マイクロラーニングとは? 導入の手順やメリット・デメリット、注意点などを解説


マイクロラーニングとは? 導入の手順やメリット・デメリット、注意点などを解説

企業が成長するには人材育成が欠かせません。人材育成の方法は多岐にわたりますが、近年はマイクロラーニングに大きな注目が集まるようになりました。マイクロラーニングとは、どのような人材育成の方法なのでしょうか。本記事では、マイクロラーニングの概要や特徴について解説します。マイクロラーニングを導入する際の流れ、成功のポイントもまとめているため、ぜひ参考にしてください。


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マイクロラーニングとは?

マイクロラーニングとは、どのようなものでしょうか。ここでは、マイクロラーニングの概要とeラーニングとの違いについて解説します。


マイクロラーニングの概要

マイクロラーニングとは、短時間の学習を通してスキルアップを目指す学習方法です。具体的な学習時間は5~10分程度となっています。また、パソコンだけでなく、タブレットやスマートフォンなどを活用する場合も多くあります。


ただし、マイクロラーニングについて明確な定義があるわけではありません。人や組織によって定義が微妙に異なる場合もあります。基本的には、マイクロラーニングは、短時間の学習全般を表す言葉です。スキマ時間を有効活用し、新しい知識やスキルを身に付けられる方法として注目されています。


eラーニングとの違い

マイクロラーニングはeラーニングの一種です。マイクロラーニングとeラーニングは、いずれもオンラインで学習を進められます。それぞれの違いは、学習時間の長さと学習に使用するツールです。


すでに述べたとおり、マイクロラーニングは、数分の短時間で学習します。使用するツールは、パソコン、タブレット、スマートフォンなどです。一方、eラーニングの学習時間は、1つのコンテンツにつき数十分から1時間程度となっています。また、使用するツールはパソコンがメインです。


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マイクロラーニングが注目される背景は?

マイクロラーニングは、なぜ注目されているのでしょうか。ここでは、その背景について解説します。


研修スタイルの見直し

研修スタイルは、時代に応じて見直しが行われています。オンライン研修の普及前は、社員を同じ場所に集めて対面で指導するスタイルが一般的でした。オンライン研修が普及した現在では、限られた人材や時間の有効活用が可能になっています。マイクロラーニングは、各社員が自分のスキマ時間を活用して効率よく学習を進められるため、導入する企業がeラーニングとともに増えている状況です。


タイムパフォーマンスを重視する価値観に変化

eラーニングは社員を拘束する時間が長く、学習内容が定着しづらいという問題点もあると明らかになってきました。現在は、タイムパフォーマンスを重視する価値観が広がっています。マイクロラーニングであれば、スキマ時間を有効活用して高い学習効果を期待できるため、eラーニングの問題点の解決策として注目されるようになりました。


マイクロラーニングでは短い動画を活用する場合も多く、若い世代との親和性が高めです。その点もマイクロラーニングが注目を集める理由の1つだといえます。


システム環境の変化

2000年代のオンライン研修は、パソコンで学習するeラーニングが主流でした。しかし、2010年以降は業務にスマートフォンやタブレットを導入する企業が増え、学習方法も多様化しています。また、現在では在宅勤務やサテライトオフィス勤務なども一般的になったため、システム環境がさらに変化しました。マイクロラーニングは、効率的かつフレキシブルに学習できる方法として定着しつつあります。


マイクロラーニングのメリット

マイクロラーニングはメリットが豊富です。ここでは、マイクロラーニングの具体的なメリットについて解説します。


スキマ時間を有効活用できる

マイクロラーニングは短時間で学習できるため、スキマ時間の有効活用が可能です。移動中や休憩時間など、少しの空き時間を使って効率的に学習を進められます。また、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットなどでも学べるため、より気軽な学習が可能です。業務と両立し、各社員がそれぞれのペースで学習できます。


知識が定着しやすい

短時間の学習の繰り返しは、知識を定着させるために有効だといわれています。1つのコンテンツが長いeラーニングと比較すると、マイクロラーニングの方がより集中して学習に取り組められます。


たとえば、60分の動画で学習する場合、eラーニングは1回で視聴するケースが少なくありません。マイクロラーニングでは、60分の動画を6分割して1回10分ずつ視聴するため集中しやすく、高い学習効果を期待できます。


