パートタイム労働者にも雇用契約書は必要!締結しないと起こるトラブルやデメリットを解説


パートタイム労働者にも雇用契約書は必要!締結しないと起こるトラブルやデメリットを解説

パートを雇用する際も雇用契約書を結ぶ必要はあるのか、と悩んでいる方も多いと思います。本記事では、パートタイム労働者に対して、なぜ雇用契約書が必要なのかを解説します。後々のトラブルに発展させないためにも、採用に携わる方はぜひ参考にしてみてください。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

「パートタイム労働者にも雇用契約書は必要なのか」と疑問に思っている方は多いのではないでしょうか。


結論から伝えると、雇用契約書の締結は義務ではありません。しかし、トラブルの防止や、労働者の不安を払拭に役立つ書類であり、作成するのをおすすめします。労働条件や雇用先に少しでも不信感を持つと、内定辞退や退職に繋がり、雇用先は働き手を失うからです。


そこで本記事では「雇用契約書の重要性」について解説します。


パートタイム労働者に対して、なぜ雇用契約書が必要な理由や、雇用契約書を締結しないと起こるトラブルを紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。


雇用契約書を締結する理由は双方の労働条件を明確にするため

雇用契約書は、パートタイム労働者と企業側で、労働条件を明確にするための書類です。雇用契約書には必ず記載しなければいけない項目があります。標準的な内容は以下の5つです。


1.雇用期間

2.就業場所

3.業務内容

4.残業の有無

5.賃金について


雇用契約書は、パートタイム労働者だけでなく、企業側を守る役割もあります。雇用契約書を締結すると、パートタイム労働者に対して、契約した内容で働いてもらう効力が発生するからです。


口約束でも契約自体は可能ですが、双方が納得したという証拠が残りません。雇用契約書を締結すると、パートタイム労働者と企業の間で、労働条件に関する言った、言わないをなくせます。双方の立場が対等である証拠にもなるので、パートタイム労働者を雇い入れる際も雇用契約書は締結しましょう。


雇用契約書の詳細は「雇用契約書」の記事も合わせてご覧ください。


パートタイム労働者と雇用契約書を締結する2つのメリット

雇用契約書を締結すると、双方が法的に守られ、企業とパートタイム労働者の信頼関係の構築につながります。雇用契約書を締結して、双方合意の上で働きはじめれば、パートタイム労働者と企業の労働条件を明確にできるでしょう。

2つのメリットについて、それぞれ解説します。

企業と労働者の双方が法的に保護される

雇用契約書を締結すると、パートタイム労働者だけでなく、雇用主である企業側も法的に保護されます。雇用契約書を締結すると、労働条件通りにパートタイム労働者に働いてもらえるからです。

例えば、残業の有無に関して雇用契約書に記載があれば、パートタイム労働者に残業を依頼できます。就業場所に関しても、チェーン店など複数ある場合は、その日の人員によって勤務先が異なる場合もあるでしょう。

雇用契約書を締結していないと、パートタイム労働者に後から聞いていないと言われ、労働基準監督署に「面接と言っている内容が違う」と報告されるケースもあります。パートタイム労働者を採用したら、事前に雇用契約書を締結して、トラブルを防ぎましょう。

信頼関係が構築できる

雇用契約書を締結する際は、パートタイム労働者と読み合わせを行い、その場で疑問点を解消しましょう。企業の人事担当者から、事前に労働条件や業務内容に関して説明があると、パートタイム労働者は安心して働きはじめられるからです。

