こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
現在、大手企業においても優秀な人材の確保が課題となっており、多種多様な人材採用を実施することが求められています。人材の確保が難しい中で、近年、社員の友人や知人を紹介する採用方法である「リファラル採用」の注目が高まっており、導入している企業も増えています。
しかし、大手企業の方の場合、一般的な求人サイトによる募集をメインでしており「リファラル採用をどのように導入すればいいかわからない」という方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、リファラル採用を導入した大手企業の事例について解説します。
リファラル採用のメリットや導入する際の注意点についても把握できますので、ぜひご覧ください。
リファラル採用を導入した大手企業事例9選
リファラル採用を導入した大手企業の事例として、以下の9社を紹介します。
- 富士通株式会社
- 株式会社マネーフォワード
- 株式会社メルカリ
- DeNA株式会社
- 株式会社すかいらーくホールディングス
- 株式会社串カツ田中ホールディングス
- 株式会社ビズリーチ
- パーソルキャリア株式会社
- TDK株式会社
なお、この章は中小企業基本法の定義よりも資本金や従業員の数が上回っている企業のことを、大手企業と定義しています。
それぞれの会社でどのようにリファラル採用を行っているかを把握し、導入の参考にしてみましょう。
富士通株式会社
富士通株式会社は電化製品やDXツールなど幅広い事業を展開しており、ICTサービス市場で国内一位、世界でも7位の売上高を誇る大手企業です。
富士通ではキャリア採用にも注力しており、年間で約150人のICT人材を中途採用で確保していましたが、ICT人材の獲得が激化している中で、新しい採用手段としてリファラル採用を導入しました。
選考に紹介した社員は関わっていないことや、リファラル採用の考え方などついてガイドラインを設定し、トライアル検証してから、本格的に運用を実施しました。
32,000人の社員にリファラル採用を促進した結果、2018年より運用を開始し、2021年には90名以上の採用に成功しています。また、採用コストも1.2億円も削減できました。
株式会社マネーフォワード
家計簿アプリやクラウド会計ソフトを販売している株式会社マネーフォワードでは、「GOENカード」というカードを用いた、独自のリファラル採用制度を取り入れています。
GOENカードは、社員が紹介したい人に渡すカードのことです。GOENカードにはリファラル採用への応募サイトが記載されており、紹介された人が自分のタイミングで応募できるようになっています。
紹介者に誘われた日にすぐ返事をしなくても良くなり、しっかりと吟味してから応募できるので、転職の不安を解消できます。
GOENカードを導入した結果、運用開始から3週間で3人からのエントリーがあり、リファラル採用に成功しました。
また、マネーフォワードでは、リファラル採用によって入社したメンバーを紹介する「マイリファラルストーリー」という社内向け記事を発信しており、社員のリファラル採用を促進させています。
株式会社メルカリ
フリマアプリで知られているメルカリでは、5〜6割の社員がリファラル採用で入社しています。「100人から97人落とすよりも、10人に声をかけて10人採用した方が効率的だ」という考えのもと、リファラル採用を導入しました。
メルカリは、採用社員がリファラル採用しやすい環境づくりのために、会食の費用などを全額負担するような取り組みを実施しています。
また、自社メディア「mercan(メルカン)」を立ち上げ、会社の魅力やバリューを情報発信しており、転職活動していない人にもメルカリに興味をもってもらえるよう、努力しています。
DeNA株式会社
スマートフォン用ゲームの開発・配信やAI事業、ヘルスケア事業を展開しているDeNAでは、1年間で約300名の中途社員を採用することを目標にし、リファラル採用を導入しました。
社員がリファラル採用に取り組んでもらえるよう、社内外に採用強化について周知しました。また、採用担当者がさまざまな部署に一緒に働きたい人がいるかを聞き、自然な会話からリファラル採用につながるよう取り組んでいます。
一緒に働きたい友人や知人がいれば、リファラル採用に向けて会食の費用を会社が負担する「社外ごはん制度」を導入しています。
株式会社すかいらーくホールディングス
ファミリーレストラン事業を展開している株式会社すかいらーくホールディングスでは、求人サイトによる募集ではアルバイトの採用が難しくなってきたことから、リファラル採用を導入しました。
友人や知り合いだけでなく、元社員や元アルバイト店員の人も紹介できる制度にしました。また、情報発信や表彰制度にも力を入れ、多くの社員に紹介制度を利用してもらえるようにします。
