こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
人材育成を目的に、メンター制度を自社で導入する会社が増えてきています。社会環境の変化が大きな理由として挙げられていますが、中には失敗事例も多く存在しています。
今回は、メンター制度の概要と導入が進んでいる背景、メンター制度が失敗する原因や失敗させないためのポイントを解説します。
メンター制度の概要と効果
メンター制度が注目されるようになって、さまざまな企業が導入するようになりました。しかしどのような効果があるのか、具体的に何をすればいいのかがわからない企業も少なくありません。
ここでは、メンター制度の概要と効果について解説します。
概要
メンター制度とは、上司や先輩社員を助言者(メンター)とし、若手社員や新入社員(メンティー)の悩みや疑問をヒアリングして、それに対する知識や経験を提供する制度のことです。一般的にいわれる指導という関係性ではなく、あくまでも助言や提案をするというところに違いがあります。
メンター制度で受ける相談は人の数だけ種類がありますが、会社のことだけではなく人間関係や仕事全体の悩みもメンターが助言をする業務の内容です。直属の上司が部下のメンターになる場合もありますが、企業によっては利害関係の少ない組み合わせで実施されることもあります。
効果
メンター制度の目的はいくつかありますが、代表的なものが次の3つです。
- 人材育成
- チームワーク醸成
- 離職防止
働きやすい会社であることを示せるほか、会社の風通しがよくなるため、チームワークの強化や離職防止につながるとされています。
メンティーに対するメリットが主ですが、メンターにとっても新しい刺激や発見を得られることから、メリットがある制度といえるでしょう。いずれの場合も前提として信頼関係が必要となり、メンター制度を実施するにあたってコミュニケーションを積極的に行い、信頼関係を構築するところから始まります。
メンター制度の導入が進んでいる理由
メンター制度の導入が進んでいる背景には、次の3つの理由が関係しているといわれています。
- 時間をかけた若手教育ができなくなった
- 先輩社員の真似をして仕事を覚えるのが難しくなった
- 意図的に関係性を構築する制度が必要になった
社会的な変化の速さや慢性的な人材不足、生産性や効率の重視によるプレイングマネージャーの増加など、今まで時間をかけてできていた若手教育が従来通りできなくなってしまったのが原因の一つといわれています。
またIT化やDX化が進む一方で、先輩社員が何をしているのかわかりにくくなってしまったというのも理由の一つです。さらにハラスメントという言葉や概念が定着している中で、今まで以上にコミュニケーションを積極的に取らなければならなくなりました。
これらの悩みを一気に解決し、さらに支援や育成という関係性をつくるために、メンター制度は打ってつけのものだったといえるでしょう。社会の変化が、メンター制度が注目を集める大きな原因となったのです。
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メンター制度導入の失敗例と対策
社会的な理由からメンター制度が注目され、導入を試みた企業の中には、残念ながら失敗してしまった事例も多くあります。失敗を回避するためには、事前にその対策を知っておかなければならないでしょう。メンター制度が失敗する主な原因とその対策を、詳しく解説します。
メンターの負担増
メンターを引き受けた結果、業務量が増大し、メンターが疲弊してしまったという失敗事例があります。基本的にメンターは、自分の仕事を抱えながらメンティーの相談や支援を行うため、単純に業務が増えるのは仕方のないことです。
しかし、メンターが指導に慣れていなければ、いつまで経ってもメンティーが納得する答えを導き出さないまま、長い時間を費やさなければならないかもしれません。メンティーも最初はうまく相談できないケースもあるため、業務が増えてしまいメンターが疲弊してしまうことがあるのです。
対策としてはメンターの業務を割り振りし直すことが挙げられます。人材育成を担当しているという共通認識を社内で持ち、メンターを助けていく意識が必要です。
メンターとメンティーの相性が悪い
メンターとメンティーは人間であるため、当然相性が悪ければメンター制度は成立しません。前提となる信頼構築ができないまま時間が経過してしまうと、メンター制度の目的そのものを達成できない可能性もあります。
最悪の場合、メンター制度が原因で早期退職に発展する可能性も否定できません。相性が合わなければモチベーションが下がってしまう前にペアを変えることをおすすめします。
事前にできる対策としては、性格やスキルなどを把握できる適性検査を活用するのがおすすめです。大幅なずれを減らし、相性が悪いという問題を未然に防ぐことができるかもしれません。
メンターによって対応が異なる
メンターには特別なスキルが必要ないため、対応がメンター任せになってしまい目標を達成できないというケースもあります。主な原因としてはメンター制度を実施する目的の共有が不足していたり、メンターのレベルがまちまちであったりすることが多いようです。
それに気がつかないままメンティーがメンターとして活躍するようになると、さらに大きく目的がずれてしまう可能性もあります。実施する前にはメンター制度を行う目的を事前に共有し、メンターの役割を明確にしておくことが大切です。
リモートワークの増加でなかなか進まない
新型コロナウイルス感染症の影響でリモートワークが増えた結果、メンターとメンティーが会う機会がなくなってしまい失敗したという事例があります。信頼関係が構築されているのであれば問題ありませんが、そうでなければオンラインだけで人間関係を構築するのは困難といえるでしょう。
