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少子化によって、日本国内の労働人口は減少の一途を辿っています。そのような状況の中で、従業員の離職を防いで長期的に働いてもらうために時短勤務を導入する企業が増えているのです。時短勤務を導入すれば、多くの人が働きやすい環境を整えられます。
今回は、時短勤務の概要や浸透している背景、対象となる従業員、時短勤務を利用できない人への措置などについて解説していきましょう。時短勤務の導入を考えている企業の経営者や人事担当者は必見です。
時短勤務とは
時短勤務とは、1日あたりの労働時間を短くして勤務することを指します。1日の所定労働時間は、原則として6時間です。しかし特定の日だけ7時間労働にしたり、隔日勤務にしたりするなどの柔軟な対応をとることもできます。
時短勤務を利用できるのは、育児や介護などの事情によってフルタイムで働くことが難しい従業員です。育児・介護休業法で導入が義務付けられているため、導入できる体制を整えておきましょう。
育児や介護の時間が必要な従業員にとって、仕事を続けやすくなるのでメリットの大きい制度です。また離職を防げる点から、企業側にもメリットがあります。
時短勤務が浸透する背景
時短勤務は、比較的最近になって注目を集めるようになった働き方です。続いては、時短勤務が浸透する背景についてみていきましょう。
時短勤務と少子高齢化社会
日本では、少子高齢化が大きな問題になっています。なぜなら少子化の進行によって、労働人口の減少という問題も生まれるためです。労働人口が減少すれば、日本経済の衰退につながってしまうので、一刻も早く解決を目指さなければいけない問題と言えるでしょう。
そのような状況下で、労働力を確保するために時短勤務制度がスタートしました。育児・介護と両立し、少しでも仕事ができるようにすることが目的です。
時短勤務に関する法律の改正
時短勤務は3歳までの子どもを養育する従業員が利用できるように、2010年に義務化されました。また、100人以下の従業員を雇用する企業でも2012年に義務化されています。
育児に利用できることがフィーチャーされがちですが、介護での利用も可能です。それまでは、育児・介護と仕事を両立するという考え方は一般的ではなかったため、大きな変化だと言えます。
育児・介護休業法は、これまでに何度も改正されてきました。ワークライフバランスがとりやすい社会に変化しつつあり、多くの人が仕事と家庭を両立できるような環境が形成されています。
時短勤務はいつまで適用になる?
時短勤務がいつまで適用されるのか気になる人も多いでしょう。適用期間は、育児なのか、介護なのかによって異なります。具体的にどのような期間が設けられているのかチェックしていきましょう。
育児における時短勤務では子どもが3歳未満の間まで
育児・介護休業法によると、3歳未満の子どもを持つ従業員に対して、時短勤務制度を設けなければいけないとされています。法律上では、子どもが3歳になる前日まで取得可能です。
なお、妊娠や出産を控えた従業員がいる場合はその点を踏まえた上で人員の調整を行わなければいけません。
3歳以降の時短勤務は努力義務
子どもが3歳の誕生日を迎えてからは、時短勤務は努力義務となります。つまり、3歳の誕生日を迎えると、時短勤務制度が終了となってしまうケースが多いです。法的な強制力もなくなってしまうので、企業によっては時短勤務を利用できなくなる場合があります。
ただし、残業は1ヶ月当たり24時間、1年で150時間を超える時間外労働をさせてはいけないと決められていることを忘れてはいけません。深夜業は3歳未満の子どもを育てている親と同じように希望があれば免除される点も、念頭に置いておきましょう。
介護では利用開始日から連続する3年以上の期間
介護を理由とした時短勤務では、利用開始日から連続する3年以上の期間で取得可能です。また、その期間中に2回以上利用することも可能となっています。
企業側は従業員から申し出があった場合には、期間内で時短勤務ができるようにしなければいけません。法律では取得期間に関する決まりが定められていないため、いつまで時短勤務にするかという点は従業員と企業で話し合って決めます。
時短勤務の対象者
時短勤務は、申請すれば誰でも利用できるわけではありません。対象者に該当している場合のみ利用できるため、育児による時短勤務と介護による時短勤務の対象者についてみていきましょう。
育児による時短勤務の対象者
育児による時短勤務の対象者は、以下の条件をクリアしている人です。
- 育児している子どもが3歳未満
- 日々雇用される従業員ではない
- 1日の所定労働時間が6時間以上
- 短時間勤務制度が適用される期間が育児休業と被っていない