リファラル採用を導入して5年間で約7,000名まで紹介数が増えました。定着率が高くなり、紹介で採用された人が、新たに知人や友人を紹介するという好循環ができるようになりました。
株式会社串カツ田中ホールディングス
「大阪伝統の味 串カツ田中」を展開する、株式会社串カツ田中ホールディングスでは、アルバイトスタッフの登用にリファラル採用を導入しました。
元々は人材紹介会社に依頼してアルバイトスタッフを確保していましたが、採用コストや離職率の向上が課題でした。課題解決策を考えた結果、紹介会社へ支払うより社員に還元したいという自社の方針から、リファラル採用を取り入れています。。
経営陣を含めた全社でリファラル採用を推進し、情報を発信して社員の認知度を向上させました。採用コストや離職率を公開し、社員に採用活動でさまざまな課題があることを周知して理解を促しています。
情報共有により、複数の社員が自社に合いそうな人を紹介して、離職率の低下や採用コストの削減に成功しました。
株式会社ビズリーチ
転職サイトの運営や労務管理システムを提供しているビズリーチでは、創業当時からリファラル採用を実施しています。
リファラル採用による雇用者の割合が社内の5割程度になるように、リクルーティングプロジェクトを立ち上げて注力しました。
社員をチームに分け、3か月で1人入社してもらう取り組みを実施し、リファラル採用が日常的に行われるような組織作りを行っています。ほかにも情報発信や表彰制度などを取り入れており、リファラル採用の促進に取り組んでいます。
パーソルキャリア株式会社
人材紹介サービス、求人メディアの運営をしているパーソルキャリア株式会社では、2014年度から「レコ友」というリファラル採用制度を取り入れています。レコ友は友人に入社してもらうために、社員が自社の社風や仕事を伝えるという取り組みです。パーソルキャリアでは、社員に企業理念を浸透させるのを目的として、レコ友を実施しました。
実施した結果、社員が自分の言葉にして自社を友人に薦めると、自社への理解をより深められ、エンゲージメントが向上することがわかりました。また、レコ友により1年で30人近くの採用をしており、採用コストも3,000万円以上削減できています。
TDK株式会社
電子部品メーカーのTDK株式会社では、中途採用者を200名確保してほしいという要望に応えるために、リファラル採用を導入しました。
現場スタッフが業務に必要なスキルや、自社の雰囲気に合う人材の特徴を理解できていると判断し、人材を紹介してもらえるよう促進しています。
2019年に運用を開始してからこれまで300人以上の社員が知人を紹介し、約40人の応募から8人の社員を採用しています。内定率が20%で、他の採用方法よりもマッチ率が高かったそうです。
大手企業がリファラル採用を実施する3つのメリット
リファラル採用のメリットとして、以下の3つがあります。
- ミスマッチを防止しやすい
- 転職潜在層から優秀な人材を獲得できる
- 採用コストを削減できる
なぜ多数の大手企業がリファラル採用を導入しているのかを把握できますので、ぜひお読みください。
ミスマッチを防止しやすい
リファラル採用に応募する人材は、紹介した社員を通して企業のリアルな情報を得てから応募しているため、マッチング率が高い可能性があります。
業務内容や社内の雰囲気もある程度理解できており、入社後のギャップを最小限にできるので、離職する可能性を抑えられます。
また、紹介した社員自体がどのような人材が自社に向いているかを熟知していることから、自社に適している応募者に出会える可能性が高いです。
リファラル採用で入社した人材は定着率も高く、自社で長期間働き続けてくれるでしょう。
転職潜在層から優秀な人材を獲得できる
リファラル採用では、転職したいと考えているが活動はしていない「転職潜在層」を獲得できる可能性があります。
株式会社YOUTRUSTの調査によると、2022年2月時点で会社員のうち6割が転職潜在層で、転職活動中の人(転職顕在層)の7倍いることがわかりました。
出典:「求職者・候補者の転職意識の実態」を調査、転職潜在層を含めた「転職予備軍」は約70%と判明―YOUTRUST
転職潜在層を採用するには企業からのアプローチが必要ですが、積極的に仕事を探してはいないため、採用担当が直接リーチするのは簡単ではありません。リファラル採用によって社員から声をかけてもらうことで、知人や友人で転職の意向のある潜在層を狙えます。求人サイトでは集められない人材を確保できるので、採用市場での人材の取り合いに参加しなくても、優秀な人材に出会える確率が高くなります。
とくに大手企業は社員数が多いため、社員の数だけ転職潜在層からの人材確保が可能です。
採用コストを削減できる
リファラル採用は、社員が友人を直接紹介するため、以下のようなコストを削減できます。
