人材育成におけるOJT研修とは?メリットや課題、取り組み方などを解説


人材育成におけるOJT研修とは?メリットや課題、取り組み方などを解説

OJT研修とは、現場で実際の業務を体験しながら仕事について学ぶ方法です。OJT研修は人材育成のなかでも特に重要な研修ですが、実施方法に悩んでいる企業も多いのではないでしょうか。この記事では、そのような悩みを抱える企業の人事担当者に向けて、OJT研修のメリットや課題などを解説します。取り組み方についても解説するため、ぜひ参考にしてください。

人材育成におけるOJT研修とは?

OJT研修とはどのようなものなのでしょうか。ここでは、OJT研修の概要を解説します。


そもそもOJTとは

OJTとは、業務を通して仕事に必要なスキルや知識を身につける方法です。「On-the-Job Training」を略してOJTと表現しています。OJTを実施すれば、素早く実践的な能力を身につけられます。


OJT研修とは

OJT研修とは、実際の業務に携わりながらスキルや知識を身につける研修方法のことです。実際に業務を進めながら現場で研修を実施するため、指導者は自分自身の業務と同時並行で人材育成に取り組みます。


OJT研修とOff-JTとの違い

OJT研修は職場内で実施される研修であるのに対し、Off-JTは職場外で実施される研修です。「Off-the-Job Training」を略してOff-JTと表現しています。目的は、仕事に必要な基本的なスキルや知識を身につけることです。研修プログラムを用意し、それを受講してスキルや知識を習得させるパターンが多くなっています。

関連記事:OJT研修とは?実施する目的やメリット、課題点について解説 関連記事:人材育成を効率化する5つのフレームワーク|メリット・デメリット、活用のコツ・注意点

OJT研修の目的や期待できる効果

OJT研修にはどのような目的があるのでしょうか。ここでは、OJT研修の目的と効果について解説します。


人材育成

OJT研修には、実務で活躍できる人材を育成する目的があります。実際に職場で業務を体験させながら指導できるため、実践的なスキルや知識を教えられます。そのため、即戦力となる人材育成につなげることが可能です。


また、OJT研修は1対1で研修を進めます。対象者によって習熟度は異なりますが、OJT研修ならそれぞれの習熟度にあわせた指導が可能です。対象者にとって苦手な部分があっても、個別に指導を強化できます。


職場内のコミュニケーション促進

OJT研修を実施すれば、職場内におけるコミュニケーションの促進にもつながります。研修を進めるうえでは、日々の業務のなかで指導者と対象者がやり取りする機会が多くなります。自然とコミュニケーションが生まれるため、相互理解が深まるでしょう。


コミュニケーションが活性化すると、指導者と対象者の信頼関係の構築にもなります。信頼関係ができていれば、対象者が即戦力として活躍できるようになった後も、スムーズな連携が可能です。


研修費用の削減

OJT研修は日々の業務と同時並行で進めるため、特別な研修プログラムを改めて用意する必要はありません。そのため、研修にかかる費用も削減できます。


職場の外で機会を設けて研修を実施する場合、会場を用意したり講師を手配したりする必要があります。その場合、それぞれ費用がかかるため、コストがかさみがちです。しかし、OJT研修ならそれらの準備が必要なく、低コストで効果的な研修を実施できます。


研修担当者の育成

OJT研修では現場の社員が指導者になります。OJT研修を実施すると新人を効果的に育成できるだけでなく、社員も新人の育成方法を学べます。指導方法について自ら考える必要があるため、マネジメントの訓練にもなるでしょう。


また、人に指導するためには、業務に必要なスキルや知識について、指導者本人が深く理解している必要があります。OJT研修を実施すれば、研修の対象者だけでなく指導者自身のスキルアップにもつながります。


関連記事:研修の効果を高めるには?効果を最大限に引き出すコツや測定方法を解説

OJT研修には人材開発支援助成金を活用できる

OJT研修を実施する場合、企業は人材開発支援助成金を受け取れる可能性があります。新しく雇用した人に対するOJT研修だけでなく、既存の社員に対するOJT研修も助成金の対象となります。


助成金を受け取るための条件は、Off-JTと組みあわせてOJT研修を実施することです。実施計画も定める必要があります。人材開発支援助成金は国が運営している制度であり、特に中小企業に対する支援が強化されています。


OJT研修が向いているケース・向いていないケース

OJT研修はどのようなケースで実施すべきなのでしょうか。ここでは、OJT研修が向いているケースと向いていないケースについて解説します。


OJTに向いているケース

OJT研修は、すでにマニュアルがしっかり整備されている業務で実施しやすいでしょう。指導者はマニュアルに沿って指導でき、対象者も不明点があればマニュアルを確認して対応できます。


OJTに向いていないケース

イレギュラーな事態がよく発生する業務では、OJT研修では対応しきれない可能性があります。指導者と対象者の両方に負担がかかるため、注意が必要です。Off-JTも組みあわせ、必要なスキルや知識を補いながら指導しましょう。


OJT研修で教える側の心構え

OJT研修の指導者にはさまざまな心構えが必要です。ここでは、OJT研修で教える側の心構えについて解説します。


OJT研修の具体的な目標を設定する

OJT研修を実施する際は、指導者も目標を設定しましょう。研修の対象者をどのようにマネジメントするかについて、イメージする必要があります。具体的に何を習得させるのか決め、具体的な目標として定めることが大切です。


