SNSを活用した採用活動をソーシャルリクルーティングと呼びます。近年はソーシャルリクルーティングに注目する企業が増えている傾向です。この記事ではソーシャルリクルーティングのメリット・デメリットや、実施のポイントを解説するので、ぜひ参考にしてください。
モデル人材を再定義し採用を強化する4ステップ〜タレントパレットで実現する新卒・中途採用の一元管理と最適化〜
ソーシャルリクルーティングとは
ソーシャルリクルーティングとはSNSを活用した採用活動の方法です。従来の採用活動と異なり、企業が採用候補者と直接コミュニケーションを取れます。ソーシャルリクルーティングなら採用コストを抑え、企業が求めるポテンシャルの高い人材にアプローチ可能です。ソーシャルリクルーティングが国内で導入されたのは2009年ごろといわれており、近年さらに注目を集めています。
ソーシャルリクルーティングが注目されている背景・理由
ソーシャルリクルーティングが注目されている背景・理由はさまざまです。近年ではデジタル化が進み、多種多様なSNSが登場しました。世界的に主要なSNSである「X」や「Instagram」、「Facebook」は多くの人が利用しており、それぞれ傾向やユーザー層が異なります。
業界情報やインターン情報の収集のため、就職活動でSNSを活用する人は少なくありません。実際にトガルの調査によると、約6割のZ世代が就職活動でSNSを利用していることがわかっています。そのような背景から、企業はソーシャルリクルーティングで求める人材を見つけられる可能性を高められるでしょう。
※参考:【Z世代のリアル調査】Z世代がSNSを活用して行う就職活動に関する調査 | TOGARU
ソーシャルリクルーティングで活用される各SNSの特性
ソーシャルリクルーティングで活用される主なSNSは下記のとおりです。
・Facebook
・X
・Instagram
・YouTube
・TikTok
それぞれ詳しく解説します。
Facebookは実名登録を前提とした日記形式のSNSです。実名を出して投稿し、利用者の顔写真が公開されているアカウントも多いため、信用性が高いSNSといえるでしょう。基本的に面識がある人同士でのつながりが形成されるため、利用者の交友関係もある程度見て取れます。企業から個別に連絡を取りたい場合にもおすすめです。
X
Xは原則として140字以内の短文で投稿できるSNSです。日常の出来事や考えなどを気軽に投稿でき、比較的若い層の利用者が多い傾向があります。リアルタイム性があり、匿名性が高い点も特徴です。
Xでは投稿が拡散されやすい一方、情報やコンテンツの流れが速いため、企業がアカウントを運用する際は高い投稿頻度を保つ必要があります。また、デマや虚偽の情報でも広がってしまいやすい点には注意してください。
Instagramは写真や動画といった、視覚的なコンテンツの投稿をメインとしたSNSです。おしゃれに関心がありトレンドに敏感な若い層の利用者が多い傾向があります。ファッションや美容関係などの業界であれば親和性は高いといえるでしょう。
フォロワー数が多いユーザーはインスタグラマーと呼ばれ、報酬と引き換えに企業PRを行う人もいます。インスタグラマーは強い影響力があるため、起用すれば企業の宣伝にも効果的です。
YouTube
YouTubeは動画投稿のためのSNSです。あらかじめ制作しておいた動画をアップロードする他、ライブ配信によってリアルタイムで視聴者とコミュニケーションを取れます。YouTubeは若い層のユーザーも多いですが、比較的幅広い年齢層に利用されている傾向です。投稿した動画に広告をつければ収益にもつなげられます。
TikTok
TikTokは原則として最長10分のショート動画を投稿できるSNSです。手軽に視聴して情報収集やトレンドのチェックができるため、若い層のユーザーが多い傾向があります。主にZ世代をターゲットにした新卒採用に向いているでしょう。近年ではTikTokを利用して企業PRを実施するケースが増えています。
ソーシャルリクルーティングのメリット
ソーシャルリクルーティングの主なメリットは下記のとおりです。
・採用コストの削減になる
・ミスマッチの防止につながる
・企業の認知度の向上につながる
それぞれ詳しく解説します。
採用コストの削減になる
企業が採用活動のため求人広告や人材紹介、採用サイトなどを利用するとサービス利用費や掲載料が発生します。一方、SNSなら基本的に無料で利用可能です。SNS運用のための人件費がかかりますが、外部サービスの代金と比べるとコストを抑えられます。サービス利用費や掲載料は安くない場合も多いため、ソーシャルリクルーティングによって採用コストを大幅に削減できるでしょう。
ミスマッチの防止につながる
企業では人材を採用しても、入社後にミスマッチが発覚するケースがあります。人材が思っていた人物像とは異なっていた場合もあるでしょう。また、採用した人材が早々に離職してしまうと、採用や教育にかかったコストが無駄になってしまいます。