内定通知を出したタイミングで、雇用契約書を結びましょう。事前に労働条件の内容を確認してもらい働きはじめれば、信頼関係を構築できます。

雇用契約書を作成する際の3つの記載事項

パートタイム労働者を雇い入れ、雇用契約書を作成する際は、注意すべき記載事項が3つあります。

記載する義務がない項目もありますが、契約書を作成する際は、抜け漏れなく明示し、パートタイム労働者が疑問や不安が残らないように作成しましょう。


具体的な書き方については、「雇用契約書書き方」の記事も合わせてご覧ください。


絶対的明示事項

絶対的明示事項は、パートタイム労働者が労働条件を確認する項目で、以下の7項目です。

1.雇用契約の期間
2.就業場所や業務内容
3.始業・終業時刻
4.残業の有無
5.休憩時間や休日
6.賃金の計算や支払日
7.退職や解雇に関する規定

求人や面接での情報と違いがないように気を付けましょう。

パートタイム労働者に明示義務がある記載事項

パートタイム労働者と、雇用契約書を締結する際は、さらに以下4つの項目の記載が必要です。

1.昇給の有無
2.退職手当の有無
3.賞与の有無
4.相談窓口

4つの項目を記載する理由は、パートタイム労働者に、安心して長く働いてもらうためです。相談窓口の設置は、パートタイム労働者の場合は、正規雇用労働者との待遇が異なるため、不満につながる可能性があり、労働格差の改善のためでもあります。


企業はパートタイム労働者に長く安心して働いてもらうために、4つの項目を記載して、相談窓口も設置しましょう。


相対的明示事項

下記の制度を設けている企業は、雇用契約書に明示しましょう。

・退職金や最低賃金
・食事代や備品の負担

・安全及び衛生に関する定め

・職業訓練に関する定め

・災害補償及び業務外の傷病扶助

・表彰及び制裁

・休職について


相対的明示事項は、口頭の説明でも問題ありません


ただ、雇用契約書に明示すれば、パートタイム労働者も、働く環境に対しての不安がなくなります。書面に残した上で説明すれば、双方安心して信頼関係を構築できるでしょう。


義務ではありませんが、雇用契約書に明示して、企業の労働条件を伝えることで、トラブルの回避につながります。


パートタイム労働者と雇用契約を締結する際に気を付ける3つのこと

雇用契約書を締結する際には、3つの内容に気を付けましょう。企業は、内定通知を出したからといって安心してはいけません。雇用契約を締結してはじめて、パートタイム労働者に働いてもらえます。それぞれ解説します。

フルタイム労働者と待遇の差に気を付ける

正社員と、パートタイム労働者に不合理な待遇差を付けてはいけません。同一労働同一賃金に則り、労働法で定められているからです。雇用契約を締結する際は、正規雇用労働者を基に、パートタイム労働者の待遇を決めましょう。

特に気を付ける項目は、通勤手当や食事手当などです。職務内容が正社員と同じであれば、通勤手当や、食事手当の極端な待遇差を付けてはいけません。パートタイム労働者を雇用する際は、正社員の待遇を確認して、雇用契約書を作成しましょう。


内定通知をした段階で雇用契約を締結する

働きはじめる前に、パートタイム労働者に労働条件を確認してもらう必要があります。勤務初日に雇用契約書を締結する企業もありますが、パートタイム労働者が労働条件に納得しない場合は、辞退する可能性も考えられるでしょう。

パートタイム労働者は勤務が始まる当日になって職をなくしますし、企業側も働き手を失います。また、採用者が決定した後だと、企業は応募があっても断っているケースもあります。勤務初日に働き手を失う可能性もあるので、内定通知を出したタイミングで雇用契約書を提示して、締結しましょう。

パートタイム労働者と企業双方にとっても、事前に雇用契約を締結すれば、最悪の事態を避けられます。


締結する際は読み合わせを行う

雇用契約書を締結する際は、パートタイム労働者と読み合わせを行いましょう。人事担当者と、パートタイム労働者が一緒に読み合わせを行うのは、認識の祖語を無くし疑問点を解消するためです。

一緒に読み合わせを行い、その都度疑問点を確認すると、労働条件に認識の齟齬が無くなり、パートタイム労働者も安心して働けます。手間はかかるかもしれませんが、企業の対応信頼につながるので、採用後もフォローしながら契約を進めましょう。

雇用契約を締結した後で、知らなかったや聞いていないと言われて、パートタイム労働者と険悪な雰囲気にしないためにも、事前に読み合わせを行い、認識の齟齬をなくしましょう

雇用契約書と労働条件通知書はパートタイム労働者の合意を得たかが違い

雇用契約書と似た書類に、労働条件通知書があります。パートタイム労働者を雇用した際は、雇用契約書の締結は義務ではありません。ただ、労働条件通知書はパートタイム労働者に明示する義務があります。


