こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
メンタルヘルスチェックは企業、社員ともに重要な取り組みです。社員の心と体の健康は企業全体に深く関係しますので、企業のメンタルヘルスチェックについて詳しく解説します。
メンタルヘルスチェックとは
メンタルヘルスチェックは、各人が設定されたチェック項目に回答し自分が感じるストレスを把握することを指します。漠然とストレスを感じている場合、解決の手立てがわからないとネガティブな感情が蓄積してしまい、心身に支障をきたします。しかし、チェックで自覚したストレスに対して適切な対処法を知ると、ストレスとうまく付き合えるでしょう。
メンタルヘルスチェックはさまざまな団体が推進に向けて取り組みを行っていますが、なかでも「こころの体温計」は誰もが気軽にストレスチェックが可能です。自治体が導入している実績があり、いくつかの設問に答えるだけで自身のストレス度を把握できます。
メンタルヘルスチェックの目的
メンタルヘルスチェックの目的はストレスの原因を知り適切な対処方法を探すことです。一方、同じ意味合いで使われる言葉にストレスチェックがあります。ストレスチェックはストレスに気づいたり、未然に防ぐ役割を果たすためメンタルヘルスチェックと同じニュアンスで使われますが、こちらは2015年から企業に法律で義務付けられた制度です。
労働者の安全や健康を守るための労働安全衛生法が改正され、労働者が50人以上の事業所は毎年1回ストレスチェックの検査を実施することが義務付けられました。
メンタルヘルスチェックが必要とされる背景
近年、メンタルヘルスの不調をうったえる人が増加しています。実際に厚生労働省が実施した令和3年労働安全衛生調査(実態調査)では、メンタルヘルスの不調により連続で1ヶ月以上休業した労働者または退職した労働者がいた事業所は10.1%(令和2年調査は9.2%)となっています。
さらに内訳を見ていくと、休業したケースは8.8%(前年度は7.8%)で、退職したケースは4.1%(前年度は3.7%)です。同調査の結果から、企業がメンタルヘルス対策を行う必要があると判断できるでしょう。
心の体温計でメンタルヘルスチェック
メンタルヘルスの不調を口にする人が増加する状況において、企業規模で定期的なチェックの実施も大切ですが、社員自身にメンタルヘルスチェックを勧める方法もおすすめです。本章では従業員が各自で取り組める「心の体温計」について紹介します。
心の体温計の利用方法
心の体温計は自治体でも導入されているメンタルヘルスチェックのツールです。スマートフォンやパソコンから無料でアクセスし、簡単に診断できます。チェック方法は4択式の質問に13問回答する方式で、およそ2分程度で回答を済ませられます。
診断結果はテキストだけでなく、視覚的に認識しやすい特徴があります。自身のストレス度合いが水槽に入った金魚で表現されているため、抵抗なくかつ自身のメンタルヘルスについて理解を深めやすいでしょう。
心の体温計でチェックできること
心の体温計は下記のパターンでメンタルヘルスチェックが行えます。
- 本人モード
- 家族モード
- 赤ちゃんママモード
また、メンタルヘルスチェック以外にも下記の項目をチェック可能です。
- アルコールチェックモード
- ストレス対処タイプテスト
- 睡眠障害チェック
さらに、診断結果は金魚鉢に入った金魚と水質のイラストで表示されるため、ストレスを視認しやすいでしょう。各項目は下記の要素をあらわします。
- 赤金魚:自分の体や病気に対するストレスを表す。レベルが上がるごとに金魚が怪我をする。
- 黒金魚:対人関係のストレスを表す。レベルが上がるごとに攻撃的なイラストに変化する。
- 水槽(金魚鉢):家庭状況を表す。レベルが上がるにつれ金魚鉢にヒビが入ります。
- 猫:社会的なストレスを表す。レベルが上がるごとに攻撃的なイラストに変化する。
- 石:そのほかのストレスを表す。レベルが上がるごとに石の個数が増加する。
- 水質:気持ちの落ち込み具合を表す。レベルが上がるごとに水が濁る。
企業で行うメンタルヘルスチェック
本章では、ストレスチェック制度について解説します。メンタルヘルスチェックとニュアンスは同じですが、義務付けられる範囲や実施回数が厳密に決められています。
