離職防止に役立つアイデアは?離職防止が重要な理由や離職によるリスクも解説!


離職防止に役立つアイデアは?離職防止が重要な理由や離職によるリスクも解説!

労働人口が減少している日本国内では、社内の環境を整備し、優秀な人材を流出させないように対策することが大切です。この記事では、離職防止に役立つアイデアについて詳しく解説します。離職の原因を突き止める方法や、離職の兆候がある社員の特徴などもまとめているので、ぜひ参考にしてください。


企業の離職防止に有効な対策!原因や放置した場合のリスクを解説


離職防止が重要な理由

人手不足は深刻な社会問題となっており、さまざまな企業が離職防止に向けた取り組みを実施しています。まずは、離職防止が重要な理由を解説します。


人材確保の難易度が上がっている

日本は少子高齢化が進んでおり、労働人口は減少傾向にあります。一方で、有効求人倍率は上昇しており、会社間における人材確保の競争は激しさを増す状況です。このような社会情勢を踏まえて、すでに確保している人材の流出を防ぎ、定着させることが求められています。


※参考:労働力調査(基本集計)2023年(令和5年)平均結果の要約

※参考:職業紹介-都道府県別有効求人倍率:主要労働統計指標|労働政策研究・研修機構(JILPT)


採用や教育コストの損失を抑える

新卒・中途問わず、採用には一定のコストが必要です。しかし、採用したあとに内定を辞退されたり、離職されたりすると採用コストは企業の損失につながります。採用後、戦力として活躍してもらうためには教育コストも不可欠です。


しかし、多大なコストをかけて教育しても、会社の利益に貢献する前に退職されてしまうことがあります。退職した人の後任を新たに確保しようとすると、さらに採用・教育にコストが発生するため、無駄な出費を抑える意味でも離職防止策の検討が必要です。


転職により人材の流出が加速している

終身雇用制度の実質的な崩壊に伴い、キャリア形成を目的とした転職のハードルが下がっています。短期間に何度も転職を繰り返す「ジョブホッパー」という働き方も広がっており、人材の流出は加速している状況です。企業は適切な離職防止策を講じ、「この会社で働き続けたい」と思える環境を整えなければなりません。


※参考:転職動向調査2023年版(2022年実績) | マイナビキャリアリサーチLab


採用者の離職率が高い

近年、採用者の離職率が高い水準で推移しているのも問題視されています。厚生労働省の調査によると、就職後3年以内に離職する人は、新規高卒就職者が37.0%、新規大卒就職者が32.3%という結果でした。業界によっては3年以内の離職者が半数を越えており、離職防止に向けた取り組みの重要性は高まっています。


※参考:新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)を公表します|厚生労働省

離職の原因を突き止める方法

社員の離職を防止するためには「どうして会社を辞めるのか」という原因を明らかにしなければなりません。離職の原因を突き止める方法を解説します。


退職時に面談する

実際に退職する社員と面談し、退職に至った理由を聞くと自社の課題が把握できます。原因を把握できれば、離職防止につながる適切な対策が講じやすくなるでしょう。ただし、退職時に必ずしも本音を伝えてくれるとは限りません。退職理由が建前である可能性を考慮したうえで、受け止める必要があります。


調査データから推測する

厚生労働省は「令和4年雇用動向調査結果の概況」のなかで、転職入職者が前職を辞めた理由を公表しています。この調査によると、個人的な退職理由のなかで男女ともに「労働時間や休日などの労働条件の不満」の割合が高いことが分かりました。このような調査データも参考材料の1つとして役立ちます。


※参考:令和4年雇用動向調査結果の概況|厚生労働省

社員が離職する理由

会社を退職する決断するときは、何らかの不満や不安を抱えているケースが大半です。社員が離職する理由を詳しく解説します。


労働条件への不満

給与や待遇など労働条件への不満は、社員が離職を考えるきっかけの1つです。不満を持たれやすい労働条件としては、次のようなものが挙げられます。


・労働時間が長い

・サービス残業がある

・休日が少ない

・有給が取れない

・給与や賞与が少ない

・福利厚生が乏しい

・テレワークができない


働き方改革の推進に伴い、企業には多様な働き方を選択できる仕組みづくりが必須の状況です。他社と比べて対応が遅れていたり、制度が整っていなかったりすると、不満が生じやすくなります。


人間関係のストレス

職場における人間関係のストレスも、離職する理由として挙げられます。上司や同僚のみならず、顧客との関係性にストレスを感じて離職するケースも少なくありません。ハラスメントが原因で人間関係のストレスが発生している可能性もあるため、離職率が高い組織は不適切な行為が繰り返されていないか、注意深く調査する必要があります。


能力・個性と仕事の相性

自身の能力や個性と、担当している仕事との相性が悪いと離職につながりやすくなります。一度「向いていない」と感じてしまうと、仕事に対する意欲が失われてしまい、パフォーマンスの低下につながりかねません。希望していた部署に配属されなかったり、組織の風土と合わなかったりした場合、離職の可能性は高まります。


