組織図を作成するメリット|おもなタイプやポイント・役立つツールも解説


組織図を作成するメリット|おもなタイプやポイント・役立つツールも解説

組織図の作り方がわからずに、困っている担当者もいるかもしれません。組織図のレイアウトには複数のタイプがあるため、重視したいポイントによって採用するものを選びたいものです。本記事では組織図を作成するメリットや作成のポイント、役立つツールなどを紹介します。ぜひ、参考にしてください。


人材の最適配置の詳しい情報はこちら

戦略的な最適配置とは?企業が抱える人材配置の問題を解消する方法

組織図とは

組織図は、企業などの組織における内部構造を階層構造で表現したものです。組織図は用途によって、部門単位でシンプルに図示される社外向けのものと、詳細な情報が記載される社内向けのものに大別されます。社員の所属や役職、氏名など、より詳細な情報を含む社内向けの組織図は、指揮系統の明確化や、人材の見える化などに効果的です。


組織図を作成する目的

企業によって組織図を作成する目的はさまざまですが、各部門・部署の関係性や特定の社員の所属など、必要な情報を一目で把握できるようにするという目的は共通しています。


組織図を作成する4つのメリット

組織図の作成は、業務効率の向上や円滑な人材マネジメントなどのメリットをもたらします。組織図を作成するメリットを見ていきましょう。


1.社内の構造を明確にできる

組織図の導入により社内構造が明確になると、社内外にとってメリットが期待できます。


社内においては、企業内の指揮命令系統が明確になることで、情報伝達がスムーズになり、災害など緊急時の連絡の際も漏れを防げます。また、特定の個人や部門・部署に権限が集中していないかを客観的にチェックできるため、組織全体のバランスを保ちやすくなるでしょう。


加えて、類似した業務を行う部署の把握が容易になると、必要に応じた部署の新設や統合も効率よく検討可能です。社外に目を向けると、株主や取引先に対して企業構造を説明するうえでも、組織図は重要な役割を果たします。


2.人材マネジメントに役立つ

組織図により企業全体の人員分布を見える化できると、各部門の人員過不足や年齢構成のバランスを把握しやすくなり、効果的な採用計画や人事異動の立案が可能です。


特に、階層構造が明確になると、社員1人ひとりの役職も見える化できるため、異動先の検討をより戦略的に行えるようになります。


戦略的な最適配置とは?企業が抱える人材配置の問題を解消する方法


3.社員の理解が進む

組織図があると、社員同士が互いの立場や役割を明確に理解できるため、より効率的な業務遂行が可能になります。特に、新入社員や中途採用者にとって、組織図は組織全体の構造を素早く理解するうえで欠かせないツールです。研修の際には組織図を活用して、組織への理解を深めてもらいましょう。


配属先の部門や部署に限らず、組織全体における自身の位置づけを理解できた社員は、より広い視野で業務に取り組めるようになっていくでしょう。


4.コミュニケーションが円滑化する

部署や部門が異なると、互いの担当業務を正確にイメージすることは難しいものです。しかし、組織図により適切な相談先を把握できると、社内のコミュニケーションが円滑になります。各部署や部門の具体的な役割や所属メンバーを即座に把握できる組織図によって、無駄な問い合わせを減らし、業務効率を向上させましょう。


また、組織図によりトップダウンのフローと、報告や承認といったボトムアップのフローの両方が明確になれば、双方向のコミュニケーションがスムーズになります。


コミュニケーション能力を高める要素とは?高い人の特徴や会社で鍛える方法を解説


組織図を作成する3つのポイント

組織図を活用するためには、用途に合ったタイプを選び、適時更新しなくてはいけません。組織図を作成する際のポイントを紹介します。


1.目的を明確にする

組織図の作成にあたり、まず作成目的を明確にしましょう。目的によって、最適な組織図のタイプや記載すべき情報の範囲は大きく異なるためです。たとえば、以下のような目的が挙げられます。


・新入社員への組織構造の説明に組織図を活用したい

・部署や部門ごとの人材の見える化により、社内コミュニケーションを円滑にしたい

・緊急時の連絡網として組織図を活用したい


目的を明確にして、使い勝手のよい組織図を作成しましょう。


2.将来における組織の変更を考慮して作成する

組織図の作成時には、組織変更の可能性を考慮しておくことをおすすめします。


たとえば、人事異動が頻繁な職場であれば、社員全員の名前を組織図に記載すると異動時の修正が大変です。人事異動に備えて部署ごとの名簿を別途作成するなど、柔軟な対応を選択するとよいでしょう。