ストレスチェックの義務化
労働安全衛生法の改正に伴い、2015年12月より各企業はストレスチェックが義務付けられました。対象企業や条件は以下のとおりです。
- 労働者が50人以上の企業
- 契約期間が1年未満の労働者および労働時間が通常の労働者の所定労働時間の3/4未満の短時間労働者は義務の対象外
対象となる企業で年に一回のストレスチェックを行わない場合や労働基準監督署へ報告を行わない場合は、罰則を受ける可能性があります。
ストレスチェックの概要
ストレスチェックは国が推奨する57項目の質問票に基づいて実施します。質問内容は以下の3つの要素に分かれます。
- ストレスの原因に関する質問
- ストレスの自覚に関する質問
- 社員に対して周囲の対応を問う設問
社員が回答を終え次第、医師や実施者が回収・分析・対応を行い、受診が必要と判断した社員には別途案内を行いましょう。
健康診断との違い
健康診断は、社員の義務です。しかし、ストレスチェックは義務ではありません。また、健康診断の結果は事業所に報告されますが、ストレスチェックのチェック結果は、実施者と実施事務従事者および労働者本人にのみ報告され、事業所には報告されません。
ストレスチェックの対象となる人
ストレスチェックの対象となるのは、厚生労働省が定める「常時使用する労働者」に該当し、「契約期間が1年以上」「1週間の労働時間が通常の労働者の4分の3以上」のいずれかを満たす人です。原則、すべての社員が対象となります。ただし、社長や役員・専務・人事部長など、人事に対して直接的な権限を持つ人は、ストレスチェックの対象外です。
ストレスチェックを実施する人
ストレスチェックは、医師、保健師、厚生労働大臣が定める研修を受けた看護師、精神保健福祉士、産業医などが実施します。ストレスチェックの規格や結果の確認、評価など、主な実施内容です。
ストレスチェック実施の手順
ストレスチェックは以下の流れで実施します。
- 社員にストレスチェック実施を周知し書類を準備する
- 質問票の配布(ツールの活用も可能)
- 回答の評価や医師との連携要否を決める
- 本人に結果を通知・申出
- 医師による指導
- 就業上の措置が必要な場合は検討・実行
人事担当社は医師との連携をとりながら、ストレスを抱える対象者の就業条件を整える役割を果たしましょう。
ストレスチェックの目的
ストレスチェックを実施する目的を、3つに分けて解説します。
社員が自分のストレスを把握できるため
ストレスチェックにより、社員は自分のストレスを把握できます。自分がどのような状態にいるか、どれだけ高ストレスにあるかを知ることで、ストレスをためすぎないように対処が可能です。ストレスが高い場合、医師の面接を受けた上で、助言をもらえます。
職場環境を改善するため
ストレスチェックにより、職場の高ストレス要因に気づくことができ、職場環境の改善につながります。人間関係がストレスになっていないか、負担が大きくないか、風通しのいい職場環境であるかなど、課題を見つけて改善につなげることで、メンタルヘルス不調者の発生を、未然に防止できるでしょう。
社員への十分な支援につなぐため
ストレスチェックの結果をもとに、部署ごとにストレスの傾向がないかを確認可能です。業務上の負担や健康上のリスクが集中していないかなどを分析することで、社員への十分な支援が実現できます。事業者は、社員のメンタルヘルスを早期に把握し、適切なサポートを行うことが重要です。
ストレスチェックに意味がないといわれる理由
ストレスチェックは意味がないと、耳にしたことがある人もいるでしょう。ここでは、ストレスチェックが社員のメンタル改善や職場環境の改善につながらないといわれる理由について解説します。
面接や職場指導に至らず、検査を受けっぱなしになりがちであるため
ストレスチェックを実施しただけになっている企業は少なくありません。分析結果を担当者が「見ただけ」、経営や現場に「報告しただけ」では、本質的な改善には至らず形骸化してしまいます。ストレスチェックの結果を読んで終わりにするのではなく、具体的に改善計画を策定し、社員に共有しなければなりません。
検査を受ける人が少ないため
ストレスチェックを受ける人が少なければ少ないほど、集団分析の精度が低くなるため注意が必要です。受ける人が少ないと、アンケートの結果に偏りが生じてしまい、有効な分析結果を得られない場合があります。
