圧迫面接を面接官が避けるための基礎知識や予防策・代替案を解説


圧迫面接を面接官が避けるための基礎知識や予防策・代替案を解説

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

圧迫面接とは、面接官が応募者に対して意図的に高圧的な態度を取ることによって、応募者の適性を見極める面接方法を意味します。圧迫面接には、企業イメージの低下やよい人材の採用が難しくなるなど、さまざまなリスクがあるため、実際に実施している企業は少ないといえます。

しかし、通常の面接においても応募者によっては「圧迫面接だ」と捉えられる場合もあることから、採用面接の難しさを感じている人事担当者もいるのではないでしょうか。。

この記事では、圧迫面接を人事担当者が行わないための基本的な知識や予防策、圧迫面接の代替案を紹介します。「意図せずに圧迫面接を行っているかもしれない」と悩まれている人事担当者の方は、ぜひご覧ください。

圧迫面接とは

圧迫面接とは、海外では「stress interview(ストレスインタビュー)」と呼ばれる面接方法です。企業の採用試験で面接官が応募者に、意図的に高圧的な態度を取ったり、答えづらい質問をしたりする面接方法を意味します。アメリカの企業が発案して、世界に広まりました。

圧迫面接は応募者のストレス耐性などを確認する目的があるとされているものの、コンプライアンスに則っていないため、行ってはならないといえるものです。また、SNSが一般的になった昨今では次のようなリスクも考慮する必要があります。

・圧迫面接での自社の悪い評判が流布される
・応募者に訴訟を起こされる

ただし、結果として、面接官の対応や態度によって圧迫面接と勘違いされてしまう可能性は否定できません。また、面接の内容が同じであっても、応募者によって受け取り方が異なる点は難しい問題といえるでしょう。

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圧迫面接が行われる4つの理由

リスクを踏まえたうえで、圧迫面接の実施によって、企業側には応募者のストレス耐性などを見極めたい意図があります。ここでは、圧迫面接が行われる4つの理由については 詳しく見ていきましょう。

1. ストレス耐性を確かめたい

圧迫面接を行うことで、「応募者のストレス耐性を把握したい」という狙いがあります。たとえば、業務量の多さやクレーム対応など、体力的・精神的に負担のかかる仕事に適応できるかどうかを見極める際に、圧迫面接が実施されるといえるでしょう。

ビジネスの現場では、上司や取引先から叱責されることもあります。「入社後もストレスに耐えられるのかどうか」を圧迫面接で確かめたいという意図がある点は、知っておきましょう。

2. 学生の本音を引き出したい

圧迫面接を行う場合、次のような観点から、圧力をかけて応募者を感情的にさせ本心を引き出すことで、面接採用の精度を上げる狙いもあります。

・通常の面接では聞けないような本音を応募者から引き出せる
・学生が面接の回答をある程度は事前に準備できるため、型通りの回答を聞いても意味がないと考える

応募者が自分をよく見せるために、本音を出さずに正解を答えようとすることもふまえて、本音を聞き出すための方法として捉えているケースも少なくありません。

3. コミュニケーション能力を知りたい

一般的に高圧的な態度を取られた場合、思考が停止し、普段通りの会話が困難になります。そのため、コミュニケーション能力を見る場合に、圧迫面接を検討する企業もあるといえるでしょう。

実際、ビジネスでは、顧客や取引先が好意的に話を聞くとは限りません。友好的ではない方とやりとりしなければならないケースもあるでしょう。そのため、圧力をかけられ話しづらい状況でも、コミュニケーションを取らなければならない場面に対応できるかという点を圧迫面接から測っていると想定されます。

4. 臨機応変な対応力があるか見たい

圧迫面接では、面接官が意図的に応募者を困らせる質問や態度を取ることがほとんどです。これは、コミュニケーションが取りづらい状況下であったとしても、柔軟に対応できるかどうかを確認する意図があります。

仕事はいつも計画通りに進むわけではない上に、多くの人と関わり合いながら遂行しなければなりません。変化の激しい業界や社員の裁量権が大きい企業では、問題に柔軟に対応できるか見極めるために、圧迫面接を行っているケースもあると想定されます。

圧迫面接だと誤解されるケースもある



通常の面接のはずが、応募者に「圧迫面接ではないか」と誤解されるケースもあるでしょう。また、面接官のスキル不足や熱心すぎるあまり、意図せずに圧迫面接になっているケースも想定されます。

