エンゲージメントスコアは企業の偏差値?向上させるメリットや方法を徹底解説


エンゲージメントスコアは企業の偏差値?向上させるメリットや方法を徹底解説

社員のモチベーションを保つためには、企業と社員との間で信頼関係を築くことが重要です。しかし、信頼関係は目に見えません。信頼関係を可視化する方法として、エンゲージメントスコアの利用が挙げられます。この記事では、エンゲージメントスコアを測る方法やエンゲージメントスコアの高い企業の施策などを紹介します。社員のやる気向上に役立ててください。

エンゲージメントスコアとは?

エンゲージメントスコアとはそもそも何なのでしょうか。ここでは、エンゲージメントスコアの概要について解説します。

エンゲージメント=約束・契約

エンゲージメントとは直訳すると「約束」や「契約」といった意味です。契約では信頼が大切になりますが、エンゲージメントでも同様に信頼関係が重要視されます。

転じて、人事領域では社員と企業との関係を測る指標として「エンゲージメント」を使うようになりました。顧客との関係性と区別するため「従業員エンゲージメント」「社員エンゲージメント」とも呼ばれます。

関連記事:エンゲージメントの意味とは?向上させる方法と得られるメリット

エンゲージメントスコア=企業への信頼度や愛着度を数値化したもの

エンゲージメントスコアとは、社員と企業の間にある信頼や信用、愛着といった目に見えないものを数値化して見える化することを指します。エンゲージメントスコアによる分析は海外の先進企業ではよく導入されている手法で、日本でも導入企業が徐々に増加しています。

エンゲージメントスコアを導入し、定期的に測定することで、自社の今の状況を知るだけでなく、変化に気づき対応することもできるようになるのです。


エンゲージメントスコアを定期的に測ることで、従業員の気持ちの変化もキャッチアップ

エンゲージメントスコアと従業員満足度の違い

エンゲージメントスコアと従業員満足度は非常に近しい関係にありますが、どこに違いがあるのでしょうか。

エンゲージメントスコアは、企業と社員との間にある信頼関係を指します。そのため企業理念への共感や組織への愛着心など、企業と社員との相互関係が重視されます。

一方、従業員満足度とは、社員が給料や待遇、仕事内容などにどの程度満足しているかを表す指標です。企業から社員への一方通行的な関係であり、社員が待遇に不満を感じると関係性が崩れる恐れがあります。

【徹底解説】エンゲージメントサーベイとは?自社で調査する必要性や注意点を理解しよう

なぜエンゲージメントスコアが注目されるのか

エンゲージメントスコアが注目を浴びる理由は何なのでしょうか。以下では、エンゲージメントスコアに注目が集まる理由を解説します。

労働力人口の減少

日本では、少子高齢化が深刻化しています。それにともない、労働人口が減少していて人材不足の企業も増えています。人材不足を解消するためには人材を定着させることが重要な課題であり、エンゲージメントスコアに注目が集まっています。

雇用への考え方が変わり、終身雇用などの安定志向よりも、キャリアアップを重視する人が増加しています。エンゲージメントスコアを活用し自社の抱える課題や問題点などを明確化して、改善していくことが離職防止につながります

問題点や課題を明確にできる

人事異動や配属転換など、何かきっかけがあってエンゲージメントスコアに変化があったのなら、そこに問題点や課題があるといえます。

また、一部の組織でだけエンゲージメントスコアに変化があった場合も、日頃から測定していればすぐに気づきフォローすることができるでしょう。

表立っては目立たないようなこうした予兆にいち早く対応できることも、エンゲージメントスコア導入のメリットです。

生産性や業績への影響

エンゲージメントスコアを計測し、スコア向上を目指して施策を実施していれば、生産性や業績アップの効果が見込めるといわれています。これは、自社への信頼や愛着が高まることで社員が自発的に業務に取り組んだり、改善したりするようになるからです。

