こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
ホーソン効果は周囲の人に注目されることで対象者の意思決定に変化が生まれ、良い方向で結果が生まれる心理行動の名称です。ピグマリオン効果と混同されるケースもありますが、全く異なるものといえます。では、どのような違いがあり、企業としてどのように使い分ければよいのでしょうか。
本記事では、ホーソン効果とピグマリオン効果の概要と違い、共通点やビジネスシーンでの活用方法について解説します。
ホーソン効果の概要
ホーソン効果とは、第三者から注目されたことが原動力となって、その期待に応えるべく行動を起こした結果良い結果につながる心理行動です。アメリカにあるホーソン工場にて、業務改善のために行われた実験の過程で発見されたものであり、現在では社員のモチベーション向上や集中力の向上を期待して採用されるケースが多いといえます。
ホーソン効果は、誰かが寄せている期待に応えようとしているかどうかによって効力を発揮します。そのため、企業の仕組みとして誰かの注目を常に浴びる仕組みを整えることで、仕事への意欲向上やモチベーション向上につなげているケースも考えられるでしょう。
ホーソン効果を証明した4つの実験
ホーソン効果を証明した実験は、ウエスタンエレクトリックのホーソン工場で行われた生産性向上に関する実証実験でした。具体的には次の4つの実験を行った結果、得られたものです。
- 照明実験
照明の明るさが生産性に関与するという仮説を立てて行われた実験。結果は証明と生産性の関連性がないとなった。
- 組立実験
労働環境が悪くなることで、作業効率も悪化するという仮説に基づいて行われた実験。結果は仮説とは異なったが、日々のコミュニケーションで生まれたチームの連携でモチベーションの向上やパフォーマンスの発揮につながったという結果が得られた。
- 面談実験
労働条件よりも個人の好みや感情に生産性が左右されるという仮説に基づいて行われた実験。結果は仮説通りで、生産性の向上にはその人の感情によるところが大きいという結果が得られている。
- バンク配線作業実験
上記3つの実験結果から、バンクと呼ばれる電話交換機の配線を組み立てる際に利害関係のないもの同士をペアにして小グループが発生するかどうかを確認した実験。仮説通り小グループが形成されていただけではなく、状況に応じて労働量をコントロールしている事実が判明した。
生産性向上を実現するためには、従業員に対する接し方やそれによって発生する感情をうまくコントロールする必要があることが分かりました。
ピグマリオン効果の概要
ピグマリオン効果とは、教育者が生徒に対して期待を持って接することで、その生徒の能力が高まるという心理行動です。つまり、目上や役職が上となっている人材が上手く期待をかけることによって、従業員の能力を高められるといえるでしょう。
アメリカの教育心理学者であるローゼンタールが提唱したもので、教師期待効果やローゼンタール効果とも呼ばれています。ピグマリオン効果は昨今のビジネスシーンでは多く採用される傾向にあり、とくに上司や管理職が部下を育成するために用いられている状況です。成功事例も多いことから、企業における取り組みとして積極的な活用が求められる心理行動といえます。
ピグマリオン効果も実験によって発見された
ピグマリオン効果も実験によって発見された心理行動のひとつです。ローゼンタールが行った実験では、普通のテストを「将来成績優秀者になる生徒がわかるテスト」と銘打って実施し、受験者の20%から成績優秀者になるであろう生徒を無作為に抽出しました。
その対象者を教師に伝え、一定期間経過した後に成績の推移を比較したところ、無作為に抽出したはずの対象の生徒の成績が他の生徒の成績よりも向上している事実が認められたという結果になっています。実験結果や制度については賛否両論あるものの、誰かが期待を抱くことでいい変化が起きているという仕組みが証明されました。
ピグマリオン効果とホーソン効果の違いを把握し使い分けていく必要があるといえます。では、ピグマリオン効果はどのように使用すれば効果的なのでしょうか。
「ピグマリオン効果」については、こちらの記事をご確認ください。
プラセボ効果とは概念が全く異なる
プラセボ効果とは、特定の事象を思い込むことで体に影響を及ぼし、何かしらの変化が実際に現れる現象のことです。偽薬効果とも言われており、薬としては効果がないものを服用して病気の症状が改善する状態を指す言葉であり、ビジネスにおいても使用されるケースもあります。
ホーソン効果とピグマリオン効果も何かしらの思い込みによって状況が改善されるという点は同様です。しかし、原因が第三者なのか本人なのかという違いがある点を把握しておきましょう。
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ホーソン効果とピグマリオン効果の共通点
