モンスター社員とは?特徴や起こり得るトラブル、適切な対処法を解説


モンスター社員とは?特徴や起こり得るトラブル、適切な対処法を解説

近年では、モンスター社員に頭を抱える企業が増えています。モンスター社員を放置すると、金銭や訴訟のトラブルに発展する可能性もあるため、企業側はできるだけ早い段階で適切な対応を行う必要があるでしょう。本記事では、モンスター社員の特徴や種類、対処法などを解説します。モンスター社員に悩まれている企業担当者は、ぜひ参考にしてください。


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モンスター社員とは?

モンスター社員とは、仕事や他の社員に対する言動が、著しく常識の範囲を超えている社員のことです。職場にモンスター社員がいると、業務遂行を妨げ、周囲に迷惑をかけることにつながります。モンスター社員の傾向や具体的な言動の幅は広く、一言で定義することが難しいことも特徴です。


モンスター社員が生まれる背景

近年、モンスター社員が増えている背景について、考えられる理由を4つ解説します。


人間関係の希薄化

デジタル化が進んでいる近年においては、生身の人間と接する機会が減り、コミュニケーションのあり方が変化していることも特徴の1つです。従来と比較すると、人同士のつながりが希薄になっているといえるでしょう。他人の気持ちがわからなかったり、思いやりの意識が減ったりしていることで、常識とかけ離れた言動をする人が増えているのかもしれません。


パワハラの懸念

近年では、上司から部下へのパワハラが社会的な問題となっています。管理職のなかには、部下への態度がパワハラとみなされる懸念によって、適切な指導ができていない場合もあるでしょう。適切な指導が行われなければ、社員が自身の行動を改善する機会を得られず、モンスター社員の言動が助長される状況をつくってしまいます。


競争社会・成果主義

企業で働くためには避けられない昇進や昇格などの競争も、モンスター社員を生み出す理由の1つです。自己中心的な振る舞いをしがちなモンスター社員は、周囲と協力して業務を行うよりも、自身の出世を優先している可能性があります。将来を不安に思う気持ちから、心の余裕がない状況も考えられるでしょう。


職場環境の問題

モンスター社員は本人のみならず、職場環境が問題となっているケースもあります。たとえば、社員教育が不十分な場合や、適切な人事配置や評価がなされていない場合、社員がストレスを感じることも少なくありません。社員が自社に対し過度な不満を抱いたり、苦痛を感じていたりすることで、モンスター社員になってしまうことがあります。


モンスター社員の特徴

モンスター社員にはどのような特徴があるのでしょうか。特によく見られるものを4つ紹介します。


上から目線・自己中心的

モンスター社員は周りの社員に配慮せず、自身の主張を押し通そうとする一面があることも特徴といえるでしょう。たとえば、迷惑を顧みず遅刻や欠勤を繰り返すだけでなく、言い訳や攻撃的な防御を行うことで、自分の立場を守ろうとする行動です。また、他の社員に対し上から目線で接することで、自己顕示欲や承認欲求を満たそうとする傾向も見られます。


能力・スキル不足

業務上必要な能力・スキルが不足していることも、モンスター社員の特徴の1つです。また、向上心が欠けており、業務に支障があっても改善を試みないケースもあるでしょう。能力・スキルが不足していると、周りの社員の業務負担が増えたり、納品物の品質が低下し、取引先に迷惑をかけたりするリスクも生じます。


自信過剰

企業からの評価と異なり、自身を不当に高く評価しているタイプのモンスター社員です。自信過剰で自分は正しく仕事ができると思い込んでいるため、上司や同僚からのアドバイスをなかなか受け入れません。また、評価に対し、感情的になって不満を訴えたり、周りの人に同情を求めたりすることもあるでしょう。


自覚がない

モンスター社員自身が、問題行動を起こしている自覚がない場合も想定されます。本人が周囲に迷惑をかけている自覚がなく、悪意を持っていなければ、いくら上司が指導をしても改善させることは難しいでしょう。改善すべき点を繰り返し伝え、改善されない場合は、就業規則に則った罰則を与えるなどの対処が必要です。


