こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。新入社員教育において、チェックシートの活用を検討されている方は多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、新入社員教育チェックシートを活用する目的や必須項目を解説します。職種別でのチェックシートのテンプレートも見本として紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
「DX化で人材育成がここまで変わった!最新社内研修トレンド3選」
新入社員教育チェックシートを活用する3つの目的
この章では、新入社員教育チェックシートを活用する3つの目的を紹介します。
- 新入社員の成長速度を早める
- 新入社員のモチベーションを保つ
- 教育のムラや抜け漏れを無くす
新入社員指導やフォロー効果を高めるためには「なぜ新入社員教育でチェックシートを活用するのか」についての理解が重要です。
新入社員の成長速度を早める
教育チェックシートを活用する目的として、新入社員の成長速度を早めることがあげられます。チェックシートにより各スキルの達成度が分かるため、より早く精度の高い指導やフォローが可能になるからです。習熟度は人によって異なるので、業務に必要な要素をチェックして、戦力になるまでの期間を短くできます。
教育チェックシートは、新入社員が「何が良くてどこに課題があるのか」を把握するためにも役立つツールです。新入社員と教育担当者双方でチェックシートを共有することで、新入社員のスキルや勤務態度の改善に向けてスムーズなコミュニケーションが取れます。
新入社員のモチベーションを保つ
チェックシートを活用することで、新入社員の各項目における熟達度が分かるようになります。成長が視覚的に分かるため、新入社員はモチベーションを維持しやすくなるでしょう。自身の成長に目を向けながら、他の評価項目についても改善に向けた行動を促せます。
新入社員がモチベーションを保てる環境を整えられれば、早期退職の防止や周囲に相談しやすい雰囲気をつくることができます。
教育のムラや抜け漏れを無くす
教育担当者ごとの教育のムラをなくすためには、自社の育成方針に基づいた客観的な評価項目が必要です。客観的な評価項目を新入社員教育チェックシートに反映させることで、教育のムラを防ぐことができます。そのため社員ごとに教育担当者が異なっても、評価項目や評価基準を統一することが可能です。
また、教育担当と各部署の上司などがシートを共有することで、新入社員の成長や課題点に関する認識が統一されます。そのため指導者が変わってもスムーズに引き継ぎができ、フォローすべき点の見落としも防げるでしょう。
新入社員教育チェックシートに入れるべき6つの基本項目
この章では、新入社員新入社員教育チェックシートに入れるべき6つの基本項目を紹介します。
- 身だしなみ
- 挨拶
- 言葉遣い
- 勤務態度
- 報連相
- ビジネスマナー
いずれも社会人であれば必ず身につけておくべき要素なので、必ずチェックシートに含めるようにしましょう。
身だしなみ
身だしなみを整えることは、社会人としての最低限のマナーです。第一印象の良し悪しは、仕事の成果に影響します。チェックシートに入れるべき具体的な項目は、主に以下の3つです。
- 衣服に目立つ「しわ」や「すりきれ」がないか
- 寝癖や顔が髪で隠れていないか
- 爪は伸びていないか
お客様と対面する機会が多い職種であれば、靴やカバンなどの持ち物についても規定すると良いでしょう。ただし、身だしなみについてはセンシティブな問題である可能性もあります。状況や本人の希望によっては、1on1などの機会で上司から個別に確認するようにしましょう。
挨拶
挨拶は社会人としての基本です。礼儀としてはもちろん、お客様対応や社内でのコミュニケーションにおいても重要となります。特に新入社員のうちは、社員やお客様に顔を覚えてもらうためにも挨拶は効果的です。
具体的なチェック項目としては、主に以下の3つがあります。
- 状況問わず、自ら挨拶できているか
- 明るくハキハキとしているか
- 来客者にも挨拶できているか
最初のコミュニケーションである挨拶は、相手との関係性構築の第一歩となります。仕事を円滑に進めるためにも、必ずチェックするべき項目です。
言葉遣い
