アルバイトとパートの違いって何?採用する際の注意点も併せて解説


アルバイトとパートの違いって何?採用する際の注意点も併せて解説

アルバイトとパートの違いを把握しておくと、従業員を採用する際や育成する際に役立ちます。

本記事ではアルバイトとパートの違いについてご紹介します。また採用する際の注意点も併せて解説するため、ぜひ参考にしてください。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

アルバイトやパートなどのパートタイム労働者を雇用する際は、労働基準法やパートタイム労働法の遵守が求められます。アルバイトとパートの違いについて詳細に把握していない経営者や人事担当者は、この機会にあらためて押さえておきましょう。

今回はアルバイトとパートの違いについて詳しく解説します。またアルバイト・パートと正社員の違いや採用する際の注意点なども併せて解説するため、ぜひご覧ください。

アルバイトとパートの概要


フルタイム勤務ではなく短時間労働をする際には、アルバイトやパートなどの選択肢があります。アルバイトとパートの違いをあらためて聞かれると、説明するのが難しいという人もいるでしょう。まずはアルバイトとパートの概要を解説した上で、両者の違いについてご紹介します。

アルバイトとは何?

アルバイトとは何かを知るためには、アルバイトという言葉の語源を調べてみるとよいでしょう。アルバイトの語源はドイツ語の「Arbeit」であり、日本語では「労働」「仕事」「作業」などと訳されます。

アルバイトという言葉が使われるようになったのは戦前であり、当初は学生の間で広まりました。勉強の合間に家庭教師などをやってお金を稼ぐことをアルバイトと呼ぶようになり、やがて一般の人にも広まりました。

現代でも学生が学業の合間にお小遣い稼ぎをしたり、副業でお金を稼いだりすることをアルバイトと呼びます。比較的短時間の労働をアルバイトと定義しておくとよいでしょう。

パートとは何?

パートについてもまず語源を押さえておきましょう。パートの語源は、英語の「part time job」です。生活の一部の時間を割いて働くことを意味する言葉であり、1954年に大丸百貨店がパートタイム労働者の募集広告を出したことにより広まったとされています。

「パートタイム」や「パートタイマー」が短縮され、現在は「パート」という言葉が定着しています。パートもアルバイトと同じく、フルタイムではなく比較的短時間の労働でお金を稼ぐこととされています。

アルバイトとパートに法律上の明確な違いはない

アルバイトとパートに法律上の明確な違いはありません。パートタイム労働法では、いずれも短時間労働者(パートタイム労働者)と定められています。パートタイム労働者とは、1週間における所定労働時間が通常の労働者(正社員など正規型の労働者)の所定労働時間よりも短い労働者を指します。

パートタイム労働法の対象となる労働者は、パートタイマーやアルバイト、嘱託、契約社員、臨時社員、準社員など、異なる呼称で呼ばれることがありますが、所定労働時間が短いことが共通の要件です。ただし、通常の労働者の定義は業務の種類や労働形態によって異なるため、具体的な判断は事業所の判断に委ねられます。したがって、募集時に「アルバイト」と「パート」のどちらを使用するかは企業の判断によります。

アルバイトやパートと正社員の違い

アルバイトとパートは法律的には違いはなく、正社員や正職員などのいわゆる正規型の労働者以外の短時間労働者を指します。短時間労働者を募集する際は、アルバイトとパートのどちらを使用しても問題ありませんが、正社員との違いは押さえておくことが大切です。そこで、アルバイトやパートと正社員の違いについて解説します。

1つ目の違い:契約期間・労働時間の違い

アルバイトやパートと正社員は、契約期間や労働時間が異なります。正社員はフルタイムで無期雇用です。対してアルバイトやパートは3~5時間程度の勤務で、かつ一定期間のみの雇用(有期雇用)が一般的です。フルタイムの規定は企業や事業所によって異なりますが、労働基準法では1日8時間、1週間40時間が労働時間の上限と定められています。

一方で、アルバイトやパートはシフト制を採用するケースが一般的であり、1日8時間、週40時間の範囲内で柔軟に労働時間を設定できます。なおアルバイトやパートは1日3~5時間程度の3日勤務といったような交代勤務で働くケースが多く、学業や家事などと仕事を両立させやすいです。

