アルバイト採用でも雇用契約が必要な理由を解説。締結する際の3つの注意点も紹介


アルバイト採用でも雇用契約が必要な理由を解説。締結する際の3つの注意点も紹介

本記事では、アルバイトの雇用契約について解説します。雇用契約書に必ず記載する事項や、雇用契約を締結する上で、アルバイトに適用される法律を紹介します。人事や経営者の方は、知らないとトラブルになるケースがありますので、ぜひ参考にしてみてください。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。


「アルバイトを雇い入れる際は、雇用契約書が必要なのか」とお悩みの人事や経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。


結論から言うと、雇用形態に関わらず、雇用契約書を締結すべきです。契約を書面に残しておかないと後々トラブルになるケースがあり、企業の信用にも関わってきます。書面にまとめるのはもちろん、トラブル防止のためには記載項目にも留意しなければいけません。


そこで本記事では、アルバイトの雇用契約書について解説します。


アルバイトとも雇用契約書を結ぶべき理由や、具体的な記載項目がわかりますので、ぜひ最後までお読みください。


アルバイトでも雇用契約書を結ぶ方が良い

アルバイトを採用する際も、雇用契約書を締結することをおすすめします。労働条件を書面で明示することで、双方に証拠が残るからです。


面接の段階でも、賃金や勤務時間について確認はするでしょう。しかし、口頭だけでやり取りをしていると、認識違いによるトラブルが発生しやすくなります。聞いていた条件と違うとアルバイトから言われたとしても、契約書がなければ証拠を提示できません。


アルバイトからしても、条件が明確になることで、企業を信用できます。出勤時間や業務内容が想像と違ったという声は多く、離職を考える原因の1つとなっているのが現状です。アルバイトに安心してもらうためにも、離職を避けるためにも、雇用契約書は役立ちます。


入社時に雇用契約書の読みあわせを行い、疑問点や不安を解消することで、長く働いてくれる人材の確保につながるでしょう。業務の依頼範囲や賃金など、労働に関する内容を明確にすることは、双方のメリットに繋がります。


雇用契約書と労働通知書の違い

アルバイトを雇用する際は、雇用契約書を結ぶのは義務ではありません。ただ、労働条件通知書を明示する義務はあります。労働条件通知書は、雇用契約書と同様、労働条件に関する必要事項をアルバイトに明示する書類です。


労働条件通知書は、内容に合意したことの証明にはなりません。あくまで一方的に交付した書類という扱いです。そのため、交付されていない、契約で聞いていた内容と違うと雇用者に言われたときに、企業側は不利になる可能性があります。


一方で、雇用契約書は、お互いが納得して契約したことを証明します。そのため、お互い合意したという証拠を残し、のちのトラブルを避けるには、雇用契約書を取り交わす方が良いでしょう。


雇用契約書に必要な記載事項

アルバイトと雇用契約書を結ぶ際に、法令で定められている記載事項があります。記載事項は2つに分けられます。


  • 絶対的明示事項
  • 相対的明示事項


それぞれの違いや、具体的に記載すべき内容を確認しましょう。


絶対的明示事項

絶対的明示事項は、雇用契約書には必ず記載すべき内容です。労働条件に関して、アルバイトと雇用側で認識のズレをなくすのに必要な項目が定められています。絶対的明示事項は以下です。

・契約期間
・働く場所
・仕事の内容
・シフト制の場合は交代ルール
・残業の有無や時間
・休憩時間や休日
・賃金の計算方法や支払日
・昇給について
・退職について

絶対的明示事項は、雇用側からアルバイトに対して、必ず書面に残して明示すべき事項です。
口頭では認められていません。絶対的明示事項を明示しなければ、アルバイトを雇用して働きはじめてからトラブルが起きます。

特に残業に関する項目や、賃金の支払日については、もめやすい項目であるため注意が必要です。雇用したアルバイトの中には、はじめて働く方もいます。はじめてのアルバイトの方には特に注意し、書面で提示しながら、読み合わせを行いましょう。

アルバイトに、不安や疑問を解消した状態で働いてもらうためにも、絶対的明示事項の内容は明確にする必要があります。

内部リンク:「KW:法定外休日とは」

相対的明示事項

制度を設けているならば、明示しなければならないのが、相対的明示事項です。書類による交付は義務付けられていないものの、トラブルを防ぐためにも雇用契約書に適宜記載するとよいでしょう