言葉遣いは、相手とコミュニケーションを図る上での基本的なマナーです。新入社員教育においては、尊敬語や謙譲語、丁寧語の状況に応じた使い分けなどが、主な指導内容となるでしょう。特に社外の人と話すときは、新入社員であっても会社を代表しているため、正しい言葉遣いを徹底させる必要があります。
具体的なチェック項目は、主に以下の3つです。
- 尊敬語・謙譲語・丁寧語を場面に応じて使い分けられているか
- 語尾は略したり伸ばさす、ハッキリと言えているか
- 関係性ができている上司やお客様であっても適切に敬語が使えている
最初は言葉遣いが徹底されていても、上司やお客様との関係性ができてくるとついフランクに話してしまうことがあります。ビジネスの場面では、親しい関係性となっても敬語で話すように指導することが大切です。
勤務態度
遅刻や欠席、勤務中の発言内容などの勤務態度についてもチェックシートに含めましょう。勤務態度には「規律性」「積極性」などがあり、いずれも安定的な組織開発を進める上で必須項目となります。
規律性は組織や職場で定められたルールや規則を守り、仕事を進める際の秩序や責任感を意味します。積極性は主体的に行動し、自ら進んで仕事に取り組む姿勢を意味します。
具体的なチェック項目としては、主に以下の3つがあります。
- 遅刻・欠勤を頻繁に繰り返していないか
- 社内規則や指示に従っているか
- 会議などの場で発言しているか
勤務態度に関する項目もチェックシートに含めることで、社内での信頼を集めることができます。そのため、新入社員でも早い段階から組織の一員として活躍しやすくなるでしょう。
報連相
「報告」「連絡」「相談」は、仕事の進め方における基本要素です。入社して日が浅いうちは慣れない環境下で積極的なコミュニケーションが難しい場合もあるので、報連相の目的と大切さをしっかりと伝えましょう。
具体的なチェック項目は、主に以下の3つです。
- 任された業務や役割について、自ら報告ができているか
- 業務や定期的な会議の場で進捗や共有すべき事項を伝えられているか
- 疑問点や不明点は放置せず相談できているか
初めての業務では進め方や認識の齟齬が起こりやすいので「2〜3割程度完成した段階で報告する」など、ミスがあっても容易に軌道修正できるような進め方を徹底するように伝えます。
ビジネスマナー
来客・電話対応や名刺の交換作法、メール文章の書き方などのビジネスマナーは、新入社員の段階から完璧に身につけてほしい要素です。新入社員でも対外的には「会社の顔」として業務にあたるため、基本的なビジネスマナーが身につけられるよう指導する必要があります。
具体的なチェック項目は、以下の5つです。
- 来客時の挨拶や案内はスムーズか
- 電話は規定コール数でとれているか
- 電話やメールを取り次ぐときは必要情報を正しく共有できているか
- 名刺交換時は正しい作法で受け渡しができているか
- メールは誤字脱字がなく言葉遣いが適切か
ほとんどのビジネスマナーは定型化されているため、容易にチェックシートで確認できます。
【職種別】新入社員教育チェックシートのテンプレート
この章では「看護師」「介護士」「事務員」それぞれの新入社員教育チェックシートのテンプレートを紹介します。
紹介するテンプレートはあくまでも一例なので、活用する際はご自身の職場状況に合わせて編集してください。
看護師の場合
項目 | 目標達成状況 | 日付 | 指導者サイン |
---|---|---|---|
-基本的な業務理解- | |||
病院・部署の理念と方針の理解 | □ 完了 | ||
業務の基本的な流れの理解 | □ 完了 | ||
安全管理(感染対策、患者安全)の理解 | □ 完了 | ||
-基本的な看護技術- | |||
バイタルサインの測定と記録 | □ 完了 | ||
血糖測定とインスリン注射 | □ 完了 | ||
静脈採血と点滴の挿入 | □ 完了 | ||
薬剤の投与(内服薬、注射薬)の手順確認 | □ 完了 | ||
-患者ケア- | |||
患者の清潔ケア(口腔ケア、身体清拭など) | □ 完了 | ||
排泄ケア(カテーテル管理、排泄補助) | □ 完了 | ||
食事介助と栄養管理 | □ 完了 | ||
移動・体位変換の補助 | □ 完了 | ||
-コミュニケーションスキル- | |||
患者との適切なコミュニケーション | □ 完了 | ||
家族とのコミュニケーション | □ 完了 | ||
チーム内での報告・連絡・相談 | □ 完了 | ||
-記録とドキュメンテーション- | |||
看護記録の書き方 | □ 完了 | ||
