ノーレーティングとは?注目される背景や導入方法・導入事例などを紹介


ノーレーティングとは?注目される背景や導入方法・導入事例などを紹介

従来の人事評価の見直しが進むなか、ノーレーティング(ノーレイティング)に注目が集まっています。ノーレーティングとはランク付けせずに、目標を設定し都度評価をすることです。この記事では、ノーレーティングとは何か、メリットやデメリット、導入方法などを解説します。ノーレーティング導入を検討している場合は、ぜひ参考にしてください。

ノーレーティングとは

そもそもノーレーティングとはどのような評価制度なのでしょうか。ここでは、ノーレーティングについて詳しく解説します。


ノーレーティングの概要

ノーレーティング(ノーレイティング)とは、A・B・Cなどのようなランク付けによる評価を廃止することです。ランク付け評価を廃止する代わりとして、リアルタイムで目標を決めてその都度評価する制度になります。現状に沿った目標設定ができるため、環境の変化に柔軟に対応でき社員のモチベーション向上にもつながります。


従来型ノーレーティングとの違い

レーティングとは、従来よく使われていた評価制度です。社員をランク付けして評価する制度で、想定とは異なる評価がされた場合、社員のモチベーションが低下してしまうという問題点がありました。また、評価方法が実態とずれていても気づきにくい、過去の評価をするためリアルタイムでの評価がされないという課題もあります。


ノーレーティングが注目される背景

ノーレーティングに注目が集まる理由は何なのでしょうか。ここでは、ノーレーティングが注目される背景を解説します。


ビジネス環境の変化に対応するため

現代では、技術の進歩によるIT化やグローバル化などにより、ビジネス環境は常に変化し続けています。企業間の競争も激化しており、従来型の評価制度のままでは対応に遅れが生じてしまうため、柔軟に対応しやすいノーレーティングに注目が集まっています。


適切に評価するため

従来型の評価制度では、カテゴリやランクなどあらかじめ決められた枠で評価することになるため、個性的で優秀な人材の評価が低くなる可能性があります。適切な評価ではないと思われてしまうと、優秀な人材を失うことになります。


社員のモチベーションアップのため

ノーレーティングでは1on1ミーティングを行い、その都度評価します。半期や年度単位ではなくその都度目標を設定し、対話によって評価がされるため納得感のある評価になりやすく、社員のモチベーション向上にもつながりやすくなっています。


社員の成長を促すため

社員の成長には、過去を振り返るのではなく未来に向けた成長を意識させる必要があります。ノーレーティングでは過去の評価をするのではなく、1on1ミーティングを通じてリアルタイムな評価がされ、中長期的な目標設定ができます。


ノーレーティングと報酬・給与の決まり方

ノーレーティングでは、報酬や給与の決定は上司に任せられています。会社から提示された人件費の予算を上司の裁量で分配して、給与を決定するという仕組みが一般的です。どの社員にどのぐらいの給与や報酬を分配するかは上司の決定次第となります。そのため、上司の裁量が大きく、かかる負担も大きくなります。


ノーレーティングのメリット

ノーレーティングを導入することにより、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、ノーレーティングのメリットを解説します。


社員のモチベーションアップ

ノーレーティングでは、上司との1on1ミーティングを行って目標を設定します。対話をしながら目標を決めるため部下の意思や意向が反映されやすく、目標達成のためにモチベーションが向上しやすくなるというメリットがあります。


リアルタイムな評価が可能になる

ノーレーティングでは、上司との1on1ミーティングが頻繁に実施されます。そのため、環境や状況の変化への対応も柔軟に行えます。対話を通じて、過去の評価ではなくリアルタイムな評価が可能となる点もメリットです。


評価に納得してもらいやすい

ノーレーティングでは、今現在取り組んでいる業務に対して、リアルタイムでの評価が受けられます。そのため、社員からの納得感が得られやすく、適切に評価されているという信頼感も増すでしょう。納得できる評価がされれば、社員のパフォーマンス向上も期待できます。


多様化する働き方にも対応できる

従来の評価制度では、テレワークや時短勤務といった多様化する働き方に対応できないという問題がありました。しかし、ノーレーティングなら、各社員の状況に合わせた目標設定が可能で、多様で柔軟な働き方にも対応しやすくなっています。

ノーレーティングのデメリット

ノーレーティングにはデメリットもあります。ここでは、ノーレーティングのデメリットを解説します。


管理職の負担が大きい

ノーレーティングで適切な評価をするには、上司と部下が密にコミュニケーションを取ることが重要です。1on1ミーティングを頻繁に行う、部下の現在の状況をしっかり把握するなど、上司にとっては時間や手間がかかり大きな負担となります。