モンスター社員の種類

モンスター社員の種類はさまざまありますが、たとえば以下のような言動があります。


パワハラ型

自身の置かれている地位や立場を利用し、部下や新入社員を攻撃するパワハラ型のモンスター社員です。一見仕事ができて優秀な社員であっても、他の社員に自己中心的な振る舞いをしたり、精神的な苦痛を与えたりしているケースも少なくありません。パワハラは、攻撃を受けている本人だけでなく、他の社員の士気まで低下させるリスクがあります。


逆パワハラ型

逆パワハラとは、部下から上司に対してパワハラを行うことです。職場内で部下の方が優越的な立場にある場合、上司のいうことを聞かなかったり、SNSで上司の誹謗中傷を行ったりすることは逆パワハラといえるでしょう。また、複数の部下が上司を無視するなど、集団で逆パワハラをするケースも見られます。


自己中心型

自己中心型は、自分が正しいと信じて疑わず、上司からの指導に感情的になって反論したり、素直に従わなかったりする一面があるのが特徴です。一方、問題が起きたときには責任から逃れようとする傾向があります。自己中心型は協調性がなく、自分の考えややり方を優先させるため、チーム全体のスムーズな業務進行を妨げることもあるでしょう。


素行不良型

無断欠勤や遅刻を繰り返したり、不適切な服装で出勤したりといった素行不良型のモンスター社員もいます。また、職場のものを横領したり、取引先に攻撃的な態度を取ったりすることも素行不良型に見られる言動です。不適切な行為を放置すると犯罪に発展するリスクもあり、企業の信頼性やイメージを低下させることにつながりかねません。


反抗型

反抗型は、上司からの指示に対して反抗的な態度を取り、何かと争いの姿勢を見せる社員のことを指します。また、自身の言動や主張を正当化しようとする面もあるため、指導をしても改善が難しいことが厄介なポイントです。ルールを守らず攻撃的な態度を取りやすいことから、社内で孤立するケースも多く見られます。


被害妄想型

上司からの適切な指導やアドバイスを自身への攻撃であると捉えてしまい、過剰に反応するタイプです。たとえ上司が善意で伝えた場合でも、歪んだ捉え方をして被害者意識を持ってしまいます。些細なことをパワハラであると訴えたり、卑屈な態度を取ったりするため、周りの社員も接しづらくストレスの原因になりやすいことが特徴です。


家族介入型

社員の家族、特に親が企業の問題に介入してくる場合もあります。たとえば、配置や評価に対し意見を主張したり、社内の人間関係に口を挟んだりするケースです。また、体調不良で休む際に親が連絡してくる場合も考えられます。社員自身に主体性がなく親に依存している場合は、成長や改善を促すことも難しいでしょう。


モンスター社員の心理

モンスター社員の周囲への攻撃的な態度や、自己を正当化させようとする態度は、自己防衛のためであると考えられます。自分に対する低評価を周囲の責任にし、自身の能力不足を認めないことも少なくないでしょう。また、気持ちに余裕がないからこそ、自信過剰な振る舞いをしてモンスター社員と化してしまうこともあります。


モンスター社員が起こし得るトラブル

モンスター社員が起こしがちなトラブルには、どのようなものがあるのでしょうか。想定される3つのトラブルを解説します。


職場環境のトラブル

モンスター社員の存在によって、他の社員に悪影響を与えてしまうことも起こし得るトラブルの1つです。たとえば、モンスター社員の欠勤・遅刻のフォローやミスの穴埋め、理不尽な要求への対処などによって、他の社員の負担は大きくなるでしょう。他の社員に負の感情が生まれれば、全体の雰囲気が悪化し、優秀な社員が離職してしまうリスクにもつながります。


金銭的なトラブル

不当に経費を請求したり、給与アップを求めたりするモンスター社員もいるでしょう。そもそも給与に見合った労働を行っていなかったり、業務の進行を妨げたりする場合、企業にとっては人件費だけでも金銭的な損失となります。また、モンスター社員の問題行動によって取引先を失うなど、大きな損失に発展することもあるかもしれません。