エンゲージメントスコアの向上は、昇進や報酬以外のアプローチで企業への貢献意欲を促すことができるのです。

関連記事:エンゲージメント調査の目的・実施方法から結果を有効活用のポイント・注意点まで解説

エンゲージメントスコアが高い企業の特徴

エンゲージメントスコアが高い企業には、そうでない企業と比べてどんな特徴があるのでしょうか。ここでは、エンゲージメントスコアの高い企業の特徴を解説します。

社員のモチベーションが高い

エンゲージメントスコアの高い企業は、社員のモチベーションの高さが特徴です。例えば、社員が自社のサービスや商品などに愛着を持っていて、詳しい特徴やメリットなどを把握しています。また、社員それぞれが自分の仕事に対して誇りを持っており、前向きに仕事に対して取り組んでいることなども特徴として挙げられます。

生産性が高い

社員が企業理念やビジョン、方向性などに共感することでエンゲージメントスコアは高まります。自社のビジョンへの理解も深いため、指示を出されなくても社員が自発的に行動できることも特徴です。また、自社を信頼して積極的に仕事ができたり、前向きに仕事をしたりするため生産性の向上につながります。

離職率が低い

エンゲージメントスコアが高い企業では、労働環境や給与、福利厚生などの待遇に対して不満を持っている社員が少ないという特徴があります。また、不満がないだけでなく仕事に対してやりがいを感じておりモチベーションが高いです。そのため離職率が低く人材が定着しやすいため、顧客に対して高品質な商品やサービスの提供ができます。


エンゲージメントスコアが高い企業の取り組み事例を紹介

エンゲージメントスコアの高い企業を表彰する「ベストモチベーションカンパニーアワード2020」の大手企業部門、中堅・成長ベンチャー企業部門の各トップ3に選ばれた企業の取り組みを紹介します。

※参考:「ベストモチベーションカンパニーアワード2020」「モチベーションチームアワード2020」を発表

株式会社マルハン

株式会社マルハンは、パチンコ事業を中心に映画館やアミューズメント施設の運営を手がけている企業です。パチンコ業界では慢性的な人手不足が続いていました。株式会社マルハンではこれを改善するために雇用形態を問わない共通の人事育成制度の導入や社員間の差がない役割等級制度、目標管理制度の導入といったエンゲージメント施策を実施しています。

これにより、社員のエンゲージメントスコアが向上し、約10年で定着率が3倍以上になるなど、人材不足の解消につながっています。

アコム株式会社

アコム株式会社は三菱UFJファイナンシャルグループに属しており、消費者金融事業を手がけています。社員の満足度を向上させることが顧客の満足感につながり、企業の価値向上に結び付くという考えのもと、エンゲージメント施策を実施しています。

具体的には、ESワーキンググループを組成しました。実際に働く社員にヒアリングを行い、その結果を基に月に1~2回の頻度で検討会を開催しています。これにより、職場環境改善や福利厚生の充実などを実現しました。

大日本住友製薬株式会社

大日本住友製薬株式会社は大手製薬会社メーカーであり、医薬品事業から食品素材・化成品事業まで手がけています。

大日本住友株式会社では、2014年から全社意識調査「DSPオピニオン」を実施しています。また、2019年には社員の満足度だけでなく期待度の調査も行い、エンゲージメントスコアの見える化を行いました。満足度・期待度調査とともに経営や業務に関する意見を収集し、改善につなげることでさらなるエンゲージメントスコアの向上を実現しています。

佐竹食品株式会社

佐竹食品株式会社は、地域密着型のスーパーマーケットを展開している企業です。佐竹食品株式会社では、エンゲージメント施策として「ありがとう総会」を実施したり、さまざまな研修プログラムを提供したりしています。

2年に1回開催される「ありがとう総会」では企業理念の共有や社長からのメッセージ、懇親パーティーなどで社員のモチベーションを向上させています。また、海外研修や資格取得支援などで社員のスキルアップを徹底サポートしていることも特徴です。

株式会社フロムスクラッチ

株式会社フロムスクラッチでは、人工知能を用いたマーケティングソリューション開発などを行っているIT企業です。エンゲージメント施策として、「CREW」を実施しています。

「CREW」とは、社員のリクルーティング活動への貢献を評価する制度です。社員それぞれが採用担当者だという意識を持ち、自社に新しい仲間を連れてくることで評価されます。評価されるだけでなく、CREWのクラスに応じてインセンティブが発生することも特徴です。

株式会社メッセホールディングス

株式会社メッセホールディングスでは、パチンコやスロットなどのアミューズメント施設を運営しています。エンゲージメント施策として、メッセフェスや表彰会などを実施しています。

