こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
「人材確保に取り組んでいるがうまくいかない」「実際の取り組み事例や国の支援を知りたい」このような悩みを抱えていないでしょうか。
人材確保は年々深刻化している上に、今後少子化がさらに進むことから、劇的な改善が期待できない状況にあります。優秀な人材を獲得するための企業間の競争も激しくなっており、人材確保のための取り組みは必須だと言えるでしょう。
そこで本記事では、人材確保の取り組み事例や効率良く進めるためのポイントについて解説します。優秀な人材を確保し、事業を安定して存続させたい経営者の方は、ぜひ最後までお読みください。
人材確保が重要視される3つの理由
人材不足に悩む企業が増えている今、優秀な人材の確保や流出の防止は急務とされています。人材確保がなぜ重要視されているのか、その理由を詳しく見ていきましょう。
少子高齢化により働き手が減少しているため
日本は少子高齢化により、総人口に占める高齢者の割合が増加し、働き手となる若い世代が少なくなっています。日本の高齢者人口がピークを迎えるのは2040年ごろと見られており、労働人口減少による担い手不足が懸念されているだけでなく、働き方の改革にも焦点が当てられています。
労働力や優秀な人材の確保は、企業にとって重大な課題です。人手不足を解消するため、女性や高齢者などの就業促進も進められています。
事業を継続・拡大させるため
人材確保は、事業の拡大・継続のために必要不可欠です。どの企業も人材確保に危機感を抱いており、優秀な人材の確保を急いでいます。
必要な人材を十分に確保するには、多様化する働き方を受け入れながらニーズに合った勤務体制を整え、労働環の改善が必要です。特に中小企業や運輸、医療・福祉、飲食などの分野で人手不足が顕著になっており、早急な対応が求められます。
人材の専門化が進んでいるため
IT化や業務の複雑化や高度化が進む中で、企業が求める人材の専門化が進んでいます。しかし、企業側のニーズに反し、、特定分野に特化した人材は絶対数が少ないのが現状です。
能力のある優秀な人材は、より実力を評価してくれる外資系企業や海外で働くことを希望する場合も少なくありません。従来の人材確保とは異なり、企業側が魅力ある給与形態や働き方を提示する必要があるでしょう。
人材確保を効率良く進めるための4つのポイント
人材育成を効率良く進めるためには、人材確保の問題をよく理解し、項目ごとに改善の余地があるか検討していくのがポイントです。
募集や採用基準・選考方法を改善する
良い人材を確保するためには、採用に関わる「募集」と「選考」の2つの要素を見直しましょう。具体的には、以下の内容を中心に改善していきます。
- 求人内容や媒体を工夫する
- 求職者のニーズに合わせて採用の形態や求人条件を見直す
- 企業の認知度や好感度の周知
- 採用条件の拡大
- 労働条件の丁寧な説明や職場見学の実施
働き方が多様化しているため、求職者のニーズに合わせて求人を行うのがポイントです。社員制度や雇用形態を増やしたり、非正規雇用を活用したりすることで、不足する人材を補いましょう。
また、求職活動中は企業のウェブサイトも重視されています。自社の魅力や求める人材像、勤務状況を伝えるなど、企業側からのアピールにも力を入れると良いでしょう。
社員の適正な定着管理を行う
離職率が高い会社は、社員が人事評価や処遇に不満を抱いている可能性が高いため、人材配置や評価、処遇を見直しましょう。人材定着のためには、採用後のきめ細やかな配慮が大切です。
入職後の充実した教育や、同年代との従業員の交流を進めるなど、採用者に丁寧に配慮することで定着率を上げられます。離職防止のための具体的な施策は、以下の通りです。
- 定期的な配置転換
- 社員を正当に評価するための人事評価の運営
- 社員の価値観やキャリア設計の把握
- 社員の働きややる気に対する手当の支給等
- 十分な新人教育や充実した社員研修
優秀な人材が流出するのを防ぎ、企業の業績を安定させるためにも、細やかな定着管理が求められます。働き方の多様化に合わせた柔軟なサポートや、キャリア形成への支援を行っていくのがポイントです。
社員の労働条件や働く環境を改善する
人材確保につなげるために、社員の労働条件や働く環境を改善しましょう。社員の採用や定着が進む形で「労働条件」「労働環境」「人間関係」「福利厚生」の4つを見直し、改善していきます。
具体的に取り組みたい内容は、以下の通りです。
- 労働条件の整理や見直し
- 賃金や労働時間の適正化
- 各種休暇や退職金制度の整備
- 多様な働き方をサポートする制度の設立