訴訟・損害賠償トラブル

前述した逆パワハラ型や被害妄想型のモンスター社員においては、たとえ企業が妥当な対応をしていても、訴訟を起こす可能性があります。訴訟で負ければ損害賠償の支払いを命じられ、大きな損失となるでしょう。また、社員から訴えられた場合、消費者や取引先からのイメージが悪くなりやすく、社会的信用を失いかねません。


モンスター社員を放置するリスク

モンスター社員は対処が難しく、放置してしまいたくなることもあるでしょう。しかし、モンスター社員を放置することは以下のようなリスクを伴うので注意が必要です。


懲戒処分が難しくなる

モンスター社員を野放しにしていると、いざ懲戒処分をしようとした際に不利になるかもしれません。裁判では、モンスター社員のこれまでの行動だけでなく、企業がどのような対応を行ってきたかも考慮されるからです。これまで企業が適切な対処を行ってこなかったと判断されれば、過去の対応とのバランスを欠いているとして、懲戒処分が認められないことがあります。


逆パワハラが問題となる

モンスター社員からパワハラで訴えられることを避けるあまり、適切な指導を行わなければ、逆パワハラに発展するケースもあるでしょう。部下から上司への暴言や暴力、執拗な反論などは、逆パワハラです。逆パワハラがいったん社内に根付いてしまうと、社内での対処が難しくなり、上司を馬鹿にするような風潮が社内で広がるなどの事態に発展します。


社員が自社を逆恨みする

モンスター社員を放置することによって、被害にあったと思い込んで自社を訴える可能性もあるでしょう。たとえば、モンスター社員が管理職の言動によって精神疾患を発症した場合、損害賠償を請求してくるケースなどです。事態が悪化してから対処するのではなく、指示無視や明らかな規則違反がある場合は、放置せずに早めに指導を行いましょう。


タイプ別モンスター社員への対策

企業にさまざまな悪影響を与えるモンスター社員は、どのように対処するとよいのでしょうか。ここからは、代表的な6つのタイプのモンスター社員への対策を紹介します。


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モンスター社員のタイプに合わせた対応が重要

先述したように、モンスター社員にはさまざまなタイプがあり、それぞれ対処法も異なるため、対応が難しいからといって放置せず速やかに指導を行いましょう。


自己中心的なモンスター社員

自己中心的なモンスター社員には繰り返し指導や面談を行い、周囲と協力するよう促すことが大切です。指導をしても改善されない場合は、他部署への配置転換を試みましょう。それでも改善されない場合は、解雇を検討します。


指示に従わないモンスター社員

指示に従わないモンスター社員に対しては、指示内容と業務命令を文書にして明確に示しましょう。書面に残すと、後でトラブルになった際に重要な証拠となります。従わない場合は、懲戒処分や解雇などを検討してください。


パワハラをするモンスター社員

パワハラをするモンスター社員に対しては、まずは被害者・加害者の両方から事実をヒアリング行いましょう。事実関係を明らかにしたうえで、どの程度のパワハラであったのかを考慮し、処分内容を決定します。


無断欠勤するモンスター社員

無断欠勤をするモンスター社員に対しては、まず事情を聞き、やむを得ない事情で欠勤する場合は必ず企業に連絡を入れるよう指導が必要です。その後も無断欠勤を繰り返すようであれば、懲戒処分や解雇も検討しましょう。


遅刻・早退を繰り返すモンスター社員

遅刻や欠席も、無断欠席と同じように事情を聞くことから始めます。改善しない場合は、懲戒処分や解雇の検討が望ましいでしょう。しかし、現状では遅刻を理由に社員を解雇することは難しいとされています。


成績不良のモンスター社員

成績不良のモンスター社員に対しては、まずは指導や面談できちんと教育を行うことが大切です。教育を行っても改善が見られず解雇したい場合は、未経験で入社したのか、経験者として入社したのかで法的な扱いが異なるため確認しましょう。


