ピープルマネジメントとは？意味や実践方法、役立つおすすめシステムを紹介

2022.12.14

働く人の価値観の多様化や時代の変化により、社員1人ひとりにコミットするピープルマネジメントが重要視されています。
この記事では、ピープルマネジメントの概要や重要視されている背景、実践するメリット、手順などを詳しく解説します。ぜひ、ピープルマネジメントの実施にお役立てください。

ピープルマネジメントの基礎知識

ピープルマネジメントの概要や従来のマネジメントとの違い、クルト・レヴィンの法則について解説します。

ピープルマネジメントの意味

ピープルマネジメントとは、社員1人ひとりと向き合うマネジメントです。ピープルマネジメントに成功すると、キャリアやモチベーションなど多面的な観点で、社員を成功や成長に導けます。

ピープルマネジメントの施策には、1on1ミーティングの実施や目標設定や管理などが挙げられます。従来のマネジメントに加えて、ピープルマネジメントには社員の自立性を養うコーチングの視点が必要です。

従来のマネジメントとの違い

従来のマネジメントもピープルマネジメントも、社員1人ひとりの力を最大限に発揮して、組織の成果を最大化することが目的です。ただし、従来のマネジメントは、いかに「成果」を上げるかというパフォーマンスの向上を重視していました。営業成績のように、数値で把握できるものが従来のマネジメントの対象です。

また、従来のマネジメントは、マネージャーは成果に対して責任を問われました。ピープルマネジメントでは、マネージャーは人材開発や育成にも責任を持ちます。

クルト・レヴィンの法則について

クルト・レヴィンの法則を知ると、よりピープルマネジメントへの理解を深められます。ドイツの心理学者クルト・レヴィンは、「B＝f（P,E）」で表される概念を提唱しました。Bは「Behavior（行動）」、fは「Function（関数）」、Pは「Personality（人間性など）」、Eは「Environment（職場の人間関係など）」です。

クルト・レヴィンの法則は、「社員の行動は、周囲の状況にも左右される」ということを示しています。つまり、ピープルマネジメントを実施すると、企業全体が良い方向に進むと考えられます。

ピープルマネジメントが重要視されている背景

ピープルマネジメントが重要視されている背景を、社会環境の変化に基づき解説します。

終身雇用制度が機能しなくなっている

ピープルマネジメントが重要視されている背景には、優秀な人材が流出しやすくなっている状況が挙げられます。近年、雇用は流動的となり、同じ会社にとどまらず転職する人が増えています。転職サイトやマッチングサイトなどが増え、転職を検討しやすくなった状況も、雇用の流動化に拍車をかけました。しかも、国内は少子化により人手不足です。

ピープルマネジメントで社員の気持ちの変化を察知できると、人材流出を阻止できる可能性があります。

働く人の価値観が多様化している

多様な価値観や働き方が認められるようになり、画一的な人材育成は困難になってきています。新人時代などに行われる大勢を対象とした研修だけでは、優秀な人材の育成は困難です。

何を重視して仕事をしているかは、社員1人ひとり異なります。まずは社員の価値観を探らないと、それぞれに合った育成はできません。マネージャーには、社員1人ひとりに寄り添い、価値観を尊重した上でメンバーの良さを引き出す役割が求められます。

ビジネス環境が変化している

新しいテクノロジーの登場やインターネットの普及などに伴い、ビジネスを取り巻く環境は急激に変化しています。

例えば、リモートワークの拡大により、遠隔地のコミュニケーションの難しさや、仕事の進めにくさを実感した人も多いのではないでしょうか。社会の変化に適応するためには、ピープルマネジメントで社員の「個」の力を鍛え、組織全体の適応力を高める必要があります。

ピープルマネジメントを実践するメリット・効果

ピープルマネジメントを実践すると、社員の自立性やエンゲージメントの向上が見込めます。

社員の自立性向上が期待できる

マネージャーと密にコミュニケーションを取ると、社員自身が内省する機会が増えます。行動を振り返り達成感を得ると、仕事へのモチベーションが向上して主体的な行動を取れるようになります。

従来のような細かい指示を出すマネジメントでは、社員の自立性が育ちません。マネージャーに対して、コーチングを意識したサポートを求めましょう。

社員のエンゲージメント向上につながる

従来のマネジメントでは、マネージャーは成果の達成にこだわりがちでした。パフォーマンスを発揮できていない社員にとって、マネージャーは煙たい存在であったかもしれません。

ピープルマネジメントでは、マネージャーと社員が親密にコミュニケーションを取り、お互いの距離感が縮まります。マネージャーや企業に対して強いつながりを実感すると、社員のエンゲージメントが向上し、企業全体で生産性の向上が期待できます。

ピープルマネジメントの実践ステップ

まずは、ピープルマネジメントの取り組み方をマネージャーに説明し、マネジメントのための環境を整備します。「社員とのフィードバックを○か月に○回の頻度で取り入れる」など、明確にルールを決めます。

その上で、1on1や業務のフィードバックなどの施策を講じながら、ピープルマネジメントを実践しましょう。実践したあとは効果検証を行い、状況に応じてマネジメントの「量」や「質」の改善が必要です。

ピープルマネジメントを実践する際のポイント

ピープルマネジメントを実践する際のポイントを解説します。マネージャーには、公正な視点を持ちつつ社員に寄り添う姿勢が求められます。

社員1人ひとりとしっかり向き合う

ピープルマネジメントでは、社員にしっかり寄り添うことが大切です。一方的にフィードバックせず、社員の話に耳を傾けましょう。気になる点があっても話しを遮らずに、社員が自分で問題に気づけるよう導くと自立性を養えます。

話しやすい雰囲気づくりも大事です。相手が素直に話してくれなければ、マネージャーは社員の価値観を理解できません。また、マネージャーには、社員が個々に持つ目標への理解を示した上で、モチベーションを維持させるための気配りが求められます。

社員の状況のチェックは頻繁に行う

問題がないような状況でも、継続的に社員の状態をチェックしましょう。頻繁にコミュニケーションを取るほど、マネージャーと社員の関係性が構築され、安定したマネジメントにつながります。

社員の状況がいつもと違うと分かれば、問題を早期発見でき迅速な対応が可能です。マネージャーを信頼していれば、社員の方からも適時相談してくれると考えられます。

マネジメント研修を実施する

社員それぞれの目標や状態は可視化しにくいため、ピープルマネジメントの成功に向けて、マネージャーには高い能力・スキルが求められます。

マネージャーの能力を高まるためにも、ピープルマネジメントの研修は必須です。しかし、従来のマネジメントを実施していれば、自社にノウハウがないかもしれません。従来のマネジメントに慣れているマネージャーが、新しい方法に馴染みにくい可能性もあります。円滑なピープルマネジメントの導入に向け、社外講師による研修もおすすめです。