将来への不安

将来への不安を解消するために離職を選択するケースもあります。会社の業績が不安定だったり、事業拡大が見込めなかったりすると、会社に居続けることに不安を感じる社員は少なくありません。経営が安定している企業でも、スキルアップができなかったり、年収の増加が望めなかったりすると社員の離職率は高くなります。


離職の兆候がある社員の特徴

人材の流出を防ぐためには、離職の兆候を掴み、適切なフォローが大切です。離職の兆候がある社員の特徴を紹介します。


モチベーションが低下している

業務に対するモチベーションが低下している社員は、離職の兆候があると考えられます。離職を視野に入れていると責任感がなくなり、業務への関心も薄くなりやすいでしょう。特に勤務態度にネガティブな変化が見られるときは注意が必要です。


業務への態度が消極的になる

業務への態度が消極的になった社員も、離職や転職を検討している可能性があります。離職を考えている社員は、いつでも辞められるよう長期プロジェクトへの参画を避けたり、業務量を少しずつ減らしたりするケースが少なくありません。自発的に引き継ぎに関するマニュアルを作成しているのも離職の兆候です。


コミュニケーションの機会が減る

職場内でのコミュニケーションが希薄になり、会話が減った場合も離職が懸念されます。具体的には「挨拶に元気がなくなる」「雑談の機会が減る」などが主な兆候です。離職を検討している後ろめたさから、ミーティングでの発言が消極的になったり、上司や同僚を遠ざけたりするケースもあります。


遅刻や欠勤が多くなる

遅刻や欠勤の増加は、離職の兆候として捉えられます。現在の組織で働き続ける気持ちが薄れると「遅刻や欠勤しても構わない」という無責任な気持ちが生まれがちです。また、度重なる早退は、転職活動の準備や面接などに時間を割いている可能性もあります。ただし、遅刻や欠勤の増加は、健康上の問題や家庭の事情などが理由の場合もあるため、転職と決めつけて誤った対処をしないよう注意してください。


離職を検知する7つのアプローチとは?データ活用により離職防止を実現


離職防止を怠ると発生するリスク

離職防止を怠ると企業活動にも悪影響を及ぼします。適切な対策を講じて、健全な組織運営を目指しましょう。


人材が流出する

離職の代表的なリスクとして人材の流出が挙げられます。労働人口が減少している昨今、人的資本に対する重要度の高まりは顕著です。優秀な人材の流出によって業績が伸び悩み、会社の成長も鈍化します。採用・教育にかけたコストが無駄になり、その後の新規採用・教育コストが増えるため、離職率が高くなるほど企業の負担増は避けられません。


既存の社員の負担が増える

離職者が担当していた業務は、基本的に既存の社員が分担して対応します。結果的に1人あたりの業務量が増えてしまうため、生産性や品質の低下は重大な懸念材料です。また、定期的に離職者が発生して人材不足が常態化すると、さらなる離職を誘発する悪循環に陥る恐れがあります。


会社のイメージが低下する

離職率の高さは会社のイメージ低下を招きます。求職者にとって、離職率の割合は会社を選ぶうえでの重要なポイントです。離職率が低い会社は好印象を持ってもらいやすく、採用活動もスムーズに進みます。


一方、離職率が高いと「何らかの問題があって働いている社員が不満を持ちやすい会社」と判断されてしまいがちです。実際は働きやすく制度が整っている会社でも、離職率の高さによって会社のイメージが悪くなってしまいます。


離職防止に役立つアイデア

ここからは、離職防止に役立つアイデアを紹介します。「コミュニケーション促進」「労働条件・環境整備」「モチベーションアップ」の3つのポイントを意識しながら、多角的なアプローチを実施しましょう。


コミュニケーション促進

まずは、コミュニケーション促進に関するアイデアを紹介します。


メンター制度の導入

メンター制度とは、業務上の上司とは別に年齢や社歴が近い先輩社員とペアとなり、交流を通してさまざまな支援・学びが得られる制度です。サポートする先輩社員はメンター、サポートされる若手社員はメンティーと呼ばれ、多くの企業で活用されています。人間関係や精神的な悩みの解決、若手社員の定着率を向上するためにもメンター制度の導入は有効です。


1on1ミーティングの実施

1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で行う面談のことです。部下を管理する意味合いが強い人事評価面談と異なり、部下の成長促進を目的としています。上司と部下の信頼関係の構築や、会社へのエンゲージメント向上なども期待でき、離職の抑止に効果的です。


社内イベントの開催

社内イベントの開催も離職防止策として有効です。社員同士の交流の機会を設けることで、良好な人間関係の構築や会社への帰属意識の向上に役立ちます。懇親会や納会など食事を伴う交流会や、社員のモチベーションアップにつながる表彰式の実施など、会社の風土に合ったイベントを企画してみましょう。


社内SNSの活用

社内SNSの活用も、離職率の改善につながる可能性があります。社内SNSとは、その名の通り社内だけで利用できるSNSツールです。メールよりも気軽に連絡ができるため、トラブルや悩みを相談しやすく、問題が大きくなる前に対処できます。社内SNSで相談しやすい環境が構築できれば、人間関係のストレスを原因とした離職の防止も期待できるでしょう。


