ロールモデルの概要
ロールモデルとは、考え方や価値観、実際の行動が、他の人の模範となる人物のことを指す言葉です。
現代社会では、女性の社会進出や雇用形態の多様化など、さまざまな働き方が受け入れられるようになりました。それにより、個人の価値観や思想が多様化し複雑になっていることが、ロールモデルが注目を集める背景です。
価値観がより複雑化して個人に働き方の選択が迫られるなかで、手本となる人が指標として位置づけられていれば、自身の目標やキャリアプランを明確にすることができるでしょう。
ロールモデルの設定で得られる効果
ロールモデルを設定することは、社員の成長や組織の活性化につながると考えられます。ここでは、ロールモデルを設定することで得られる効果を解説します。
キャリアプランが立てやすくなる
ロールモデルを設定させると、社員がキャリアプランを立てやすくなります。仕事を身近で見やすく、その会社で働き続けることでの将来の具体的なイメージもわかりやすいでしょう。
キャリアプランの例
・ロールモデルが今の自分と同じ頃に達成した業績を目指す
・同じ資格の取得を目指す
自身の具体的な行動目標に落とし込めるため、社員の成長を促しやすくなります。
成長速度が高まる
ロールモデルが身近にいることで、その人物がどのようなキャリアを積んで成長してきたのか、その過程を知ることができます。
ロールモデルの成長過程を参考にしたり、真似したりすることで若手人材の成長スピードが速くなるという効果が期待できます。 20代のうちに何をしておけば良いのかといった目標設定も可能になるでしょう。
コミュニケーション能力が上がる
理想的なロールモデルを設定した後は、その人材の行動パターンを観察し自ら学ぶ必要があります。学ぶ手段としては、「観察」と「対話(コミュニケーション)」が代表的です。
ただし、観察して学ぶのには限度があります。そのため、ロールモデルから直接学ぼうとする人が増えるため、社内コミュニケーションの活発化に期待できます。その結果として、企業全体の空気感・雰囲気が活性化され、コミュニケーション能力の向上も期待できるでしょう。
組織が活性化する
ロールモデルの存在により組織の活性化が期待できます。若手人材の憧れの存在が身近にいるため、ロールモデルとなる人物の考え方や仕事の進め方を学ぼうとして、自然とコミュニケーションの量が増えていきます。
社員の交流が増えることで、良好な人間関係が構築され組織の活性化につながるでしょう。
離職者が減少する
若手社員の離職理由として多くあげられる理由は以下の通りです。
若手社員の主な離職理由
・「キャリアが想像できない」
・「成長が望めない」
専門性を高めながら活躍しているロールモデルが存在すれば、将来の可能性の幅を感じます。また、目指すべき目標となるロールモデルが存在していれば、自分のキャリアや将来の姿が描けるようになり社員の定着にもつながるでしょう。
ロールモデルの設定時の必要要件
ロールモデルを設定する際は、ロールモデルとして相応しい要件を明確にすることが必要です。ここでは、ロールモデルの設定時の必要要件について解説します。
若手社員の場合
若手社員には、主体的に仕事に取り組む社員をロールモデルにすると良いでしょう。
若手社員ロールモデルのキャリア
・積極的にさまざまな仕事にチャレンジをしている
・自分なりの判断基準を持ち行動をしている
若手社員ロールモデルのワークライフバランス
・仕事と生活の調和をとりながら働いている
自分から積極的に業務に取り組むポジティブな人物であれば、さらに良いロールモデルとして機能する可能性が高いです。
中堅社員の場合
中堅社員のロールモデルには、実務を推進していく積極性をもつ社員をロールモデルにすると良いでしょう。
中堅社員ロールモデルのキャリア
・将来的なキャリアビジョンを持っている
・研修制度などを利用し自己成長に努めている
・多様な業務にチャレンジしながら、仕事の幅を広げている
中堅社員ロールモデルのワークライフバランス
・仕事と育児の両立を支援する社内制度を活用しながら働いている
・職場の上司・同僚など周囲の協力や理解を得ながら働いている
中堅社員は部下や後輩に的確に指示を出すことが求められます。ロールモデルには他の社員や他部門と連携し、スケジュールなどを調整していく能力があることが理想的です。
ベテラン社員の場合
ベテラン社員のロールモデルには、柔軟でありながら牽引力のある管理職を設定すると良いでしょう。
ベテラン社員ロールモデルのキャリア
・職場の中心的存在としてリーダーシップを発揮している
・向上心を持っている
・会社や部門の目標達成のために組織全体をマネジメントしている
ベテラン社員ロールモデルのワークライフバランス
・介護や転勤等を経験し、周囲の支援を得ながら活躍をしている
・仕事と生活の調和をとっている
ベテラン社員には、責任ある地位に就き組織のパフォーマンスを最大限に発揮できる舵取りが求められます。加えて、社内・社外を問わない交渉力も備えていることが理想的です。
ロールモデル活用方法
社員がロールモデルを意識して行動すれば、長期的に企業側にも大きなメリットをもたらします。ここでは、企業側が行うべきロールモデルの活用方法を解説します。
ロールモデル設定
まずは、社員にお手本にしてほしい人材を選びましょう。「ロールモデル」はキャリア別に分けて設定することが重要です。
ロールモデルとして設定すべき項目
・求めるスキル
・期待したいキャリア
・働き方
自社が考えるロールモデルに当てはまる人物が、実際に社内にいるのかも把握できると良いでしょう。
モデルとなる人物の育成
・ロールモデルを設定したあとは、そのロールモデルに該当する人物の育成を行いましょう。
ロールモデルとなる人物の育成方法
・集合研修
・個別研修
ロールモデルに設定した社員には、設定した時点では十分な実績や能力・人間性などを備えていないことも少なくありません。もう少し伸ばしてほしい部分がある場合や、より高みを目指してほしい場合、個別に計画を立てて研修などで育成すると良いでしょう。
ロールモデルを周知する
ロールモデルを設定したら、社内で周知することも必要です。その際には、具体的なエピソードや経験談も交えた方が多くの社員の参考になり、やる気を出すことを促せるでしょう。
ロールモデル周知方法の例
・社員研修時に紹介
・先輩社員の声
ロールモデルがどのように行動し、どのようにスキルを磨いたかを紹介する機会を設けることも有効です。
まとめ
ロールモデルは、社員がこれからどのようなキャリアを形成すべきかを導く存在です。自身の成長を望むだけではなく、新しく社会人生活を始める社員や現在の働き方に迷いや不安がある社員などにもロールモデルの設定は役立ちます。
しかし、ロールモデルを個人単位で設定することは難しいため、会社が支援することが大切です。その際は、ロールモデルとしてふさわしい要件を明確化したうえで、適切に周知・運用することが求められます。
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