企業が成果を出すには、社内のチームビルディングが重要です。チームビルディングとは、具体的にどのようなものでしょうか。本記事では、チームビルディングの意味、目的、方法などを解説します。具体例を提示しながら解説するため、ぜひ参考にしてください。
チームビルディングの目的や5つのプロセスとは?おすすめのゲームも紹介
チームビルディングの意味
チームビルディングとは、チームの構築という意味です。ビジネスシーンでは、求められるパフォーマンスを発揮するためのチームづくりを意味します。チームビルディングが実施されるタイミングは、チームの結成時、新規プロジェクトの開始時、新メンバーの加入時などです。
チームビルディングの目的
チームビルディングには、どのような目的があるのでしょうか。ここでは、チームビルディングの目的について解説します。
チームのパフォーマンス向上
チームビルディングに取り組むと、パフォーマンスの向上を期待できます。メンバーの役割や業務のプロセスが明確になり、チームとしての取り組みを効率化できるからです。それぞれのパフォーマンスが高まれば、プロジェクト全体の生産性の向上にもつながります。
チームメンバーの関係強化
チームビルディングでは、メンバーがコミュニケーションを取りながらアクティビティに取り組みます。そのため、メンバーの関係強化が可能です。メンバー同士の関係が良好になると信頼関係が生まれ、業務にも前向きに取り組みやすくなります。スムーズに情報共有や協力などができるようになるでしょう。
立場によっても目的は異なる
チームビルディングの目的は、立場によって異なります。新人や若手の場合、コミュニケーションスキルや主体性を身につけることが主な目的です。それに対して、中堅の目的は、チームをうまく機能させる能力を鍛えることがあげられます。さらに、リーダーのチームビルディングの目的は、部下を育成して目標を達成させることです。
【屋内】チームビルディングに役立つアクティビティの具体例
チームビルディングを実施するには、屋内と屋外それぞれにおすすめの方法があります。まずは、屋内で行う際に役立つアクティビティの具体例を見ていきましょう。
ペーパータワー
ペーパータワーとは、自立するタワーを紙だけでつくるゲームです。チーム対抗戦とし、最も高いタワーを作ったチームを勝ちとします。限られた時間で可能な限り高いタワーをつくるには、設計や工作などの役割をメンバーで分担すべきです。そのような作業は、実務でチームのメンバー同士が連携する練習にもなります。
ジェスチャーゲーム
ジェスチャーゲームとは、言葉を出さず身振り手振りだけで物事を伝達するゲームです。ジェスチャーをする人はどうすれば周囲の人に伝わるか考え、周囲の人は想像力を働かせてジェスチャーの意図を汲み取る必要があります。言葉に頼らない柔軟なコミュニケーションのスキルが重要です。
マシュマロ・チャレンジ
マシュマロ・チャレンジとは、マシュマロをはじめとし、パスタ、マスキングテープ、紐などを使ってタワーをつくるゲームです。ペーパータワーと同様、チーム対抗戦でタワーの高さを競います。さまざまな材料や道具を組み合わせて活用する必要があり、メンバー同士で話し合いながら協力して作業を進める練習が可能です。
自己紹介ゲーム
自己紹介ゲームとは、ルールに沿って行う自己紹介です。たとえば、冒頭に話す内容を指定したり、時間制限を行ったりします。ルールを用意すると、単に自己紹介するよりも各メンバーの素を引き出しやすいです。また、ルールに合わせてその場で自己紹介を考える必要があるため、臨機応変な対応の練習になります。
伝言ゲーム
伝言ゲームは、正確な内容の維持を目指してメンバーに情報共有するゲームです。有名で知っている人が多いため、ルールをすぐ説明できます。また、伝言ゲームを行う場合、特別な準備や道具の用意は必要ありません。簡単に実施できるため、チームビルディングのために取り入れる企業も多くあります。
ビブリオバトル
ビブリオバトルとは、各メンバーが好きな本を紹介し合うことです。ビブリオ(biblio)とは、本を意味します。実際に読んで面白かった本の魅力を説明し、プレゼンの質を競う討論会です。それぞれの価値観で本を選ぶため、他のメンバーの考えや好みを知れます。社員に読書の習慣を身につけてほしい場合も効果的な取り組みです。
自分史ワーク
自分史ワークとは、自分のこれまでの人生についてプレゼンする取り組みです。自分の歴史をまとめて発表し、他のメンバーからの質問に回答します。メンバーの意外な過去や一面などを知る機会になり、互いに理解を深めるきっかけとして有効です。また、プレゼンする本人も自分について振り返る必要があるため、自己理解も深まります。