ここでは、圧迫面接だと誤解されるケースをみていきましょう。

面接官が意図せずに圧迫面接を行っているケース

面接には、スキルや人格を把握できる質問やリラックスさせる会話など、一定のスキルや経験が必要です。そのため、スキルや経験値が少ない面接官の場合は、意図せずに圧迫面接となってしまうことも想定されます。

面接官によっては応募者をよく知るために、質問しすぎてしまい、応募者から「圧迫面接だ」と受け取られるケースも少なくありません。

応募者が「圧迫面接」だと捉えるケース

応募者側の感じかたによって、面接官の顔つきや雰囲気から恐怖を覚えたり、「睨まれた」と感じたりすることで、応募者から圧迫面接だと誤解されるケースもあります。言葉使いや表情から圧迫面接と思われないためのトレーニングや対策が必要です。

圧迫面接の4つの事例

ここからは、圧迫面接の事例と圧迫面接と誤解される可能性のある面接官の行動を4つみていきましょう。とくに質問数に関しては、コントロールできるものでもあるため、社内教育を徹底する必要があります。

1. 質問や「なぜ?」を繰り返す

応募者に対して興味を持つあまりに質問を繰り返してしまう、応募者が返答に困るほど質問を繰り返すといった対応は、圧迫面接の事例の1つです。たとえば、次のような対応は応募者から、圧迫面接と感じられるでしょう。

・応募者の受け答えに対して、何度も「それはなぜ?」と「もし無理だったら?」と繰り返し質問する
・答えることが難しい問題の切り口を変えることで、似たような質問を繰り返す

2. 否定的な発言をする

応募者の意見を徹底的に否定する面接内容も代表的な事例です。たとえば、面接官が応募者に「これについてどのように考えるか?」と聞き、応募者の返事に対して「それは違う」と否定を続けるだけでなく、小さな矛盾を見つけては、揚げ足を取るケースなどが該当します。

また、通常の面接においても、学生の返答に対して面接官が否定的な発言をすることもあります。しかし、一般的に否定されることに慣れていないため、圧迫面接だと捉えられる可能性が高いといえるでしょう。

3. 高圧的な態度を取る

面接官が横柄な態度で応募者に発言したり、怒ったように質問したりします。椅子にふんぞり返って足を組む、肘をついて聞くなどの高圧的な態度も圧迫面接の事例です。

面接官によっては普段の癖で、声が大きかったり、肘をついて話を聞いたりするなど、無意識的に威圧的な態度になっている場合が想定されます。

4. 無視・無反応である

通常の面接では、面接官と応募者の会話があることから、コミュニケーションが成り立っているといえるでしょう。しかし、普段の話し方の癖から、「へぇー」や「そうなんだ」のような受け答えをする場合は注意が必要です。

そうなった場合、応募者が不安になり、本来の実力を十分に発揮できなくなると想定されるでしょう。

また、普段から口数の少ない面接官の場合は、学生の返答に対するリアクションが薄い可能性もあります。

圧迫面接を行う3つのリスク

ここからは、圧迫面接の実施によって生じる企業側のリスクを3つ見ていきましょう。企業イメージや人材確保に対して、影響があることから、圧迫面接は推奨できないといえます。

1. 企業イメージが低下する可能性

圧迫面接によって、企業イメージの低下や面接官の個人情報が流出するリスクがあります。「圧迫面接をされた」と感じた応募者は、真実かどうかに関わらず自社の悪い評判をSNSで拡散する可能性があるといえるでしょう。圧迫面接によって応募者は感情的になっているため、事実とは異なる内容を書き連ねる可能性も否定できません。

近年では、企業の格付・口コミサイトが多く存在します。圧迫面接で不愉快な思いをした応募者が格付けサイトなどに書き込みを行うケースもあるでしょう。

2. 優秀な人材を確保しにくくなる可能性

人材不足を解消したい場合、圧迫面接の実施は得策ではありません。圧迫面接は時代に逆行したものであり、学生や社会人に関係なく、優秀な人材であるほど、圧迫面接を実施する企業を避けると想定されます。

また、短い時間でのストレス耐性の見極めは非常に高いスキルが求められるものです。そのため、優秀な人材の確保を望む場合は、学生や社会人が普段のパフォーマンスを発揮し、率直な回答ができるような環境を作りをしなければなりません。

3. 訴訟に発展するリスク

海外では、圧迫面接が原因でメンタル不調になった応募者が訴訟を起こしたケースがありました。結果的に、企業側が傷害罪で有罪判決を受ける、侮辱罪で損害賠償を求められるなどの事態に発展しています。