基本的な指導方法を理解する

OJT研修でスムーズかつ適切に指導するには、指導方法の基本についても理解しておかなければなりません。ティーチングやコーチングなどのコツを学び、業務について着実に指導できるようにしましょう。ティーチングとは、自分のスキルや知識を教える方法です。コーチングは、研修の対象者が自力で業務をこなせるようサポートすることです。


なお、OJT研修では、対象者が実際に業務を進めた後のフィードバックも必要となります。よりスムーズに業務を進めるためのヒントになるようなフィードバックをしましょう。


OJT研修を導入する手順

ここでは、OJT研修を自社に導入するための手順について、具体的に解説します。


育成計画を策定する

まずはOJT研修について、計画を立てます。研修の対象者にどのような業務をどのタイミングで学んでもらうか決め、育成計画として定めましょう。なお、現場の業務状況も考慮して計画を立てるべきです。


適切な業務量・業務の質を選ぶ

OJT研修では、対象者の状態を考慮して業務量や業務の質を選ぶことが大切です。対象者の習熟度を考慮し、過度な負担がかからないように配慮しましょう。


実際の業務を行う

研修の対象者が基本的なスキルや知識を身につけたら、OJT研修で実際の業務を体験させます。最初から完璧にこなせるわけではないため、指導者は対象者の様子を見守りつつ適宜サポートする必要があります。


研修を振り返る

OJT研修で対象者が実際の業務を経験したら、振り返りが必要です。研修で学んだことやうまくいかなかったことを振り返り、次の機会に活かせるようにしましょう。しっかり振り返りをすると、対象者が即戦力として活躍するためのスキルを身につけやすくなります。

関連記事:社内研修の内製化とは|メリットや方法・注意するポイントまで解説

OJT研修を進めるうえでのポイント

OJT研修を進めるうえではさまざまなポイントがあります。ここでは、具体的なポイントについて解説します。


組織全体で人材育成をする意識を持つ

OJT研修では、基本的に担当者が指導を行います。ただし、OJT研修を成功させるには、周囲の協力が必要不可欠です。組織全体で人材育成をしているという意識をもち、指導者や対象者を積極的にサポートする必要があります。


PDCAサイクルを回す

OJT研修を成功させるためには、PDCAサイクルを回すことも重要です。OJT研修を実施しても、慣れていないうちはうまくいかない部分が出てくるかもしれません。しかし、計画、実行、確認、改善を繰り返していけば、OJT研修の効果を着実に高められます。


若手社員の傾向を把握する

OJT研修をスムーズに実施するには、若手社員の傾向をしっかり把握しておきましょう。傾向にあわせて指導方法を工夫すると、最適なアプローチを実現しやすくなります。対象者も業務に必要なスキルや知識を身につけやすくなります。


ワークショップやケーススタディを取り入れる

OJT研修においては対象者に業務を体験させるだけでなく、状況に応じてワークショップやケーススタディも取り入れましょう。ワークショップやケーススタディを取り入れると、スキルや知識を定着させやすくなります。


OJT研修を進める際に注意すべきこと

OJT研修には注意点もあります。ここでは、具体的に何を注意すべきなのか解説します。


教える側の能力によって習熟度にバラつきがある

OJT研修の指導者はプロの講師ではないため、指導者の能力によって指導にバラつきが出ることもあります。それを防ぐには、OJT研修の役割分担を事前に行うことが大切です。また、教える側に対しても研修を実施する必要があります。


体系的に学びにくい

OJT研修は目の前の業務を体験しながら進めるため、業務の全体像をつかみにくいです。指導者が指導するときは、業務の全体像がわかるように説明する必要があります。また、Off-JTとして全体研修を実施し、業務を体系的に理解できるようにすることも大切です。


研修計画の策定に手間がかかる

研修計画の策定やマニュアルの整備などには、手間がかかります。教える側の負担を減らすには、テンプレートを用意して効率的に研修計画やマニュアルを作成できるようにしましょう。


なお、初年度に完成度の高いものを作成すれば、次年度以降はブラッシュアップするだけで再利用できます。


通常業務が滞る

OJT研修では指導者が自分の時間を割く必要があり、通常業務が滞る可能性があります。それを防ぐには、研修期間や業務スケジュールなどを具体的に設定する必要があります。


また、指導者の業務を分担して周囲がフォローするようにしましょう。複数人が持ち回りで指導する体制を整えて負担を分散するのもひとつの方法です。


まとめ

OJT研修を実施すれば、即戦力として活躍できる人材をスムーズに育成できます。OJT研修を効果的に進めるためには、具体的な計画を立てたり指導者の負担を軽減したりすることも重要です。業務の特徴も考慮したうえで、OJT研修を実施しましょう。


タレントパレットを活用すれば、研修データと人材データをあわせた一元管理が可能です。eラーニングも集合研修も、社員の育成を1プラットフォームで支援できます。

データの収集や蓄積だけでなく、分析や報告にも対応しています。それぞれの社員にあわせた研修を実施するため、ぜひ導入をご検討ください。



eラーニングや研修、スキル管理
人材育成に必要な機能を1つのシステムで実現!タレントパレット