条件プレゼン
条件プレゼンとは、特定のキーワードを決め、それに沿うプレゼンを行うゲームです。プレゼンの具体的なテーマは、プレゼンする各メンバーがキーワードをもとに自由に設定できます。キーワードをどのように解釈して取り入れるかは、メンバーの考え方次第です。そのため、プレゼンを通して各メンバーの価値観や人柄などを知ることができます。
ビジネスゲーム
ビジネスゲームとは、チームを組み、他チームと交渉しながら事業の拡大を目指すゲームです。ビジネスとしての交渉が必要であり、チームで協力する体験をしながら実務で役立つ内容を学べます。たとえば、ウィンウィン(win-win)関係の重要性を学んだり、リーダーシップを鍛えたりすることが可能です。
人間知恵の輪
人間知恵の輪とは、10人程度のメンバーが手をつないでつくる輪を「知恵の輪」のように変形させ、別のメンバーが解くゲームです。知恵の輪を解くメンバーは、変形させているところを見てはいけません。メンバー同士で協力する必要があり、普段とは異なるコミュニケーションが生まれます。
人狼ゲーム
人狼ゲームとは、メンバーを市民と人狼のチームに分け、ルールに沿ってチームの勝利を目指すゲームです。人狼はわざと嘘をつく必要があり、市民はその嘘を見破らなければなりません。表情やトーンなどから判断する必要があります。メンバー同士のコミュニケーションを促し、理解を深めるきっかけになるでしょう。
【屋外】チームビルディングに役立つアクティビティの具体例
次に、屋外のチームビルディングに役立つアクティビティの具体例を解説します。
鬼ごっこ
鬼ごっこは、鬼が人間を捕まえるゲームです。遊びの定番であり、ほとんどの人が知っているため、ルールを簡単に説明できます。基本のルールが単純で取り組みやすく、アレンジ次第でオリジナルの楽しみ方も可能です。普段とは異なるコミュニケーションにより、メンバー同士の仲を深めたり、新たな一面を感じたりできます。
ヘリウムリング
ヘリウムリングとは、フラフープを使用してチームの結束力を競うゲームです。メンバー全員で1つのフラフープの周囲に立ち、フラフープを指で持ちます。目標は、全員がフラフープから指を離さず地面に置くことです。実際にやってみると、タイミングがなかなか合いません。制限時間があるため、その間に地面に着くよう全員で協力する必要があります。
スカベンジャーハント
スカベンジャーハントとは、指定された被写体を制限時間のうちに見つけて写真を撮るゲームです。チームを組み、屋外で被写体を探します。メンバー同士の協力が不可欠であり、ゲームを通してチームとしての一体感を生み出すことが可能です。撮影を終えたら、振り返りや反省なども行いましょう。なお、スカベンジャーハントは、工夫次第で屋内でも実施できます。
マインフィールド
マインフィールドは、2人でチームを組んでゴールを目指す障害物競争です。1人は目隠しをし、もう1人が指示を出してゴールを目指します。障害物が置かれたコースを進む必要があるため、適切な指示を出さなければなりません。連携が重要であり、メンバー同士の結束を促せます。
社内の運動会
チームビルディングの取り組みとして社内の運動会を企画し、チームごとにさまざまな競技に挑戦する方法もあります。たとえば、玉入れ、綱引き、障害物競走、騎馬戦などです。運動会当日に向けた準備もチームで協力して取り組むと、コミュニケーションの機会を増やせます。また、チームで連携しながら競技に取り組むと、団結を強化できるでしょう。
BBQ(バーベキュー)
アウトドアで食事を楽しむBBQを実施すると、メンバー同士が打ち解けるきっかけになります。非日常な雰囲気があるため、普段とは異なるメンバーの一面を見られる可能性が高いです。仕事の時間とは異なる会話も多く生まれ、チームの信頼関係の構築にもつながります。また、食事の準備も自分たちで行う必要があり、自主性や周囲に配慮する意識なども養うことが可能です。
合宿・キャンプ
チームビルディングの一環として合宿やキャンプに取り組めば、メンバー同士の距離を縮められます。一緒に生活するため、料理や片付けなどで協力すべき場面も多いです。あえて制限を設けた合宿やキャンプを企画すれば、困難が多いため距離を縮めやすいでしょう。創意工夫を凝らすうえで各メンバーの能力を発揮でき、相互理解も深められます。
チームビルディングの「タックマンモデル」とは?
