こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
「研修効果測定はなぜ必要なのか」「基準の決め方がわからない」「研修効果測定を行う余裕がない」という方は多いのではないでしょうか。
株式会社リクルートマネジメントソリューションズの調査によると、全体の約9割の企業が研修後になんらかの効果測定を行っていることがわかりました。しかし、効果の測定方法については、手探りで対応している実態があります。「効果を詳しく調査したい」と思いつつも、客観的な測定が難しいことや、時間と費用がかかることが課題となっている企業もあるでしょう。
そこで本記事では、研修効果測定が必要な理由と具体的な実施方法やポイントについて解説します。研修効果測定を順序立てて実施する方法がわかる内容になっているので、ぜひ最後までお読みください。
研修効果測定が必要な3つの理由
研修効果測定が必要な理由は、以下のとおりです。
- 参加者の理解度を確認するため
- 研修の改善点を見つけるため
- 結果や成長につながらない研修を精査するため
必要性を理解すると、研修効果測定の目的がわからなくなることを防げるため、詳しく見ていきましょう。
参加者の理解度を確認するため
参加者が研修の内容をどれだけ理解できたか確認するために、効果測定は重要です。効果測定を行うと、以下のような研修の目的が達成できたか判断できます。
- 参加者が研修によって知識やスキルを磨くこと
- 研修で得た知見を活かして成果を上げること
参加者が何につまずいているのかわからない場合、どのようにフォローすべきかわかりません。適切な場面でサポートし、研修を成果につなげるために、参加者の理解度を調べる必要があります。
研修の改善点を見つけるため
研修の改善点を見つけるために、効果測定が必要です。どんなに入念に準備をしても、最初から完璧な内容の研修を行うことは難しいです。研修を行った上で、見えてくる反省点や参加者の意見に注目してみましょう。改善点を見つけて解決していくと、ノウハウが蓄積されるため、研修の質を高められます。
「問題点が複雑化していて、改善方法がわからない」という方は、タレントパレットのコンサルティングをご検討ください。経験豊富なコンサルタントが、データの最適な分析方法の提案や環境構築を実施します。
「社内のデータを渡すのが不安」という方もご安心ください。タレントパレットのサービスは、2,000社以上にご利用いただいています。高いセキュリティ基準が必要な金融業界など、さまざまな顧客のデータを管理・運用している実績があるので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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結果や成長につながらない研修を精査するため
研修は、多く行うほど成果が出るわけではありません。時間や費用をかけて社員のスキルを磨くことは重要ですが、結果につながらない研修は精査する必要があります。
研修は通常業務の時間を割いて行うため、参加者の不在時には部署内でフォローする必要があります。参加者だけでなく、周囲の社員のリソースも必要となることから、成果につながらない研修を見極めることが重要です。利益につながる研修を行うために、効果測定を行う必要があります。
研修のやり方について詳しく知りたい方は、別記事「研修やり方」をあわせてご確認ください。
研修効果測定方法の基本「カーク・パトリックの4段階評価」
研修効果測定を効率的かつ確実に行なうためには、段階的に評価する必要があります。測定方法として「カーク・パトリックの4段階評価」が基本の手段として用いられています。カーク・パトリックの4段階評価とは、米国の約70%の企業に採用されており、日本でも浸透している検証方法です。
具体的な4段階評価の内容は以下のとおりです。
- レベル1(反応):研修満足度を確認する
- レベル2(学習):学習到達度を確認する
- レベル3(行動):行動の変容度を確認する
- レベル4(結果):成果の達成度を確認する
レベル別に詳しく見ていきましょう。
レベル1(反応):研修満足度を確認をする
レベル1では、参加者の研修に対する反応を確認しましょう。参加者の反応を調べることで、研修の満足度や理解度を明確にできます。また、研修内容のブラッシュアップをする機会にもつながるでしょう。確認のタイミングは、研修直後にアンケートを用いて結果を分析するのがおすすめです。
アンケートの内容は、以下の項目を参考にしてください。
- 研修内容に満足できたか
- 講師の説明はわかりやすかったか
- 研修のスケジュールは適切だったか
- 研修の題材は使いやすかったか
- 研修に参加して得るものはあったか
- 研修で学んだことをどのように活かすか
- 設備に不足はなかったか
参加者からフィードバックをもらい、効率的に成果につながる研修にしていくために、レベル1で満足度を確認しておくことが重要です。
レベル2(学習):学習到達度を確認する
レベル2で、参加者の知識の定着度合いを確認します。研修の内容をどれだけ理解して、習得できたか測定する必要があるためです。確認のタイミングは、研修実施日から数日以内が良いでしょう。知識の習得が目的の場合は、筆記テストを行います。技能の習得が目的の場合は、実技テストを行いましょう。
参加者には、研修後にテストが行われることを知らせておくと効果的です。事前に研修の理解度が問われるとわかれば、積極的に研修に取り組んでくれるでしょう。例えば、合格ラインとして「正解率が80%以上」などの基準を設けておくのがおすすめです。
レベル2の学習到達度の確認作業が曖昧なまま進んでしまうと、レベル3で行動の変化を認識するのが難しくなります。知識やスキルの定着度合いを具体的に数字で表し、研修内容がどれほど行動変容に影響を与えたかを確認しましょう。
レベル3(行動):行動の変容度を確認する
