リストラを拒否した従業員の扱いは?退職勧奨において会社が注意したいこと


リストラを拒否した従業員の扱いは?退職勧奨において会社が注意したいこと

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

リストラの方法はいろいろありますが、計画どおりに進むとは限りません。時には、リストラの1つである退職勧奨が拒否されるケースもあるでしょう。今回は、リストラを拒否された場合の対応を紹介します。

リストラの定義と種類

「リストラ」と聞くと、整理解雇(クビ)をイメージするかもしれません。ここでは、リストラに含まれる人事異動や解雇の種類について解説します。

リストラとは

リストラは英語の「restructuring」を略した言葉で、本来は「再構築」を意味します。現代の日本で「リストラ」というと整理解雇(クビ)を意味することが多いため、ネガティブな言葉と捉えられがちです。

しかし、「再構築」という言葉が示すとおり、リストラには経営を立て直すことを目的とした、あらゆる人事異動が含まれます。

リストラの種類

リストラに含まれる人事異動には、以下のようなものがあります。

・会社に籍を置いたまま別の勤務地に赴く「出向」
・籍そのものを移す「転籍」
・会社内での立場が変わる「配置転換」
・「降格・降給」

また、早期退職者の募集や特定の従業員に対する「退職勧奨」を行うことも、リストラの一環です。

リストラの最終手段として整理解雇を計画している場合は、整理解雇の前に配置転換や退職希望者の募集を行う必要があります。これらは、整理解雇を行うための条件の1つである「解雇回避の努力」に含まれるため、事前に取り組んでおかなければなりません。

解雇の種類


解雇もリストラの1つですが、解雇自体にもいくつか種類があります。「普通解雇」「懲戒解雇」「整理解雇」などです。

「普通解雇」は遅刻や無断欠勤、職務怠慢など、就業規則違反を繰り返している問題社員に対して行われることがあります。また、犯罪行為を犯すなど非常に悪質な場合は、「懲戒解雇」となるケースもあるでしょう。

「整理解雇」は普通解雇や懲戒解雇と異なり、会社の都合で解雇に踏み切るものです。

リストラというと整理解雇がイメージされがちですが、整理解雇には厳しい要件が定められています。会社が倒産の危機にある場合や、明らかに経営が悪化していることが見られる場合にのみ、実施することができます。

解雇を含むリストラの種類と詳細については、以下の記事でも詳しく解説しています。
「リストラ」については、こちらの記事をご確認ください。

リストラ(退職勧奨)に必要な準備

ここからは、整理解雇の前に行われるリストラの1つである、退職勧奨を行いたい場合に必要な準備について解説します。

リストラ(退職勧奨)の根拠を明確にする

退職勧奨とは、特定の従業員に対して会社を辞めるよう勧め、企業と従業員が合意した上での退職を目指す行為のことです。退職勧奨を行う会社側は、「当該従業員になぜ辞めてもらいたいか」をはっきり説明できなければなりません。

例えば、当該従業員の業務成績や勤怠状況、トラブル履歴、注意・指導の記録といったデータをまとめ、退職勧奨を行う明確な理由を提示できるようにします。

リストラ(退職勧奨)の時期や条件を明確にする

退職勧奨を行う際は、退職予定日や再就職支援の提供の有無、退職金の上乗せ額、解決金支給の有無、未消化有給休暇の買取額なども明確にしておきましょう。

条件によっては、退職勧奨をされた従業員の回答が変わる場合もあります。はっきりした数字を用意することが大切ですが、折り合いがつかない場合に備えて、ある程度譲歩する準備もしておきましょう。

面談の日時や回答期限の設定

従業員との面談日時や、退職勧奨の回答期限も明確に設定しておきましょう。面談は会議室や応接室で、担当者と当該従業員のみで行います。担当者の人数は2人がベターでしょう。

面談の場で回答を求めることは、当該従業員のプレッシャーになるかもしれません。「退職を強要された」と感じられれば、その後のトラブルにつながるおそれもあります。従業員が冷静に検討できるよう、回答期限を数日後に設定してください。