教材を作成する手間が軽減できる

マイクロラーニングには受講者側だけでなく運営側のメリットもあります。1つのコンテンツが短くコンパクトであり、作成や修正にかかる時間や手間も少なめです。たとえば、法律や制度などが改正されても、コンテンツを短く区切っているマイクロラーニングなら、対象の部分を修正するだけで済みます。法律や制度などの改正が頻繁に行われる分野については、特にマイクロラーニングがおすすめです。


マイクロラーニングのデメリット

マイクロラーニングにもデメリットがないわけではありません。ここでは、マイクロラーニングの具体的なデメリットを解説します。


専門知識の学習には向いていない

1つのコンテンツが短いという特徴があるため、マイクロラーニングは複雑な知識を細かく伝えたい場合には不向きです。専門知識の学習ではある程度の時間を確保して理解を深める必要があり、マイクロラーニングでは対応できない可能性があります。


また、対人スキルやディスカッションが必要な分野についても、一方的に知識を伝えるマイクロラーニングではなく、対双方向型の研修の方が適しているでしょう。


導入・運用にコストがかかる

マイクロラーニングの導入には多くのコストがかかります。パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットなど複数のデバイスに対応するには、ICT環境の整備が不可欠です。また、必要なコンテンツをゼロからつくる必要があります。コンテンツを作成した後も、管理や更新にコストがかかります。


マイクロラーニングは外部への委託も可能です。ただし、社内で運用する場合と比較してコストがより大きくなります。


マイクロラーニングの導入が有効なシーン

マイクロラーニングはどのような場面で導入するとよいのでしょうか。有効なシーンについて解説します。


新入社員研修

マイクロラーニングは、新入社員研修に導入すると効果的です。新入社員研修では、一般的なビジネスマナー、自社の歴史、事業領域などを扱います。ビジネスマナーや自社の歴史などに関するコンテンツは、一度作成すると次年度以降も使い回しが可能です。


マイクロラーニングとしてコンテンツを細かく区切って作成すれば、変化する部分があってもその部分だけ修正すれば済みます。たとえば、事業領域が変わってもその部分だけの修正が可能です。


コンプライアンス研修

コンプライアンス研修にも、マイクロラーニングの導入はおすすめです。コンプライアンス研修では、ハラスメント、著作権・特許権、情報セキュリティなどといった幅広い知識を学びます。


マイクロラーニングのコンテンツとして、コンプライアンスに関わる内容を作成しておけば、役職別の研修や異動者向け研修などでも活用可能です。コンプライアンスに関わる法律や条例は改正や変更が多いものの、マイクロラーニングなら容易に修正できます。


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語学研修

語学研修もマイクロラーニングとの相性がよい研修スタイルです。短い動画を作成するだけでなく、クイズ形式で知識を確認できる学習方法も組み合わせると、より高い効果を期待できます。AI技術を活用したサービスや発音に特化した教材もあるため、自社が求める語学力に応じた研修プログラムを検討しましょう。


自社製品・サービスの学習

自社製品・サービスについて学習できる短いコンテンツを作成すれば、社員が知りたいと思った情報をその都度簡単に確認できます。たとえば、異動の際に新しい知識を身に付けるための学習ツールとして導入すると、業務の引き継ぎの負担を軽減しやすいでしょう。


また、自社製品・サービスに関するコンテンツを蓄積していけば、将来的に過去の製品・サービスとの比較が必要になった場合も活用できます。


マイクロラーニングを導入するステップ

ここでは、マイクロラーニングを導入する際の具体的なステップについて解説します。


現状分析を行う

自社にマイクロラーニングを導入するには、まず現状分析が必要です。自社の問題点を整理し、実態を把握しましょう。問題点を明らかにしたうえでマイクロラーニングを取り入れると、学習の効果を高めやすくなります。


ただし、研修方法のすべてをマイクロラーニングに置き換える必要はありません。たとえば、従来の学習方法のうち知識の定着率が低い分野を洗い出し、その部分のみマイクロラーニングを導入する方法もあります。


目標を設定する

現状分析により抽出した課題に対し、具体的な目標を設定しましょう。明確な目標を設定すると、マイクロラーニングの受講者が何を学ぶべきかを理解しやすくなるからです。たとえば、新入社員研修なら「ビジネスメールの基本的なマナーを理解し、実務で使えるようになる」といった分かりやすい目標を立てる必要があります。


