ミドルマネジメントとは
ミドルマネジメントとは、いわゆる中間管理職のことを意味しています。具体的な役職名でいうと、部長、課長、マネージャーなどがミドルマネジメントに該当する肩書きになるでしょう。ミドルマネジメントは経営者の方針を理解し、現場を運営したり、部下を育成したりするのが仕事です。
ミドルマネジメントの平均年齢や男女比は?
ミドルマネジメントはどのような人がなることの多い役職でしょうか。ここでは、ミドルマネジメントの平均年齢と男女比を確認してみましょう。
ミドルマネジメントの平均年齢
厚生労働省の調査によると、ミドルマネジメントの平均年齢は以下のとおりとなっています。
・部長級:男性 52.9歳、女性 52.2歳
・課長級:男性48.5歳、 女性 49.0歳
・係長級:男性44.8歳、 女性45.7歳
※参考:役職別にみた賃金|厚生労働省
ミドルマネジメントの男女比
厚生労働省の調査によると、令和2年度の役職別女性管理職割合は次のとおりです。
・課長相当職以上(役員を含む) :12.4%
・係長相当職以上(役員を含む):14.6%
・役員:20.3%
・部長相当職:8.4%
・課長相当職 :10.8%
・係長相当職:18.7%
いずれのケースも、男性のほうが多い割合を占めていることがわかります。
※参考:企業調査結果概要|厚生労働省
組織におけるマネジメントの位置づけ
組織において、マネジメントは階層的な位置づけがなされています。ここでは、組織における各マネジメントの位置づけを解説します。
トップマネジメント
トップマネジメントとは、企業や組織の最上位の役職です。企業経営において総合的な判断を下すのが役割となります。具体的な役職名では、会長、社長などがトップマネジメントに該当します。
ミドルマネジメント
ミドルマネジメントは、日本語で「中間管理職」とトップマネジメントとロワーマネジメントの中間に位置する管理職です。課長、部長など、それぞれの部門のトップとして、ロワーマネジメントをまとめ、部門の運営を担う仕事となります。
ロワーマネジメント
ロワーマネジメントは、ミドルマネジメントの下に位置する階層です。現場で直接指揮にあたる係長や主任などが、ロワーマネジメントにあたります。
ミドルマネジメントの役割
マネジメント職の階層のなかで、ミドルマネジメントの果たす役割について詳細に解説します。
経営層の補佐
ミドルマネジメントは経営層の補佐が仕事の1つです。トップマネジメントではありませんが、企業理念や経営方針を理解し、上長である経営層の補佐をします。経営資源を把握し、現状報告や計画の立案などをする役割です。
部下の管理
部下の仕事の進捗状況を把握し、適切な指示を出すのもミドルマネジメントの仕事です。必要に応じて仕事内容にアドバイスをして、軌道修正をすることもあります。部下との面談、評価といった仕事も入ってきます。
上長と部下の調整
ミドルマネジメントは、経営層の意図が部下に伝わるように橋渡し役をすることもあります。現場の社員は経営層とあまり接点がなく、組織が大きいほど経営層と現場の距離があるため、意図を伝えるのは非常に重要な役割です。
人材の配置
業務を効率的に進めるために、部下の能力や個性を見極めたうえで、適切な人材配置をする必要があります。人材配置をするためには、部下の持つスキルや志向性を十分に把握しておく必要があるでしょう。
部門同士の調整
各部門で連携するためには、ミドルマネジメントによる部門間の調整が必要になります。他部門の状況を把握し、部門内で共有する役割を担います。もちろん、そのためにはミドルマネジメント同士で連携を取らなければなりません。
リスク管理
ミドルマネジメントは、部内のリスクをあらかじめ把握し、適切な対策を講じるリスク管理を行います。業務プロセスなどの適切な管理によってミスやトラブルの発生を抑え、被害を最小限にするのが仕事です。
現場の管理
現場での経験や知識を活かし、プレイングマネージャーとして実務もこなさなければならない一面もあります。マネジメント業務との負担を調整しながら現場の仕事を進める必要があり、ミドルマネジメントにはある種の器用さが求められます。
チームリーダー
チームで効率的に業務を進めていくために、ミドルマネジメントはチームリーダーとしての役割も担います。業務の進捗状況を把握したり、目標設定をしたりする仕事があり、その目標に即してチームメンバーを引っ張ることも大切です。
ミドルマネジメントに求められる能力
多種多様な仕事を担うミドルマネジメントは、さまざまな能力を求められます。ミドルマネジメントに求められる能力を解説します。
情報収集力・分析力