ソーシャルリクルーティングならSNSへの投稿から、採用候補者の詳細な情報を確認可能です。採用候補者の人物像を把握しておければ、自社にマッチしているかの判断材料となります。同時に採用候補者も自社の投稿を確認できるため、企業理解が深まるでしょう。結果としてミスマッチの防止につながり、長く働き続けてもらいやすくなります。
企業の認知度の向上につながる
ソーシャルリクルーティングの取り組みによって企業の認知度向上につなげられます。SNSでは企業の魅力を自由に発信可能です。投稿が魅力的だと感じてもらえれば拡散され、広範囲のユーザーにコンテンツを届けられます。SNSなら一般的な企業説明会と比べても、カジュアルな雰囲気でアピール可能です。
投稿が大勢の目に触れることで企業としての認知が進み、採用だけでなく売上の向上にも期待できます。
ソーシャルリクルーティングのデメリット
ソーシャルリクルーティングの主なデメリットは下記のとおりです。
・炎上のリスクがある
・成果が出るまで時間がかかる
それぞれ詳しく解説します。
炎上のリスクがある
ソーシャルリクルーティングのためSNSを運用するうえでは、意図せぬ炎上につながるリスクがあります。たとえば、社員が不適切な投稿をしてしまうと、多くのユーザーからの指摘を受けたり、企業イメージが低下したりする可能性があるでしょう。SNSによっては情報の拡散が速いため、不適切な投稿がまたたくまに広がってしまいます。
近年では企業のコンプライアンス遵守が重視される傾向です。SNSでの炎上を防止するには、社内における運用のルールやガイドラインが求められます。コンプライアンスやリスクマネジメントについて、担当者が研修や教育を受けておくことも効果的です。
成果が出るまで時間がかかる
ソーシャルリクルーティングは成果が出るまで時間がかかります。SNSのアカウントは新しく作成しても、なかなか多くの人には見てもらえません。採用候補者から興味を持ってもらい、信頼してもらうためには地道な努力が求められます。
SNSの運用ではコツコツとコンテンツを制作し、こまめな情報発信が必要です。思ったような効果が短期間で現れなくても、長期的な視点で取り組む姿勢が必要でしょう。
ソーシャルリクルーティングの方法
ソーシャルリクルーティングの主な方法は下記のとおりです。
1.求める人材を明確化する
2.使用するSNSを選ぶ
3.運用ルール・運用体制を構築する
4.情報発信を行う
5.効果検証を行う
それぞれ詳しく解説します。
1.求める人材を明確化する
ソーシャルリクルーティングに取り組むなら、まずは自社がどのような人材を求めているか明確にしてください。前述したようにSNSによってユーザーの傾向は異なります。そのため、アプローチしたい人材によって利用すべきSNSやアピール方法はさまざまです。
ターゲットの人物像がはっきりしていなければ、ソーシャルリクルーティングの軸がぶれてしまい効果が現れにくくなります。ターゲットをしっかりと定めることで適切なSNSの選定が可能です。また、採用候補者にとって魅力的に感じられる投稿を考えられるでしょう。
2.使用するSNSを選ぶ
求める人材が明確になれば、次はターゲットにマッチしたSNSを選びます。自社の業種や社風も踏まえて選定しましょう。複数のSNSを運用すればより多くの採用候補者にアプローチできます。
一方、運用するアカウントが多いほど投稿が疎かになりやすいです。SNS運用の負担が大きいことで、どれもが中途半端になってしまう事態は防止してください。自社のリソースを考慮したうえで、SNS無理なく運用できる体制を整える必要があります。
3.運用ルール・運用体制を構築する
ソーシャルリクルーティングで利用するSNSが決まれば、社内での運用ルールや体制を構築します。たとえば投稿やコンテンツ制作は誰が行うのか、担当者を指名しましょう。アカウントの権限についても決めておく必要があります。
前述したようにSNSの運用は炎上のリスクがつきものなので、運用のルールづくりは重要です。担当者はコンプライアンスの知識があり、かつ魅力的な投稿ができる人材が望ましいでしょう。
4.情報発信を行う
利用するSNSと担当者が決まれば、実際に情報発信を行います。投稿では企業の魅力がわかりやすく伝わるコンテンツを用意してください。たとえば、社内の様子や働く場の雰囲気などを撮影し、動画としてアップロードすれば視覚的に分かりやすい投稿となります。
投稿では常に最新の情報を発信する意識が必要です。古い情報を投稿してしまうと、閲覧したユーザーの混乱や不信感につながる可能性があります。情報発信は継続によって少しずつ見てくれる人を増やせます。そのため、長期的に取り組めるように体制の構築も重要です。
5.効果検証を行う
SNSの運用では一方的に情報発信するだけでなく、投稿を見たユーザーからの反応をチェックする必要があります。ユーザーからのリアクション数を確認し、どの投稿が注目されたか分析してください。分析によって改善点が見えてくるため、投稿内容をより魅力的にブラッシュアップできます。SNSの分析ツールを利用すればより効率的に運用できるでしょう。