- 女性の職場環境の改善
- ハラスメントの防止
- 福利厚生の充実
働き方が多様化した現代では、労働条件や働く環境を特に重視して職場を選ぶ人が増えています。就業規則が古かったり、実態に即していなかったりすると社員は定着せず、離職率が上がる原因になります。
特に女性の社会進出が増えているため、女性が働きやすい環境を整備することも大切です。昨今大きな問題となっているハラスメントへの対応や、採用時にアピールできる福利厚生制度の採用など、採用や定着を考えた取り組みを実施すると良いでしょう。
企業の理念や価値観を共有する
人材確保は採用や定着管理、職場環境の改善など、どれも企業の理念や価値観の上に成り立っています。社員に経営理念を浸透させ、組織文化を形成することで、人材確保にも良い影響を与えられます。
例えば、以下のような内容に注力してみると良いでしょう。
- 経営理念、社内規範、就業規則などの整備
- 帰属意識や連帯感を感じられるようにする
- 社員が意欲を持って働ける雰囲気づくり
- 勤務ルールの徹底や適切なマネジメントの実施
企業理念や経営戦略を明確にすれば、働きやすい職場づくりに繋がり、社員が生き生きと働けるようになります。また、長期的な視点を持ち取り組む必要があるため、経営方針や経営戦略が明確になっていないとうまくいかないでしょう。
企業の成長や事業の継承を考え、企業理念や価値観を社員と共有することを進めていくことが求められます。
人材確保の4つの取り組み事例
人材確保は、大企業から中小企業まで様々な分野で積極的に取り組まれています。業種別に、具体的な取り組み事例を見ていきましょう。
運送会社における女性ドライバー採用プロジェクト
人手不足が顕著化している分野の1つである運輸業界では、特にドライバーの不足が懸念されています。女性ドライバーの採用を行っていたものの応募がなく、男女ともに定着しないことに悩み、以下のような取り組みを実施しました。
- 女性ドライバー採用プロジェクトチームの立ち上げ
- トラックの乗務体験会
- 子ども連れ家族が参加できるイベントの開催
女性採用強化のために、トラック業務を知ってもらうことを目標にイベントを企画し、近隣住民へ業務内容の周知を目指しました。今後も女性採用に向けて、段階的にイベント等を実施する予定です。
介護現場における採用管理の改善
慢性的な人手不足に悩んでいる介護業界は、応募が少ないことや残業が常態化していること、ベテランスタッフとのレベル差から定着が進まないことに悩んでいます。採用を強化するため、外部への発信と職場環境の改善に取り組みました。
- 採用したい人材の明確化
- 朝ミーティングでの退社時間目安の報告
- 管理職が率先して早帰り
- 業務のマニュアル化
応募者の増加や定着率を上げるために、離職率が高い原因を把握し、できる対策から始めたのがポイントです。社員と情報共有を行ったり、アイデアを募集したりしたことも刺激になりました。
現在の人手や負荷から考え、すぐに実現できそうなことからスタートしたのが成功の秘訣で、今後も継続した取り組みを計画しています。
保育における有給休暇促進の取り組み
人手不足に悩む保育業界の中で、人手は足りており安定した経営ができている保育園の事例です。保育士30名のうち、1/3の10名が短時間勤務者となっています。
業務の特性上、長期休暇を取ることが難しく、自ら子育てする保育士がワークライフバランスを保ちながら勤務できないことが課題です。職場には十分な魅力がありますが、業務負担が大きすぎることから、人手不足に陥りやすいという懸念があります。
働きやすい職場環境を目指し、改善した内容は以下の通りです。
- 年次有給休暇の計画的付与
- 職員全員での休暇取得のための日程調整
- 休暇取得のための業務の棚卸や効率化
職員の自主的な話し合いや効率化のための作業が増えた結果、職場の雰囲気も改善できました。今後は業務負担の把握や、シフトの見直しなどを進めていく予定です。
警備会社における定着率の改善
警備会社の多くは受注に対し、人手確保が追いついていません。採用後3ヶ月以内の退職や夜勤になじまない社員が多く、若手社員の勤続年数が1年以内にとどまっているなど人手不足が深刻です。
すでに人材確保のために、入職や定着を目的とした様々な制度を整備しており、働きやすい環境づくりを進めています。入社後に業務内容のギャップを感じる社員がいることから、求人方法の見直しに着手しました。予定している実施内容は、以下の通りです。
- 求人票への委細内容や、媒体等の見直し
- SNSを活用した採用活動
- 勤務条件王の事前理解の促進
- メンター制度やジョブローテーションの制度化
