こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
企業を取り巻くリスクには、さまざまなものがあります。近年は災害が激甚化しているだけではなく、新型コロナウイルスなどの未知の感染症も流行し始め、以前にも増してリスクマネジメントの需要が高まっているのです。
本記事では、企業において考えられるリスクの概要とリスク評価の方法、さらに5つの業界別のリスクマネジメント事例を解説します。
企業で考えられるリスク
企業におけるリスクで考えられるものはさまざまですが、大きく2種類に分けられます。
- 内的要因
- 外的要因
それぞれどのようなものがリスクとなるのか、詳しく見てみましょう。
内的要因
社内の事情や環境を原因とするリスクを内的要因と言います。具体的には社内で見落としていた分野や領域から発生するものや、何らかの事情で油断が生じ、そこから問題が大きくなったものです。
内的要因はさらに、3つのリスクに分けられます。
- 戦略リスク
- 財務リスク
- オペレーショナルリスク
戦略と財務に関しては、一部外部に原因を持つ要素もありますが、リスクマネジメントを行っていれば回避できるリスクもあります。戦略でいえば新規事業やM&A・人事戦略が該当し、財務リスクでいえば負債の増額や取引先の倒産とそれに伴う貸し倒れなどがあります。
オペレーショナルリスクは、純粋な内的要因で、企業内での油断や怠慢によって発生するものです。コンプライアンス軽視など、企業風土や経営者の方針に関わるリスクが多く、世間に知られれば危機意識の薄さを指摘される事態に陥りやすい特徴があります。
外的要因
社内ではどうにもならない事情で発生しうるリスクが外的要因と呼ばれるものです。災害などの環境を要因とするものが大半ですが、機器の故障も総称してハザードリスクと呼ばれることもあります。
外的要因の厄介なのは、予測が難しい点です。自然災害はもちろん、機器の故障やサーバーダウンなども、前兆があったとしても実際にいつそのリスクが発生するかは予測できません。このようなものも含めてリスクマネジメントを行う必要があります。また、内的要因に含まれるリスクの中には、金利や社会情勢などの外的要因に該当するものもあることを忘れてはいけません。
このように、企業に関連するリスクは内的なものと外的なものに分けられます。そのうえで、リスクマネジメントを実施する場合は、リスクマネジメントがどういったものか詳しく知る必要があるでしょう。
「リスクマネジメント」については、こちらの記事をご確認ください。
リスクマネジメントにおけるリスク評価の方法
リスクマネジメントを実施する際に、重要になるのがリスク評価です。機械的にリスク評価を行うこともできますが、効果的なリスク評価を行うためには次の手法でリスク評価を行うことをおすすめします。
- 指標を決める
- 重要性の評価を行う
- 考えらえれるリスクと顕在化しているリスクから評価する
リスクマネジメントの評価の甘さから、倒産や破産につながった事例は少なくありません。機械的に評価を実施するのではなく、効果を発揮できるような有効性の高いリスク評価方法を採用するようにしましょう。
指標を決める
まずはリスクへの対応方針を決定します。全社共通の指標のほか、部署やチーム単位での指標も細かく設定することで、リスクの顕在化速度が速くなり、リスクマネジメントの影響力をより大きくできるためです。
企業やチームとしてリスクにどう対処するのか、その結果どのようなビジョンを描いているのかを設定します。向かう方向が明確になるため、発生したリスクに対する評価のスピードや、社内で決定したリスク評価の影響力が大きく変わります。
企業としてどのようにリスクと関わっていかなければならないのか、その結果どのような未来を描いているのかを明確にするところから始めましょう。こうすることで、リスクの抽出がより具体的になるだけでなく、評価の決定も容易になります。
重要性の評価を行う
ひと口にリスクといっても、企業や部署によって重要度は異なります。抽出できたリスクに対しては、発生する確率や発生後の被害規模、対策状況などを定量化すると良いでしょう。数値で表せるものは、数値基準を設定することができます。一方で、リスクの内容や場合によっては個別に点数化することもあります。
どのリスクが重要度の高いものなのかがはっきりしていれば、経営者だけではなく従業員も優先的に発生したリスクの評価を行えるでしょう。
リスク評価後も、改めて自社にとっての重要性を決め、より高い効果を発揮する対策を検討・実施していくことが求められます。作って終わりではなく、評価を定量化する、評価後の対策を検討・実施していくことが重要です。
考えられるリスクと顕在化しているリスクから評価する
考えられるリスクとは、まだ発生はしていないものの今後起こりうるリスクを指します。リスクマネジメントというと「まだ起きていないリスクに対するシミュレーションを作る」と認識している人もいますが、それだけではリスク評価としては不十分です。
考えられるリスクと同時に、すでに顕在化しているリスクも同時に評価することで、今抱えている問題にも対処できるようになるでしょう。リスク抽出の際にアンケートなどでヒアリングを行う際は、すでに顕在化しているリスクに対してもヒアリングするようにしてください。