高ストレス者への対応が行われていないため
ストレスチェックによって高ストレス者であると判定されると、医師の面接指導が受けられます。しかし、本人が「面接は不要」「面接は受けたくない」と判断すれば、面接指導を受ける必要はありません。ストレスチェックを「意味がない」と、受検を拒否する社員も一定数いるでしょう。そのため、受検しない高ストレス者が隠れている可能性があります。このように、適切なメンタルヘルスケアが実施されず、高ストレス者への対応がおざなりになる可能性は否定できません。
メンタルヘルスチェックだけで終わらない、あらゆる人事データを統合して分析
社員のメンタルヘルスチェックは人事労務の一環です。しかし、社員が多いと管理や分析、カウンセリングへつなげる際に労力を要します。タレントパレットならば、社員の健康管理やストレスチェックデータを一元管理可能です。義務付けられているストレスチェック制度にも対応しているため、必要なタイミングでスムーズに活用できるでしょう。
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メンタルヘルスケアの段階的な予防
メンタルヘルスケアは症状が出てから対処するだけでなく、事前の対策が重要です。本章ではメンタルヘルスケアの段階的な予防を紹介します。
一次予防:未然の対策
第一に、メンタルヘルス不調を起こさない職場づくりが求められます。具体的には労働環境の整備や残業時間の抑制など、風通しの良い職場づくりが欠かせません。なかでも、一次予防で重要になるのは現場の監督者です。
現場の監督者が常に社員の就労環境を確認したり社員とコミュニケーションを取ったりして、不満や不安を感じさせない就労環境づくりが重要です。
二次予防:早期発見
二次予防は重大な疾患につながる前に、メンタルヘルスに不調をきたす社員を発見することです。職場でストレスが溜まり追い詰められるとうつ病になったり退職を検討したりするようになります。
しかし、人事担当や現場の監督者が社員の様子を察知し、適切な声かけを行うと事態の深刻化を防げるでしょう。
三次予防:休職した社員の復職支援
三次予防は、すでにストレスを抱え精神疾患を発症している社員が復職するまでのサポートを指します。休職した社員は休みながらも復帰後を心配しているため、上司や人事担当者が復帰後に本人が働きやすい環境を整え、復職の支援を行います。同時に復職後は再びメンタルヘルスに支障をきたさない状況確認も大切です。
メンタルヘルスチェックとあわせて行いたい対策
本章ではメンタルヘルスチェックと合わせて行いたい企業の対策を紹介します。チェックを活かして取り組むことが重要です。
働きやすい職場環境づくり
第一に職場環境の整備を行いましょう。具体的には、残業時間の見直しや休日出勤の削減が挙げられます。職場環境の整備では、仕事場にエアコンを設置したり冬場の寒さをしのげる防寒着を準備したり、生理的なストレスを減らす取り組みが有効です。また、職場の人間関係もメンタルヘルスの不調につながるため、コミュニケーションが取りやすい雰囲気づくりを心がけましょう。
監督者へのラインケア研修
社員のメンタルヘルス管理は、各部署の監督者が指揮をとります。そのため監督者のラインケア研修を充実させましょう。具体的には外部の研修に参加したりオンラインで受講できるセミナーに参加したり、メンタルヘルスやストレスチェックについて学ぶ場を設けます。
ハラスメントの相談窓口設置
職場内で最も多いトラブルが人間関係の悪化です。上司からのパワハラやセクハラ、アルハラなど、様々なハラスメントが社員の心を蝕みます。ストレスチェックやメンタルヘルス予防への取り組みと合わせて、企業規模を問わずハラスメントの相談窓口設置を検討しましょう。
まとめ
メンタルヘルスチェックは社員の安全を守るだけでなく、企業の存続にも影響します。どれだけ業績が好調でも、職場内にメンタルヘルス不調者が多かったり社員の満足度が低下したりした企業はやがて組織力が低下し企業の存続が困難になるでしょう。人事労務担当者や現場の責任者がリーダーシップを取り、社員のメンタルヘルスチェックを実践することが大切です。
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