ミドルマネジメントには、マネジメントをするうえで必要な情報を集め、分析する能力が必要です。仕事の1つとして経営陣の補佐をするために戦略を立てることもあるため、市場の動向を把握し、業務に活かすことが求められます。
問題を解決する能力
ミドルマネジメントは、適切な解決策を自ら判断しなければならない仕事です。問題の発生をいち早く把握し、解決に向けた対策を打ち出す能力が必要になります。これは、自分自身はもちろん部下に問題を解決させるスキルでもあります。
マネジメント力
部門を管理するため、部下を指導しながら業務全体が効率的に進むように調整するマネジメント能力が必要です。ここでは、部下へのマネジメントとして、目標設定や進捗管理など、部下と話し合いながら行う管理事項が多くあります。
コミュニケーション能力
上司や部下との人間関係を円滑にするためには、コミュニケーション能力は欠かせないものです。仕事内容や方向性のすり合わせなど、相手の意見に耳を傾け、上司と部下それぞれに向けて、適切に伝える必要があります。さまざまな立場・能力の人と関わるため、相手に合わせてコミュニケーションを取ることが大切です。
ミドルマネジメントが抱えやすい課題
ミドルマネジメントは課題を抱えやすい役職でもあります。ミドルマネジメントが抱えやすい課題は以下のとおりです。
精神的な負担
ミドルマネジメントは上司と部下の間で板挟みになることが多いため、どうしても精神的な負担が大きくなりがちです。とりわけ自分が通り過ぎてきた部下の立場もわかるだけに、負担に耐えられる人材であるかどうかも大きな分かれ目となります。
ミドルマネジメントには負担を抱えやすいことをあらかじめ自覚させ、メンタルヘルスが乱れないようにケアする必要があるでしょう。
モチベーションの低下
業務量が多く、日々の業務に追われて達成感が得られにくいため、ミドルマネジメントは仕事に対するモチベーションが低下しやすいことも問題です。モチベーションの低下は業績に影響する可能性もあります。ミドルマネジメントのモチベーションが維持できるよう、企業として環境を整える、ヒアリングを行う等の工夫が必要です。
ミドルマネジメントの育成方法
ミドルマネジメントは重要な役職であるために、継続的な育成が必要です。ミドルマネジメントを育成する方法についてまとめました。
ミドルマネジメントになる人材を抜擢する
これまでの経験やスキル・評価などを総合し、ミドルマネジメントに向いている人材を抽出します。経歴のみならず、本人の性格や役職に対する考え方、志向性といったことも考慮すべき部分だけに、社員の考えを把握することが重要です。
待遇や環境を整える
業務量に見合った報酬や評価を得られないと、モチベーションが低下する原因になります。モチベーションを持続させるには、社員の希望する待遇を見極めたり、評価が妥当だと受け止められているかどうかを、ヒアリングしたりする必要性があるでしょう。
必要に応じて評価制度を見直し、ミドルマネジメントが好待遇を実感できるような環境を整えたうえで、教育の仕組みをつくる必要があります。
マネジメントに関する学習の機会を与える
さきほど言及したとおり、ミドルマネジメントにはさまざまな能力が求められます。必要とされるスキルについて学習する機会がないと、ミドルマネジメントの職に就いても要領のよい仕事ができずに本人のストレスになったり、モチベーションを下げたりすることにつながりかねません。
ミドルマネジメントとして必要な知識やスキルを身に着けるために、学習の機会を与えることが大切です。
ストレスマネジメントを学ぶ機会を与える
ミドルマネジメントには、ストレスに適切に対応できるように、ストレスマネジメントを学ぶ機会を積極的に持ってもらいましょう。上司がミドルマネジメントと面談の機会を設け、悩みや不安を共有できるようにすることもおすすめです。
ミドルマネジメントは一人で悩みを抱え込みがちで、負担が大きくなると休職や離職につながることもあるため、丁寧なヒアリングが必要になります。
まとめ
ミドルマネジメントは、負担の大きい役職といえます。ミドルマネジメントを育成するためには、相応の経験やスキルを持っている社員、そして性格や志向がミドルマネジメントに向いている社員を、選定する必要があります。また、研修や育成についてもしっかりとサポートをすることが重要です。
負担が大きい分、期待していることや将来像についてもきちんと共有し、よりよい組織状態を目指しましょう。
社員のスキルと成長を見える化し、一人ひとりに最適な育成計画を実現
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