こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
時短勤務とは、通常のフルタイム勤務よりも短い時間で働くことです。小さな子どもや介護が必要な方が家族にいる場合、時短勤務を希望するケースが多いでしょう。
時短勤務は法律によって定められている制度であり、従業員側からの申し出があれば企業は対応しなければなりません。また、時短勤務はいつまで可能かについては法律で定められていますが、適用範囲以降もできる限り対応するよう企業努力が課せられています。
今回は、時短勤務はいつまで可能なのか、就業規則で定めるポイントや記載例などをご紹介しましょう。
子育て中の時短勤務いつまで取れる?
育児・介護休業法で定められている制度「時短勤務」は、雇用形態にかかわらず一定の条件をクリアする全従業員に適用されます。子育て時短勤務の適用要件は、以下の6つです。
- 3歳未満の子どもがいる
- 1日の所定労働時間が6時間以上
- 日雇いの労働者以外
- 現在育児休業を取得していない
- 労使協定において適用を除外されていない
- 子どもが1歳6ヶ月になるまで継続雇用の予定がある(有期雇用に限る)
ただし、勤続年数が1年未満、1週間の労働日数が2日以下、業務上時短勤務の適用が困難である場合、時短勤務の対象外となります。
子どもが3歳未満の間まで
法律では、「子どもが3歳未満の間まで」を子育て時短勤務の適用期間とし、従業員が利用を希望した際には受け入れなければならないとしています。正確には「子どもが誕生した日から3歳になる前日」までで、子どもの人数に決まりはありません。つまり、3歳未満の子どもが1人でもいれば制度の利用が可能です。
ただし、企業によっては独自の規定を定めていることもあり、適用期間が小学校就学前まで延長可能なケースは珍しくありません。また、「小学校卒業まで」としている企業もあり、子育てママ・パパには喜ばしい制度だと言えるでしょう。
3歳以降の時短勤務は企業によって異なる
子どもが3歳以降になっても時短勤務が可能かどうかは、企業によって異なります。令和3年において企業に義務付けられている制度はありませんが、少子化対策の一環として新しい制度が導入される可能性はあるでしょう。
ただし、3歳を過ぎたとしても、企業は小学校就学時までの子どもがいる従業員に対して、時短勤務や育児休業、所定外労働時間の制限などを続ける努力義務が課せられています。フレックスタイム制の導入や事業所内保育所の設置などもそのひとつです。
あくまでも努力義務であり、適用期間や内容は定められていないため、いつまで時短勤務とするかは企業と従業員とで話し合うと良いでしょう。
介護中の時短勤務いつまで取れる?
育児・介護休業法で定めている介護中の時短勤務は、以下のとおりです。
- 要介護状態の家族を介護している
- 日雇いの労働者以外
- 現在介護休業を取得していない
- 労使協定において適用を除外されていない
要介護状態とは、「ケガや病気、精神疾患、その他の心身異常が見られ2週間以上の介護が求められる状態」を言います。介護認定や医師の診断書などの提出が必ずしも必要ではなく、厚生労働省が作成した基準を元に判断されることが一般的です。
ただし、取得希望者の勤続年数が1年未満、1週間の労働日数が2日以下、業務上時短勤務の適用が困難の場合、こちらも適用除外となります。
利用開始日から連続する3年以上の期間で2回以上
介護が理由の場合は法律上で取得制限は設けられておらず、従業員と企業との話し合いで適用期間が決まるケースが多いです。ただし法律上では、利用開始日から3年以上の期間で、2回以上利用可能な制度であるべきと定められています。つまり、上限はないものの「2年未満の間」「適用は1回のみ」など、法律で定めた年数や回数以下にはできないということです。
また、分割して介護の時短勤務を取得する場合、途中に介護休業を取得したり、一時的に勤務制度をテレワークなどに変更したりするケースもあります。このように、同じ時短勤務であっても理由によってルールは異なるため、従業員から申請があった際に備えて制度への理解を深めておきましょう。