患者の情報管理とプライバシー保護 | □ 完了 | ||
-専門的な看護技術- | |||
各種ドレーンの管理 | □ 完了 | ||
人工呼吸器の管理 | □ 完了 | ||
輸血管理 | □ 完了 | ||
-緊急時の対応- | |||
CPR(心肺蘇生法)の実施手順 | □ 完了 | ||
緊急時の報告と対応 | □ 完了 |
看護師は医療行為も行うため、医療倫理・看護倫理はもちろん患者の生命に対する責任感や使命感、人権擁護などの観点を必ず項目に含めます。また患者本人や患者のご家族と接することもあるため、他者への寄り添い方や気遣い方法もチェックできる項目を含めると良いでしょう。
介護士の場合
項目 | 目標達成状況 | 日付 | 指導者サイン |
---|---|---|---|
-基本的な業務理解- | |||
施設・部署の理念と方針の理解 | □ 完了 | ||
業務の基本的な流れの理解 | □ 完了 | ||
安全管理(感染対策、利用者安全)の理解 | □ 完了 | ||
-基本的な介護技術- | |||
バイタルサインの測定と記録 | □ 完了 | ||
食事介助と栄養管理 | □ 完了 | ||
排泄介助(トイレ、オムツ交換) | □ 完了 | ||
移動・体位変換の補助 | □ 完了 | ||
口腔ケア、身体清拭などの清潔ケア | □ 完了 | ||
-利用者ケア- | |||
入浴介助 | □ 完了 | ||
着替え介助 | □ 完了 | ||
生活リハビリの支援 | □ 完了 | ||
-コミュニケーションスキル- | |||
利用者との適切なコミュニケーション | □ 完了 | ||
家族とのコミュニケーション | □ 完了 | ||
チーム内での報告・連絡・相談 | □ 完了 | ||
-記録とドキュメンテーション- | |||
介護記録の書き方 | □ 完了 | ||
利用者の情報管理とプライバシー保護 | □ 完了 | ||
-緊急時の対応- | |||
緊急時の報告と対応 | □ 完了 | ||
応急処置の基本 | □ 完了 | ||
-専門的な介護技術- | |||
認知症ケアの基本 | □ 完了 | ||
排泄パターンの観察と対応 | □ 完了 | ||
拘縮予防のための体位変換 | □ 完了 |
介護士の場合は食事や入浴・排泄など、基本的な介助技術に関する項目がベースとなります。加えて、利用者が安心して利用できるようなマナーに関する項目も含めましょう。特に、排泄介助のミスは感染症などを引き起こすリスクがあります。排泄介助は利用者のプライバシーにも関わるため、重要なチェック項目です。
事務員の場合
項目 | 目標達成状況 | 日付 | 指導者サイン |
---|---|---|---|
-基本的な業務理解- | |||
会社・部署の理念と方針の理解 | □ 完了 | ||
業務の基本的な流れの理解 | □ 完了 | ||
社内ルールと規則の理解 | □ 完了 | ||
-オフィス技術- | |||
パソコンの基本操作(OSの使用方法) | □ 完了 | ||
メールの送受信と管理 | □ 完了 | ||
オフィスソフトの使用(Word、Excel、PowerPoint) | □ 完了 | ||
書類の作成と管理 | □ 完了 | ||
データ入力とデータベース管理 | □ 完了 | ||
-電話対応と来客対応- | |||
電話応対の基本 | □ 完了 | ||
来客応対の基本 | □ 完了 | ||
ビジネスマナーの理解と実践 | □ 完了 | ||
-社内コミュニケーション- | |||
上司や同僚との報告・連絡・相談 | □ 完了 | ||
チームワークの重要性と協力方法 | □ 完了 | ||
社内会議の準備と参加 | □ 完了 | ||
-業務の優先順位と時間管理- | |||
業務の優先順位の決定方法 | □ 完了 | ||
効率的な時間管理の技術 | □ 完了 | ||
締め切りの遵守と自己管理 | □ 完了 | ||
-書類管理と保管- | |||
ファイリングシステムの理解と実践 | □ 完了 | ||
書類の整理と保管 | □ 完了 | ||
機密情報の取り扱いと保護 | □ 完了 | ||
-その他の業務スキル- | |||
簡単な経理業務の理解と実践 | □ 完了 | ||
備品管理と発注業務 | □ 完了 | ||
簡単な資料作成とプレゼンテーション | □ 完了 |
事務員の場合は定型業務がほとんどなので、正確性が重要な指標となります。新入社員教育チェックシートでは、数値や文字の正確性に関するチェック項目を含めると良いでしょう。