労働条件通知書は、雇用契約書同様に、労働条件について明示されている書類です。就業場所や給与について記載されています。雇用契約書は合意の基で締結しますが、労働条件通知書は、企業側からパートタイム労働者に対して一方的に明示します。雇用契約書と違い、合意の必要はありません


パートタイム労働者に対して、明示する義務があるのが労働条件通知書で、署名・捺印の締結が必要なのが、雇用契約書です。


2つの書類の違いについては、「雇用契約書労働条件通知書」の記事を合わせてご覧ください。


パートタイム労働者と雇用契約書を締結しないと起こる2つのデメリット

雇用契約書を締結しないと、双方の労働条件が不明確のままです。労働条件が明示されている雇用契約書を締結しないと、パートタイム労働者からも企業への信頼が下がるでしょう。雇用契約書を締結しない場合の、想定されるデメリットを2つ紹介します。

会社の信頼が下がる

雇用契約書は、双方が労働条件について合意を得る必要があります。労働条件通知書は、企業がパートタイム労働者に明示するだけの一方通行のやり取りです。署名も捺印も必要ありません

パートタイム労働者と、企業間のコミュニケーションは必要です。労働条件通知書を明示するだけのコミュニケーションより、パートタイム労働者と企業の人事担当者が一緒に読み合わせを行い、疑問点をその場で解消する方が、安心して働けます

労働条件通知書を明示するだけでも労働法上は問題ありませんが、信頼して長く働いていただくためにも、雇用契約書を締結するのが良いでしょう。労働条件通知書だけ明示しても説明がなければ、理解できない内容もありますし、「もらっていない」と言われる可能性もあります。

雇用系客所にパートタイム労働者のサインをもらうことで、確実にやり取りをした証拠が残せます。

双方の労働条件が不明確になる

雇用契約書は、漏れなく記載しましょう。認識の齟齬が、生じる可能性があるからです。

例えば、他の店舗へ異動の可能性がある職業の場合は、雇用契約書に記載する必要があります。雇用契約書に記載がなければ企業側に強制力はないので、パートタイム労働者も断れます。

労働条件を明確にするためにも、雇用契約書は漏れなく記載して、双方合意の上で締結しましょう。

雇用契約書を結ばないと想定されるトラブル

雇用契約書を締結しないと、企業にとって不利益を被る可能性があります。内定通知を出したタイミングで雇用契約書を締結しないと、求人情報や面接で言っている内容と違うと言われ、内定辞退や退職につながるでしょう。

トラブルを防ぐために、雇用契約書を締結しましょう。それぞれ解説します。

求人情報と雇用契約書の内容が違うと内定辞退や退職者が出る

雇用契約書を締結せずにパートタイム労働者を働かせてしまうと、後からトラブルになるケースがあります。働き始めてから、求人情報の内容と違ったと言われるケースです。実際の求人情報と雇用契約書の労働条件は同じでも、認識の齟齬が生じるケースはあります。

認識の齟齬が生じて辞退者や退職者を出さないためにも、あらかじめ労働条件を合意しておくことが大切です

労働者の主張が認められ企業が不利な立場になる

雇用契約書は、パートタイム労働者と、企業双方を守るための書類でもあります。労働条件に関して、何かトラブルがあった際、雇用契約書がないと、パートタイム労働者が労働基準監督署に報告して主張が通ってしまうケースがあります。


雇用契約書を締結すれば、労働条件を明確にできるため、こういったトラブルは低減できるでしょう。


パートタイム労働者を守るための雇用契約書と思われがちですが、企業を守る役割もあるため、事前に確認する必要があります。雇用契約書を締結していないばかりに、企業の信用を落とす危険性もあるので、不利な立場に陥らないためにも、事前に雇用契約書を締結しましょう。


まとめ

パートタイム労働者を雇入れる際に、労働条件通知書を勤務初日に提示する企業もありますが、良い選択とは言えません。一方的な労働条件の提示は、パートタイム労働者からの印象も悪く後々のトラブルに発展しかねないからです。


雇用契約書を締結する重要性はわかったけど、社員の負担も重く、労務に関する時間をこれ以上割けないという企業も多いと思います。


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