相対的明示事項は、以下のような内容です。

・臨時に支払われる賞与

・勤務中の食費

・作業に必要な備品の負担

・退職に関すること


臨時に支払われる賞与がある場合は、雇用契約書に記載しましょう。金額や計算方法など、透明性を意識して記載すると、アルバイトの労働意欲も上がり企業への信頼度にもつながります


休憩時間中の食費も、明確に記載しましょう。雇用側が用意して食費代を徴収するのか、アルバイトの自己負担なのかが書面を見て分かる状態が望ましいです。


アルバイトからの疑問点や、不安を無くすためにも、漏れなく記載しましょう。


アルバイトに適用される2つの法律

アルバイトに適用される法律は2つあります。


  • 労働基準法
  • パートタイム・有期雇用労働法


人事担当者をはじめ、経営者労働法を理解して雇用契約書を作成しなければいけません。


何か問題が起きればすぐに、SNSやネットで口コミが書かれる時代です。トラブルや信頼を喪失しないためにも、2つの労働法を解説します。


労働基準法

アルバイトにも、労働基準法は適用されます。アルバイトも正社員同様、労働者として法律で認められているからです。アルバイトを雇用する際に特に気を付ける労働基準法は、以下の3つです。

・労働時間(1日8時間以上、週40時間以上の労働は原則禁止)
・割増賃金の適用(22時以降は通常の25%以上を上乗せした賃金の支給)
・休憩時間の取得(6時間以上で45分、8時間以上で1時間の休憩義務)

企業側は、労働基準法を理解し、アルバイトに適用する義務があります。人材不足から休憩時間が足りずに、繁忙月で週40時間以上働いてもらう場合は、アルバイトでも36協定を事前に結ばなければ
なりません。事前の合意がなく、法定労働時間を超える勤務を求めるのは違法です。

企業側は、きちんと労働基準法を理解した上で、適切な契約を結ぶ必要があります。

パートタイム・有期雇用労働法

パートタイム・有期雇用労働法という名前ですが、アルバイトにも適用されます。パートタイム・有期雇用労働法の内容は以下の3つです。

・不合理な待遇格差の禁止
・待遇格差の説明義務
・行政による紛争解決援助制度が無料で利用可能

アルバイトでも、正社員との間に特別な理由がなく、基本給や各種手当に差をつけてはいけません
企業は、待遇格差についてアルバイトから問い合わせがあった際は、説明する義務があります。待遇格差が設けられている理由を、不合理でないと説明しなければいけません。

また、アルバイトと企業側で労使トラブルが起きた際は、紛争解決手続きが、無料かつ非公開で利用できます。企業側もパートタイム・有期雇用労働法を理解し、アルバイトに適用しましょう。

内部リンク:「KW:雇用契約書パート」


アルバイトを雇用契約する際の4つの注意点

知らなかったでは済まされない、雇用契約する際の注意点を4つ紹介します。知らずに雇用契約してしまうと、アルバイトと企業側双方に不利益が発生する可能性もあります。アルバイトの採用担当者や経営者は、事前に確認して雇用契約を結びましょう。


無期・有期雇用契約を明確にする

雇用期間は、期限がない無期雇用と、期間が設けられている有期雇用があります。無期雇用契約の場合は、アルバイトであっても期間の無い雇用です。企業側のメリットは、人材不足に陥りにくく長期的な人材育成ができます。

有期雇用契約の場合は、あらかじめ期間が決まっている雇用契約です。定められた期間になったら、その都度更新の有無を決めます。有期雇用契約を取り入れる企業の主な理由は3つです。

1.会社の経営状況で契約更新の有無を決められる
2.アルバイトの勤務態度や実績で更新を行わない
3.アルバイトの能力に将来性がなければ更新しない

企業側の雇用意図を明確にして、雇用期間を決めましょう。

同一労働同一賃金に注意する

同一労働同一賃金は、正規雇用労働者とアルバイトやパートなどの非正規雇用労働者の間に、待遇の差を付けてはいけないという労働法です。(参照:厚生労働省)

具体的には、通勤手当や賃金についてです。仕事内容が同じであれば、アルバイトにも正規雇用労働者と同じ通勤手当を与える必要があり、極端な賃金格差をつけてはいけません

アルバイトと雇用契約する際は、正規雇用労働者との待遇に差が出ないように、内容を決定しましょう。

始業時刻と終業時刻を記載する

雇用契約書を締結する際は、就業時刻について下記3つを記載しましょう。

・始業時刻
・終業時刻
・休憩時間

シフト制の場合は、主な勤務シフトの始業と終業時刻を記載します。シフトが変動する場合は、但し書きとして、始業・終業時刻が変更になる旨を記載しましょう。始業・終業時刻は、雇用契約をする際に、アルバイトと確認する必要があります。