2つ目の違い:仕事内容の違い

正社員とアルバイト・パートは、仕事内容にもやや違いがあります。正社員には責任の重い仕事が任される傾向があるのに対して、アルバイトやパートには比較的簡単な仕事が割り当てられることが多いです。

ただし、仕事内容が同じである場合もあります。その際には「同一労働同一賃金」が適用されます。

また正社員には将来的な昇進や管理職へのキャリアパスがある一方で、パートやアルバイトの立場では、基本的に正社員のような昇進は期待できません。ただし、パートやアルバイトから正社員に登用されて、昇進するケースも存在します。

3つ目の違い:給料・福利厚生の違い

アルバイトやパートと正社員は、給料や福利厚生も異なります。正社員は月収制や年俸制が一般的なのに対して、アルバイトやパートなどは時給制が一般的です。アルバイトやパートは働いた時間に対して賃金が支給されます。

月収制や年俸制の正社員の方がアルバイトやパートよりも、年収は高くなるといえるでしょう。なお仕事内容が同じである場合は「同一労働同一賃金」が適用されるため、アルバイトやパートでも高収入が得られる可能性はあります。

福利厚生については退職金の支給や福利厚生施設の利用など、正社員の方が充実しています。

4つ目の違い:社会保険・雇用保険の違い

正社員は、勤務先の雇用保険や社会保険(健康保険や厚生年金など)に加入するのが基本です。この仕組みは法律によって義務付けられています。

一方で、パートやアルバイトの場合は、労働時間や労働日数が正社員の4分の3以上になる場合、社会保険に加入することになります。なお労働時間や労働日数が正社員の4分の3未満であっても、労働時間が20時間以上で月額賃金が8万8,000円以上など、一定の要件を満たす際は社会保険への加入が必要です。

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関連記事:人事管理と労務管理の役割・業務内容を解説|それぞれの違いをおさえよう!

アルバイトやパートの社会保険の加入条件

アルバイトやパートでも一定の加入条件を満たせば、社会保険への加入が可能です。従業員が100名以下の小規模事業所に勤務しているアルバイトやパートは、労働時間や労働日数が正社員の4分の3以上になると、原則として社会保険に加入できます。

従業員数が101名以上の事業所に勤務しているアルバイトやパートの場合、労働時間が20時間以上で月額賃金が8万8,000円以上、かつ2ヵ月を超える雇用の見込みがあって学生でないケースであれば、社会保険への加入が可能です。なお配偶者や親などの社会保険の扶養に入っている場合は、複数のアルバイトやパートの掛け持ちを含め、年収130万円を超える勤務をするとみなされると扶養から外れるので注意しましょう。

パートタイム労働法で定められていること

アルバイトやパートを雇用する際は、パートタイム労働法の遵守が求められます。パートタイム労働法は、パートタイム労働者の労働環境を整えるために制定された法律です。主に以下の内容が規定されています。

・労働条件の文書交付等
・就業規則の作成手続き
・事業主が講ずる措置の内容の説明
・相談のための体制の整備
・短時間雇用管理者の選任
・苦情処理ならびに紛争解決の援助
・差別的扱いの禁止
・通常の労働者への転換

以下で、パートタイム労働法で定められている内容について詳しく解説します。

1:労働条件の文書交付等

パートタイム労働者を雇用する場合、以下の情報を文書で明示する必要があります。

・契約期間
・就業場所ならびに仕事内容
・始業ならびに終業時刻や所定外労働の有無
・休日ならびに休暇や休憩について
・賃金
・退職に関する事項
・昇給の有無
・退職手当の有無
・賞与の有無

特に「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」に関しては、速やかに明示しなければなりません。

2:就業規則の作成の手続き

従業員に適用される就業規則の作成や変更に関しては、労働基準法第90条により通常の労働者の過半数を代表する労働組合等の意見を聴くことが必要です。しかし、パートタイム労働者に適用される就業規則の作成や変更においては、パートタイム労働者の過半数を代表すると認められる者の意見を聴くことが努力義務とされています。

