こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
「自分で自分を客観的に把握しコントロールすること」をメタ認知といいます。「従業員のメタ認知を高めたい」と考えている担当者の方もいるでしょう。本記事では、メタ認知を高めるための7つのトレーニング方法やメリット、注意点について解説します。
メタ認知とは
より高次元な視点から、自分の認知を客観的に把握することをメタ認知といいます。メタ認知を高めると、自分自身のことを把握・観察した上でコントロールできるようになるのです。メタ認知を身に付けると、感情的になりづらい、思い込みにとらわれない、状況を適切に判断できるようになるなど、さまざまな効果を得られます。
ビジネスの場において、メタ認知の高い人は「問題解決能力が高い」「適応力が高い」「コミュニケーション能力が高く、周囲の人と円滑に仕事ができる」「マネジメント能力が高いため、部下と適切に関わることができる」など多くの利点があるため、人材育成においても注目を浴びています。
メタ認知を身に付けると、自分の思考や行動を客観的に捉えられるようになります。感情に振り回されず、冷静にコミュニケーションを取れるようになるため、ビジネスの場において役立つ能力といえるでしょう。「メタ認知」については、こちらの記事をご確認ください。
メタ認知を高める7つのトレーニング方法
メタ認知能力は様々な方法で高めることができます。ここでは、メタ認知を高めるための7つのトレーニング方法について見ていきましょう。
1.マインドフルネス
メタ認知能力を高めるための代表的な方法が、マインドフルネスです。マインドフルネスは「瞑想」と言い換えても良いでしょう。ただし、瞑想はその効果を求めるものではありません。一方、マインドフルネスはストレスや不安などを取り除く、生産性を向上させるなどの効果を求める点で異なります。
マインドフルネスを行う方法は、以下のとおりです。
- 姿勢を整える
- 呼吸を整える
- 思考や雑念が浮かんだ場合、呼吸に意識を戻す
1回の時間に指定はありません。5~10分程度でも良いので、毎日継続することが大切です。マインドフルネスは「今、この瞬間」に意識を向けるための方法です。日々続けるうちに脳や心が整い、自分との向き合い方を見つめ直せるでしょう。
2.セルフモニタリング
セルフモニタリングとは、これまで無意識に行っていた行動や思考、感情などを観察して記録する方法です。自分の現状を把握し、日々の変化の様子を記録していきます。メタ認知を高めるためには、これまで目をそらしていた自分の弱点や欠点と向き合うことが大切です。セルフモニタリングを行うと、自分の現状と向き合うことができるようになるでしょう。
セルフモニタリングに、決まった形式はありません。自分が無理なく続けられる方法で日々の記録を付けていきます。エクセルやアプリなどのデジタルを使用しても、日記帳や手帳などのアナログでも構いません。セルフモニタリングを続けると、それまで意識していなかった行動や発言、思考パターン、癖などに意識を向けることができ、自分を客観視できるようになります。
3.コーチング
コーチングを受けると、メタ認知を高めることができます。人によっては思考の癖や認知の歪み、身に付いている習慣などを自分で気付くことが難しいこともあるでしょう。そのような場合は、第三者に自分の言動を観察してもらうことで、自分だけでは見逃しがちな様々な気付きを得ることができます。専門家と話すことで、自分自身を見つめ直して客観視することが可能になるでしょう。
4.ライティングセラピー
ライティングセラピーは、悩みやネガティブな気持ちなどを紙に書き出していく手法で、「書く瞑想」とも呼ばれています。例えば、「営業先で思ったような成果が出せずに残念だった」「上司から叱られて悲しかった」といったものです。他人に見せることが目的ではないので、書きましょう。そうすることで、自分を客観視できるようになります。
5.MCT(メタコグニティブトレーニング)
MCTは、もともと統合失調症向けの認知行動療法的なアプローチで、ドイツにあるハンブルク大学のMortiz教授が開発しました。現在は、うつ病を始めとした精神疾患へのアプローチにも用いられています。考え方の癖や強い思い込み、認知バイアスを減らすことを目的としたトレーニングです。
6.主我・客我
「主我(I)と客我(me)」は、社会心理学者であるジョージ・ハーバート・ミードが提唱しました。
客我は「他者の期待を受け入れて形成された社会性」、主我は「客我に対する反応で、自我の主体性」です。主我は、行為を行う主体です。ミードは、その主我が他者の反応を意識することで自我を意識できると考えました。この考え方を踏まえて、自分を「主我」と「客我」に切り分けることで、客観視できるようにするトレーニングです。
7.事実・感情・思考分析
メタ認知を高めるためには、事実・感情・思考を分けて捉えることが重要です。例えば、「今日、営業の仕事でA様のもとに出向くのは気が重い」と考えている人がいるとします。
これを、事実・感情・思考の3つに分けて精査していきます。
- 事実:今日、A様のもとに営業に行く
- 感情:A様のもとに行くのは気が重い
- 思考:「A様へのアプローチ方法を決めていない」「A様に対してどのように営業するか思い浮かばない」「A様から良い返事を聞けない気がする」
事実と感情を切り分けることで、感情に左右されずに対処方法を検討できるようになります。例えば「営業方法を事前に決めておく」「上司に相談してみる」「苦手な営業先をピックアップして、対処方法を練っておく」などが考えられるでしょう。
このように、憂鬱なことが起きた場合やネガティブな感情が起きた場合に、事実・感情・思考の3つに分けて分析していくことが、メタ認知トレーニングにつながります。
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メタ認知を高めるメリット
メタ認知を高めることには、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、メタ認知を高めることで得られる2つのメリットについて解説します。
問題解決能力が向上する
メタ認知を高めると、問題を客観的に捉えて冷静な判断が下せるようになります。認知バイアスや思い込みにとらわれません。他者との関係もスムーズになり、高いコミュニケーション力を発揮できます。何か問題が起きた場合に、問題の原因を突き止め、必要に応じてスムーズな交渉を行えるため、問題解決能力が向上します。
感情に振り回されなくなる
メタ認知を高めると自分を客観視できるようになるため、感情に振り回されることが少なくなります。ネガティブな出来事が起こった場合でも、感情に振り回されて場当たり的な行動を取ることが少なくなるでしょう。
そのような状況に陥った場合でも、自分を客観視して早めに立ち直ることができます。また、改善方法を見出すことができるため、何度も同じような状況に陥ることがありません。自分にとってネガティブな状況に陥った場合でも、感情に振り回されずに冷静に対処できるようになる点もメリットといえます。
メタ認知を高める際の注意点
メタ認知を高めると、多くのメリットが生じます。一方で、気を付けなければならない点が2つあります。ここでは、メタ認知を高める際の注意点を見ていきましょう。
自意識過剰になりやすい
メタ認知を高めると自分を客観視するあまり、自意識過剰になりやすい点に注意が必要です。自分の内側を意識すると、自意識過剰から逃れることができるでしょう。
思考力が疲弊しやすい
いつもメタ認知を意識していると、思考力が疲弊しやすくなります。その場合は1人で考えず、人と会話することで思考力の疲弊が低減することがあります。
まとめ
メタ認知とは、自分を客観視してコントロールすることです。判断力やコミュニケーション力の向上にもつながるため、ビジネスの場でも注目を浴びています。メタ認知は、トレーニングによって高めることができます。マインドフルネスやライティングセラピーなど、1人で取り組めるものも少なくありません。企業で行う場合は、メタ認知能力向上のための研修などを実施しても良いでしょう。
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