チームビルディングにおいて「タックマンモデル」を参考にすることも効果的です。ここでは、タックマンモデルの概要を解説します。
タックマンモデルの5段階
タックマンモデルとは、心理学者のタックマンが考案したチームビルディングのモデルです。タックマンは単にメンバーを集めるだけではチームとして機能せず、5段階を経て機能すると示しました。5段階とは、形成期、混乱期、統一期、機能期、散会期です。以下では、タックマンモデルの5段階についてそれぞれ解説します。
形成期
形成期は、チームがつくられたばかりの時期です。よって、チーム全体に緊張感があります。また、メンバーが互いについてほとんど知らないため、意見や価値観も共有できていません。
混乱期
混乱期は、メンバー同士の意見や価値観がぶつかり合う時期です。それぞれのメンバーは、他のメンバーの考え方、発言、行動などを強く意識しています。プロジェクトそのものは開始していますが、まだチームにまとまりがありません。
統一期
統一期は、メンバー同士で互いの特性を理解して認め合う時期です。対立が減り、それぞれの得意分野を考慮した役割分担も明確になります。一体感が生まれ、チームとしての目標も共有できるようになる段階です。
機能期
機能期は、それぞれのメンバーが自分の役割を理解し、チームに対する影響を考慮しながら行動できる時期です。リーダーから細かい指示がなくても、自立して必要な取り組みができます。チームとしての成果も表れ始めるでしょう。
散会期
散会期は、チームとしての最終的な目標を達成し、メンバーが解散する時期です。目標の達成ではなく、状況の変化やタイムリミットなどが解散の理由になる場合もあります。チームとしての取り組みを振り返り、次に生かすことが大切です。
チームビルディングによる効果
チームビルディングに取り組めば、チームメンバーのモチベーションが高まります。仕事においてより高いパフォーマンスを発揮できるようにもなるでしょう。また、メンバー同士のコミュニケーションを促進し、信頼関係を構築できます。それによりメンバーの結束が強まるため、困難な目標の達成を目指すことが可能です。
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チームビルディングの流れ
ここでは、チームビルディングの全体的な流れについて解説します。
1.具体的な目標の設定
チームビルディングに取り組む際は、まず目標を決めましょう。組織と個人について、それぞれ具体的な目標を設定する必要があります。そのうえで、目標の成功と失敗についてそれぞれ定義することが大切です。また、目標を実現するための取り組みについて、進捗度合いを測定する必要があります。
2.チーム内の役割明確化
チームのメンバーについて、それぞれ役割分担をしましょう。義務が明確になると個々の価値も明らかになるため、責任を持って目の前の課題に取り組めるようになります。各メンバーの集中力が持続しやすく、高い成果に結びつく可能性が高いです。
3.課題解決に取り組む
チームとして対応すべき課題を見つけ、解決に向けて取り組みます。具体的な解決策については、メンバー同士で意見を出し合いながら検討しましょう。話し合いを重ねるとコミュニケーションが活発になり、他のメンバーの意見から刺激を受けられます。それまでとは異なるアイデアが生まれるきっかけになる場合も多いです。
4.対人関係の強化
チームのメンバーが連携して目標達成に向けた取り組みをすると、対人関係を強化できます。大きな目標を達成するには、メンバー間の情報共有やサポートなどが重要だからです。そのため、高度なコミュニケーションもスムーズに行えるようになります。
チームビルディングの主な方法
チームビルディングは、研修により実施されるケースも少なくありません。自己分析を行ったうえで理解を深め、メンバーの親睦を深められます。また、すでに触れたとおり、ゲームを通してチームビルディングに取り組む方法もあります。カジュアルな雰囲気になるため、メンバー同士が打ち解けやすい点が特徴です。
さらに、チームビルディングとしてランチ会や飲み会を開催する場合もあります。リラックスした雰囲気のなかで、メンバーの新たな一面を見られる貴重な機会です。
チームビルディングの企業事例
多くの企業がチームビルディングに取り組んでいる状況です。ここでは、具体的な企業事例を紹介します。
株式会社ぐるなびの事例
株式会社ぐるなびは、チームビルディングとしてウォーキング・ミーティングを実施しています。社長と社員が並んで歩くため、自然な会話を実現できました。上下関係を意識し過ぎずコミュニケーションが取れるようになり、双方の距離が縮まったようです。また、運動を通してリフレッシュでき、新しいアイデアにもつながっています。