時短勤務を就業規則で定めるポイント
従業員に積極的かつ滞りなく制度を活用してもらうためには、就業規則への記載が欠かせません。ただし、従業員が分かりにくい内容や曖昧な決まりであれば意味はありません。
申請方法はもちろん、適用範囲や自社独自の制度に関しても詳しく記載し、利用を検討している従業員が困らない内容へと仕上げることが働きやすさ向上へとつながります。
時短勤務の申請方法はわかりやすく
まず、申請に必要な書類や手続きなどをわかりやすく明記しましょう。時短勤務へ変更すると、これまで従事していた業務に対応できなくなるケースが多いため、仕事内容の見直しが必要です。また、見直しと合わせて、担当から外れる業務の引継ぎも発生する点も留意しておかなければなりません。
見直しや引継ぎをしっかりと済ませるためには、時短勤務開始の1ヶ月前までを申請期限とするのがおすすめです。また、中には期限を知らずにギリギリで申請してくる従業員もいるかもしれないため、新しく入社の方はもちろん、既存の従業員へ就業規則の確認を進めることも大切です。
時短勤務の期間や条件は細かく定める
申請方法や期限のほか、時短勤務の期間やルールなども詳細に就業規則に定めてください。法律で義務付けられている制度ですが、働く従業員の満足度や働きやすさ向上のために会社独自の制度を定めている企業は多いです。
法律で定められている適用要項や基準だけでなく、自社がオリジナルで定める制度内容についてもきちんと明記しましょう。例えば、「小学校就学前まで適用」「3歳以降は自宅勤務可能」など、法律では義務付けられていない内容です。誰が読んでもわかりやすく、活用を検討してもらいやすい環境を整備することが大切になります。
就業規則の記載例を紹介
就業規則の内容は分かりやすく、詳細にまとめることがポイントです。また、子育てか介護かによって時短勤務の適用要項や期間は異なるため、それぞれ別に記載する必要があります。
しかし、どのように記載したら良いのか悩む方は多いでしょう。そこで、子育てと介護の時短勤務に関する記載例をそれぞれご紹介します。
子育てによる時短勤務の就業規則
子育て時短勤務に関する例文は、以下の通りです。
「3歳未満の子どもを養育する従業員は、申し出により所定労働時間を以下のように変更できる。所定労働時間を午前8時半から午後3時半まで(うち午前12時から午後1時までを休憩時間とする)の6時間とする。」
また、「育児時短勤務は、1ヶ月以上1年以内の期間で申請可能」「育児時短勤務の申請時には開始日および終了日を明らかにし、時短勤務の開始予定日の1ヶ月前までに申請書を提出しなければならない」などの記載も必要です。
ただし、適用期間に関しては「労働者との話し合いによる」としても問題ありません。
介護による時短勤務の就業規則
介護の時短勤務に関する例文は、以下の通りです。
「介護の時短勤務を利用する従業員は、開始日から3年の範囲で2回まで、従業員の申し出により3ヶ月以上の期間を個別に決定する。」
また、「介護の時短勤務の申請時には、原則として時短勤務の開始予定日の2週間前までに開始日・終了日を明らかにし、申請書により申し出なければならない」などの手続きに関する記載も必要になります。
法律で2回以上と定められているため、会社も同じく2回までとして問題はありませんが、回数を減らすことは禁止されていません。また、子育ての時短勤務とは違って介護は突然必要になるケースが多いため、申請期限を2週間とする企業が多いです。
時短勤務の管理だけで終わらない、あらゆる人事データを統合して分析
仕事と子育てや介護を両立する従業員は多く、共働き世帯が増加している近年において時短勤務を希望する方は増加していくでしょう。時短勤務者が増えていけば全従業員の管理が難しくなり、スタッフ管理が間に合わない場合もあるかもしれません。
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時短勤務とフルタイムで変わること
時短勤務とフルタイム勤務では勤務時間が異なりますが、勤務時間が変わることでそれ以外にも様々な違いが出てきます。例えば固定給やみなし残業代、ボーナス、社会保険料の負担などです。基本的には全ての項目において減額となります。