- 求人サイトへの掲載料
- エージェントの成功報酬
- 転職イベントの出展にかかる費用
リファラル採用はほかの採用方法よりも低コストで実施できるので、予算が限られている企業におすすめです。
大手企業がリファラル採用を導入する際の3つの注意点
ミスマッチの防止や採用コストの削減に有効なリファラル採用ですが、導入する際は以下のようなことに注意する必要があります。
- 紹介者と応募者の関係に注意する
- リファラル採用の意義について伝える
- 人材の同質化に気を付ける
導入に失敗しないためにも、以下の注意点を必ず把握しておきましょう。
リファラル採用でよくあるトラブルについて詳しく知りたい方は、別記事「リファラル採用トラブル」をあわせてご確認ください。
紹介者と応募者の関係に注意する
応募者が選考途中で不採用となった場合、紹介者と応募者の人間関係に悪影響を及ぼす可能性があります。友好関係が悪くなると、その社員のモチベーション低下にもつながるため、注意が必要です。
できるだけ関係が悪化しないよう、応募者が不採用になった理由について納得してもらうことが大切です。紹介した社員のモチベーションも確認し、必要に応じてフォローしましょう。
リファラル採用の意義について伝える
リファラル採用に対し「コネ入社であまり意味のないもの」と感じる社員も少なくないため、事前にどのような採用方法かを共有しましょう。
リファラル採用を運用するには、社員に納得してもらうことが大切です。運用開始前にリファラル採用の必要性や募集要件などを伝え、社員の理解を深めてから実施しましょう。
リファラル採用の専用ホームページを作成し、社員に情報共有できるような仕組みを作るのも一つの手段としておすすめです。
また、紹介してほしい人材を正確に把握しないと、ミスマッチの可能性があるので、気を付けなければなりません。具体的に必要な人材を決めるためにも、既存の社員に適性検査を実施したり、スキルや能力を可視化したりして、どのような人材が不足しているか把握することも大切です。
適性検査の実施や、スキルや能力の把握する方法として、弊社のタレントマネジメントシステム「タレントパレット」があります。タレントパレットは、社員のあらゆる情報を一元管理し、人材配置や育成をサポートするシステムです。
システム内で適性検査を実施する機能があり、検査結果をすぐに収集・分析してスムーズに採用方針を立てられます。また、スキルや能力ごとに人材を検索でき、不足している人材をスピーディに見つけられます。
ほかにもリファラル採用をサポートする機能が整備されていますので、導入に悩んでいる方は以下のページを参考にしてみてください。
人材の同質化に気を付ける
人は自分と似たような性格や思考を持つ人に対し好意を感じる傾向があり、社員と似たような人材が応募する可能性があります。採用時に応募者の特徴を見極めなければ人材が同質化しやすく、同じような思考の人が増えて偏りができるので注意が必要です。
同じような思考の人が増加すると、組織内で派閥ができ、社内の人間関係でトラブルが発生する可能性があります。紹介した社員と紹介された採用者が派閥を作らないよう、組織内の人間関係をチェックし、状況に応じて人材配置の実施も検討しましょう。
また、多種多様な人材を確保できるような採用基準を設定することもおすすめします。
人事業務の効率化、データ活用をするならタレントマネジメントシステムの導入が必須
人事業務をDX化することで、社員データの一元化・人材検索・人事評価・配置検討などの幅広い業務を効率化できるようになります。また、人材育成・最適配置・社員パフォーマンスの最大化など、組織力向上を目的とした一歩先のタレントマネジメントまで実現が可能です。
また、タレントマネジメントシステムを導入すれば、社員データを集約し人事評価のペーパーレス化や異動シミュレーション、ハイパフォーマー分析など、高度な施策が実施できます。タレントマネジメントを取り入れて、自社のリソースを最大限に活用しましょう。
大手企業もリファラル採用は優秀な人材確保に効果がある
リファラル採用はさまざまな大手企業で導入されており、採用コスト削減や離職率低下など効果の出ています。リファラル採用で人材確保に成功できるよう、社員に理解してもらうよう制度をしっかり決めて、情報を共有しましょう。
また、リファラル採用を実施する際、業務効率化として弊社のタレントマネジメントシステム「タレントパレット」の導入を検討してみてはいかがでしょうか?タレントパレットでは、自社に不足している人材を適正検査や検索機能で把握できるため、採用方針をスムーズに決められます。
人材配置のシミュレーション機能もあり、紹介された採用者の最適な配属先がわかるため、採用者のパフォーマンスを最大限に引き出すことが可能です。
下記リンクからタレントパレットについて詳しく把握できますので、ぜひご覧ください。