タレントマネジメントとは
スキルや経験といった社員のデータをもとに、人事が適切な配置や評価、教育を行うことをタレントマネジメントといいます。社員を貴重な経営資源と捉え、組織のパフォーマンスの最大化や、経営戦略の達成を目指すための管理手法となっています。
採用においても、タレントマネジメントは、採用すべき人材像の作成・優秀な人材採用の精度向上・採用後の定着などの効果が期待できる手段として、近年注目されています。
人事採用においてタレントマネジメントが注目される理由
人事採用において、タレントマネジメントが注目されているのはなぜなのでしょうか。ここでは、その理由について4つの観点から解説します。
少子高齢化による労働力不足
現在の市場では、少子高齢化によって労働力不足が年々顕著になってきています。これに伴って、人材採用は徐々に難しくなっているのが現状です。人事が社員1人ひとりの能力やスキルを最大限に活用し、適材適所で大きなパフォーマンスを出すことが求められているのです。
終身雇用・年功序列制度の崩壊
従来、日本では年功序列や終身雇用制がスタンダードな雇用体制として根付いていました。しかし、近年の傾向でこれらの価値観は崩壊しつつあり、転職は珍しくありません。
転職が当たり前になるにつれて、社員の正当な評価を行う企業に優秀な人材が集まることが当然の流れとなりました。したがって、優秀な人材を採用するには、タレントマネジメントを活用し、社内の環境を整えることが重要となります。
価値観の多様化
現在は価値観が多様化し、個人が働き方を選べるようになってきています。企業側に従来の制度を押しつけられることを好まない社員も増えているため、適切にタレントマネジメントができていないと、社員の採用も定着も難しくなってしまうのです。
テクノロジーの発達
テクノロジーは近年急速に進化し、グローバル化やデジタル化が進んでいます。人事採用においても、データの蓄積や活用を進めることで、優秀な人材の確保や、社員がさらに活躍するための施策が可能になるでしょう。
人事採用においてタレントマネジメントを活用するメリット
人事採用においてタレントマネジメントを活用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。5つの観点から、それぞれのメリットを確認してみましょう。
採用すべき人材が明確になる
タレントマネジメントでは、自社で活躍する社員の情報を分析する必要があります。これによって、実際にどのようなスキル・経験・価値観・性格を持った人材が自社で活躍しているのかを可視化できます。
可視化されたデータをもとに、採用すべき人材のモデルが作れるため、より的確な採用活動が行えるのです。
採用のミスマッチが減る
自社で必要な人材のモデルが見えると、採用基準が明確になり、優秀な人材を確保する精度が上がります。さらに、離職した人物の特性や傾向を分析すれば、入社前後のギャップによる離職を事前に防ぎ、採用のミスマッチを減らせるのもメリットのひとつです。
採用管理がスムーズになる
タレントマネジメントでは、社員の人材情報について、一元管理・見える化を行います。これができていると、採用直後の社員も適材適所に配置しやすく、人材管理がスムーズになります。
採用後の定着率が上がる
採用した社員が思ったようにモチベーションを高めることができず、すぐに離職してしまうことは、大きな損失です。タレントマネジメントによって、適材適所に配置された社員は、パフォーマンスをしっかりと発揮することができるので、モチベーションが高まる傾向にあるのです。
企業と社員の結びつきが強い状態をエンゲージメントといいます。このエンゲージメントが高まることで、社員の定着率の向上が見込めます。
採用コストが削減できる
優秀な人材を高精度で採用できれば、採用コストの削減につながります。採用にかかる労力も軽減するので、人事担当者の生産性も向上することが期待できるでしょう。さらに、社内の適切な人材を活用することで、育成コストの削減も可能です。
タレントマネジメントシステムを導入する流れ
タレントマネジメントシステムとは、上述したタレントマネジメントをスムーズに行うための、社員のスキルや経験を、まとめて管理することができるシステムです。
HR総研(ProFuture株式会社)が、2020年に公表した「タレントマネジメントシステムに関するアンケート調査」によると、タレントマネジメントを行う企業のうち、およそ7割がシステムを導入しています。ここではタレントマネジメントシステムを導入する流れについて解説します。
※参考:HR総研:「タレントマネジメントシステム」に関するアンケート調査 結果報告|HR総研
1.目的を明確化する