それぞれ項目ごとに従業員や企業側にどのような変化があるのかをチェックしていきましょう。
固定給
勤務時間が短くなれば、その分給料も少なくなります。そもそも企業が定める固定給は勤務時間に応じて決められているため、時短勤務になれば固定給も減額されるのは当然です。
例えば、8時間勤務から6時間勤務になる場合は通常の75%の労働時間となるため、給与もその数字にあたる金額へと変更されます。つまり、給与20万円であれば約15万円に減額し、その金額に手当加算や各種保険料の天引きなどを実施する必要があるということです。従業員から時短勤務の申請を受けた際には給与の減額割合を提示し、納得を得た上で手続きを行いましょう。
みなし残業代
時短勤務になると、みなし残業代の受け取りができません。みなし残業代とは、一定分の残業時間分を基本給に含んでいる残業代です。例えば、「みなし残業代20時間分」の場合は、実際の残業時間が10時間であっても20時間分の割増賃金を支払う決まりになっています。
フルタイム正社員の場合、企業によってはみなし残業代を基本給にプラスしているところもあります。しかし、時短勤務へ変更となるとみなし残業代がゼロとなり、給与を減額するケースは少なくありません。固定給の減額だけでなく、みなし残業代がなくなる点もあらかじめ従業員に了承をもらっておきましょう。
残業代
時短勤務になれば、基本的には残業代もゼロになります。実際のところ時短勤務でも残業は可能ですが、基本的には定時上がりのためほぼゼロと考えて良いでしょう。フルタイム勤務時で残業が多かった従業員が時短勤務にすると、残業代が大幅減もしくはゼロになってしまいます。
また6時間の時短勤務の場合は、6時間を超えた時点で超過勤務です。フルタイムと同様に8時間を超えなければ残業ではないと認識する企業が多いですが、時短勤務の所定労働時間(6時間)を超過すれば残業となる点には注意しましょう。時短勤務者に残業をさせないよう、正しい知識とデータ管理が必要です。
ボーナス
時短勤務者は、給与だけでなくボーナスも減額するケースが多いです。ボーナスは基本的に成果給であり、勤務態度や勤務状況、業務に対する貢献度などによって決められます。
また、会社の業績度によってもボーナス額は変動するものです。基本的には労働時間が短くなれば貢献度や成果も下がるとみなし、フルタイム正社員のボーナスよりは少ないでしょう。
ただし、時短勤務者へのボーナスは明確な決まりがあるわけではありません。企業によってルールは異なるため、従業員からの質問にすぐに対応できるようあらかじめ計算式を用意したり、就業規則に明記したりすると良いでしょう。
社会保険料の負担
時短勤務であっても、保険の加入対象なら社会保険料の負担は避けられません。社会保険料は、前年度4~6月分の給料を元に計算されるため、その当時は時短勤務でなければフルタイム勤務と同じ額の社会保険料が課せられます。時短勤務へ変更してしばらくの間は、ただでさえ減額した給与からさらに社会保険料が天引きされるので、負担が大きくなるでしょう。
ただし、育児休業明けに時短勤務へと変更する場合は「育児休業終了時報酬月額変更届」を提出すると、一定条件をクリアした場合に限り保険料の負担を軽減できます。対象の従業員がいれば、企業側から声をかけてあげると良いでしょう。
まとめ
今回は、時短勤務についてご紹介しました。介護か子育てかによって時短勤務の適用要項や期間は異なりますが、子育ての場合は3歳まで、介護の場合は3年の間で2回以上が適用範囲となります。ただし、企業によっては働きやすさや従業員満足度の向上を目的に、オリジナルの制度を設けているところもあるでしょう。
フルタイム勤務以外の雇用形態を採用するのであれば、人事システムの活用がおすすめです。タレントパレットはあらゆる人事システムを活用でき、従業員管理にも役立たせることも可能です。総務や人事担当者で従業員管理に悩んでいる方は、ぜひ導入をご検討ください。
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