組織変更時の修正作業の負担が軽減されると、最新の状態を反映した組織図を維持しやすくなります。


3.更新のルールを決めておく

組織図を活用し続けるには、定期的な更新が不可欠です。更新を担当する部門や部署、担当者を明確に定め、更新のタイミングも具体的に設定しておきましょう。更新のルールが曖昧な場合、通常の業務の忙しさから更新がなされない恐れがあります。作成後も組織図が適切に管理されると、社員は常に正確な情報を確認できます。


組織図を作成する6つのステップ

組織図を作成するステップを解説します。企画、情報収集、作成、運用ルールの設定と、段階的に進めましょう。


1.目的の明確化

組織図は社内向けと社外向けで適した様式が大きく異なるため、まずは用途を明確に定める必要があります。また、組織図の作成目的についても具体的に設定してください。特に、組織図作成の発案者と依頼者が異なる場合は、目的に対する認識を丁寧に擦り合わせておく必要があります。


2.対象範囲の設定

組織図に含める範囲を、明確に定めましょう。早い段階で組織図の対象範囲を明確にしておくと、のちの情報収集や作成をスムーズに進められるためです。組織図の作成目的に応じて、企業全体を対象とするか、特定の事業部門のみを扱うかなどを決定し、どの程度まで具体的な情報を記載するかも併せて検討してください。


3.情報収集

正確な組織図を作成するためには、綿密な情報収集が欠かせません。対象となる社員のリストを作成し、情報を漏れなく集める必要があります。


組織図作成の規模が小さい場合は、個別にメールやアンケートを送る方法でも負担なく回答を得られるでしょう。一方、大規模な組織図作成であれば、部署や部門ごとに責任者を設定した方が、効率的に情報を収集できます。


さらに、作成過程で発生した人事異動などの情報も、随時反映させてください。


4.組織図のタイプの決定

組織図には、ピラミッド型やマトリックス型など複数のタイプがあります。組織の特性を考慮しつつ、組織図の作成目的を達成できるタイプを選択しましょう。詳しいタイプは後述します。


5.作成とデザイン調整

収集した情報をもとに、組織図の作成に着手しましょう。社員名の記載順序などの細かいルールをあらかじめ決めておくと、作業がスムーズに進みます。


視認性を高めるには、要素ごとのサイズや色使い、フォントなどを適切に調整してください。ただし、色を使いすぎたり、細かい字で情報を盛り込みすぎたりするとわかりにくくなるため、バランスのよい設計を心がけましょう。


作成後に各部門や部署の代表者に詳細を確認してもらい、間違いがなければ組織図は完成です。なお、組織図の作成に使えるツールは、詳しく後述します。


6.更新・管理

組織図の継続的な活用のために、更新担当者と更新フローを明確に定めます。また、社員による予期せぬ編集を防ぐために、編集権限の設定も検討するとよいでしょう。適切な運用ルールの策定により、常に最新かつ正確な状態の組織図を維持できます。


おもな5つの組織図

おもな5つの組織図を紹介します。組織の特性や組織図の作成目的を考慮して、適したタイプを選びましょう。


1.ピラミッド型

ピラミッド型は、トップから下層へと階層的に広がる、ピラミッド状の構造が特徴の組織図です。ピラミッドの最上層には「経営者」が配置され、その下層に「営業部」「経理部」「開発部」「生産部」などの主要部門、さらにその下層に詳細な部署や、所属する社員の情報がレイアウトされます。


ピラミッド型のメリットは、縦割りの指揮命令系統や、権限や責任の所在を明確に見える化できる点です。役職や役割が固定されている大規模な企業には、ピラミッド型の組織図が適しています。


2.フラット型

ピラミッド型の階層構造を簡略化した形式で、組織の階層を最小限に抑えた組織図がフラット型です。フラット型はシンプルな構造が特徴で、組織変更時の修正を手間なく済ませられます。


3.事業部制型

事業部制型は、複数の事業を展開する組織に適した組織図です。たとえば、最上層の「経営者」の下層に「書籍部門」「Webマーケティング部門」などの各事業部門を配置し、さらにその下層に「営業部」「経理部」などの機能部門をレイアウトします。


各事業部門に独自の権限を与える事業部制型の組織図を活用すると、事業特性に応じた迅速な意思決定が可能です。


4.カンパニー型

カンパニー型は、事業部制型を発展させ、各事業部門を独立した会社のように図示する形式です。カンパニー型の組織図を活用すると、事業部門ごとの権限と責任が明確になります。