3:事業主が講ずる措置の内容の説明

パートタイム労働法では事業主がパートタイム労働者を雇用する際に、雇用管理の改善に関する措置を講じることが求められています。具体的な内容については、パートタイム労働法では明確に規定されていませんが、事業主はパートタイム労働者の待遇や労働環境を改善するための様々な措置を講じることが必要です。

4:相談のための体制の整備

パートタイム労働法では、事業主はパートタイム労働者からの相談に対応するための適切な体制を整備することが求められています。パートタイム労働者が気軽に相談できる相談窓口を設置し、相談に対する返答や措置を迅速に行うことが重要です。

なお、事業主には相談内容の機密保持の義務がある点を押さえておきましょう。適切な措置を講じて情報の漏洩を防止します。

5:短時間雇用管理者の選任

パートタイム労働法では、常時10人以上のパートタイム労働者を雇用する事業所においては、短時間雇用管理者を選任することが努力義務になっている点もチェックしておきましょう。パートタイム労働者の労働時間や労働条件に関する管理・監督業務を担当し、労働法令の遵守や労働環境の改善に取り組む役割を果たします。

短時間雇用管理者は、パートタイム労働者とのコミュニケーションや相談の窓口としても機能しており、労働者の権利や福利厚生の保護に努めなければなりません。

6:苦情処理ならびに紛争解決の援助

事業主はパートタイム労働者からの苦情や不満の申し出に対して、適切な苦情処理を行う責任を負っています。事業主はパートタイム労働者からの苦情や不満を真摯に受け止め、苦情の内容を適切に調査し、解決策を検討しなければなりません。必要に応じて苦情処理機関や労働基準監督署などの専門機関に相談し、適切な助言や支援を受けることも求められます。

7:差別的扱いの禁止

パートタイム労働法では、通常の労働者と同じ業務を担当しているパートタイム労働者に対して、差別的な取り扱いをしてはならないと規定されています。全ての労働者は雇用条件や労働環境において、不当な差別を受けることなく公平に取り扱われるべきといえるでしょう。

8:通常の労働者への転換

パートタイム労働法では、パートタイム労働者を通常の労働者へ転換することを推進するため、試験制度を設けるなどの措置を講じることが求められています。適切な措置を講じることで、通常の労働者としての就業を選択しやすくなるでしょう。

通常の労働者への転換は、パートタイム労働者の雇用形態改善やキャリアの発展に寄与するため重要です。

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アルバイトやパートの従業員を採用する際に注意すべきこと

アルバイトやパートの従業員を採用する際には、労働基準法やパートタイム労働法を遵守することが法的に求められます。以下では、アルバイトやパートの従業員を採用する際に注意すべき点について解説します。

労働条件を明示すること

事業主は、アルバイトやパートを雇用する際に労働条件を明示する義務があります。具体的には、昇給の有無や退職手当の有無、賞与の有無などの労働条件を文書で示すことが必要です。労働条件を文書で明示すれば、従業員は自身の労働条件を明確に把握できます。

労働条件に合う待遇で雇用すること

パートタイム労働者の待遇に関して、職務内容や責任の重さに見合った賃金や福利厚生を提供する必要があります。職務内容や責任の重さによっては、正社員と同等の待遇を提供する場合もあるでしょう。

正社員の募集をする際には伝えること

正社員の募集がある場合は、パートタイム労働者にもその旨を伝えましょう。パートタイム労働者に対して正社員への転換や昇進の機会を提供し、登用試験などの制度を設けることが推奨されています。


パートタイム労働者にも成長やキャリアの道を提供することは、モチベーションの向上ならびに働きやすさの向上などにつながるでしょう。優秀な労働者と長期的な雇用関係を構築することで、人手不足の解消や生産性向上につなげられます。

まとめ


法的にはアルバイトとパートの違いはなく、どちらもパートタイム労働者に該当します。ただし、正社員とは違いがある点を把握しておきましょう。なおパートタイム労働者を採用する際は、労働基準法やパートタイム労働法を遵守する必要があります。

なお採用時には、労働条件を明示することや労働条件に合う待遇で雇用することなどを守りましょう。また正社員の募集をする際には、パートタイム労働者へその旨伝える必要があります。

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