業務効率化の観点から、ショートカットキーやエクセルなど、パソコンスキルやツールの活用状況についてのチェック項目を入れるのもおすすめです。
新入社員教育チェックシートを効果的に活用するポイント
この章では、新入社員教育チェックシートを効果的に活用するポイントを紹介します。チェックシートは、ただ作成して使うだけでは本来の効果を発揮できません。
- 身につけて欲しいスキルの整理と細分化を行う
- 育成スケジュールを決めて定期的に振り返る
上記2点を実践し、新入社員教育の質をより高いものにしていきましょう。
身につけて欲しいスキルの整理と細分化を行う
新入社員教育チェックシートを活用する前に、新入社員に身につけてほしいスキルや能力、経験を言語化し細分化しておきましょう。言語化と細分化により、チェックシートに含めるべき項目を精査できます。
例えば、社内カルチャーに合致した高いパフォーマンスを発揮している社員の行動特性を、チェックシートの項目に反映するのも良いでしょう。自社が目指す方針に基づいてチェック項目を決めることで、効率的な人材育成が可能になります。
育成スケジュールを決めて定期的に振り返る
育成スケジュールを決めることで、早く確実にチェックシートの各項目の達成に向けた道筋が作れます。定期的にチェックシートの振り返り時間を設けることで、進捗把握や「今後どのように行動すべきか」フォローすることが可能です。
新入社員にとっては慣れない環境下で、一度に多くの目標を持って努力することが難しい場合もあります。育成スケジュールを立てる際は、直接新入社員とすり合わせて期日を決めると良いでしょう。
新入社員教育チェックシートでカバーしきれない課題
この章では、新入社員教育チェックシートだけではカバーしきれない3つの課題を紹介します。
- メンタルサポート
- 相互理解
- 長期目標の管理
どの課題も新入社員教育においては重要なので、フォローできる体制を整えておきましょう。
メンタルサポート
新入社員が現場で活躍するためには、職場への順応が欠かせません。新入社員教育チェックシートでは、項目ごとの評価が可能です。しかし、悩みや不安などのメンタルに関するサポートについては、チェックシートのみでは漏れが生じる可能性が高いです。
特に「業務や環境におけるイメージとのギャップ」「周囲との実力差」については悩みや不安の原因となりやすいので注意が必要となります。面談の時間やランチなど、本人と直接話せる時間を作ると良いでしょう。定期的に教育担当や上司に相談できる環境があれば、周囲に相談しやすい雰囲気を確保でき早期退職を防ぐことも期待できます。
相互理解
新しい人間関係のなかで仕事を進めるためには、社員同士の相互理解が欠かせません。新入社員にとって、周囲との関係性ができていることは大きな安心材料です。早い段階から新入社員と既存社員が交流できる機会があると良いでしょう。
ランチ会や歓迎会、レクリエーションなどは社員同士の親睦を図る機会となります。例えばレクリエーションを行う場合、新入社員の自己紹介パートや既存社員と交流する場面などを設けることで、相互理解を深めることが可能です。
長期目標の管理
教育チェックシートは入社直後のスキル・マインドセットには役立ちますが、長期的な目標管理には向きません。長期目標を管理するには、年次や役職ごとに求められる能力を整理した評価システムやチェックシートが必要となります。
社員の長期目標は、会社の経営方針やビジョンに基づいている必要があります。「どのような人材に育って欲しいか」を経営方針やビジョンから定義し、社員の長期目標として設定しましょう。
まとめ
新入社員教育チェックシートを活用することで「スキル達成度の把握が簡単になる」「教育内容の抜け漏れを防げる」など多くのメリットがあります。しかし、チェックシートの内容は職種や状況によって異なるので、現場に合わせたカスタマイズが必要です。
戦力になる人材を育て上げるには、チェックシートだけでなくあらゆる教育方法を実践することも大切になります。科学的なタレントマネジメントを実現するツールであるタレントパレットは、人材育成はもちろん、採用や離職防止など多岐にわたる人事業務を効率化する機能を提供しています。
タレントパレットを活用することで、あらゆる人材データの分析によって科学的な人事戦略を実現可能です。新入社員教育をはじめ、人事業務における課題を抱えている企業さまは、ぜひ「タレントパレット」への導入をご検討ください。