株式会社タニタの事例
株式会社タニタは、ビジネスゲームによりチームビルディングに取り組んできます。営業力や組織力が強化され、課題を解決するために何が必要なのか、それぞれのメンバーが積極的に考えられるようになりました。他のメンバーの考え方についても深く知るきっかけになり、業務に生かせる刺激を得られています。
株式会社メルカリの事例
株式会社メルカリでは、おもちゃのレゴでタワーを建てるゲームに取り組んでいます。社員それぞれが制作した作品について、何をどのように考えて作ったかプレゼンする流れです。おもちゃの活用により、それまでの実績や上下関係などを意識させない狙いがあります。
作品について深く考える過程で自己理解を深められるうえに、他のメンバーの人柄や性格などを知るきっかけにもなっているようです。
株式会社日清食品ホールディングスの事例
株式会社日清食品ホールディングスでは、無人島での研修によりチームビルディングを行っています。無人島では、食材の調達や寝床の確保なども自分たちで対応しなければなりません。そのためには、メンバー同士の協力が不可欠です。無人島での生活を通し、コミュニケーションやチームワークの重要性を再認識できます。
株式会社CHINTAIの事例
株式会社CHINTAIでは、さまざまなチームビルディングのイベントを用意し、社員が自由に参加できるようにしました。具体的な内容は、食レポ、図工、筋トレ、演劇など多種多様です。社員が積極的に参加できるイベントの実施により、コミュニケーションの促進につながっています。気軽に取り組めるよう、オンラインでも参加可能です。
トヨタ自動車株式会社の事例
トヨタ自動車株式会社では、チームビルディングの一環として社内で婚活パーティを実施しています。たとえパートナーが見つからなくても、参加したメンバー同士の交流を深めることが可能です。普段は関わる機会が少ない相手とのつながりが生まれる機会にもなります。他の企業ではなかなか見られない、斬新なチームビルディングの取り組みです。
株式会社オリエンタルランドの事例
株式会社オリエンタルランドでは、カヌーレースの実施によりチームビルディングに取り組んでいます。多くの社員が集まる貴重な機会となっており、普段交流が少ないメンバー同士の積極的なコミュニケーションを実現しました。これにより、企業全体に一体感が生まれています。
クックパッド株式会社の事例
クックパッド株式会社は、料理によるチームビルディングを行っています。オフィスにキッチンスペースが設けられており、届く野菜を使用して料理することが可能です。ラウンジスペースも併設されているため、作った料理を囲みながら自然とメンバー同士の交流が進んでいます。ランチタイムだけでなく、特別なイベントを開催してコミュニケーションを促す機会もあるようです。
企業事例から分かるチームビルディングのポイント
企業事例を踏まえると、チームビルディングのさまざまなポイントを把握することが可能です。ここでは、具体的なポイントを挙げて解説します。
上下関係に関わらず取り組めることが重要
チームにはさまざまな立場のメンバーが集まるため、上下関係を意識せず、対等に取り組めるアクティビティを用意する必要があります。堅苦しくない雰囲気を意識すれば、メンバーそれぞれが遠慮せず本来の力を発揮しやすくなるでしょう。
協力して進めるアクティビティを取り入れる
メンバー同士の結束を強めるには、協力が必要なアクティビティを選びましょう。力を合わせて取り組むと達成感を得やすく、信頼関係の構築にもつながります。たとえば、無人島で実施する合宿は、メンバー同士の一致団結が不可欠です。それにより自然と距離を縮められ、業務にも役立てられる可能性があります。
目標は分かりやすく設定する
チームビルディングにおける目標は、なるべく明確に分かりやすく設定しましょう。チーム全体の目標が具体的なら、個人の役割もスムーズに決まります。また、目標が明確であれば、チームに貢献できたかどうかの確認も容易です。達成感を得やすく、次の仕事に対するモチベーションにつながるでしょう。
まとめ
チームビルディングは、メンバー同士の関係を強化したり、スムーズな情報共有を実現したりするために役立ちます。独自のアクティビティを用意する企業も多く、各企業でさまざまな取り組みが展開されているところです。
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