また、回答期限前に「もう決めたか?」「できるだけ早いほうがよい」などと、回答を催促するような発言は慎みましょう。

リストラ(退職勧奨)を拒否されるケース


退職勧奨はあくまでも退職を勧める行為であり、決定権は従業員側にあります。そのため、退職勧奨は拒否されるケースもあるでしょう。どのような場合にリストラを拒否されるか、紹介します。

能力の評価に納得できないケース

従業員が「自分はよく頑張って仕事をしている」と思っていても、会社側には「能力不足」「職務怠慢」と映るケースがあります。

このような場合、従業員は能力不足を理由にした退職勧奨に納得できず、退職勧奨を拒否するかもしれません。

協調性に欠ける自覚がないケース

多くの場合、仕事はチームで行うため、各個人には協調性が求められます。協調性が欠けている場合は周りの従業員が不満を持ち、トラブルに発展することもあるでしょう。

しかし、本人に自覚がなければ「協調性に欠け、多くの問題を引き起こしている」という理由の退職勧奨を拒否されるケースがあります。

退職後に不安を抱えているケース

家族を養う必要があったり、体調や年齢ゆえに再就職が困難だと感じていたりする場合、退職勧奨を拒否されるケースがあります。第三者目線で見れば、より良い選択肢があるように思えても、当人は「今の仕事を失ったら終わりだ」と考えているかもしれません。

現実がどうあれ、当人の不安が大きければ、リストラ拒否をされてしまうでしょう。

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リストラ(退職勧奨)を拒否された場合の対応

ここからは、リストラの一環である退職勧奨を拒否されてしまった場合の対応を紹介します。

退職推奨を一旦中止する

退職勧奨を拒否されてしまった場合は、一旦退職勧奨を中止するのがベターです。相手の意見や主張が的外れであると感じた場合も、同様です。相手を納得させるために何度も退職勧奨を行ったり、長い時間をかけて説得しようとしたりすると、退職の強要になるおそれがあります。

不当解雇として訴えられるリスクを避けるためにも、一旦退職勧奨を中止し、解決金や特別退職金などの退職条件を書面に記した上で、「お気持ちに変わった場合は○○までご連絡ください」と伝えるのが良いでしょう。

問題点に対して指導・教育をする

能力不足や職務怠慢、協調性不足といった問題を理由に退職勧奨を行い、それを拒否された場合は、改めて教育の機会を提供しましょう。

退職勧奨において、「改善が見られれば退職を勧めることはない」と述べ、就業規則と照らし合わせて、改善してもらいたい点を明確に伝えましょう。その後、2ヵ月前後を目安に教育を行い、改善の機会を与えてください。

仮雇用をした試用期間中の従業員に能力不足などがあった場合も、雇い入れから14日が経過すると、30日前までに解雇予告をしなければなりません。この点には注意が必要です。

再度の退職勧奨は慎重に検討する

一度打ち切った退職勧奨を再度行いたい場合は、慎重に検討してください。

前回示した問題点について、再教育の機会を提供したにも関わらず改善が見られない、あるいは新たな問題行為が見られる場合は、再度退職勧奨を検討してもよいでしょう。

ただし、前回の退職勧奨からあまり日が経っていない場合は、少し期間をあけたほうがよいでしょう。

専門弁護士に相談する

退職勧奨を再度行う場合や、退職勧奨の理由が適当かどうか不安な場合は、労基や就労問題に詳しい弁護士に相談するのもおすすめです。

早期にリストラを進めたい時ほど、従業員との交渉が雑になりがちです。面談の際に認識しておくべきNG言動や、明確にしておいたほうがよいデータなども確認しておきましょう。

まとめ

リストラは整理解雇だけでなく、配置転換や出向、転籍、退職勧奨なども含みます。中でも、退職勧奨は従業員自ら退職することを促す行為であるため、拒否されるかもしれません。

退職勧奨を拒否された場合は、退職強要にならないように注意しつつ、会社のメリットになるよう順序良く対応してください。

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