モンスター社員を生じさせない対策

モンスター社員を抱えないためには、どのような対策を講じるとよいのでしょうか。モンスター社員化の抑制につながる3つの対策を紹介します。


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採用面接で見抜く

まずは、採用面接時にモンスター社員になりそうな人物かを見分けることが重要です。たとえば、自己PRの際にチームではなく自分の功績ばかりアピールする場合は、独断的な仕事をする人物である可能性があります。また、転職を短期間で繰り返していながら、それぞれの退職理由が明確でない場合も注意が必要です。可能であれば、適性検査を行ってもよいでしょう。


就業規則・評価制度を整える

モンスター社員に適切な指導を行うためには、企業側がきちんと就業規則や評価制度を定めておくことが大切です。ルールを定めたうえで全社員への周知を徹底すれば、訴訟になった際も有利となります。また、評価制度があることで公平な評価が可能となり、社員の納得感やモチベーションを高める効果も期待できるでしょう。


毅然とした態度で接する

どのようなモンスター社員に対しても、毅然とした態度で冷静に対応してください。トラブルがあった際は、感情的になったり強い言葉で諭したりするのではなく、淡々と話し合いや説明を行うことが大切です。また、相手をモンスター社員と決めつけず、相手の主張も聞いたうえで事態を冷静に判断する姿勢も求められます。


社内のモンスター社員への対処

社内のモンスター社員に対応する場合は、以下の3つのステップに沿って進めるとよいでしょう。


ヒアリング・事実確認

まずは、本当にモンスター社員であるかどうかの事実確認を行ってください。本人だけでなく、周囲の社員などの関係者にも同じようにヒアリングを実施します。問題行動の詳細を収集するなかで、本人と他の社員の間で矛盾点がないかをしっかり確認しましょう。また、ヒアリングの際は、社員同士の人間関係が悪化しないよう配慮することも大切です。


指導・経過確認

問題行動が事実であった場合、できるだけ早急にモンスター社員に指導を行いましょう。指導後は、改善が見られるかどうかの経過を観察します。状況を観察する期間を設けることでモンスター社員に、相談できる人がいるという安心感を与えることもできるでしょう。一定期間が経過しても改善が見られない場合は、人事異動も1つの方法です。


罰則・懲戒処分

指導や人事異動を行っても改善が見られない場合、始末書や誓約書などを提出させる、減給・出勤停止などの罰則も検討しましょう。モンスター社員の言動が就業規則の懲戒事由に該当していれば、懲戒処分を行うことも可能です。ただし、処分が重すぎると無効になる場合もあるため注意しましょう。


モンスター社員は辞めさせることができる?

モンスター社員は企業にとって厄介な存在であるものの、突然の解雇は難しいことが現状です。しかし、就業規則上に根拠が示されており、社員が就業規則を周知している場合、また繰り返し注意を行っている場合であれば、解雇ができる場合もあります。懲戒処分をしても改善しない場合は、次の手順で解雇を進めましょう。


退職勧奨

退職推奨とは、社員に退職するよう説得し、同意を得たうえで退職してもらうことを指します。一方的に解雇を通知するよりもトラブルになりにくく、後で訴訟を起こされるなどのリスクも少ないことが特徴です。


解雇

モンスター社員が退職推奨に応じない場合は、解雇を検討しましょう。解雇は、企業が一方的に雇用契約を解除するため要件が厳しく、解雇後にトラブルになるリスクも高いため注意が必要です。モンスター社員が不当解雇であると主張して解雇撤回を要求したり、金銭を請求してきたりするケースもあるため、慎重に判断しましょう。


まとめ

モンスター社員が社内にいると、同じ部署の社員や上司にも悪影響を及ぼし、企業全体の士気を下げることにもつながります。自社にモンスター社員がいる場合は、放置せずに適切な対応を行い、さまざまなリスクの予防に努めましょう。


社員の士気を高めて魅力的な企業を創造するためには、社員エンゲージメントを用いる方法がおすすめです。社員1人ひとりのモチベーションを把握できれば、モンスター社員の存在に早く気づけることはもちろん、急な離職を防ぐことにもつながります。


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