5.マトリックス型

マトリックス型は、ピラミッド型に見られる従来の階層構造の組織図に、プロジェクトや商品、地域といった横軸の要素を加えた組織図です。縦軸と横軸の交わりにより、社員が所属する部門の指揮系統だけではなく、部門を越えた横断的な協力体制も明確に図示できます。


複数の役割を持つ社員が多い企業や、プロジェクトごとに部門や部署の垣根を越え社員を選抜する企業には、マトリックス型の組織図がおすすめです。


組織図に関する2つの懸念点

組織への理解が浅い状態で組織図を作成しても、活用されるとは限りません。組織図の作成に関する懸念点を解説します。


1.実態に合わない組織図は社員を戸惑わせる

組織図が現状を正確に反映していないと、社員の間に混乱が生じる可能性があります。特に、チーム体制が頻繁に変更される職場では、詳細な人員配置まで記載した組織図を常に最新の状態に保つことは困難かもしれません。綿密な情報収集のもと業務の実態を把握し、必要に応じて記載内容を柔軟に調整しましょう。


2.作成・更新に手間がかかる

使用するツールによっては、組織図の作成や更新に多くの時間を要し、入力ミスや情報の漏れが発生するリスクも存在します。組織図を効率よく正確に作成・更新できるように、ツールの選定にこだわりましょう。


組織図の作成に役立つツール

組織図の作成に役立つツールを紹介します。組織図の作成目的や、組織や業務の特性に応じて適したツールを選定しましょう。


MicrosoftオフィスのSmartArt機能

Microsoftオフィスに標準搭載されているSmartArt機能は、複数の図形を自由にレイアウトできます。SmartArt機能はPowerPoint、Excel、Wordなどで利用可能です。組織図用の既存のテンプレートもあるため、使い慣れたソフトで効率よく組織図を作成しましょう。


Googleスプレッドシート

Googleスプレッドシートは、Googleアカウントがあれば無償で利用できるツールです。搭載されているグラフエディタを活用すると、入力したデータから組織図を素早く作成できます。また、クラウド上で管理されるGoogleスプレッドシートは、チームでの共同編集や更新作業も円滑です。


Canva

デザイン性の高い組織図を作成したい場合には、Canvaが適しています。Canvaは、さまざまなテンプレートを利用してレポートやポスターなどを作成できるツールです。テンプレートには無料で利用できるものも多数見られます。Canvaのテンプレートは直感的な操作でカスタマイズできるため、見やすい組織図を手軽に作成可能です。


タレントマネジメントシステム

タレントマネジメントシステムは、人材情報を一元管理できるシステムです。組織図の作成にとどまらず、社員のスキルや経歴、人事評価などもタレントマネジメントシステム上で一元管理できます。また、人事異動や組織変更の際は、システム内のデータを活用して組織図の迅速な更新が可能です。タレントマネジメントシステムは、将来的な人材マネジメントや組織設計に役立つ、多機能なツールといえます。


戦略的な最適配置とは?企業が抱える人材配置の問題を解消する方法


組織図の作成に役立つタレントパレット

タレントマネジメントシステムのひとつであるタレントパレットは、充実した人材データベースを特徴としています。人材データベースには組織図作成に関する機能があり、登録された人材データを活用して効率よく組織図を作成可能です。時代ごとの組織図を保存・表示する機能も備えており、その時々の組織の状態を素早く確認できます。


他にも人材データベースには、役職や保有資格といった多様な条件で人材を絞り込める検索機能や、個々の社員の経歴を確認できる機能などが満載です。便利な機能を活用すると、効果的な人材マネジメントや組織設計を実現できます。


タレントマネジメントシステムを導入する3つの目的と7つの効果!導入ツールの比較ポイントも併せて解説


タレントパレットの導入事例(株式会社ブシロード様)

株式会社ブシロード様は、人事異動の効率化と最適化を図るためタレントパレットを導入しています。システム上で人事異動のシミュレーションが可能となったことで、人事異動の検討作業が効率化されました。また、同社は、過去の組織図を日付指定で閲覧できる機能にも魅力を感じているとのことです。


まとめ

組織図は、企業などの組織における内部構造を階層構造で表現したものです。組織図にはさまざまなタイプがあるため、組織や業務の特性を反映できるものを選択しましょう。組織図を作成する際は社員の情報を綿密に調査し、適切なツールを選定してください。


タレントパレットは、長きにわたるHRテック分野での経験と最新の知見をもとに開発された、導入実績の豊富なタレントマネジメントシステムです。タレントパレットには、組織図の作成・更新に役立つ機能が搭載されています。組織図の作成をお考えの人は、ぜひタレントパレットの導入をご検討ください。


戦略的な最適配置とは?企業が抱える人材配置の問題を解消する方法