高いマネジメント能力が不可欠

ノーレーティングでは、ランクやカテゴリといった決まった基準がありません。そのため、部下の評価や給与、報酬などは上司の判断次第です。マネジメント能力が低い上司の場合、部下が評価に不満を持つ可能性もあります。


企業によっては導入が難しいケースもある

従来の評価制度であるレーティングが強く根付いている企業では、ノーレーティング導入により現場が混乱する可能性もあります。また、上司に大きな負担がかかるため、小規模な企業では導入が難しい場合もあるでしょう。


ノーレーティングを導入する際の注意点

ノーレーティングを導入する際には、注意するポイントが2つあります。ここでは、各注意点について解説します。


コミュニケーション不足の解消

ノーレーティングでは、上司と部下のコミュニケーションが重要です。1on1ミーティングなどを頻繁に行っても、コミュニケーションがしっかりとれていなければ形骸化してしまいます。社内コミュニケーションが不足している場合には、まずコミュニケーションの促進を図ることが重要になるため、必要な施策を講じましょう。


報酬や昇進の決め方

ノーレーティングを導入する際には、報酬や昇進についてどのように決めるのかをあらかじめ話し合うことが重要です。前述した通り、一般的に報酬や給与は上司の裁量にゆだねられています。ただし、昇進に関しては従来通り、社員のスキルや経験、リーダーシップなどを総合的に評価して決定することが多いようです。


ノーレーティングの導入方法

ノーレーティングはどのように導入すればよいのでしょうか。ここでは、ノーレーティングの導入方法を解説します。


現在の人事制度の課題を明確にする

現在導入している人事制度の課題を洗い出しましょう。どのような課題があって何を解決したいのかが明確になっていなければ、効果的な評価制度導入につながりません。ノーレーティング導入によって課題解決につながるのかを検討しましょう。


信頼関係を築く

ノーレーティングを導入する際には、上司と部下のコミュニケーションの活性化や信頼関係の醸成が重要です。そのため、ノーレーティングを導入する前に、部下と関わる機会を増やすなど信頼関係を築く努力をすることが大切です。


研修をする

ノーレーティングでは、評価を行う上司側の意識改革も必要です。そのため、人事や管理職といったノーレーティングの実施に関わる社員に研修を受けてもらいましょう。ノーレーティングについての知識や理解を深めていくことが求められます。


スケジュール設計をする

現行の評価制度から、新しい評価制度へ移行するためのスケジュールを立てましょう。どの程度移行期間を設けるのか、本格導入の時期、1on1ミーティングの実施頻度や時間など、日程や実施方針などを決定します。


新しい表彰制度を導入する

ノーレーティングを導入する際には、ノーレーティングに合った表彰制度の導入も併せて検討しましょう。従来通りの表彰制度では、社員の功績や成果を称えることができないケースもあります。そのため、新しい表彰制度を構築するとよいでしょう。


社員へ説明する

社員にノーレーティングについての理解を深めてもらうために、説明会を実施する必要もあります。従来の評価制度との違い、ノーレーティングのメリットやデメリットなどを説明し、現場の社員に納得してもらうことが重要です。


制度を導入する

実際にノーレーティングを導入しましょう。運用するなかで課題や問題点が見つかった場合には、速やかに見直しを行うなどPDCAを回すことも大切です。また、社員アンケートなどを行ってフィードバッグを収集することも重要です。制度の課題だけでなく、制度に対する誤解がないかなどもアンケートで確認しておくとよいでしょう。


報酬決定権限の委譲を検討する

報酬の決定や人件費の分配などを、評価する上司や管理職にゆだねる場合には、報酬決定権限を委譲する必要があります。自社で権限移譲が可能かどうかを検討しましょう。

ノーレーティングの導入事例

ここでは、ノーレーティングを実際に導入し効果があった事例を2つ紹介します。


ノーレーティング導入により業績が向上した事例

ある食品会社では、従来の人事評価を廃止してノーレーティングを導入しました。上司と部下の間で「約束と結果責任」の取り決めを結び、達成度合いにより賞与を決定しています。これにより、上司と部下の対話が増加しただけではなく、社員同士が協力し合うようになり、結果として企業としての業績向上につながっています。


ノーレーティング導入により社員のモチベーション向上につながった事例

あるソフトウェア開発企業では、ノーレーティングを導入しています。二週間に一度のペースで1on1ミーティングを実施しており、コミュニケーションを密に取っています。また、クライアントと自社への貢献度によって給与や評価が決まるといったシンプルな評価制度にすることで、社員がモチベーションを維持しやすくなりました。


まとめ

ノーレーティングとは、ランク付けによる評価制度を廃止して、環境に合った目標を設定しリアルタイムでの評価を行うことです。ノーレーティングによって、適切な評価による社員のモチベーション向上や評価への納得感が得られるなどのメリットがあります。


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