コンテンツを作成する

現状分析と設定した目標をもとに、必要なコンテンツを作成します。コンテンツは、マイクロラーニングの学習の成果を左右する重要な要素です。まずは、どのような教材をつくり、どの形態で受講者に提供するか決めましょう。マイクロラーニングにおけるコンテンツの主な提供方法をまとめると、以下のとおりです。


・動画

・ダウンロードコンテンツ

・図表・画像

・ポッドキャスト・ウェブキャスト

・シミュレーション


内容に応じて適切なコンテンツの提供方法を選択してください。


マイクロラーニングを成功させるポイント

マイクロラーニングを成功させるには、どうすればよいのでしょうか。ここでは、具体的なポイントを解説します。


シンプルなコンテンツを作成する

マイクロラーニングは、短時間で学習できる点が大きな強みです。そのため、1つのコンテンツに内容を詰め込みすぎず、なるべくシンプルにまとめましょう。


また「part1」「part2」のように連続性のあるコンテンツにすると、短時間での学習が実質的に困難になります。単にコンテンツを短く区切ればよいわけではないため、コンテンツのまとめ方には工夫が必要です。


学習環境を整える

マイクロラーニングを取り入れるうえでは、社員が自発的に学べるよう、企業が学習環境を整える必要があります。どのような環境なら社員が積極的に学べるか検討したうえで、ツールやプラットフォームを選択しましょう。


なお、ツールやプラットフォームのなかには、トライアル期間が設けられているものもあります。実際の使用感を確認できるため、導入を検討しているツールやプラットフォームにトライアル期間があれば、ぜひ試してみてください。


複数の学習方法を組み合わせる

すでに解説したとおり、マイクロラーニングが向いていない分野も存在します。すべての研修を無理にマイクロラーニングに置き換える必要はありません。学習効果を最大限に高めるには、それぞれの特徴を考慮して最適な学習方法を組み合わせる必要があります。


たとえば、マイクロラーニングで予習をしてもらったうえで集合研修を実施すると、より効率的に知識を身に付けられる可能性が高いです。


進捗を管理する

研修の受講状況や履歴などをデータでまとめ、進捗を管理することも大切です。マイクロラーニングはコンテンツの長さを短く分けているため、データを分析すると各社員の興味の対象や得意分野なども把握できます。データの有効活用により、たとえば最適な人材配置につなげることも可能です。


このように、マイクロラーニングは単にスキルアップを促すだけでなく、さまざまな分野にも利用できます。


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マイクロラーニング導入時の注意点

マイクロラーニングを導入する際は気を付けたいこともあるため、注意点をまとめて解説します。


コンテンツの作成に時間をかけすぎない

マイクロラーニングのコンテンツは自社で作成できますが、1つのコンテンツの作成に時間をかけすぎないよう注意しましょう。基本的には、既存のeラーニングからマイクロラーニングへ移行すると、コンテンツの作成を最適化できます。具体的には、eラーニングで使用していた内容を項目ごとに細分化して再構成すれば、スムーズにマイクロラーニングへの置き換えが可能です。


コンテンツの管理体制を整える

マイクロラーニングを導入するうえでは、コンテンツの管理体制の整備も重要です。単にコンテンツを作成して提供するだけでなく、収集したデータの管理や分析ができるシステムの導入も検討しましょう。


新しいシステムを導入する際は料金プランだけでなく、プラットフォームとしての実績や社員にとっての使いやすさなども重要です。自社にとっての優先順位を考慮し、複数の視点から総合的に判断して選択しましょう。


定期的に見直しを行う

マイクロラーニングにおいては、コンテンツの数を増やすほど幅広い情報に触れやすくなります。そのため、マイクロラーニングを導入した後も、コンテンツの見直しや改良は欠かせません。たとえば、視聴回数がなかなか伸びない動画があれば、その理由を把握したうえで改善する必要があります。マイクロラーニングの効果を高めるためにも、社員の取り組みの状況を常に把握し続けることが大切です。


まとめ

マイクロラーニングは、短時間で集中的に学習する方法です。システム環境や価値観の変化により、マイクロラーニングを導入する企業が増えてきました。マイクロラーニングを実施すれば、社員が各自のスキマ時間を活用して効率よく学習を進められます。効果を高めるには、コンテンツの管理や見直しなどにも力を入れましょう。


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