ホーソン効果とピグマリオン効果は、発生する要因が相手からの期待なのか注目なのかという違いがあるものの、効果はよく似ているものといえます。また、得られる効果や注意点も共通点が多いといえます。ここでは、両方の効果が具体的にどのように似ているのか、焦点をあてていきましょう。
認識でパフォーマンスがあがる
ホーソン効果は第三者からの注目、ピグマリオン効果は第三者からの期待によってパフォーマンスが向上する心理行動です。原動力となる部分が異なるものの、どちらも第三者を認識して初めてパフォーマンスが上がるという点で共通しています。
アプローチ方法は異なりますが、期待できる効果としては非常によく似ていることを覚えておきましょう。
両方ともビジネスに役立てることが可能
ホーソン効果とピグマリオン効果は、どちらも従業員のパフォーマンスを向上させるのに役立つものです。ピグマリオン効果は教育現場で採用されていた心理行動であるものの、会社の人材育成で効果があることが証明され、ビジネスシーンで採用されるに至った経緯があります。
ホーソン効果は、元々ビジネスの現場で活用されていました。発見されたきっかけが異なる心理行動であるものの、どちらも従業員のパフォーマンス向上につながる考え方だといえます。
両方ともプレッシャーは厳禁
ホーソン効果とピグマリオン効果は注目や期待といった第三者からの影響を受けて成果につながるものです。いずれかの手法を採用する上司や管理職は、成果に期待しすぎて部下にプレッシャーを与えないようにする必要があります。
適度なストレスであれば問題ありません。しかし、期待がプレッシャーに変わり、与え続けてしまった場合はマイナスの成果しか産まなくなってしまいます。特にホーソン効果とピグマリオン効果はプレッシャーによって良い効果を生むのが難しいものである点は知っておきましょう。
ホーソン効果とピグマリオン効果のビジネスへの活用方法
ホーソン効果とピグマリオン効果をビジネスで活用する場合、次のような活用方法があります。
- チームビルディングを行う
- 目標公言と目標管理を組み合わせる
- 適正な評価を心がける
では、具体的にどのように行うのか、詳細を解説みていきましょう。
チームビルディングを行う
チームビルディングを行えば、メンバー間の結びつきを強められるだけではなく、メンバーからの期待や注目を置かれる環境に部下を配置可能です。上手く環境を作ることで、コミュニケーションが活性化するだけではなく、相互にいい作用を生み出す可能性が高くなるといえます。
チームへの貢献意識が高まり、生産性や品質の向上につながる可能性にも期待できるでしょう。マネジメントを行う管理職は、従業員の相性をある程度見抜かなければならないものの、チームビルディングはホーソン効果及びピグマリオン効果を高めるために有効な手段といえるでしょう。
目標公言と目標管理を組み合わせる
ホーソン効果とピグマリオン効果を組み合わせた目標を設定し、公言する機会を作る方法は有効な活用方法です。他者に向かって目標を公言することをパブリックコミットメントといい、目標達成のモチベーションにつながります。
そして、マネジメントを行う管理職は、目標に応じたスモールステップの目標を管理するようにしましょう。しかし、目標公言を行った後のフォロー体制を整えておく必要があり、上司や管理職にも高度なマネジメントスキルが要求されます。
適正な評価を心がける
適正な評価とは、成果を出した社員を表彰したり、個別面談において結果ではなく過程で評価したりする仕組みのことです。特に個別面談においては、コミュニケーションを取る場合でも結果だけを評価することがないように対応する必要があります。
また、普段の些細な一言でモチベーション低下につながり、ホーソン効果やピグマリオン効果の実感がなくなってしまう可能性がある点にも注意しましょう。
まとめ
ピグマリオン効果とホーソン効果は、部下の育成や企業の成長において必要な心理行動です。どちらにも共通してプレッシャーを避け、上手く効果を活用できる仕組み作りを行う必要があります。
また、現場で活用するには、ある程度のコミュニケーション能力やマネジメント能力が求められます。しかし、自社の人材の傾向が明確にはわからないという場合もあるでしょう。そういった場合は、タレントマネジメントシステムのタレントパレットを活用し、人事に関するデータを一目で確認できるようにする方法も有効です。
タレントパレットの活用によって、経営者や人事担当者の負担を大幅に削減できる可能性があります。細かく従業員の情報を確認できることから、適切な人材配置も可能です。有効なチーム作りや人材活用のために、タレントパレットの導入をご検討ください。
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