オンラインツールを導入しつつ、定期的に出社日を調整して直接会う機会を作るのが最善の対策です。オンラインツールだけでは反応がわかりづらいため、オフラインで会う機会を設けるようにすると対策になります。
繰り返しになりますが、信頼関係ができているのであればオンラインでの実施も問題ありません。メンター制度を失敗させないためには、相手の反応がわかるオフラインでの実施をして、信頼関係を構築することが重要です。
アドバイスをしたまま検証しない
メンター制度を成功させるためには、メンターがメンティーにしたアドバイスをそのままにせず、継続的に検証していくことが必要です。メンティーが抱える課題は成長するに従って変化していき、新たな疑問や悩みが生まれたり、解決できなかったりすることがあります。
一つ解決したからといって、それで終わりにしてしまうと、メンティーの成長にはつながりません。メンターとメンティーはそれぞれがコミュニケーションを積極的に取り、解決したかどうかや新たな課題ができていないかを洗い出すようにしましょう。
また、メンター制度そのものの定期的な見直しも必要です。メンティーがある一定のラインまで成長したら、新たなメンターを設定するなどして、継続的に成長していく環境を整えることも重要とされています。
メンティーの主体性を育まない
メンター制度の主動はメンティーです。メンターが中心になってしまうと、メンティーの主体性が育たないまま終わってしまう可能性があります。だからといってメンティーが主導権を握ってしまうのもメンター制度としては失敗です。双方向での対話と意見交換ができていなければ、メンター制度はうまくいかないと考えましょう。
大事なのは、メンター制度は主従関係ではなく対等な関係であることを意識する点です。双方がお互いに学ぶことがあるという前提に立つことで、メンター制度が失敗する可能性が低くなります。
メンターと上司の仲がよく、相談しにくい
相性が悪いというのとよく似ていますが、メンターと上司の仲がよいと、メンティーが本音を打ち明けられずに終わってしまうこともあります。話がメンターから上司に筒抜けになってしまっているのではないかと勘ぐってしまい、相談したいことがあっても相談できない状況になってしまうためです。
メンターはメンティーと利害関係がない人物か、あっても薄い人物を選びましょう。人事部が主導する場合は、メンターとメンティーの上司の関係性を整理し、利害関係がないかを確認してからペアを決めるようにしてください。
メンターとしての依頼が増えてしまった
メンターになるために必要な資格はありませんが、適正や素質は必要となるため、一部の社員にメンター業務が集中してしまう場合があります。メンターが特定の人物に集中すると、業務が滞ってしまうほか、メンターとして成長できる機会をほかの社員から奪ってしまうことになってしまうのです。
メンターの依頼を集中させないためにも、社内でメンターに関するルールを作って分散し、平等にメンターとして成長機会を得られるようにしましょう。素質がない、経験者がいないなどの原因があるのであれば、メンターに慣れる人材を育成する研修をして対処できます。
メンター制度は本来従業員のモチベーションや生産性アップ、離職率の低下などの効果を生み出すためのものです。その上でメンター制度の考え方の根管となるメンタリングを深く知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
「メンタリング」については、こちらの記事をご確認ください。
メンター制度を失敗させないためのポイント
ここまで、メンター制度が失敗してしまった原因を見てきましたが、失敗させないためにはどうしたらいいのでしょうか。細かな方法はいくつもありますが、大きなポイントは次の2点です。
- 事前準備が必要
- 定期的に振り返る
それぞれがどうして失敗させないために必要なのかを見ていきましょう。
事前準備が必要
メンター制度を自社に導入する前に、なぜ導入するのかの目的を明確にした上で運用ルールを作成すると、失敗する可能性が低くなります。同時に、メンターを任せられる人材に対しては研修を行い、メンティーからの質問や業務に対して戸惑いがないようにする必要があるでしょう。
大前提としてメンターを任せる人物は、適性を持っている人を選ぶようにしてください。しかし、適性や素質がある人間が十分にいるとは限らないため、基本的には社内研修を実施するようにして企業全体でメンター制度を作り上げる努力が必要になります。
定期的に振り返る
メンター制度を管理している部門とメンターが連絡を取り合い、運用上問題がないか、困ったことや問題点がないかなどの振り返りを定期的に行うようにしましょう。
メンターとメンティーがよい環境の下で成長できることがメンター制度に求められる目的の一つです。担当者はメンターに丸投げせず、メンターが困っている場合にはサポートをするなどの姿勢と行動が求められます。
まとめ
メンター制度は、車内の人材を成長させるために非常に有効な手段です。しかしさまざまな理由から、失敗してしまうことがある点も忘れてはいけません。メンター制度を失敗させないためには、事前準備や定期的な振り返りが必要です。
それに加えて、メンターとして適性があるのかという判断も必要になるでしょう。社員それぞれの能力や適性を分析しなければ、メンターにふさわしいかどうかの判断ができません。タレントパレットでは、社内の人事評価などのデータを集約・分析できるため、メンターにふさわしい人材かどうかを比較的簡単に判断することができます。
メンター制度を失敗させたくない、従業員の成長を手軽に分析できるツールが欲しいと考えている人事担当者は、ぜひ一度タレントパレットをご検討ください。
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