もしも投稿に対して期待するほどのリアクションを得られていないなら改善点を探します。利用するSNSや投稿の方向性などを再検討しましょう。
ソーシャルリクルーティングを成功させるためのポイント
ソーシャルリクルーティングを成功させるための主なポイントは下記のとおりです。
・データ活用でモデル人材を定義する
・積極的に候補者とコミュニケーションをとる
・他の採用手法と併用する
それぞれ詳しく解説します。
データ活用でモデル人材を定義する
ソーシャルリクルーティングを成功させるためには、データ活用で自社のモデル人材を定義する必要があります。モデル人材とは自社において活躍している社員の人物像です。自社ではどのような人材が成果を上げているか分かれば、今後採用すべき人材が見えてきます。人材採用におけるデータ活用の方法について詳しくは以下の資料をご覧ください。
モデル人材を再定義し採用を強化する4ステップ〜タレントパレットで実現する新卒・中途採用の一元管理と最適化〜
積極的に候補者とコミュニケーションをとる
ソーシャルリクルーティングでは情報を一方的に発信するだけでなく、積極的に採用候補者とコミュニケーションを図る意識が大切です。双方間のやりとりによって採用候補者からの信頼を獲得し、また自社に対する愛着を持ってもらえます。SNSなら従来の採用活動における企業説明会や面接と比べ、よりリラックスした雰囲気です。たとえば、自社の投稿に対してコメントが付けられた場合は積極的に返信してください。DMでコンタクトがあればできる限り早めに返信し、良好な関係を築くとよいでしょう。
他の採用手法と併用する
ソーシャルリクルーティングを実施するとしても、他の採用手法と併用する必要があります。ソーシャルリクルーティングだけで自社が求める人材を獲得できるとは限らないためです。もしも人材を確保できなければ企業の人手不足につながり、競争力が低下してしまいます。
採用活動の効率を向上させ、より幅広い採用候補者にアプローチを広げるには、ソーシャルリクルーティング以外の方法を取り入れましょう。次項よりトレンドの採用手法を紹介します。
ソーシャルリクルーティングと併用したいトレンドの採用手法
ソーシャルリクルーティングと併用したいトレンドの採用手法は下記のとおりです。
・ダイレクトリクルーティング
・リファラル採用
・アルムナイ採用
それぞれ詳しく解説します。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングは企業から人材に対して、仲介なしで直接アプローチする手法です。ソーシャルリクルーティングはSNSだけを活用します。一方、ダイレクトリクルーティングでは人材データベースなどを活用して採用を進める点が特徴です。
従来の求人広告を出して採用候補者の応募を待つ手法と比べて、攻めの採用手法といえるでしょう。転職を積極的に考えている顕在層だけでなく、転職潜在層へのアプローチが可能です。
ダイレクトリクルーティングとは?定義から成功のポイントも解説
リファラル採用
リファラル採用は自社社員からの人材紹介をとおして採用につなげる手法です。あらかじめ自社の採用条件を提示しておき、マッチする友人や知人を自社社員に推薦してもらいます。従来の縁故採用と一見似ているかもしれません。
縁故採用は身近な関係者を特別に採用する意味合いがあり、たとえ採用候補者が自社とマッチしていなくても内定する傾向です。一方、リファラル採用はあくまで紹介が選考のきっかけとなり、通常の採用手法と同様に採用候補者の見極めが実施されます。
リファラル採用とは?注目されている理由や成功させるためのポイントを解説
アルムナイ採用
アルムナイ採用は自社を一度退職した人材を再度雇用する手法です。自社で働いていた経験がある人材なら企業理念や文化をすでに把握しているため、再就職でも短期間でなじめる可能性が高いと考えられます。アルムナイ採用は即戦力かつミスマッチの少ない人材を、採用コストを抑えて採用できる手法といえるでしょう。
まとめ
ソーシャルリクルーティングは注目を集めている採用手法です。SNSを活用して採用候補者に情報発信し、自社にマッチした人材にアプローチできます。ソーシャルリクルーティングを実施するなら、ターゲットを明確化するためのデータ活用が重要です。
タレントパレットは、ソーシャルリクルーティングを含む採用活動全体を効率化するタレントマネジメントシステムです。採用データの一元管理から、モデル人材の定義、採用効果の分析まで、デジタル時代の採用戦略に必要な機能を搭載しています。多様な採用チャネルを統合的に管理し、最適な人材獲得を実現します。ぜひ導入をご検討ください。
採用業務効率化についての詳しい情報はこちら
モデル人材を再定義し採用を強化する4ステップ〜タレントパレットで実現する新卒・中途採用の一元管理と最適化〜の資料はこちら