すでに資格取得のための研修費用を全額負担するなど、人材育成にも取り組んでいますが、採用にかかるコストを回収出来ていません。また新人が次々配属されることで現場での負担も大きいことも課題です。
求人方法の見直しと早期離職を防止する対策を同時進行し、人材確保を進める予定です。
人材確保を支援する4つの制度
人材確保が深刻化しているため、国も企業へのさまざまな支援を進めています。人材確保に使える税制や助成金を見ていきましょう。
人材確保等促進税制
人材確保等促進税制は、新卒や中途採用による外部からの人材獲得・人材育成を積極的に行う企業を対象に、新規雇用社の給与などの支給額の一部を法人税や所得税から控除する制度です。青色申告を行う企業が対象で、最高で20%の控除が受けられます。
適用条件は、新規雇用者の給与等の支給額が前年度より2%増えていることです。教育訓練費の額が前年度より20%増えていると、さらに5%の税額控除が受けられます。
人材確保等支援助成金
人材確保等支援助成金は、魅力的な職場づくりや労働環境の向上を進める事業主に対して助成を行う制度で、人材の確保や定着の支援が目的です。具体的には、以下の9つのコースに分かれています。
- 雇用管理制度助成コース
- 介護福祉機器助成コース
- 中小企業団体助成コース
- 人事評価改善等助成コース
- 建設キャリアアップシステム等普及促進コース
- 若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)
- 作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)
- 外国人労働者就労環境整備助成コース
- テレワークコース
離職率の低下や新たな機器の導入、賃金アップなどに活用でき、働きやすさの改善や定着率向上に役立ちます。
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金とは、非正規雇用者の正社員化や処遇改善を行う企業を助成する制度です。優秀な人材を正社員として雇用したい場合、または賃金等を改善することで雇用を維持したい場合に役立ちます。
キャリアアップ助成金を利用することで、有期雇用労働者や短時間労働者の意欲や能力向上を進め、優秀な人材を確保できます。具体的には正社員化支援2コースと処遇改善支援5コースの、計7コースが用意されており、自社に合ったものを選べるようになっています。
人材開発支援助成金
人材開発支援金は、社員に専門知識や技能を習得させるための訓練費用や、訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。企業に必要な人材を計画的に行い、社員の質やモチベーションアップができるほか、定着率を促進できます。
また、人材育成に力を入れていることを求職者にアピールできるため、魅力的な人材の確保が可能になるでしょう。
人材開発支援助成金は9つのコースがあります。新事業への進出やデジタル化を応援する「事業展開等リスキリング支援コース」やデジタル人材の育成を助成する「人への投資促進コース」なども新設されており、さまざまな場面で活用できます。
人事業務の効率化、データ活用をするならタレントマネジメントシステムの導入が必須
人事業務をDX化することで、社員データの一元化・人材検索・人事評価・配置検討などの幅広い業務を効率化できるようになります。また、人材育成・最適配置・社員パフォーマンスの最大化など、組織力向上を目的とした一歩先のタレントマネジメントまで実現が可能です。
また、タレントマネジメントシステムを導入すれば、社員データを集約し人事評価のペーパーレス化や異動シミュレーション、ハイパフォーマー分析など、高度な施策が実施できます。タレントマネジメントを取り入れて、自社のリソースを最大限に活用しましょう。
人材確保は企業存続に必要不可欠!早期の取り組みが必要
人材確保は、企業の安定した事業継続のために欠かせないものです。人材不足に悩んでいない企業も、将来の人材不足を防止するために、継続した対策が必要と言えます。
優秀な人材を採用するだけでなく、社員の定着率を上げ、働き続けてもらうことも重要です。良い人材を維持できる環境づくりは、新規採用率を上げることにもつながるためです。
適切な採用管理や人材の維持は、ツールを活用することで効率化できます。タレントパレットなら採用のミスマッチを防ぎながら、自社に合う人材を採用でき、離職予兆のある社員には早期フォローが行えるようになります。
社員の満足度を上げ、優秀な人材を維持するためにも、ぜひ導入を検討してみてください。