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リスクマネジメントの5つの事例
リスクマネジメントは業界や業種によって、盛り込む内容が異なります。ここでは、次の5つの業界のリスクマネジメントについて詳しく見ていきましょう。
- 建設業
- 製造業
- 食品製造業
- 医療・介護施設
- 化粧品
製造業を2つに分けたのは、食品かそれ以外を扱うかでリスクマネジメントの種類が異なるためです。ただし、どちらにも共通するポイントがあるため、両方の事例を参考にしてください。
建設業のリスクマネジメント
建設業界でのリスクマネジメントの主な内容には、人災の防止や労働安全衛生管理があります。簡単に言えば、事故や怪我を防ぐためのリスクマネジメントであり、職場の環境作りと言い換えることもできるでしょう。
建設業のリスクマネジメントで注意すべきポイントに、協力会社と一体となったマネジメントを意識する必要がある点が挙げられます。特に総合建設業のような業態の場合、下請けや孫請けといった協力会社と一緒に仕事をするケースが一般的です。そのため、とある総合建設会社では、協力会社も含めた全体が一体となったマネジメントが必要とされているといいます。
具体的には指差し確認や声かけのほか、作業者の間での連絡調整会議の実施・災害防止協議会の設置と運営などです。また、安全管理のための研修を積極的に行っているといいます。
製造業のリスクマネジメント
海外輸出に強みを持つ製造業のとある企業では、個人情報に関する外国法への対応がリスクマネジメントにおいて最も必要とされている部分だといいます。輸出する国によって個人情報の取扱いが異なり、管理規定も複雑になることが多いからです。これらを決定する際には関係会社やグループ全体での共有などの対応体制の構築が求められます。
具体的な対策として、イントラネットを通じた海外向け情報発信サイトの設置があります。また連結会社と連携して、リスクマネジメントのために使用しているツールやプロセスを共通言語化する動きも見せているのです。
海外で重大なリスクが発生すると、その損失規模は計り知れないものとなるでしょう。関係会社にも影響が及ぶ可能性があるため、関連する企業とは手を取り合ってリスクマネジメントに取り組むことが重要です。
食品製造業のリスクマネジメント
食品に関連する製造業の場合、海外の個人情報の取り扱いはもちろんのこと、品質やコンプライアンスのリスクマネジメントも必要となります。特に少し前に話題になった食の安全に関するリスクマネジメントは、従来よりも高いレベルでの評価・運営が必要とされているのです。
大手食品製造業のとある企業では、商品の品質や情報セキュリティ体制、コンプライアンスなどが体系的に整備しました。「食の安全」を中心に据え、消費者や投資家に対し継続的なリスクマネジメントを実施することを宣言しています。
特にコンプライアンスにおいては、新たな公的・法的規制に対応するための体制を整えているのだそうです。内的要因・外的要因ともに、高いレベルでのリスクマネジメント体制が構築されている事例と言えるでしょう。
医療・介護施設のリスクマネジメント
医療分野や介護施設のリスクマネジメントでは、チェックリストが活用されるのが一般的です。ほかの業界では特に気にする必要のないような小さなミスでも、医療・介護業界ともなれば、患者や利用者の命を脅かす脅威になりかねません。
そうならないためにも、チェックリストやヒヤリハットを作成してリスクマネジメントを行なっていくことが重要です。具体的には施術や介護を行う職員のものと患者・利用者のもの、施設全体の環境に対するものの3点を作っておきましょう。
化粧品業界のリスクマネジメント
化粧品業界では、ステークホルダーとの信頼関係の構築に主眼を置きつつ、中長期的な経営戦略を実現するためのリスクマネジメントが考えられています。リスクをただ危機と捉えるのではなく機会としても捉えることで、積極的なリスク管理を行える体制を整えているのです。
大手化粧品会社では、リスクを3つのカテゴリに分類し、それぞれ対応しているといいます。カテゴリ分けされたリスクはそれぞれ別々に検討するのではなく、同じ要因で発生する可能性がある関係性が強いリスクとして捉えている点が特徴的です。
また、年を追うごとに強化される規制に対してもリスクとして考えており、これに対する事業への影響やリスク軽減策も作成しているといいます。
まとめ
本記事で紹介したリスクマネジメントは、あくまでも事例であり、自社で作成する場合には適していない可能性もあるでしょう。業界で共通している内容もあれば、自社特有のリスクとして考えられるものもあるため、事例を参考に自社に適したリスクマネジメント体制を構築することが重要です。
特に社内の数字やデータに関しては、会社ごとに異なるのが当然です。数字やデータを全社で見えるような形にすることが、リスクマネジメントの第一歩になる可能性もあるでしょう。
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