始業時刻と合わせて、何分前には勤務先に出社している必要があるのかも説明しましょう。
シフト制の場合は、いつ次のスケジュールが共有されるのかなど、事前に説明して問題無ければ雇用契約書に署名・捺印をもらいます。

アルバイトがスムーズに働けるようにするためにも、就業時刻は記載しましょう。

社会保険への加入義務も考慮する

週の所定労働日数及び、所定労働時間が正社員の4分の3以上で2ヶ月以上労働する予定の場合は、社会保険への加入が義務付けられています。社会保険の加入が義務付けられているのは、定年後の年金や所得補償を国が提供するためです。

アルバイト希望者の中には、社会保険の加入を希望しない方もいます。事前にアルバイトに確認し、加入意思が無い場合は、勤務時間を調整しましょう。本人の意思に関係なく、加入義務が生じるのが社会保険です。

内部リンク:「KW:雇用契約書」


アルバイトと雇用契約書を締結する際の3つのポイント

アルバイトと、雇用契約を締結する際のポイントを3つ解説します。雇用契約書を締結したにもかかわらず、トラブルになるということ自体を避けるため、ポイントを理解しましょう。


読み合わせを行い認識のズレをなくす

読み合わせを行う理由は、雇用者とアルバイト双方の認識のズレと、不明点を無くすためです。はじめて働く方や、今まで雇用契約書を締結した経験がないアルバイトにとっては、労働条件の書面を見せられても理解しにくいです。

アルバイトと一緒に、人事担当者が読み合わせを行い疑問点や不明点をその場で解消しましょう。「一通り読んで署名してください」といって、雇用契約書を渡す人事担当者もいますが、新しい環境で働くアルバイトは中々質問もしづらく何がわからないのかがわからない状態です。

読み合わせを行い、その場で疑問点や不明点を解消すれば、アルバイトも気持ちよく働け、企業としての信用も上がります。雇用契約書の署名だけもらって、後からトラブルに発展しないようにするためにも、読み合わせで認識の齟齬をなくしましょう。


アルバイトスタッフに控えを渡す

読み合わせを行い、雇用契約書に署名・捺印をいただいたら、控えをアルバイトスタッフに渡しましょう。アルバイトもいつでも契約内容を確認できるようにするためです。複数店舗を展開している企業の場合は、3枚雇用契約書を用意しましょう。

・店舗控え
・アルバイト控え
・本部控え

双方が雇用契約書の控えを保管して、労働条件の内容を常に確認できる状態にしましょう。

解雇ルールを明確にする

雇用契約を結ぶと、正当な理由がない限りアルバイトを解雇できません。雇用したアルバイトの中には、会社の求める業務を遂行できなかったり、勤務態度が良くなかったりする者もいます。事前に、雇用契約書に記載して解雇のルールを明確にしましょう。

また、期限が決まっている有期雇用契約の場合は、更新の有無も記載が必要です。雇用してから最初の更新は半年間にし、その後の更新期間は1年に設定するなどして、雇用契約と解雇のタイミングを明確にしましょう。

アルバイトの中には、企業に不利益をもたらすような労働者もいるので、解雇ルール更新期間を設けて、トラブルを未然に防ぎましょう。

アルバイト雇用契約書のまとめ

アルバイトを雇用する際に、労働通知書のみ明示しても、労働者は不安を抱えたまま働きはじめます。双方が合意して契約に至った証拠を残すために、雇用契約書も締結するのがおすすめです。


雇用契約書を締結すべきなのは分かるけれど、アルバイトを雇うたびに書類を用意するのは社員の負担も重く労務に関する時間をこれ以上割けない人事担当も多いのではないでしょうか。


こういった方にはタレントマネジメントシステムの「タレントパレット」がおすすめです。労務管理も行えるタレントパレットは、人事業務の効率化に役立ちます。今後、雇用契約書の機能も追加予定であり、導入すれば、人事と社員双方の入社手続きの手間を減らします。


年末調整も、わかりやすい入力画面自動入力で対応できるため、労働者と雇用主の負担を低減できます。タレントパレットを導入すれば、人事や経営者の負担が低減できるため、人事業務を効率化したい企業の方は、ぜひ資料をご確認ください。


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