- 労使協定で適用除外とされていない
つまり、元々フルタイム勤務の正規雇用のうち、3歳未満の子どもを持つ人が該当するとわかります。1年以上勤務している有期雇用の従業員でも、勤務時間が6時間以上、週3日以上働いていれば対象になります。ただし企業によって異なる場合があるので、しっかりチェックしましょう。
介護による時短勤務の対象者
介護による時短勤務は、要介護と認定された家族を持つすべての従業員が利用できます。ただし、介護休業の取得期間開始予定日の93日後から6ヶ月経過するまでに労働契約が満了して、それ以降の契約更新がない場合は対象外です。なお要介護状態とは、疾病や精神・身体の障害などで2週間以上にわたり、常に介護が必要な状態を指します。
また、入社1年未満の従業員や1週間の所定労働日数が2日以下で労働者雇用期間が終了する従業員は、労使協定に締結していると対象外になるので注意してください。トラブルを防ぐためにも、適用外となる条件もチェックしておきましょう。
時短勤務の導入だけで終わらない、あらゆる人事データを統合して分析
従業員が育児や子育てと両立しながら仕事をできる環境を整えることは、これからの時代においてさらに重要になると考えられます。そのような場合、人事データの統合や分析を行い、より働きやすい環境作りを目指す必要があるでしょう。働きやすさを向上させるには、多岐にわたる人事データの統合と分析ができるタレントマネジメントシステムの『タレントパレット』がおすすめです。
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時短勤務を利用できない人への措置
時短勤務は、すべての従業員が利用できるわけではありません。しかし、対象外となる従業員が育児や介護に携わらなければいけない場面もでてくるでしょう。そのような場合の措置について解説します。
フレックスタイム制
フレックスタイム制とは、始業時間や終業時間、労働時間などを従業員自身の裁量で決められる働き方です。
月曜日に5時間、火曜日に10時間などバラバラの労働時間でも問題ありません。1週間で40時間、1ヶ月で160時間の勤務ができていれば良いのです。そのため、プライベートと仕事のバランスがとりやすくなります。
ただし企業によっては、出勤しなければいけない時間であるコアタイムを設けている場合もあります。
時差出勤
時差出勤とは、本来の勤務時間である9〜18時を10〜19時に変更するといったような制度です。通常の出勤時間とずらすことにより、子どもの登下校に合わせた出社時間を実現しやすくなります。介護している親のデイサービスの送迎に合わせた時間で出社できるようになるというメリットも生まれるでしょう。
時短勤務の導入が難しい場合は、時差出勤を検討してみてください。従業員と相談し、何時から何時の出勤が良いのか決めると、ニーズに合わせた働き方を提供しやすくなります。
事業所内保育施設などの設置運営
時短勤務やフレックスタイム制、時差出勤などの導入が難しい場合は、事業所内保育施設などの設置・運営を検討しましょう。企業内に託児所を設けることにより、代替措置となります。託児所を設置できない時は、従業員にベビーシッターの利用を勧め、その費用を会社が負担するという方法もいいでしょう。
また、業務の内容で短時間労働などが難しい場合もあります。そのようなケースでは、可能な部署への一時的な異動を提案するのもおすすめです。
時短勤務中の給与
時短勤務をしていると、給料がどのくらい貰えるのか気になる人もいるでしょう。時短勤務における給与は、以下の方法で計算されます。
時短勤務中の給与=基本給×実労働時間÷所定労働時間
実務労働時間=1日の実勤務時間×1ヶ月の実出勤日数
所定労働時間=事業主所定の1日の勤務時間×事業主所定の1ヶ月の勤務日数
基本給が実労働時間に比例するので、短くなれば給料も少なくなってしまいます。仕事内容によっては交渉次第で基本給が変わらない場合もあるので、要注意です。
時短勤務の給付金や助成金
企業が時短勤務を導入する際には、利用できる助成金や給付金があります。助成金や給付金を利用できれば、企業側の負担軽減につながるでしょう。そこで時短勤務の給付金や助成金について詳しく解説します。
時短勤務の給付金を政府が検討中
育児休業明けで子育てのために時短勤務している人向けに、政府は新しく現金給付制度を設置することを検討しています。雇用保険の加入者が対象であり、賃金の一定割合の金額を雇用保険から支払う内容です。
2024年には関連法案を通常国会に提出する予定です。キャリア形成の後押しになる可能性もありますが、財源の確保で難航する可能性も考えられます。
企業の時短勤務を支援する助成金がある