メッセフェストは年に2回開催される社内最大のイベントです。良い仕事をした人やチームを表彰し、モチベーションを向上させます。また、月単位での表彰式も本社で行われており、その月がんばった人を表彰する試みです。がんばった分だけ報われる環境を作ることで、エンゲージスコアの向上を実現しています。


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エンゲージメントスコアの測定方法

エンゲージメントスコアを測定はどのように行うのでしょうか。測定する方法は2種類あり「エンゲージメントサーベイ」と「パルスサーベイ」に分けられます。以下では、それぞれの測定方法について解説します。

エンゲージメントサーベイ

エンゲージメントサーベイとは、定期的に社員にアンケートを実施して測定する方法です。一般的には1年や半年に1回程度の頻度で社員アンケートを実施します。エンゲージメントスコアに関係する項目を作成して継続的に測定する必要があります。社員のモチベーションや心理的な満足度・充実度などをより細かくチェックできる測定方法です。

パルスサーベイ

パルスサーベイとは、意識調査という意味のある測定方法です。週に1回や月に1回というように比較的頻繁に行うもので、5~10分程度で回答できる簡単なアンケートを実施します。今現在の満足度や心理状況などがわかるため、新システム導入時や新入社員の入社時など限定的な環境での満足度チェックにも有効です。

タレントパレットでエンゲージメントスコアを測定する方法とは?

エンゲージメントスコアを高めるには

エンゲージメントスコアを高めるにはどうすればよいのでしょうか。以下では、エンゲージメントスコアを高める方法を解説します。

エンゲージメントの評価項目を理解する

エンゲージメントスコアを向上させるには、どのような要素がエンゲージメントを高めるのかを理解しなければいけません。エンゲージメントの評価ポイントは以下の4つです。

1.ビジョンへの共感

ビジョンとは企業が目指している方向性のことです。ビジョンへの共感や理解がなければ、目的意識が薄くなり仕事へのモチベーションが保ちにくくなります。

2.やりがいの創出

仕事へのやりがいを作り出す施策です。例えば、成果に対する報酬や表彰などのイベント、社員の適正にあった部署配置などが挙げられます。

3.働きやすい職場づくり

仕事へのモチベーションを保ち自社への愛着を持ってもらうためには、働きやすい職場環境の構築が重要です。

4.成長支援

社員が成長できる機会を創出することが大切です。資格取得支援やキャリア形成に役立つ研修などを実施します。

管理職のマネジメント力を高める

エンゲージメントスコア向上には、管理職のマネジメント力アップが欠かせません。管理職の役割としては、企業の理念やビジョンをしっかりと把握し、そのビジョンなどを部下へと伝えていくことが挙げられます。

また、部下の指導や目標管理、円滑なコミュニケーションなども管理職の役割です。部下を指導し導く立場である管理職のマネジメント力がエンゲージメントスコアにも影響を及ぼします。そのため、マネジメント力強化を意識しましょう。

定期的にエンゲージメントを測定して課題を拾い上げる

定期的にエンゲージメントスコアを測定しましょう。スコア測定によって、自社が抱える課題や問題点がみつけやすくなります。課題などが把握できれば、改善策の立案や実施も可能になるため、定期的な測定を意識しましょう。また、改善して終わりではなく再度スコアを測定し、課題把握、改善とPDCAサイクルを回すことも大切です。

より良い組織づくりには、現状の把握と改善をスピーディーに進めなければいけません。そのため、できれば半年に1回程度のペースでスコア測定を行いましょう。

関連記事:エンゲージメントを高める具体策5つ|エンゲージメント低下の原因と測定方法も解説

まとめ

エンゲージメントスコアとは、企業に対する信頼感や満足度を表す指標です。エンゲージメントスコアを高めることで、生産性の向上や離職率の低下などを実現しやすくなります。

タレントパレットはパソコンだけでなくスマホからでも入力しやすい調査フォームを実装しており、社員のエンゲージメントスコアを簡単に収集することが可能です。

また、急激にスコアが悪化した社員の上長や人事担当者にアラートを飛ばすことも可能です。詳しくはこちらからぜひご確認ください。