも良いでしょう。
行動観察
職場における行動観察は、研修で学んだ内容を日々の業務に活かせているか評価するために必要です。研修から一定期間経った後、受講者の同僚や上司にヒアリングを実施します。研修で学習した内容を実践できているか、アンケートやインタビューを通じて確認します。
より厳密に行動や態度の変化を測定するために、研修前後で上司や同僚に対し、受講者についてヒアリングするのも良いでしょう。受講者本人だけでなく、上司や同僚などにも研修を評価してもらえば、客観的なデータが得られます。
ROI分析
ROI分析は、研修のコストに対する業績向上を測定するのに欠かせません。ROIとは、Return On Inverstmentのイニシャルで、日本語で費用対効果という意味です。ROI分析では、投資費用をもとに成果を測定します。
分析する際は、研修を受けた社員だけでなく、比較するために非受講者のデータが必要です。研修の目的に応じて比較するデータが異なるため、設計の段階でどの目標を達成したいのか具体的に設定する必要があります。
売上のように、数字で表せる成果は測定しやすいでしょう。一方で、社内の生産性やサービス品質の向上のように、数字で表しづらい成果もあります。数字で評価できないと、研修にどれほどの効果があるか把握するのが難しいです。そのため「クレームの件数」など、計測可能な業務を評価対象にしましょう。
研修方法について詳しく知りたい方は、別記事「研修」をあわせてご確認ください。
適切に研修評価するための4つのポイント
研修を正しく評価するには、以下の4点に気をつけましょう。
- 研修の目的を決める
- 評価の対象を明確にする
- 評価基準を明確にする
- 経営者視点と研修対象者視点で評価する
研修を改善するためにも、適切に評価できるようになりたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
研修の目的を決める
正しく評価するために、研修の目的を決める必要があります。そもそも目的が定まっていないと、成果を評価できないからです。例えば、研修の目的が「インターネットに関する知識や操作方法の習得」なら、筆記・実技試験などで評価できます。
あらかじめ何のために研修を実施するかを決めておけば、評価自体が目的になることはないでしょう。評価項目や基準を決定する前に、研修のテーマを明確にすることが重要です。
研修テーマについて詳しく知りたい方は、別記事「研修テーマ」をあわせてご確認ください。
評価の対象を明確にする
研修を実施する際には、何を評価するのかを明確にする必要があります。なぜなら、評価の対象は研修によって違うからです。例えば、以下のような評価対象があります。
- 受講者の知識やスキルの習熟度
- 受講者の意欲の変化
- 受講者の行動変容
何を評価するかは、研修の目的に合わせて決定しましょう。研修の前後における受講者の変化を把握できるように、企画段階で評価対象を決めておくことが大切です。
評価基準を明確にする
教育担当者の主観で判断しないように、研修の評価基準を明確にする必要があります。特別な理由がない限り、評価項目のすべてに基準を設けるようにしましょう。売上などは、具体的な数字を評価基準にしましょう。
一方で、知識や技能の習熟度や意欲の向上などは、明確な評価基準を設定しにくいです。主観で評価しないように、理解度テストやアンケートを用いるのがおすすめです。社員が多く、理解度テストやアンケートの集計・分析に時間がかかるという企業は、マネジメントシステムの導入を検討してみてください。
弊社の「タレントパレット」には、評価の項目設定や調整が簡単にできる機能が備わっています。研修の目的に合わせて、柔軟な評価設定ができます。単にデータを蓄積するのではなく、各社員に紐づけることも可能なので、管理の効率化を図りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
経営者視点と研修対象者視点で評価する
研修を評価する際は、経営者と研修対象者の2つの視点を持ちましょう。まず、社員への投資として行った研修の成果が、事業発展や成長に活かされたか経営者視点で考えます。具体的には、売上や社内の生産性など事業発展に直結している項目を評価します。評価した上で投資効果がある研修は継続し、ないものは内容を改善したり中止にしたりするなどしましょう。
一方で、研修が社員一人ひとりの成長や能力開発に、どのように役立っているのか確認する必要もあります。自己肯定感や意欲の向上など、社員が求めているものを研修で提供するためには、対象者視点の評価も重要です。経営者視点でしか評価しないと、社員へ配慮が欠ける原因になるので気をつけましょう。
研修評価のまとめ
研修の評価は、目的を達成できたか把握するために重要です。カークパトリックモデルを採用すれば、行動変容の段階に応じた評価ができます。アンケートや理解度テストなど、対象者に求める行動変容に合わせて手法を選択するのがおすすめです。
細かく項目設定をして評価すれば、必要なデータがもれなく得られる一方で、手間やコストがかかってしまうのが課題です。研修の評価に関するデータ管理を効率化したいという企業は、弊社が提供している「タレントパレット」の導入を検討してみてください。
「タレントパレット」では社員のスキル状態を収集・分析できるので、一人ひとりに適した育成計画を作成できます。また、研修前後のデータを比較すれば、社員の成長度合いを把握も可能です。「タレントパレット」には、研修の企画から評価までの業務を効率化するシステムが備わっているので、ぜひお気軽にお問い合わせください。