企業の時短勤務を支援する助成金も存在します。それが、両立支援等助成金です。両立支援等助成金金は、短時間勤務や育児休業などを整備している事業主が申請できます。
助成を受けるには、雇用保険適用事業所の事業主である、審査に協力するなどの規定があるので確認しておきましょう。目的によって育児休業等支援コースや出生時両立支援コース、介護離職防止支援コースなどに分かれているので、それも含めて理解しておく必要があります。
時短勤務を導入するメリット
時短勤務の導入により、優秀な人材を確保できる、既存従業員の定着率を高められる、従業員の生活に余裕を持たせられるなどのメリットが生まれます。テレワークやフレックスタイム制の普及により、育児や介護と仕事の両立がしやすい環境になってきました。
それらを実現できる職場は、働く側からすると魅力的に見えるものです。また現在働いている従業員が勤務し続けてくれることは、企業にとっても大きなメリットになります。
時短勤務を導入するデメリット
時短勤務の導入には、給与の減額をしたり、従業員自身の成長チャンスを逃したりする可能性がある点がデメリットです。労働時間が短くなるので、任せられる業務に偏りが生まれる場合もあります。そのため、適切な配置や業務量などをしっかり検討しなければいけません。
育児や介護によって、急な休暇をとる場合もあるでしょう。そのような時に、他の従業員がしっかりとカバーできる体制を整えておかないと、業務に支障が出る可能性が高くなってしまいます。
時短勤務の導入事例
時短勤務は、多くの企業で導入されています。しかし、企業によって内容は様々ですので、具体的な導入事例についてみていきましょう。
1.週4勤務制度を導入した事例
育児や介護をする従業員に対して、週4勤務制度を利用できる体制を整えた企業があります。短時間勤務やシフト勤務も整備していて、週4勤務制度の併用も可能です。そのため、幅広い働き方から自分に合う方法を見つけやすくなっています。
また、働き方の質を向上させるためにテレワークも導入しています。育児や介護があってもキャリアを継続でき、将来はフルタイムに戻ることも可能です。ワークライフバランスを重視した働き方ができるようになった事例と言えるでしょう。
2.独自の育児短時間勤務を導入した大手企業の事例
独自の育児時短勤務を導入している大手企業もあります。仕事と家庭を両立させるため、柔軟な働き方ができるような体制を整えています。育児期フレックスタイム制度や育児短時間勤務などを導入し、男女問わず子どもが小学6年生の3月を迎えるまで利用可能です。
その他にもテレワークを積極的に取り入れたり、ベビーシッター利用時の費用補助を行ったりすることで、育児と仕事の両立をサポートしています。
3.週休3日制を導入した菓子製造会社の事例
水・土・日曜を休みとする週休3日制を導入した菓子製造会社の事例を解説します。工場で働く従業員に対して、週3日の休日と時短制度を認めました。その結果、家庭の都合で働きたくても働けなかった女性からの応募が増えたようです。
短時間勤務もあわせて導入しているので、家庭の都合に合わせた働き方ができるようになっています。
4.時短勤務でもできる仕事を獲得した事例
時短勤務の従業員でも携われる仕事を獲得した事例も存在します。企業が担っている業務は多岐にわたり、属人性が高い仕事もあれば、そうでない仕事もあります。属人性が高い仕事ばかりだと短時間勤務や急な休みが難しくなってしまいますが、そうでない仕事が増えれば時短勤務を導入しやすくなるでしょう。
仕事の幅が広がれば、働きやすさも増していきます。ワークライフバランスに関する従業員満足度は年々向上しているので、成功事例の1つと言えるでしょう。
時短勤務の導入方法
時短勤務の導入方法を説明します。まずは、制度の内容を決めて就業規則の改定を行ってください。内容は企業ごとに決められるので、子どもの対象年齢を高くしたり、1日の勤務時間を4時間まで可能にしたりするなど柔軟に対応できます。
企業規則を改訂したら、申請方法や手続きのマニュアルを決めていきましょう。短時間でできるような手続き方法にするのがベターです。
ここまで決まったら、社内に周知します。周知方法は、社内の掲示板やポータルサイトなどを使うと良いでしょう。社内報などで定期的に取り上げると、周知されやすくなります。その後は、必要に応じて制度の見直しを行いましょう。
まとめ
時短勤務を導入すると、働き方の幅が広がります。そのため、育児や介護をしなければいけない人でも働きやすくなるのです。実際に、時短勤務制度や週休3日制度などを導入し、従業員の満足度が向上している企業もあります。
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