まずはタレントマネジメントシステム導入の目的を明確化しましょう。これは事業戦略とも関わるため、企業のビジョンやミッションと絡めて、システムによって何を解決するのかという課題やゴールを決めることが大切です。
2.システム要件を決める
タレントマネジメントシステムにはさまざまなものがあり、それぞれ機能や価値が異なっています。機能・使いやすさ・拡張性・セキュリティなどに注目し、あらかじめ明確化した自社の目的や課題、企業規模などに合ったものを選択しましょう。
3.システムを決める
システムが自社の目的や課題に合っているかどうかを、システムを提供しているベンダーによく相談し、条件が合うようであれば決定に向かいます。このとき、導入手順やスケジュール、追加料金の有無などを事前に確認してください。
4.社内に周知する
導入スケジュールが決まったら、社内告知を開始しましょう。タレントマネジメントシステムでは、社員の個人情報を詳しく管理することになります。そのことについて抵抗感を示す社員が出ることも想定されるため、導入目的や、システム導入によって社員が得られるメリットなどを伝える工夫が必要です。
タレントマネジメントシステムを活用するポイント
せっかくタレントマネジメントシステムを導入するなら、しっかりと活用していきましょう。タレントマネジメントシステムを活用するにあたって、留意したいポイントを解説します。
継続的にPDCAを回す
タレントマネジメントシステムの運用が始まったら、継続的にPDCAを回すことが重要です。PDCAとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)の頭文字を取ったもので、生産管理などの管理業務を継続的に改善していく手法を指します。
そのため、ただ導入すれば終わりではなく、採用や育成の計画から実際の採用活動、人事評価、異動や社員の能力開発などのサイクルを絶え間なく続けましょう。
PDCAにあたっては社員の意見を聞き、ときに内容や運用面の変更を検討することで、常に自社の成長に役立つタレントマネジメントシステムの運用が可能となります。
目的が曖昧なまま進まない
タレントマネジメントを行う目的が明確になっていないと、方向性を見失ってしまいがちです。この目的は全社員で共通認識として共有すべきもので、曖昧なままタレントマネジメントを行っていると、タレントマネジメントを活用することそのものが、目的になってしまいかねません。
タレントマネジメントの効果を上げるためにも、運用目的について全社員の共通認識を持つようにしましょう。
社員が参加しやすい体制を作る
タレントマネジメントを効果的に行うためには、社員の参加が不可欠です。システムを社員が自由に閲覧できたり、自分自身で情報登録ができたりするなど、社員がマネジメントに参加しやすい体制を作りましょう。
社員がしっかりとタレントマネジメントに参加できることは、組織のコミュニケーションの活性化にもつながります。
大きな影響力があることを考慮する
タレントマネジメントシステムの導入は、先述したとおりの大きな影響力を持っています。スムーズに運用するためには、社内がタレントマネジメントの意図を理解している必要があります。
社員の理解を深めるためには、タレントマネジメントの活用で出た成果を社内報で知らせるなどの工夫が効果的です。また効果のモニタリングや、振り返りの重要性についても、社員向けの情報に盛り込むとよいでしょう。
タレントマネジメントシステムでおすすめのタレントパレット
おすすめのタレントマネジメントシステムに「タレントパレット」があります。どのような機能があるかを紹介するので、参考にしてみてください。
採用管理
タレントマネジメントにおいて重要な採用管理を、タレントマネジメントシステムに任せることができると、人事の負担はとても軽くなります。タレントパレットでは採用に必要な情報を一元管理できる機能があります。一元管理した採用情報を社員データと比較することで、ミスマッチを防止することも可能です。
人材データベース
タレントパレットでは、アイコンに社員の顔写真をつけて管理できるため、プロフィールが一目でわかるという利点があります。経歴・入社・活躍などの人材データを一元管理し、最適な配置を実現してくれるのです。
人材育成・スキル管理
人材の最適な配置や抜擢には、各人のスキルを見える化しておくことが重要です。タレントパレットを使えば過去のスキルを見える化して管理できるだけではなく、ハイパフォーマーの育成パターンを分析し、モデルとして活かせます。
まとめ
人材管理と育成を効率化し、適材適所の人事を実現するタレントマネジメントを的確に行うためには、自社に合ったタレントマネジメントシステムの導入がおすすめです。
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