ランチミーティングの導入

ランチミーティングとは、ランチタイムに行う社員同士の意見交換を指します。一般的な会議に比べ、カジュアルな雰囲気でコミュニケーションが取りやすく、離職防止策としても有効です。社員が前向きに参加できるよう、ミーティング費用は会社が負担するなどの工夫を取り入れてみましょう。


飲み会や食事への手当

福利厚生の一環として、飲み会や食事に対する手当の支給も離職防止の1つです。ユニークな福利厚生は社外からの評価も高く、うまくアピールできれば優秀な人材の確保にもつながります。食事への補助によって社員の満足度は高まるものの、参加を強制することがないよう注意しましょう。


サンクスカードの導入

サンクスカードとは、同僚や上司に対しての感謝をメッセージにして渡す施策です。感謝の気持ちを目に見えるかたちで伝えることで、お互いの仕事を尊重する気持ちが育ち、組織に一体感が生まれやすくなります。


オープンスペースの設置

オープンスペースの設置は、アイデアの共有やプロジェクトへの積極的な参加を促します。照明やインテリアにこだわり、執務スペースとは異なる雰囲気にすると社員も気分転換できるでしょう。オフィスが快適な状態になれば不満を感じにくくなり、離職率の改善も見込めます。


労働条件・環境整備

続いて、労働条件・環境整備に関するアイデアを紹介します。


福利厚生の充実

福利厚生の充実は離職防止に直結します。福利厚生とは、給与や賞与以外のサービスや報酬のことで、社員とその家族が対象です。会社が自由に設定できる「法定外福利厚生」では、社員のニーズに合った休暇制度、住宅補助、自己啓発の支援などの用意によって社員の満足度が向上し、離職の防止に貢献できます。


働き方の幅を増やす

働き方に柔軟性があると、子育てや介護などライフスタイルの変化による離職防止に効果的です。働き方の幅を増やす方法としては、下記の事例が挙げられます。


・日によってシフトの変更ができる

・フレックス制度を導入する

・週の何日かをリモートワークにする

・業務委託を導入する


人事評価制度の見直し

社員が納得できない評価基準や評価項目はモチベーションの低下につながり、離職に気持ちが傾きやすくなります。「努力や成果が認められない」と社員の不満が高まっている状態も好ましくありません。アンケートなどで意見を募り、人事評価が適切に実施できているか確認しましょう。アンケート結果を踏まえたうえで人事評価制度を見直し、人材の定着につなげることが大切です。


インセンティブ制度の導入

インセンティブとは、ノルマの達成によって支給される報酬です。努力次第で報酬を受け取れるインセンティブ制度の存在は、社員のモチベーション維持に貢献します。優秀な人材ほどインセンティブの恩恵を受けやすく、離職を防ぐ手段として有効です。


パルスサーベイの実施

パルスサーベイとは、簡易的な質問を定期的かつ継続的に実施する調査のことです。主に社員への満足度調査として活用されており、離職防止にも役立ちます。心身の健康面に関する内容を質問項目に設定すれば、ストレスチェックとしても効果的です。


労働時間の適切な管理

長時間労働は離職率を高める原因となります。離職者が多く残った社員の負担が増えると、長時間労働に陥るパターンは少なくありません。働き方改革を実現するためにも、自社に合った管理ツールを導入し、労働時間を正確に把握する必要があります。


モチベーションアップ

最後に、モチベーションアップに関するアイデアを紹介します。


キャリアパスの明確化

キャリアパスとは「キャリアを得るまでの道」を意味する言葉です。具体的には、企業が社員に対して中長期に渡って与えるポジションや業務、報酬などを指します。キャリアパスが明確になっていれば、社員は自らが会社で働き続けるイメージを持ちやすいでしょう。将来設計が描きやすい会社は不満や不安を感じることが減り、離職率の改善につながります。


適材適所な人材配置

適材適所な人材配置も有効な離職防止策です。適性に合わない業務をしたり、本来やりたかった業務ができなかったりすると、離職率は悪化します。企業には、社員それぞれの適正を把握し、希望や事情を参考にしながら配置できる仕組みづくりが欠かせません。


社内公募制の導入

社内公募制とは、社員自身が異動する部署を決められる制度です。社内で別の職種に就ける機会を用意することで、転職せずにキャリアチェンジを実現できます。「新しい職種へチャレンジしたい」「環境を大きく変えたい」という社員のニーズに応えられ、離職以外の選択肢を提示できる方法です。


研修の実施・研修制度の充実

研修を実施することで、社員はスキルや知識を身につけられます。スキルアップを実感できれば、キャリア形成に向けたモチベーションを維持でき、会社への貢献意識も高まるでしょう。勤続年数ごとのワークショップを設定したり、資格取得に手当を支給したり、研修制度の充実を図るなどの手法が有効です。


まとめ

離職率が高い企業は人材の流出が加速し、企業活動にも問題が生じる可能性があります。健全な経営を実現するためにも、離職の原因を突き止め、適切な対策を講じることが大切です。


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