レベル3では、参加者の研修後の行動変化を確認しましょう。研修で得た知識をどれくらい現場で活かせているか測定するためです。確認のタイミングは、研修から3ヶ月〜半年の間がおすすめです。
また、定期的に時間を空けて複数回測定すると、正確なデータを蓄積できます。参加者の周囲にいる社員に行動を観察してもらい、結果をインタビューすることで変化の有無を確認します。研修の前には、参加者の周囲で働く社員の協力を得ておくことが必要です。
行動変容はすぐに見られない可能性があるため、どれくらいの時間がかかるか予測を立てておきましょう。行動変容が現れそうなタイミングを推測し、インタビューを行ってみてください。
レベル4(結果):成果の達成度を確認する
レベル4は、参加者の研修後の行動変化によって、どのような成果を達成したか確認する段階です。成果の指標は、研修の目的によっては明確にするのが難しい可能性もありますが、可能な限り数値で表せるものにしましょう。例えば、営業研修であれば以下を調査の指標とします。
- アポイント取得率
- 成約率
- 商談率
しかし、明確に研修の結果を調査することは容易ではありません。売上やサービス向上には、研修の結果だけでなくタイミングや環境など多くの要因が関係するためです。レベル4の研修結果の確認は、レベル1〜3の総合評価ととらえて長期的な目線で判断しましょう。
また、補足情報として1〜4までのレベルに加え、発展としてレベル5も存在します。レベル5は「研修の成果により得られた収益」と「研修コスト」を比較する段階で、ROI(投資収益率)分析を行います。ROI分析について詳しく知りたい方は、別記事「研修評価」をあわせてご確認ください。
適切に研修効果測定するための3つのポイント
研修効果測定のポイントは以下のとおりです。
- 研修の目的を明確にする
- 研修の評価項目を明確にする
- ツールを活用する
3つのポイントを押さえて、研修効果測定を行うときに「どうしたら良いか」と迷わないようにしましょう。
研修の目的を明確にする
はじめに、研修の目的を明確にします。研修の目的が定まっていないと、効果の検証ができません。効果がわからないままだと、研修を行う意味がなくなってしまいます。例えば、以下を参考に目的を設定すると良いでしょう。
- 参加者のスキルや知識の習得
- 研修内容の改善点の検証
- 研修による受講者の行動変化の検証
- 結果が出た参加者のリストアップ
- 研修予算アップの交渉のためのデータ取得
状況に合わせて優先順位を決め、目的を明確にすることが大切です。
研修の評価項目を明確にする
研修の目的の設定後は、評価項目を明確にします。評価項目が定まっていないと、正確なデータの集計や分析ができません。評価項目は、以下の3つに分けて設定することがおすすめです。
- 業務の評価
- 能力の評価
- 姿勢の評価
業務の評価の項目では、参加者がどれだけ研修内容を業務に活かせているかに注目します。業務評価の内容は以下の2つです。
- 業務目標達成度
- 課題目標達成度
業務目標達成度については、研修前のデータと比較して変化を検証します。課題目標達成度を測定する際は、問題解決ができたか、アプローチによりどれだけ状況が改善されたかを重視しましょう。
能力を評価する際は、研修で身に付けてほしいスキルを具体的に決めておくことが大切です。例えば、企画力をつけるための新入社員向けの研修を行うとします。目標を明確にしておけば、研修後に提案などの主体性がみられるかを評価できるでしょう。具体的な能力の評価項目では、以下の内容に注目します。
- 責任感
- 積極性
- 協調性
- 規律性
成績ではなく、業務に対する姿勢や、基本的な社会人としてのマナーを評価します。現状の能力よりも、今後の伸び代が期待できそうかを確認しておくことも重要です。「評価の管理に時間をかけたくない」という企業は、タレントパレットのツールをご利用ください。人材情報の集約から蓄積、データ検証まで簡単に行えます。
ツールを活用する
研修効果測定には、アンケートや理解度テストを簡単かつ効果的に行えるツールを活用しましょう。ツールの利用なしに効果測定を行うと、時間やリソースを消費してしまいます。
タレントパレットには、回収したアンケートのデータを自動的に集計、分析ができるツールが備わっています。多くの時間と労力が必要となるデータの分析は負担になるため、頭を悩ませている担当者が多いでしょう。
求職者雇用支援機構の調べによると、アンケートなどの検証を満足に行えていない企業の割合が多いことが明らかになっています。カーク・パトリックの4段階評価のレベルが上がるほど、評価の実施率は顕著に下がっています。レベル別の評価の実施率は以下のとおりです。
評価の実施率 | |
レベル1 | 77.2% |
レベル2 | 22.3% |
レベル3 | 12.0% |
レベル4 | 6.6% |
レベル1の研修の満足度以外は、評価の実施率が3割以下になっています。効果測定の重要性を感じつつも、通常業務と並行して研修結果の分析を行うことが難しいと感じている方が多いのが現状です。
面倒で手間がかかる重要な研修効果のデータ分析こそ、タレントパレットのツールを活用して自動化しましょう。時間をかけて人の手で分析を行うよりも、システムに頼れば効率を大きく上げられます。
研修効果測定のまとめ
研修効果測定は難易度が高く、多くの担当者が悩みを抱えています。なぜなら、研修の効果がすぐにあらわれない場合があり、数値化が難しいケースもあるためです。効果的に研修効果測定を行うには、カーク・パトリックの4段階評価法を使って検証するのがおすすめです。しかし「通常の業務に加えて研修効果測定を行うのは現実的に難しい」という方もいるでしょう。
研修の効果測定の手間と負担を軽減したい方は、ぜひタレントパレットのシステムをご活用ください。例えば、アンケートの結果をもとに組織の改善ポイントの提示や、適切な研修プログラム選定のサポートができます。アンケートの設問を自由に設定できるので、研修に合わせた効果測定が可能です。研修効果測定を効率化させたい方は、ぜひお気軽に資料をダウンロードしてみてください。