日本では訴訟に発展するケースは少ないと考えられるものの、スマートフォンなどで面接内容を録音することも可能です。圧迫面接を行わない、圧迫面接と勘違いされない対応を行うことが、訴訟のリスクを抑えるために重要です。

企業が圧迫面接を避けるための3つの予防策


圧迫面接だと受け取られかねない態度を面接官が取っている場合には、研修やマインドセットを整えるところからスタートし改善する必要があります。場合によっては、企業全体として取り組む必要もあるでしょう。

ここでは、圧迫面接を避けるための3つの予防策について解説します。

1. 清潔感のある身だしなみにする

圧迫感を無くすために、スッキリした身だしなみにしましょう。シワの寄ったスーツや汚れた靴では、「こんな人がいる会社は嫌だ」といった悪い印象を与えます。タバコの匂いや前夜の酒の匂いが残っているなど、匂いに関するマナーにも注意が必要です。

2. アイスブレイクを行う

アイスブレイクとは、初対面の人に対し、話し合いの場を設けて、緊張を和ませるためのコミュニケーション方法です。天気やトレンドなどの気軽な話や軽い自己紹介などのアイスブレイクは、応募者が席についたタイミングで、数分間ほど行うとよいでしょう。面接官から話し始め、緊張をほぐしていきます。

アイスブレイクで応募者と面接官との間に関係性ができることで、圧迫面接だと勘違いされにくくなるでしょう。

3. 丁寧なコミュニケーションを取る

次のポイントを意識し、応募者が発言しやすいようなコミュニケーションを取ります。

  • 傾聴を行う
  • 質問の仕方を柔らかな表現にする


傾聴とは、相手の立場に立って共感するためのコミュニケーション技法です。応募者の表情や声のトーン、姿勢や仕草などの非言語コミュニケーションも重視します。

応募者の話す内容を最後までよく聴いて理解し、言葉の背景にある感情にも共感を示すことで、応募者が安心できるでしょう。

また、圧迫面接だと受け取られないように、質問を柔らかな表現にすることも重要です。たとえば、「我が社があなたを採用するメリットは?」ではなく「あなたが我が社に入社した後のビジョンを教えてください」に言い換えるなどの方法があります。

企業が圧迫面接を避けるための代替案

圧迫面接を避けつつ、企業にとって効果的な採用面接のための代替案をみていきましょう。

行動面接を実施する

行動面接は、応募者が過去にとった行動について質問を行うスタイルの面接です。Googleの採用面接でも重視されています。行動面接を導入することで、過去のストレス状況下において、応募者がどのように困難を切り抜けたのかを掘り下げて質問することも可能です。

ストレス耐性だけでなく、学生の性格や価値観を見抜く判断材料にもなるため、将来パフォーマンスを発揮できる人物かどうかの予測に役立つのもメリットといえるでしょう。

行動面接では、STARのフレームワークを用いて、学生の過去の行動に基づいた質問をします。

  • S(Situation):過去の状況
  • T(Task):その時の課題は何か
  • A(Action):実際にとった行動
  • R(Result):その結果どうなったか


企業にとっては応募者をより実像に近い形で認識でき、応募者にとっては、自分の人間性を再確認できる面接方法だといえるでしょう。

ストレス耐性テストを行う

ストレス耐性テストを行えば、学生のストレスに耐える強さが可視化されます。ストレス耐性テストとは、自分の殻を破って一歩進み出せるかどうか、自分の考えかたを柔軟に変えられるかどうかを調べるテストです。

メンタルの不調によって休職する社員を増やさないためには、採用時にストレスに強い人材を見極めることが一つのポイントになります。

ストレス耐性テストを実施した場合、応募者のストレス耐性をデータ化でき、公平な採用につなげやすくなるでしょう。

まとめ

本記事では、圧迫面接を行わないようにするための知識や予防策、代替案などについて解説しました。昨今では、圧迫面接を実施する企業は少ないと考えられるものの、応募者側に「圧迫面接だ」と捉えられてしまうケースも想定しなければなりません。

しかし、丁寧なコミュニケーションや対応を心がけることで、圧迫面接だと勘違いされにくくなるでしょう。また、圧迫面接の代替案として、行動面接やストレス耐性テストが有効です。応募者が自社にとって必要な人材かどうかを見える化でき、公平な採用につながる可能性を高められるでしょう。

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